旅の空からの伝言
2005年3月12日 弓場農場より
月日の経つのは早いものです。
1週間前後の滞在のつもりが既に2週間を過ぎました。
弓場農場にいます。
マンゴーの収穫を1週間。
その後、レモン収穫、配管設置、ポンプ修理、カボチャ収穫、草とり等等。
雨も降らずに暑い日が続いています。
今日は家の中で35度。
良い汗かいています。
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■中野跳輔さんへのレスポンスより
俺は元気にしています。
ありがとう!
農作業は第三者が軽々しく楽しいなんて言えないくらい大変です。
ホント頭が下がるよ。
そしてみんな誇りを持って楽しみながら働いている。
やはり醍醐味は自分の植えた作物の育つ過程を経て収穫することにあるのだろう。
凄い喜びがあると思う。
短期のお手伝いではどうしても一番忙しい収穫を中心に行うのだけど、
プランニングから収穫まで自然を相手にしながら行うのはとても難しいことだと思う。
手伝う度いつもお百姓さんはすごいと思う。
俺には絶対に出来ない重労働だとも思う。
食べられるということは、ホント物凄くありがたいことなんだよ。
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■こげぱんさんへのレスポンスより
相変わらず沖縄な日々だなあ。
一年前に那覇に行った時も波が荒く鯨を見に行く船はバンバン欠航になっていた。
たまたま粟国島から戻ってくるフェリーから鯨がバッチリ見えたんだよね。
マンゴーは熟れる前に収穫するので、痛むとかは、それほど気を使うことはないよ。
ただもう少しで熟れ始めるかどうかを見分けるのが難しいのだ。
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■キホさんへのレスポンスより
ドアの外から部屋に置かれたゴミ箱まで約5メートル。
捨てた甘いマンゴーの皮に向かって小さな蟻達の行列が出来ています。
その行列の中に体が大きくて動きの早い奴らがぽつぽつと混ざっています。
奴らはさささっと動き回り小さな蟻の前に立ちはだかり触覚を触れ合わせます。
何かを伝達しているかのように見えます。
蟻社会においての管理や能率の追求が彼らの役目なのでしょうか。
色々な見方があって良いと思います。
キホさんが皮肉りたくなるような豊かな世の中であるのも事実なのでしょう。
ただ俺が思うのは、今の世界の在り様は、私たちが求めてきた姿だと思うのです。
現在・未来・過去、選択は任されています。
未来に向かって、当然、修正も必要でしょう。
憂う気分に立ち止まることなく、失ったものばかりではなく、
獲得してきたものに対しても、等しく照点を当てながら、歩いてゆきたいと思うのです。
カーニバルから農場での生活。
自分ではあまり格差があるとは思えないんですよね。
太鼓の練習に明け暮れた日々も、農場での日々も、体を動かすことが生活の中心です。
体を動かし汗をかくことで世界に自分を位置づけてゆく。
よく食べてよく寝て、明日に疲れを残さず元気でいる。
どちらも同じようにストイックな生活ですよ。
(特に自分の年齢・体力では、そうせざるを得ない)
カーニバルの熱狂は実に瞬間であって、そこに至る多くの練習による一瞬の到達点です。
そこに至る時間があればこその喜びなのだと思います。
まさに「ハレとケ」
物質的に豊かな国の人はホントに失くしてしまったのでしょうかねえ。
実りある旅したいです。
今年のマンゴーは豊作です。
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2005年3月17日 弓場農場より
布団の中で聞くひさしぶりの雨音。
弓場農場は朝からどしゃ降り。
晴耕雨読。
てっきり仕事は休みだと思い込んでたら部屋に合羽が届けられました。
まじかー
雨に濡れ、汗にまみれ、土にまみれ、時には蟻や棘にまみれ働いています。
日本を離れ1年。
俺は元気です。
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■錦光山さんへのレスポンスより
おお!きんちゃん!ひさしぶり!
相変わらず忙しい日々を送ってることと思う。
秋田では色々とお世話になりました。
今度は東京で活躍するのか。
きんちゃんのことだからきっと元気で走り回るのだろう。
俺は南米大陸の最南端のウシュアイアまで行って来たよ。
だから今はずいぶんと北上。
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■まっきーへのレスポンスより
おめでとう!
まっきーの沖縄移住を祝福させていただきます!
(ちょっぴり羨ましがりながら)
独自の文化が残っている土地だから
実際に住むとなったら溶け込むのに時には苦労もあると思う。
まっきーのパワーと人柄で楽しみながら乗り越えて下さい。
健康に気をつけて、良い日々の旅を!
泡盛はたくさん飲もう。
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■ライター浅野智哉さんへのレスポンスより
癒しのずっと先にある強い魂の果実は世界中に。
良いなあ、浅野くんの言葉。
心の音楽に耳を傾けなくてはならない
心の中でメロディーが鳴っていますか
心の中のメロディーを歌えますか
心のメロディーを歌にしなくてはならない
歌にして行動しなくてはならない
浅野くんの書き込みを読んでロジェリオ(キューバの詩人)の言葉を思い出した。
ナナちゃんは今もキューバにいて例の大学でギターを学んでいる。
先日、沖縄のうたしゃーがキューバを訪れて、そのライブで弾かせてもらったんだって。
ロジェリオも聞きに来てくれたそう。
まっきーと沖縄で再会。
良いなあ。
俺も交ざりたいぞ。
サルバドールの男の子が持ってるのは手作りの鉄砲。
(旅の軌道の写真・2005年2月12日)
「ナタカ・ト・シーア!」と窓から呼ばれてバキューンと撃たれた。
俺もEOSで撃ち返した。
サルバドールの子供たちはスーパーマーケットのビニール袋の持つ所を
糸で繋いだだけのものを、凧として良く上げていたなあ。
風を孕んで、実に良く上がって、電線に引っかかる。
想像と創造の旅を!
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■羽ばたく時:http://www1.u-netsurf.ne.jp/~silent/a-world-0130-cuba-sijin.htm
■旅の軌道:http://www1.u-netsurf.ne.jp/~silent/aa-world-kidou.htm
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2005年3月20日 弓場農場より
「てだ」は太陽、「ふあ」は子
てだのふあは、ふうちゃんのことなんや。
太陽の子ふうちゃんというわけよ。
な、オジやん。
明日は日曜日。
農作業はお休み。
弓場農場の図書室にて「太陽の子」(灰谷健次郎)を読む予定です。
洗濯もしなくちゃ。
そろそろ日本では桜が咲きますね。
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■やじまくんへのレスポンスより
良い感じだねえ。
やじま先生、行動しているなあ。
元気なオヤジ(いやいやすまん)の姿を見せるのが何よりの教育だと思うよ。
個展もやってHPも作るのかあ。
数年前の自分を思い出すなあ。
静かな振動を立ち上げるのはホント大変だった。
なにしろメールも満足に打てない頃にHPを作る為だけにパソコンを買った。
その頃はパソコンとインターネットの違いも分からなかった。
始めは写真を見てもらうためのサイトのつもりだったけど、
作ってる間に、文章を書きたくなったり、
コミュニケーションも出来るようにと伝言板を付けるように変えていった。
創る段階から変化してゆくことを楽しめるサイトだったよ。
俺にとって沖縄との出会いは大きい。
初めての沖縄(八重山)への旅が静かな振動を創るきっかけにもなった。
沖縄から学ばせてもらう事はまだまだ多い。
俺ももうすぐ38歳。
お互い楽しみながら旅を続けよう。
■ひかりの島:http://www1.u-netsurf.ne.jp/~silent/yaeyama-00.htm
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2005年3月24日 プエルト・イグアスより
本日、601日目の長い旅の途中。
約1ヶ月間お世話になった弓場農場を離れました。
バス乗り換えを繰り返しプエルト・イグアスまでやってきました。
4度目のアルゼンチン入国です。
昼間のイグアスの滝を見てから(夜の光でしか見てないので)
パラグアイに向かう予定です。
元気です。
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2005年3月25日 プエルトイグアスより
カレーを作り、ワインを飲み、プエルトイグアスでのんびり。
弓場農場での日々を回想しつつ書き留めています。
明日、天気が良かったら滝に行ってみようと思います。
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■こうじくんへのレスポンスより
イグアスの滝は満月の光で見た時の印象がもの凄く強い。
「なんじゃこりゃー、すげーよ、おまえはすげー。
マジすげー。分かった。分った。すげー。ホントすげー」
滝を目にした瞬間に思わずバカみたいにそう言っていたよ。
近況を教えてもらえると全て同じひとつの旅なんだと実感する。
こちらこそありがとう!
目標に向かって全ての過程も楽しんで進んでいって下さい。
去年の今頃は、こうじくんとハバナにいたんだなあと思ってみたり。
しみじみ。
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■薫さんへのレスポンスより
沈丁花の残り香薫る花の都から、書き込みありがとう!
約束はいつでも未来のことなんだなと今思った。
行く方にわくわく出来るのは良いな。
行こうぜ!
また、あの頃みたいに。
それにしても、CDには驚いた。
そして、らしいなと思った。
また何処かで薫ちゃんの作った音楽を耳にする日を楽しみにしているよ。
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■オスカルさんへのレスポンスより
はじめまして!
ありがとうございます!
リンク確認させていただきました。
「静かなる振動」「静かな鼓動」「静かなる鼓動」
実のところを申しますとリンクされる方の半数はこのサイトのタイトルを間違えてます。
「まあ、いいや」と普段は訂正の依頼もせず、そのままにしてしまうのですが
今は「俺は静かな振動が好きだ!」という気分なので
お手数でなければタイトルの変更をお願い致します。
南米も低地での旅が長くなり、アンデスの人々に会いたいなあと思います。
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■Masaくんへのレスポンスより
とうとう中東に下りてゆくのか。
日々状況の変わる場所だから、安全にはくれぐれも気をつけて。
旅で得た経験と五感を総動員。
細心と強気を使い分けて、楽しんで来てください。
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2005年3月29日 コロニア・イグアスより
パラグアイにやってきました。
ブラジル・アルゼンチンとの国境から北西に42キロ。
日本人移住地コロニア・イグアスにいます。
此処は日本政府が奨励した最後の移住地であり、南米一新しい移住地だそうです。
原生林を切り開いた一世の方々が現役で元気に働いています。
1972年に日本を離れた久保田さんのお宅に居候させていただいています。
この地に住む日本人の多くは大豆を中心にした大規模農業。
久保田さんも5人のパラグアイ人(農夫4名・機械整備士1名)を雇って農業を営んでいます。
農場の中に彼らの家もあり、ここで25年も働いている人もいるそうです。
畑は車で1日かけても廻りきれないほど広範囲にあり
植え付けも収穫も全て機械で行われます。
トウモロコシを蒔く大型トラクターが地平線に消えていった時
大規模農業とは、こういった事なんだと実感しました。
今日は今年最後の大豆の収穫でした。
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■やじまくんへのレスポンスより
小笠原の人々がグアムやサイパンの高校へ上がったというのは知らなかったなあ。
パラグアイやブラジルで会った日系2世、3世の人たちは、
日本語を話している途中で突然スペイン語やポルトガル語に変わる。
本人達は言葉が変わったことに全く気がついていない。
こちらは急に意味が判らない。
おもしろい。
経験と想像力は同じくらい大切だと思う。
思いもよらなかったことが訪れたり繋がったりすることの凄さにはいつも関心する。
出会いの素晴らしさだね。
人に何か影響を与えられると思って行う行為は単なる傲慢だと思っている。
でも、発した何かが伝わったり、
受け止めてくれた人の何かに変わったりするのは素敵なことだと思う。
やじまくんが元気をもらってると言ってくれたから、俺は嬉しくなった、元気になった。
俺はみんなの書き込みや思いにもいつも元気をもらっています。
いつも感謝してます。
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■豆猫さんへのレスポンスより
久保田さんを御紹介いただきありがとうございました!
目線が同じというのは嬉しいですね。
豆猫さんが訪れた25年前の風景は想像することしか出来ませんが
思いやる人の心は変わらないのではないでしょうか。
素敵な久保田夫妻、そして家族の皆さんに親切にしていただきました。
のんびりと過ごさせていただきました。
何をしたという訳ではないのですが、とても印象深い1週間でしたよ。
ホント優しくて温かくて思いやりがあって明るく非の打ち所の無いくらい素敵な家族。
そんな人達がぬぐいきれないほどの痛みや悲しみを抱えて生きていることには、
何ともやりきれない複雑な思いと、物凄い不条理さを感じました。
上手く言葉に出来ません。
今ここにいられることへの感謝を忘れないように旅したいと思います。
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2005年4月4日 アスンシオンより
「なんで旅してるんですか?」
「旅がしたいからです」
「自分探しとか?」
「探してないです。ここにいます」
一昨日、交されたある人と俺の会話です。
「なぜ旅に出るの?」
「苦しいからさ」
「あなたの苦しいは、おきまりで、ちっとも信用できません」
「正岡子規三十六、尾崎紅葉三十七、斉藤緑雨三十八、国木田独歩三十八
長塚節三十七、芥川龍之介三十六、嘉村磯多三十七」
「それは何のことなの?」
今日、何気なく借りて開いた本の冒頭です。
太鼓の叩き過ぎなのか。
マンゴーの採り過ぎなのか。
うーん。
三十七にして四十肩(左)
パラグアイの首都アスンシオンにやって来ました。
おかげさまで元気です。
旅は続きます。
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