「バクシーシ、バクシーシ(喜捨)

             物乞いの声が離れない。
  

             歯の無い老婆、乳飲み子を抱いた母親。

             手が伸びてくる。

             腕を掴まれる。

             車輪の付いたベニヤ板に乗った足のない子供。

             足に食らいついてくる。


             カースト制という運命の呪縛なのだろうか。


             与えるか否か。

             答えはない。


             目を見て話す。

             同じ命として向き合う。

             この二点のみを貫いた。


             インド人は貧しい人ほど、与えている。