初めてキューバを訪れたのは2000年末のことであった。
きっかけはスクリーンでハバナの街並みを見たことである。
ノスタルジックな映像に惹かれたのだが、それは演出上のことであろうと思っていた。
しかし、実際に行ってみると映画そのままの街並みがあった。
時の流れのままに錆びて朽ちかけた建物。
半世紀以上も現役で走り続けるクラシックカー。
光と音楽にあふれた街角。
陽気でひとなつこい人々。
老人の顔には悠久の時が刻まれている。
その全てが素朴でエレガントなのだ。
ハバナの街をあてもなくただ歩く。
言葉を交し、シャッターを切る。
体が軽く、気持ちが明るくなってゆく。