お通夜で、お経を上げていただいた、お坊さんを、駐車場まで送った。
「お孫さんですか」
「はい」
「良いおばあちゃんでしたよね」
「ありがとうございます」
「ファンが多かったんじゃないですか。僕も、そうですよ。
うちの母も、おばあちゃんと話すのが好きでね。
よく、お参りに来られてねえ。金子さんとこと、沢田さんとこと。
元気に、大きな声で、しゃべられてねえ」
「すこし、耳が遠くなってましたからね」
「ああいう、日本のおばあちゃんって
いつの間にか、いなくなっちゃいましたよね。
いつも元気で、暗くなることが無いっていうか」
「そうですね。近所の方にも良くしていただいて」
「お孫さんのことも、良く話されてましたよ」
「そうですか。自分は、おばあちゃんに育ててもらいました。
ホント大好きな人だったんです」
「ねー、いつもリュック背負って」
「あれ、妹のプレゼントで、お気に入りだったんです」
「ねー、よく話してましたよ。お孫さんのこと。
おばあちゃんの、御自慢だったんですね。
でも、今日は、雨降らなくて、ホント良かったですね。
あんな降りそうだったのに」
「ええ、お経を上げていただいてた時には
一瞬、太陽が出ました。綺麗でした。夕焼けで」
「そうですか。やっぱり。そうですか」
「あ、今日は、ホントありがとうございました。明日もよろしくお願いします」
「いえいえ、それでは」