午後からは、デリーの街を歩き回った。


メインバザールを人の流れと共に歩く。

ものすごい数の流れだ。

強烈な喧噪、色彩、匂い、ほこり。

「ジャパーニー!」次々と声が掛かる。

物乞いが手をさしのべてくる。

クラクションを鳴らしながらリキシャーが突っ込んでくる。

放し飼いの牛が、街を歩き回る。

食べ物の匂い。


排泄物の匂い。

腐敗した匂い。


バザールの小径に入り込むと、生活が見えてくる。

国が変わっても人々の生活の根底は変わらない。

家族を大切にする。

食べることを大切にする。

そうやって生きてゆく。

そんな、当たり前の事に気づき、うれしくなる。


   

強力な太陽に体力が消耗する。

カフェでブレイク。

日本では飲むこともない炭酸のドリンクがありがたい。

通りをゆく人々をただ眺める。


涼しそうな通りが市場になっている。

ここだけ、落ち着いた空気が流れている。

日陰で昼寝をしている人も多い。

何度か行ったり来たりする。

「今度は俺を撮ってくれよ」


リキシャーを止めて、フマユーン廟に行く。

中央にドームを持ったインドらしい建築物。

赤砂岩と白大理石のシンプルなコントラストが美しい。

タージ・マハルにも影響を与えているらしい。

午後の光の中、静かに、たたずむ。

午後の光の中、静かに、見つめる。


デリーに戻る。

まだまだ、太陽は高い。

フルーツと氷をミキサーにかけたジュースを飲む。


歩き回る。

迷い込む。


おじさん達と並んで座り、屋台のチャーイを飲む。

つかの間の憩いの時。

ミルク・砂糖・ショウガ汁の入った紅茶。

強烈に熱く、甘い。

インドの風土に一番あっている飲み物だ。

一杯のチャーイでよみがえる。


また、歩き回る。


今晩もカレーを食べよう。