5月12日。

病院に行く。

少し顔色が戻ったような気がする。

痙攣の回数が減った。

もう右手からは点滴が入らず

左手に替わっていた。

点滴の跡が痣のように青くなり、やせ細った腕が痛々しい。

おばあちゃん・・・


今日はバンドの練習を休ませてもらった。

全員が社会人のバンドなのでスケジュール調整が難しく

やっと全員が集まれる日だったので、大変申し訳なかったのだが・・・

せっかくなのでボーカル抜きでやるそうだ。


病室から帰る電車の中で、奴らのことを思いだした。

会いたいなあ。

まだ、間に合うかも知れない。

ギリギリ、スタジオにいる時間には着けそうだ。


途中下車する。

スタジオの重いドアを開ける。

「今日はゴメン。一曲だけ歌うよ」

届いたかな。