くぼた沖縄日記 2007・冬 宮古再会編
★ 12月4日 33年分の夜
朝刊で先月半ばに起こった、殺人事件の犯人が捕まったことを知る。79歳のオバァを殺したのは、76歳の隣のオジィだった…。伊良部島始まって以来ともいわれた事件。昨日会った若いおまわりさんも一安心だろう。
今日は宮古島に移動。バス待ちの間に、粟国商店のオバァにあいさつに行く。「また絶対来なさいねえ」オバァもお元気で!バスに乗ろうとすると、ちょっと足が悪いのに、わざわざ店の外に出て、手を振ってくれる。やさし〜。
バスの中で、昨日下地空港でしゃべった男性とまた会う。今度は高速船。10分ほどで宮古島の平良港着。ホテルはどこかな〜。歩道で地図を広げていると、若い男性が声をかけてくれ、ホテルの場所を教えてくれる。時間が早いので、荷物だけ預け街歩きに出る。
ホテルのすぐそばには、宮古で最も格式が高く由緒ある、漲水御嶽(はりみずうたき)。猫がいたのでこっそりエサをやっていると、オバァに話しかけられ、一代記を聞く。この御嶽の石垣は、宮古を統治した仲宗根豊見親(なかそねとぅいみやー)が、オヤケアカハチ(15世紀末の八重山の豪族)を平定した記念に作ったと伝えられている。八重山出身のオバァはオヤケアカハチのコンクリート製(!)の大きな足跡を見たという。ううむ…。
市立図書館があったので、伊良部島でたくさん見た蝶を調べる。中心になる西里大通り、下里大通りをはじめ、適当に街を歩く。路地の間から、青い海が見える。大好きな沖縄のスーパー、サンエー発見。タコライス5袋入りレトルトパックなんて出来たんだ!アーサー(海藻)だの、じゅーしー(沖縄炊き込みごはん)の素だの、ポーク缶だの食料品をたっぷり買う。重い…。
ホテルに戻ると、漲水御嶽に明かりが灯り、中に男性が2人。一人が朗々と祝詞(?)をあげている。何かの儀式のよう。でももう一人の男性は、携帯で通話中。いいのか?
さて、今回の旅のメインイベント、高校時代の友人Oに会いに行く。彼女は7年前に家族で宮古島に移住、5年前から宮古島で唯一の手打ち日本蕎麦屋「優洛 すずめだるま」を開いている。日本蕎麦と聞いた時は驚いた。そば=沖縄そばの土地で、がんばってるんや。
Oのお店兼自宅は商店街からちょっと離れた住宅地。地図を片手に歩き出す。商店街からはずれると、道が暗い!街灯が全くないので、足元が真っ暗。恐い。誰も歩く人なんかいないんだなあ。
お店の前で、Oが待っていてくれる。いや〜、久しぶり!思わずハグ。目頭が熱くなる。昔も元気いっぱいだったが、ホントに元気そう。うれしい。ご主人とO、二人のたくさんの手料理でもてなしてもらう。同級生のT君が、この店のために焼いたという器に、頼んで料理を盛ってもらう。なかなかいい器です。
働き過ぎのご主人に、Oが仕事を辞めるのを勧めたこと。宮古へ来たのは偶然だったこと。ご主人の蕎麦打ちや料理が独学だということなど、初めて聞いた話ばかり。きれいなお店は宮古島市の市長さんをはじめ東京からの観光客など、いいお客さんで繁昌しているそうだ。私の方からは、同級生達の近況報告をする。同級生の中から市長が生まれていることに驚くO。
いっぱい話して、Oの車でホテルまで送ってもらう。33年も経ったんやなあ。最後に会った時も、Oが車を運転して駅まで送ってくれたのだ。食後のコーヒーのせいか、思い出すことがたくさんあって興奮したのか、なかなか眠れない。
優洛 すすめだるま 宮古島市平良下里1107−9 0980-75-3250
土曜定休 12:00〜売り切れまで 18:00〜21:00(予約のみ)