子供達の輪の中心から、だんだんと輪の一部になる。
鳥達がさえずり始める。
もうすぐ雨が上がる合図だ。
お菓子を食べ終わった子供達は、ビニール袋を窓から捨てた。
しょうがないなーと思いながら見ていた。
その視線に気がついたのだろうか。
ある男の子がゴミを捨てようと伸ばした手をそのまま元に戻した。
「ブエノ、ブエノ(いいぞ、いいぞ)」
その子に親指を立て上等サインを送った。
男の子は照れくさそうに笑っている。
周りの子供達も上等サインを真似して親指を立てた。
みんなが笑った。
その時、思ったのだ。
そうだ、ゴミを拾おうと。
サパティスタの自治区に長期で滞在する外国人は、
子供達に自国の遊びを教えたり、独自の教育プログラムを持ち込んだり、畑仕事を手伝ったりしている。
ゴミを拾うだけなら、滞在の短い俺でも出来る。
メキシコには至る所にゴミが落ちている。
収集する際も全く分別されない。
(サパティスタ自治区では分別収集が行われている)
多くの河には下水がそのまま流され、ドブのようになっている。
子供達はゴミをポンポン捨てるし、大人達が注意をすることもなく、衛生に対する意識は低いようだ。
やはりゴミが落ちてない方が気持ち良い。
外国人である俺がゴミを拾う姿を見せることで、何かを感じてもらえればと思った。