アメリカの経済封鎖に対して、キューバは大量の対外債務を抱える。
政府は観光に力を入れて、外貨収入を図る。
そのため現地通貨ペソに対して、旅行者はドルでの支払いを強いられる。
ホテル、レストラン、タクシー、お土産品、観光施設などの入場料。
その他、ビール、洗剤、食器、電化製品などの日用品もドルでしか買えない物が多い。
庶民の持つペソで買えるものは、ピザ、サンドイッチ、野菜などごく僅かだ。
そのためキューバ市民も、旅行者からドルを得ようと、あの手この手を考えて声をかけてくるのだ。
そんな構造から、社会主義が否定した貧富の差が生まれる。
今回の旅では以前に比べて、配給に並ぶ人の姿をあまり見なかった。
現地に生活する人に聞いてみると、配給される品物を
お金を払って買ってしまうケースが増えているのだそうだ。
政府からの供給が、遅れがち、不足がちなのが、その原因なのだが
人々が個人で所有する割合が増えてきている証拠でもあるだろう。
町を歩くと物や店が増えたという印象も抱いた。
キューバの人々は、ほんの少しだけ豊かになり、ほんの少しだけ笑わなくなった。