オベンティックからポロに移動した。
ポロは以前からあった村が、そのままサパティスタ自治区になった場所だ。
3000人ほどの人口だった村が、自治区になってから8000人にまで増えているそうだ。
軽トラックの荷台に立ち風を切る。
緑深い山道を走り、いくつかの集落を抜ける。
自治区の入り口は幹線道路に面していた。
門で閉ざされている。
顔半分をバンダナで隠した男性が門番をしていた。
付き添ってくれた片桐君と別れた。
売店、学校、診療所、集会所、バスケット・コート。
ポロの村は入り口付近に中心となる施設が集中している。
この辺りがポロ一番の高台で広範囲に村が見渡せる。
遠くの山まで緑の丘が連なり、その間にポツンポツンと家が見える。
「ミリオテ」(君、ここにいるね)
村人たちにトツィル語で挨拶しながら宿舎に向かう。
「ミリオネ」(うん、ここにいるよ)
笑顔が返ってくる。
風が吹いている。
空気が美味い。
緑がやさしい。
視界は広い。
気持ちの良い村だ。
案内してもらった部屋は、学校近くのバスケット・コートの真ん前だった。
壁には、あまり似てないゲバラの絵が描いてあった。
中には6人分のベッドがあったが、自分の他に外国人の滞在は無く、個室状態だった。
自分のような外国人の自治区滞在費は無料で、
しかも頼めばトルティーヤ(日本で言えばお米のような存在)を焼いてくれた。
まさにVIP待遇だ。