「終わったね」
「お疲れさま」
家の中にポツンと3人が残った。
陽が落ちて家の中が暗くなってゆく。
お線香の匂いがしている。
「お夕飯どうする?」
母が思い出したように、電気を点けながら言った。
「そんなには、食べられないな」
お寿司をとって、おばあちゃんに供えてから食べた。
おばあちゃんの話をしながら食べた。
父と静かにビールを飲んだ。
明日から、また、それぞれの日常が始まる。
いつものように父が車で駅まで送ってくれた。
いつもなら、そこには、おばあちゃんの姿。
家の前で、いつまでも手を振ってくれていた、おばあちゃん。
その姿は、もうない。
これからは、いつも一緒だ。