タイトル■ドラマは何でも教えてくれる
書き手 ■ロビー田中

放映中のTVドラマを“ほぼすべて”見ている、
驚異のドラマ通による、ドラマに関するコラム。

“TVドラマなんかくだらない”と言う人に、
あえて反論するつもりはありません。ただ、
“すべてのTVドラマがくだらないわけでは
ない”とだけ言っておきます。これからも僕は
TVドラマを見続けていくでしょう」(田中)

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『こころ』

制作統括:大加章雅
演出:小松隆、磯智明、他
作:青柳祐美子
音楽:吉俣良
制作:NHK
出演:中越典子、岸惠子、伊藤蘭、寺尾聰、仲村トオル、黒川智花、広田亮平、
   玉木宏、竜雷太、犬塚弘、阿部サダヲ、小池栄子、羽田実加、山谷初男、
   モロ師岡、勝俣州和、清水由貴子、なぎら健壱、モト冬樹、東貴博、高田万由子、
   パパイヤ鈴木、一戸奈未、かとうかずこ、草薙幸二郎、大森暁美、他

もうとっくに終わっているけど、
NHKの朝ドラ「こころ」の総評を。

古いものを大切に守りながら
新しいことにチャレンジしていく、
という大きなテーマを、
浅草に住む母娘3代を中心に描いた企画は
なかなか筋が通っていて悪くなかったと思う。

ただ、ひとつひとつのエピソードに
切れ味があったかどうかというとかなり疑問。
ひとことで言ってしまえば、
もっとうまく作れたのでは?という感じだった。

優作(仲村トオル)の思い出を大切にしながら
こころ(中越典子)が新しい人生を選択していく、
という流れはテーマからしても自然で、
匠(玉木宏)と最終的に結ばれるのは明白だった。

しかも匠は父(寺尾聰)と同じ花火師。
母(伊藤蘭)の人生をなぞるように
こころが花火師に思いを寄せるようになることは、
序盤から想像できた。
だからこそ、こころと匠との関係は
もう少し早い段階から丁寧に描くべきだった。

こころが血のつながらない子供達と
本当の親子になっていく課程も
この作品の重要なテーマだったわけだけど、
これを匠との関係を深めながら描くことが
もっとも重要だったのではないかと思う。

さらに、浅草という舞台を使って
こころが育ってきた環境を子供達に伝えるという意味では、
(古いものも大切にしていくという意味もある)
子供達がもっと浅草の人々と関わるべきだったと思う。

こころが女将修行に忙しくても、
父との確執に悩んでいても、
子供達は地域の人たちに助けられて成長していった、
という側面をもっと明確に描くべきだった。

倖(黒川智花)がリカ子(一戸奈未)に化粧道具をもらったり、
優太(広田亮平)が銀(阿部サダヲ)たちに
野球を教わったりするエピソードはあったものの、
浅草の子供になったという印象はほとんどなかった。
個人的にはここが一番もの足りなく感じた部分だった。

逆に好印象だったのは、
こころの母、祖母を演じた伊藤蘭と岸惠子のキャスティング。
何週目かは忘れてしまったけど、
この母娘の関係を描いたエピソードは良かった。

とくに伊藤蘭が髪を下ろした時の美しさは光っていて、
後半、寺尾聰と並んで歩く姿などは
実に艶のあるカップルになっていた。

伊藤蘭もこんな役ができる女優になったんだなあ、と
キャンディーズの解散コンサートで泣いた者にとっては感慨深かった。

そして、黒川智花を輩出したのも
この作品の大きな功績と言えるかもしれない。
朝の連ドラ出演中にCMでベッカムと共演なんて
そうそうあることじゃないしな。
彼女の今後には期待してみよう。

ブランチ・リポーターから朝ドラヒロインへと躍進した
中越典子に注目が集まった「こころ」。
最後まで見ると
中越典子以外にも見どころは多々あった作品だった。

                  脚本  ★★★☆☆
                  演出  ★★★☆☆
                  配役  ★★★★☆
                  音楽  ★★★★☆
                  新鮮さ ★★☆☆☆
                  話題性 ★★★☆☆

             採点  6.5(10点満点平均6)




『帰ってきた ロッカーのハナコさん』  第1週 北浦華子 ひと肌脱ぐ!

制作統括:鈴木圭
演出:柴田岳志
脚本:戸田山雅司
原作:石井まゆみ「ロッカーのハナコさん」
音楽::本間勇輔
主題歌:「元気を出して」島谷ひとみ
制作:NHK
出演:ともさかりえ、吹石一恵、平山あや、田村たがめ、小西美帆、田丸麻紀、
   鈴木砂羽、勝村政信、風間杜夫、草刈正雄、徳井優、松重豊、平岩紙、
   須賀貴匡、他

安定した面白さ。
新加入の田丸麻紀、須賀貴匡も
すんなり馴染んでる感じ。

第1週はその田丸麻紀に
スポットを当てた内容だったけど、
最後は意外と泣けたな。

この調子でやってくれれば問題なし。

             採点  7.0(10点満点平均6)




『帰ってきた ロッカーのハナコさん』  第2週 北浦華子 ムキになる!

演出:井上剛
脚本:戸田山雅司

やっぱり面白い。
つーんと来るところもちゃんと作ってあるし。

ただ、初回はメインの配役で良かった田丸麻紀が、
脇にまわってコメディー班の中に入ると
ちょっと浮いてたな。

早く自分のポジションを確立して欲しい。

             採点  7.0(10点満点平均6)




『帰ってきた ロッカーのハナコさん』  第3週 北浦華子 しくじる!?

演出:三鬼一希
脚本:戸田山雅司

今週も泣いたよ。
生ぴー(徳井優)にだけは
その存在を分かって欲しいという
杏子(平岩紙)の気持ちが語られた時は…。

ただ、副社長(団時朗)が秘書に抱きついたあと、
“優秀な秘書”が副社長にかける言葉は
あれじゃないと思うけどなあ。

もう少し副社長のメンツも守りながら
ギャフンと言わせないと。

そこ以外は面白かった。
幽霊のメイクの謎。
幽霊ハラスメント。
勝ちなのよ〜。

             採点  7.0(10点満点平均6)





『帰ってきた ロッカーのハナコさん』  第4週 北浦華子 苦戦する!

演出:井上剛
脚本:戸田山雅司

入魂の最終週予告だったなあ。
今週は来週に向けての序章という感じだったけど、
十分に続きを期待させる作りだった。

ハナコさん(ともさかりえ)はどうなってしまうのか?
椎名室長(松重豊)の思いは届くのか?
さらなる続編を可能な作りにして終わるのか?
非常に楽しみだ。

             採点  7.0(10点満点平均6)




『帰ってきた ロッカーのハナコさん』  最終週 ハナコさん 永遠に!

演出:井上剛
脚本:戸田山雅司

椎名室長(松重豊)カッコイイ!
「ビッグマネー!」の時のマッキーを彷彿とさせた。
お似合いだったよ、みそら(平山あや)とのカップルは。

全体としても泣けるストーリーだった。
中務(草刈正雄)がロッカーを抱きしめたシーンは
かなりグッときたし…。

瑠布子(吹石一恵)たちが成長して
ハナコさん(ともさかりえ)が見えなくなる、
という方が自然ではあったんだけど、
そうなると本当にこのシリーズが終わってしまうので
こういう締め方で良かったと思う。

第1シリーズでは不安定だった吹石一恵も立派に成長して
今や欠かせないキャストになったからな。
主要メンバーは代えずにまた続編を作って欲しい。

それにしてもいいドラマだよなあ。
会社のロッカーに元OLの幽霊がいて
若い女子社員を育てていく、
というアイディアだけでも面白いのに、
そのアイディアにあぐらをかかず、
内容も質の高いものを作ろうとしている姿勢がいい。

絶対に再び帰ってきて欲しい。

             採点  8.0(10点満点平均6)

                  脚本  ★★★★☆
                  演出  ★★★★☆
                  配役  ★★★★☆
                  主題歌 ★★★☆☆
                  音楽  ★★★☆☆
                  新鮮さ ★★☆☆☆
                  話題性 ★★★☆☆

           平均採点  7.20(10点満点平均6)




『百年の恋』  第1週 こんな恋って、アリ?!

制作統括:加賀田透、鈴木圭
プロデューサー:大野木直之
演出:中村金太
脚本:橋部敦子
原作:「百年の恋」篠田節子
主題歌:「元気を出して」島谷ひとみ
共同製作:NHKエンタープライズ、日本テレワーク
制作:NHK
出演:筒井道隆、川原亜矢子、高畑淳子、江波杏子、六平直政、
   加勢大周、久我陽子、浅見れいな、並樹史朗、来須修二、
   橋本啓輝、柊里咲、奥原茉莉、他

家事が出来ない年収六千万の才女と
年収二百万のフリーライターの
奇跡の結婚とその結婚生活を描く物語。
夫婦逆転というテーマをコミカルに描く。

ストーリーは面白い。
ただ、コメディータッチのわりに
笑いが取れてない。
まあ、センスの問題なんだろうけど。

この枠も、
そうそう傑作が続くわけないよな。

             採点  6.0(10点満点平均6)




『百年の恋』  第2週 こんなハズじゃなかった!

演出:中村金太
脚本:橋部敦子

テーマは面白いんだけどなあ。
もう少し細かいところを
丁寧に作ってくれればいいのに…。

ただ、演出というか、
美術がいい仕事してる感じ。

             採点  6.0(10点満点平均6)




『百年の恋』  第3週 ボクがママですよ?!

演出:中村金太
脚本:橋部敦子

もうちょっと笑いが効果的に取れれば…。
惜しい作品だなあ。
母親(江波杏子)の存在も、
実はすごく意味があっていいのに。

あと「白い巨塔」とダブルブッキングの高畑淳子もいい。
この編集長役が女性っていうのもいいよな。

筒井道隆と高畑淳子以外のキャストを代えて作ってみると
劇的に良くなったりして…。
それを言っちゃおしまいか。

             採点  6.5(10点満点平均6)




『百年の恋』  最終週 こんな夫婦だってアリなんだ!

演出:中村金太
脚本:橋部敦子

最後はちょっと駆け足になったけど
無難にまとめた感じ。

子供が泣く声に我慢できず、
オッパイを上げる梨香子(川原亜矢子)は美しかった。

テーマは本当に良かった。
だからこそもっと丁寧に作って欲しい作品だった。

             採点  6.5(10点満点平均6)

                  脚本  ★★★☆☆
                  演出  ★★★★☆
                  配役  ★★★☆☆
                  主題歌 ★★★☆☆
                  音楽  ★★★☆☆
                  新鮮さ ★★★☆☆
                  話題性 ★★☆☆☆

           平均採点  6.25(10点満点平均6)



『運命が見える手』

制作統括:依田正和(ABC)
プロデュース:東浦陸夫(ABC)
関口静夫、森安彩(共同テレビ)
演出:松田秀知
脚本:いとう斗士八
原作:「セカンド・サイト」中野順一
音楽:石田勝範
制作:ABC、共同テレビ
出演:小西真奈美、柏原崇、真矢みき、南田洋子、田村高廣、佐々木蔵之介、
   大杉漣、山口紗弥加、田山涼成、深浦加奈子、矢島健一、
   せきぐちきみこ、宮本大誠、他

今回で最後となる
サントリーミステリー大賞受賞作品。

小西真奈美が「深く潜れ」以来の良さを出していたように思う。
柏原崇も復帰してから演技がナチュラルになっていい感じ。

内容的にミステリーとは言えない作品だったけど
人間ドラマとしてのテーマはハッキリしていたので見やすかった。
花梨(小西真奈美)が自分の運命を知りながら
最後まで精一杯生きた部分まで含めて。

小西真奈美の笑い方はちょっとエリーっぽかったかな(笑)

             採点  7.5(10点満点平均6)

                  脚本  ★★★★☆
                  演出  ★★★★☆
                  配役  ★★★★☆
                  音楽  ★★★☆☆
                  新鮮さ ★★☆☆☆
                  話題性 ★★☆☆☆



『R.P.G.』

制作統括:阿部康彦、木田幸紀
プロデュース:鈴木伸太郎
演出:星田良子
脚本:福田靖
原作:宮部みゆき
音楽:窪田ミナ
共同製作:NHKエンタープライズ21、共同テレビジョン
制作:NHK
出演:後藤真希、風吹ジュン、伊東四朗、伊武雅刀、榎本加奈子、
   中村七之助、高田聖子、嶋田久作、増田恵子、鶴田忍、
   飯田基祐、春木みさよ、斉藤工、吉満涼太、鈴木修平、
   榎本佑、大沢舞子、本橋里紗、他

宮部みゆきの原作をNHKがドラマ化するので
内容的には問題なし。
取り調べのシーンは演出的にも
かなりハイレベルな仕上がりになっていたと思う。

で、NHKのドラマ初出演で初主演となった後藤真希だけど
印象は今まで見たドラマとあまり変わらなかった。
静かなシーン、泣きのシーンに関しては非凡なものがある。
ただ、あらゆる感情がそのレベルでは出ない。
だから成功する作品が限られると思うんだよなあ。

でもまあ、この作品に関してはハマっていた方だと思う。

             採点  7.5(10点満点平均6)

                  脚本  ★★★★☆
                  演出  ★★★★☆
                  配役  ★★★☆☆
                  音楽  ★★★☆☆
                  新鮮さ ★★★☆☆
                  話題性 ★★★☆☆



『ピュア・ラブ III』  全40話

制作:山田尚
プロデューサー:芝野昌之、池田仁美(MBS企画)
演出:山本実、竹園元、皆元洋之助(東通企画)
作:宮内婦貴子
音楽:栗山和樹
主題歌:「またあした」Every Little Thing
制作協力:MBS企画
制作:MBS(毎日放送)
出演:小田茜、猪野学、篠田三郎、高田敏江、川津祐介、尾崎麿基、
   楠見薫、衣通真由美、林泰文、石倉三郎、みやなおこ、福田賢二、
   辻内将人、今村雅美、楊原京子、窪田翔太、樋井明日香、岡本奈月、他

白血病の再発も経験した小学校教師・木里子(小田茜)と、
木里子のドナーでもある禅僧の雲水・陽春(猪野学)との
ストイックな純愛を描いたシリーズパート3。

前シリーズの最後で陽春が副住職になり
妻帯が可能になったことで、
2人が結婚するまでを描くかどうかに注目が集まった今回。
見事なハッピーエンドで終了した。

絶対に結婚するに違いない、と分かっていても、
もしかしたら2人とも一生独身かも?
と思わせた構成はうまかった。

最終週に用意していたのが陽春の母からの手紙。
まさに「紅絲線」のエピソードを具現する内容で
陽春と陽春の母との関係について書かれた部分も含め、
「ピュア・ラブ」ファンは陽春と共に号泣した、と思う。

しかも、陽春の母が、
木里子が陽春の子供を産んでくれる人だ、
と悪気無く思ってしまったところがさらなるポイント。

この部分については木里子がその手紙を読む前から
「ピュア・ラブ」ファンは木里子の気持ちを察して号泣した、と思う(笑)

全体的にはみつる(楊原京子)の最後の逆襲が無かったことに
やや拍子抜けした感もあったけど、
みつる自身、かなり早い段階から
陽春の気持ちが自分に向かないことは分かっていたに違いない。

当事者同士の話ではなく、
自分の父親から破談を聞かされて最終的にあきらめるというのは
お寺の娘らしくてよかったんではないだろうか。

「ぼくの魔法使い」の西恵役で
もう木里子はできないのでは、と思われた小田茜も、
さすがにこの役は自分のものにしていて、
隅から隅まで木里子だった。
最後の白無垢姿は本当に美しかったし。

さあ、木里子と陽春が結婚し、
木里子が教師を辞めてしまった以上、
これでこのシリーズも最後なんだろうか?

この物語には木里子と陽春のカップル以外にも
多くの純愛が存在していたので、
また見てみたい気もするけど。

「あした天気になあれ。」の主題歌を歌っている
ルナちゃん(樋井明日香)だけでなく、
すでにアイドルの道を歩いている未央(岡本奈月)、
そして確かな演技力をつけてきた裕太(窪田翔太)など、
子役にも注目株が揃ってるし…。

でもまあ、ここで止めておくのが無難なのかな。
「キッズ・ウォー」みたいに見苦しく続けられるのもイヤだし。

ウソみたいな純愛話の中にも
禅宗の教えなどを効果的に盛り込んで、
こうあるべきだ、という道を正面から描いた、
ある意味、非常にオリジナリティーのある作品だった。

             採点  7.5(10点満点平均6)

                  脚本  ★★★★☆
                  演出  ★★★★☆
                  配役  ★★★★★
                  主題歌 ★★★★☆
                  音楽  ★★★☆☆
                  新鮮さ ★★★★☆
                  話題性 ★★★☆☆





『楽園のつくりかた』

演出:土屋勝裕
脚本:中園健司
原作:笹生陽子
音楽:小六禮次郎
制作:NHK
出演:天海祐希、落合扶樹、田村高廣、杉林沙織、渋谷謙人、門野翔、他

この手のドラマはやっぱりNHK。
傷ついた子供の心の再生と
親子のふれあいを、
美しい長野の自然を舞台に
やさしく描いていたと思う。

父の死を受け入れられずに
自作自演のメールを繰り返す中学生を、
「やっぱりさんま大先生」出身の落合扶樹が
見事に演じていた。

子供とどう接すればいいか悩みながらも
明るく振る舞う母親役も、
天海祐希にぴったりだったと思う。

途中で長野での暮らしを決意する
優(落合扶樹)の心の動きや、
優の同級生の描き方が淡泊で
もの足りない部分も確かにあった。

でもこういうドラマを
時々NHKで見るとホッとするな。

             採点  7.0(10点満点平均6)

                  脚本  ★★★☆☆
                  演出  ★★★★☆
                  配役  ★★★★☆
                  音楽  ★★★☆☆
                  新鮮さ ★★☆☆☆
                  話題性 ★★☆☆☆





『流転の王妃・最後の皇弟』

制作統括:早河洋
チーフプロデュース:五十嵐文郎
プロデュース:中込卓也、飯塚正彦、森雅弘
監督:藤田明二(共同テレビ)
脚本:龍居由佳里
原作:『「流転の王妃」の昭和史』愛新覚羅浩
   『溥傑自伝』愛新覚羅溥傑
音楽:葉加瀬太郎
制作:テレビ朝日
出演:竹野内豊、常盤貴子、王伯昭、木村佳乃、段田安則、反町隆史、
   江角マキコ、竹中直人、野際陽子、北村総一郎、岩崎ひろみ、
   西島千博、伊東美咲、劉丹、椋木美羽、市川由衣、早瀬英里奈、
   浜田学、天海祐希、草笛光子、中丸新将、かとうかずこ、他

ラストエンペラー(溥儀)の弟・溥傑と、
その妻・嵯峨浩の半生を2夜連続で描いた大作。

人間ドラマとしてはかなり見ごたえのある作品だった。
竹野内豊も溥傑をうまく演じていたと思うし。

長い年月を数時間で描く場合、
ただエピソードの羅列に終始することも多いけど、
先日フジ系で放送された
「フジ子・ヘミングの奇跡」のような格好悪さはなかった。
ナレーションを付けたのは正解だったな。

甘粕正彦(竹中直人)や李香蘭(天海祐希)など、
ムリに登場させる必要なかったのでは?
と思える人がいたのは事実。

時代背景に実感を持たせる効果を狙ったものだろうけど、
かえって見どころを散漫にしてしまったかもしれない。

歴史の解釈は様々なので、
これがあの時代のすべてと受け取るのはもちろん危険。
でも、ドラマをキッカケとして
あの時代に興味を持つ若い人が増えれば
それだけでもこの作品の意義はあったと思う。

             採点  7.0(10点満点平均6)

                  脚本  ★★★☆☆
                  演出  ★★★★☆
                  配役  ★★★★☆
                  音楽  ★★★★☆
                  新鮮さ ★★★☆☆
                  話題性 ★★★☆☆





『神様、何するの…』

プロデュース:武内英樹、下山潤
演出:武内英樹
脚本:原田裕文
原作:吉井怜「神様、何するの…」
音楽:井内竜次
挿入歌:「秋桜」宮地真緒
制作協力:トータルメディアコミュニケーション
制作:フジテレビ
出演:宮地真緒、田中好子、三田村邦彦、佐野史郎、小野武彦、伊藤裕子、
   山口紗弥加、KONTA、猫背椿、松澤一之、野村信次、片山怜雄、他

吉井怜の闘病記を宮地真緒主演で映像化。
ドラマとして脚色した部分も多かっただろうけど、
骨髄移植を決断するまでの日々を
丁寧に描いた構成は良かった。

普通、実母からの移植が可能だと分かれば
誰でも喜んですると思ってしまいがちだけど、
実際は様々な状況からそれを決断するまでの葛藤もある。
そこに時間を割いたのは作品として正解だったと思う。

吉井怜という身近なタレントが実際に経験した内容ということで、
ただの難病を扱ったドラマより格段に親近感があったのも確か。

最初に出てきたホリプロスカウトキャラバンで
実際にグランプリを取ったのは深田恭子なんだよなあ、とか、
4人組で歌っていたシーンもあったけど、
あの中には優香もいたんだよなあ、とか。

あと、母親役が夏目雅子の義姉・田中好子だったということも
見ている方は想像をかき立てられてツライものがあったし…。

ちなみに親友のマイというのは myco のことで、
今「独身3!!」の主題歌を歌ってる人のことね。

…と、感情的に入り込む部分は多かったんだけど、
ドラマ作品として優れた仕上がりだったかというと、
かなり疑問は残る。

ハッキリ言って宮地真緒はミスキャストだったと思うし、
音楽の使い方もかなりひどかったし。

まあ、白血病がどういう病気か知らない若い人って
本当にたくさんいそうだから、
そういう意味ではどんな形でもドラマ化する価値はあったかな。
吉井怜にはこれからも頑張ってもらいたいと思う。

             採点  6.5(10点満点平均6)

                  脚本  ★★★☆☆
                  演出  ★★★☆☆
                  配役  ★★★☆☆
                  音楽  ★☆☆☆☆
                  新鮮さ ★★☆☆☆
                  話題性 ★★★☆☆





『夢見る葡萄〜本を読む女〜』  全11話

制作統括:浅野加寿子
演出:大友啓史
脚本:鈴木聡
原作:林真理子「本を読む女」
音楽:渡辺俊幸
制作:NHK
出演:菊川怜、原沙知絵、山田純大、涼風真世、松方弘樹、的場浩司、
   田村亮、丹波哲郎、赤木春恵、上原さくら、三浦理恵子、錦織一清、
   森本レオ、松原智恵子、小橋めぐみ、星野有香、中村綾、斉藤奈々、
   三浦春馬、葛山信吾、柳沢慎吾、東てる美、西岡徳馬、布施明、
   水谷八重子、他

個人的には中盤やや中だるみを感じてしまって
集中力を欠くこともあったんだけど、
出だしと後半が想像以上に良かった。

昭和初期の物語は今の時代に非常にマッチする。
改めて今はもう戦後ではなく、戦前なんだなあと感じた。

本を読むことは考えること。
考えることをやめてしまった平成の日本人は
再び葡萄を兵器にしてしまうのか。

             採点  7.0(10点満点平均6)

                  脚本  ★★★☆☆
                  演出  ★★★☆☆
                  配役  ★★★☆☆
                  音楽  ★★★★☆
                  新鮮さ ★★★★☆
                  話題性 ★★★☆☆




『俺たちの旅〜三十年目の運命〜』

企画:酒井浩至
チーフプロデュース:梅原幹
プロデュース:倉田貴也、荒木功(ユニオン映画)、佐藤丈(ノアズ)
監督:齋藤光正
原作・脚本:鎌田敏夫
音楽:トランザム
音楽監督:鈴木清司
主題歌:「俺たちの旅」中村雅俊
制作協力:ノアズ
制作:日本テレビ、ユニオン映画
出演:中村雅俊、田中健、秋野太作、岡田奈々、東新良和、十朱幸代、
   床嶋佳子、上村香子、森川正太、永島暎子、石井苗子、神田うの、
   左時枝、森本レオ、根本はるみ、上田耕一、布施博、(金沢碧)、他

テーマやメッセージは悪くなくても、
全体のクオリティーは…。
もう演出とか古いよね、さすがに(笑)

上村香子はあんまりトシ取った感じはしなかったけど、
岡田奈々はちょっと哀しかったなあ。
まあ、連ドラの頃は17歳だったんだから仕方ないか。

内容的にはやっぱり洋子(金沢碧)の死がすべて。
昔の映像をあそこまで使われたら泣くぞ、おじさんたちは。

この「俺たちの旅」はピュアな意味でのフリーターという生き方を
初めて是とした作品でもあったと思う。
(もちろん当時はフリーターなんて言葉はなかった)

その象徴であったカースケ(中村雅俊)を
非難しながらもずっと見守ってくれたのが洋子だった。
ドラマとしては決して美人のヒロインでも
派手な活躍をする脇役でもなかったけど、
いつもそばにいてくれた女性だった。

そんなキャラクターの死というのは
どうしょうもなくせつない。
とくにカースケの背中を追って社会に出たような世代にとっては
やっぱり“線香をあげて済むような相手じゃない”から。

洋子が死んで俺たちの青春は終わる。
それでも俺たちの旅は続く。

             採点  6.5(10点満点平均6)

                  脚本  ★★☆☆☆
                  演出  ★★☆☆☆
                  配役  ★★★☆☆
                  主題歌 ★★★★☆
                  音楽  ★★★☆☆
                  新鮮さ ★☆☆☆☆
                  話題性 ★★★☆☆






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