Essay
Title 「HAM今は昔」
プロローグ
アマチュア無線家を志す様になった動機は様々ですよね。短波受信機を聞いていたら7Mhz帯のHAMの会話が偶然に飛び込んできてその面白さに魅せられた・・・ラジオいじりが好きでワイヤレスマイクでは物足りずHAMになった 等々。ポピュラーな動機です。
私の場合は後者の方です。昔、「初歩のラジオ」という雑誌があり、制作記事を見てはいろいろなものを作っていました。この雑誌にある時梶井健一OM(JA1FG)の「アマチュア無線の話」という記事が連載されるようになりました。記事の内容はビギナー向けに書かれておりアマチュア無線の楽しさが満載されていた様に思います。King Of Hobbyとして・・・
アマチュア無線の様がわり?
十年以上昔、CQ誌の表紙に4歳の女の子の写真が載りました。彼女はレッキとしたHAMです。しかしこの子に1/2π√(LC)の計算はおそらくできないでしょう。(ピタゴラスかポアンカレーの再来であれば別でですが)また、HAMアクセサリを作れるとは思えないし、多分お話がしたかったのでしょう。 昔のHAMもラグチュー派といわれる人たちはいましたがラグチューの合間にアクセサリーは製作していました。ラグューの内容もアマチュア無線についての話題でした。「アマチュア無線以外のお話し」だけのHAMがCQ誌にこの様に取り上げられるようになってから「King of hobby」の声もきこえなくなったようです。
アマチュア無線バブル期
日本経済がバブルの絶頂にあるころ、アマチュア無線もバブル期を迎えました。この時期HAMを始める動機は通信手段。PHSが登場する前です。釣り仲間が全員HAMになり、連絡用にHandy機を使うとか車のドライブの連絡用であるとか・・・Handy機は無線機メーカが作ってくれるし、運用のマナーなど考えたこともない・・・とにかく大量にHAMが誕生しました。UC(uncover)局より始末が悪い(一部の人であると思いますが)。
昔にもUCといわれる人たちはいました。しかし彼らは本来の?動機と技術は持ち合わせていました。良識はUCであるからには持っているとはいえないかもしれませんが運用はUCの良識?で行っていました。呼出符号は存在しないもの、すなわち、JA10XXX(じぇいえいワンゼロと読む:UCのことを別名ワンゼロさんとも言う)で交信し、使用周波数帯はアマチュアバンドの外、例えば7Mhzであれば7.110Mhzあたりに出没し、アマチュアバンド内で妨害する事など決してなかったと思います。
とにかく大量にHAMは誕生したが大部分の人はすぐに飽きてしまい、局免を一度も更新することなくやめてしまっています。しかしながらこの時期、動機は別にしてHFを聞き、ほんとうのHAMの世界に入ってきた人も数多く存在します。この人達は今後も長くアマチュア無線の活動を行うであろうし、HAM人口の純粋な増加と言うことができるでしょう。
アマチュア無線とパソコンの融合
パソコン(以下PC)はこの世の中のすべてにはびこって?います。アマチュア無線と言えども例外ではないですね。独立したTOOLとしてパソコンを使う分には問題ないでしょうが中枢部分に入ってくると考え込んでしまいます。その是非を云々するのではなく、アマチュア無線といえるのか否かです。例えば画像をPCで処理して送る。これは主体は画像処理であり、MEDIAの一つとしてアマチュア無線があるわけです。別にアマチュア無線で無くとも良い。電話線だってある。今でもトランシーバをPCで制御するするものは存在しますがそのうちにPCのCommunication Deviceの一つとして無線が加わるかもしれない。すなわち、「このPCは高速Serial port と 100BASEーT(そのころには100BASE−Tなんかないかも知れませんが・・)と無線用ボード(出力100Watts?)を内蔵しています。Windows のdeskTop上にアマチュア無線のIconがあります。SSBはもちろん、画像処理もマウス一つで自由自在・・・」などという悲しいことになりかねないですね。メーカさんも絶対需要数の少ないこのようなものは作らないと思いますが・・・
温故知新
アマチュア無線は先人達の力により発展してきました。短波帯の利用技術はHAMにより開拓されました。最近は電波伝播の安定性から長波が見直されているとも聞きますがここで再びHAMの活躍・・とはいきそうにありませんが HAM局を運用するための技術(最近はアクセサリー作成が主になってしまいましたが・・・)および良識がアマチュア無線の心であり、プロの世界で捨て去られたLegacy communicationを伝えることがHAMの役目かもしれません。
「古きを温めて新しきを知る」 これこそがアマチュア無線の心ではないでしょうか。