インドに出発する前は、ガンジス河で沐浴をしようと思っていた。

      しかし実際に来てみて、その考えは変わった。


      体調が良くないとか、河が汚いとかも、理由のひとつではある。


      しかし、いちばん大きな理由は

      「自分はつくづく日本という国で育ったのだ」と実感した事だ。


      あまりにも常識が違うインドに身を置いたことによって

      自分の育ってきた環境が見えてきた。


      良くも悪くも自分は日本で生きてきたのだ。


      自分自身を形成してきた
過去のファクターが

      だんだん浮き彫りになってきた。


      情けないこと。

      ぶざまなこと。

      失ったこと。

      傷つけたこと。


      日々、じたばたして、もがいて。

      そんな、全ての出来事は自分が選んで自分が行動した結果。

      そんな、日々の連続が、今の自分自身なのだ。


      忘れてしまいたいような出来事は、たくさんある。

      でも、それもちゃんと覚えていよう。


      犯した罪は、そのままに生きてゆこう。

      犯した過ちは、抱えたままに生きてゆこう。


      そして、いつか、それらを背負いきれなくなった時

      聖なる河に洗い流してもらおう。