夕暮れの、でこぼこ道を歩く。
淡い光が風景をやさしく映し出している。
ウブドゥでは毎晩、どこかでガムランの公演が行われる。
観光客に向けての公演なので、主に鑑賞用であるが
それでも、そのクオリティは凄まじいものがある。
ガムランは、インドネシア各地の様々な打楽器合奏の総称であり
音楽と、それを奏でる楽器を含めて、そのように呼ぶ。
甲高い音のする、青銅を使った鍵盤楽器(グンデル)を中心に
太鼓やゴングや笛などで演奏される。
マレー語の「ガムル」(たたく)が語源。
寺院の祭礼や結婚式、葬儀などで奏でられ
これにバリ舞踊が加わり、更に美しく華やかになる。
日が落ちて辺りが闇に包まれる。
ステージ後方の夜空に巨大な満月が現れる。
ガムランの演奏から公演は始まった。
軽やかな金属音がする。
音階のついた銅板が並んでいる「グンデル」
小さなハンマーのようなバチで叩く。
右手で叩いた瞬間、素早く左手で板を押さえてミュートして
音が濁らないようにして、同時に次の銅板を叩いてゆく。
この動作が目にも止まらぬスピードで繰り返される。
ガムランが激しくなり、踊り手がステージに登場した。
