6月17日。
10時30分、火葬。
13時、告別式。
14時、生身払い。
朝から陽が差している。
火葬の間、誰かが、家を守らなければならない。
一般には、お爺さん等の年長者が残るのだが誰もいない。
「いいよ。俺が残るから」
「でも・・・」
「二人が行かない訳にはいかないでしょ。
大丈夫、俺はちゃんとお別れ出来るから。残るよ」
「ホントにいいんかい」
「いいよ。気にしないで」
おばあちゃんが、お棺が、車に乗せられる。
「頼んだよ。知美と拓海の分も」
車が遠ざかる。
家の前で、おばあちゃんを見送る。
おばあちゃんが、いつも見送ってくれた場所で。
おばあちゃんが、いつも手を振り続けてくれた場所で。
見送る。
告別式が始まる。
お経が読まれ、お焼香が行われる。
一本だけ、ひょこんと飛び出た猫じゃらしが、風に揺れていた。
熟した果実が、がさっと草むらに落ちた。
何の実だろう。
祭壇を見ると、そこには、お骨になった、おばあちゃんがいる。
しっかりと、たくさん、骨が残っていたそうだ。
おばあちゃん・・・
おばあちゃんを抱き上げる。
おばあちゃん、こんなになっちゃったんだね。
さあ、帰ろう。
おばあちゃん、一緒に帰ろう。