タイトル■ドラマは何でも教えてくれる
書き手 ■ロビー田中

放映中のTVドラマを“ほぼすべて”見ている、
驚異のドラマ通による、ドラマに関するコラム。

“TVドラマなんかくだらない”と言う人に、
あえて反論するつもりはありません。ただ、
“すべてのTVドラマがくだらないわけでは
ない”とだけ言っておきます。これからも僕は
TVドラマを見続けていくでしょう」(田中)

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『世にも奇妙な物語 秋の特別編』

企画:石原隆、鈴木吉弘
プロデュース:岩田祐二
音楽:蒔島邦明
ストーリーテラー:タモリ
制作:フジテレビ、共同テレビ

(採用試験)
演出:小林義則
脚本:武井彩
出演:深田恭子、斉藤歩、板谷由香、山中たかシ、
   菅原卓磨、志賀廣太郎、他

(知らなすぎた男)
演出:河毛俊作
脚本:旺季志ずか
出演:佐藤浩市、片桐はいり、広田レオナ、叶美香、
   皆川猿時、山谷初男、小野寺華那、他

(連載小説)
演出:星護
脚本:武井彩
出演:木村佳乃、陰山泰、吉田朝、中根徹、南奈央、
   田村泰二郎、阿南健治、他

(声を聞かせて)
演出:植田泰史
原作:真崎かや
脚本:高山直也
出演:加藤晴彦、市川実和子、林原めぐみ、俵木藤太、他

(昨日の君は別の君 明日の私は別の私)
演出:中江功
原作:山下和美
脚本:相沢友子
出演:藤原紀香、田中碧海、鶴見辰吾、岩埼大、辻香織里、他

深田恭子が主演した「採用試験」と
藤原紀香が二役を演じた
「昨日の君は別の君 明日の私は別の私」が良かった。

「知らなすぎた男」はワンアイデアだけという感じ。
締め方をもう少し工夫するべきだった。

「連載小説」は悪くなかったけど、
これも締め方に切れ味がなかった。
もっとブラックな味つけの方が良かったような気がする。

「声を聞かせて」は
ある意味いちばん「世にも奇妙な物語」らしかった作品。
ただ、想像通りの展開で意外性がなかった。
林原めぐみを使ったのは豪華だったけど。

「採用試験」はストーリーも良かったけど
深田恭子のちょっと冷めた部分をうまく引き出してたな。
だからこそ最後の涙が効果的だった。

「昨日の〜」は、子供がアレルギーを起こした時の
藤原紀香のパニックぶりがリアルだった。
この手の作品は本来、「世にも〜」らしくないんだけど、
完成度が上がるのはやっぱりこういう作品なんだよな。

「知らなすぎた男」「連載小説」「声を聞かせて」を
パーフェクトに仕上げる方が、
ずっと難しいことを痛感した。

             採点  6.5(10点満点平均6)

                  脚本  ★★★☆☆
                  演出  ★★★☆☆
                  配役  ★★★☆☆
                  音楽  ★★★☆☆
                  新鮮さ ★★★☆☆
                  話題性 ★★☆☆☆



『負け組キックオフ』

チーフプロデュース:黒田徹也
プロデュース:内山聖子、東城祐司、清水真由美
演出:国本雅広
脚本:岡田惠和
音楽:梅堀淳
制作:テレビ朝日、MNJ
出演:深田恭子、大杉蓮、平田満、鈴木ヒロミツ、岡本信人、小倉久寛、
   川岡大次郎、柳生博、水川あさみ、武田修宏、井田國彦、千原靖史、他

人生の負け組と罵られた経験のある
OL・純子(深田恭子)が、
同じく人生の負け組、
おじさんフットサルチームに入り、
エリート会社員のチームに立ち向かっていく
ヒューマンコメディー。

あんまり期待しないで見たわりには良かった。
やっぱり岡田惠和の脚本は細かいところが面白いな。
“ということで!”はマネしたくなった。

最後のゴールシーンはむちゃくちゃだったけど、
純子とおじさんたちの関係は微笑ましかったし、
これはこれでいいんじゃないだろうか。

それにしても
「夢のカリフォルニア」(岡田惠和脚本)に続き、
また鈴木ヒロミツはセクハラエロおやじだった。
もうピッタリ(笑)
しばらくはこの役、独占かな。

深田恭子は相変わらず。
決してうまくはない。
ただ、あの目から涙がこぼれるとね…。

おじさんチームが感動するのも分かる。

             採点  6.5(10点満点平均6)

                  脚本  ★★★☆☆
                  演出  ★★☆☆☆
                  配役  ★★★☆☆
                  音楽  ★★☆☆☆
                  新鮮さ ★★☆☆☆
                  話題性 ★★☆☆☆


『恋を何年休んでますかスペシャル』

プロデュース:八木康夫
演出:清弘誠
脚本:吉田紀子
音楽:千住明
主題歌:「remain〜心の鍵」小柳ゆき
制作:TBS、TBSエンターテイメント
出演:小泉今日子、飯島直子、黒木瞳、仲村トオル、袴田吉彦、
   上川隆也、山口祐一、伊藤英明、宮沢和史、森尾由美、
   大島さと子、井澤健、君嶋ゆかり、高田敏江、前田昌明、
   大平奈津美、池田仁、他

何でこのドラマでスペシャルを作るんだろう
という疑問はあったけど、
まあ、恋愛というか、
恋をする気持ちがテーマなわけだから
何度でも作れないことはないのか。

で、今回の出来としては、
咲子(黒木瞳)に関するエピソードに
あまりにもヒネリがなさすぎた。

まゆみ(飯島直子)に関係する部分はまだマシだったけど、
これも雑と言えば雑。

ただ、こうした2人を横目で見つつ
静かに自分の結婚生活を考える
有子(小泉今日子)の描き方は良かった。

桜庭(上川隆也)と海辺で別れるシーンや、
大阪に旅立つ直前に良平(仲村トオル)と
部屋で話すシーンなどは印象的だったし。

でも最後に
“何もかも手に入れようとするのは欲張りだ”
と結論づけるのはどうなんだろう。

確かにひとつの答えではあるけど、
多くの人が納得する結論でもないような気がするんだけど。

うーん、やっぱり全体的に雑だったな。

どうでもいいことだけど、冒頭で大平奈津美が
「おやすみー」と言いながら自分の部屋へ行く時に、
小泉今日子に会釈したみたいに見えたのが妙に可笑しかった。

             採点  6.5(10点満点平均6)

                  脚本  ★★☆☆☆
                  演出  ★★★☆☆
                  配役  ★★★★☆
                  音楽  ★★★☆☆
                  新鮮さ ★☆☆☆☆
                  話題性 ★★☆☆☆



『お見合い放浪記』  第1週 待ちぼうけのねむり姫(第1〜4回)

制作統括:諏訪部章夫、吉川幸司
プロデューサー:酒井啓行
原案:阿川佐和子
演出:片岡啓司
脚本:大森美香
音楽:本多俊之
主題歌:「微笑みのひと」今井美樹
制作:NHKエンタープライズ、PDN
出演:水野真紀、吉田日出子、清水紘治、赤座美代子、鈴木砂羽、
   賀集利樹、宅麻伸、沢村一樹、川平慈英、渡辺いっけい、吹越満、他

水野真紀が主演じゃ見る自信なかったのに
妙に面白かった。

阿川佐和子の原案がいいのか、
それとも大森美香の脚本がいいのか。
…両方だろうな。

水野真紀も今回はそんなにクドイ演技をしてないので
これなら見続けられそうだ。

パターンとしては「恋セヨ乙女」と同じように
毎週ひとりずつ相手が出てくる模様。
第一週は沢村一樹だったけど、
川平慈英、渡辺いっけい、吹越満と続くようだ。

これはかなり拾いモンかも。

             採点  6.5(10点満点平均6)



『お見合い放浪記』  第2週 白雪姫に毒リンゴを(第5〜8回)

演出:片岡啓司
脚本:大森美香

第1週も由寿(水野真紀)がお見合い相手に
“顔が嫌い”と言ったシーンがあったけど、
今回も由寿が“あなた私のこと好きじゃないでしょ”
と言ったシーンが印象的だった。

この由寿というキャラクターには、
原案者・阿川佐和子のイメージを抜きにしても、
やはりお嬢様として育ってしまった者の
悲しい性が見受けられる。

そしてそれは
決して100%愛すべきキャラクターではない。
ただ、そこをかなり客観的に描いてる部分が
作品としては面白い。

結局のところ、
由寿とお見合いはしたくないけど、
応援したい気持ちでいっぱいだ。

             採点  6.5(10点満点平均6)



『お見合い放浪記』  第3週 赤ずきんちゃんの不倫(第9〜12回)

演出:石井てるよし
脚本:大森美香

やっぱり相当おもしろい。
毎週、ひとりとお見合いするだけだと思ってたのに、
今週はお見合い相手の北川(渡辺いっけい)の話と、
亀山(宅麻伸)とのキス、
父親、永澤教授(清水紘治)の不倫騒動を絡めて、
実に見ごたえのあるストーリーに組み立てていた。

夢見る31歳の乙女・由寿(水野真紀)には、
もちろん「おいおい」とツッコミを入れたくなる言動が多い。
でもそこをファンタジーっぽく、
センスのいいコメディーに仕上げているところがいい。

さすがだな、大森美香。

             採点  7.0(10点満点平均6)



『お見合い放浪記』  第4週 走れ!シンデレラ!(第13〜16回)

演出:石井てるよし
脚本:大森美香

北川(渡辺いっけい)との婚約を
解消するくだりは
さすがに嫌悪感が芽生えたけど、
鶴見(吹越満)のキャラは良かった。

このドラマは原作には出てこない
架空の人物で構成されているので、
このまま由寿(水野真紀)は
鶴見と結婚するのかな。
その方がドラマとしては自然だけど。

ただ子役はもうちょっと違う
雰囲気の子の方がよかったな。
ちょっと残念。

             採点  6.5(10点満点平均6)



『お見合い放浪記』  最終週 赤い糸の王子様を探して(第17〜20回)

演出:片岡敬司
脚本:大森美香

ディープな話になったなあ。
ただ、正直言って
由寿(水野真紀)の決断はまったく理解できない。

オレが愛について語る資格はない。
語る資格はないけど、やっぱり理解できない。

初めて人を愛することができて、
その相手も真摯に自分を愛そうとしてくれているのに
それでもすぐに結婚できなくてはダメなのか?

 愛<結婚

なのか?
いや、

 愛<愛+結婚

なのは分かる。
しかし…

うーん、まあ、ホントは分からなくもないんだけどね。
ただ性別や年齢層によってかなり意見が分かれそうで、
非常に面白い議論ができそうな
由寿と鶴見(吹越満)の破局だった。

ドラマとしては
千葉(賀集利樹)のキャラクターを
もっと丁寧に描いていれば、
もう少しハッピーエンドを想像させることは
可能だったと思う。

その点においては
エンターテイメント性という意味で
やや甘い構成だったかもしれない。

でも全体的には
予想を遙かに超えて面白い作品だった。

大森美香はまたいい仕事をしたと思う。

             採点  7.0(10点満点平均6)

                  脚本  ★★★★☆
                  演出  ★★★☆☆
                  配役  ★★☆☆☆
                  主題歌 ★★☆☆☆
                  音楽  ★★★☆☆
                  新鮮さ ★★☆☆☆
                  話題性 ★★☆☆☆

           平均採点  6.70(10点満点平均6)



『抱きしめたい』

制作統括:阿部康彦、木田幸紀
演出:勝田夏子
脚本:吉田紀子
原作:「私はもう逃げない〜自閉症の弟から教えられたこと」島田律子
音楽:城之内ミサ
制作:NHK
出演:和久井映見、加勢亮、竜雷太、いしだあゆみ、西島秀俊、三崎千恵子、他

今まで見た自閉症を扱った作品の中では
最高の出来だったかもしれない。

原作があるとはいえ、
脚本、演出、役者の演技、
すべての水準が高かった。
(原作者は「恋のから騒ぎ」でデビューしている
 タレントの島田律子)

厳密に言えば、この作品は
自閉症を扱ったドラマというより、
家族のドラマだった。

決して感動させようといった作為的なものはなく、
ただ淡々とひとつの家族を描いているだけだった。

でも逆にそのことが
自閉症の弟を持った姉の葛藤をリアルに際立たせ、
胸を打つものがあった。

いいシーンはいくつもあったけど、
象徴的だったのは最後に姉と弟が2人だけでフェリーに乗り、
北海道へ旅立つシーンか。

自閉症の子を持つ親が
一生をかけてその子を守っても、
いつかはその役割を別の人間に託さなければいけない。

姉として生まれた未来子(和久井映見)は
その役割が自分であることを子供の時から知っていた。
ずっとそのことから逃げていたのは
どうしていいか分からなかっただけで、
誰よりも弟・道朗(加勢亮)のことを愛していたのは
自分が一番よく知っていたのだ。

両親を青森に残し、
2人で船出をするこのシーンは、
未来子の決意も表していて実にいいシーンだった。

こういうドラマを作ってくれるから
NHKの受信料もマジメに払う気になるんだよな、オレは(笑)

             採点  9.5(10点満点平均6)

                  脚本  ★★★★★
                  演出  ★★★★★
                  配役  ★★★★★
                  音楽  ★★★★☆
                  新鮮さ ★★★★☆
                  話題性 ★★★☆☆



『精霊流し〜あなたを忘れない〜』  第一週 旅立ちの時(第1〜4回)

制作統括:菅野高至、吉川幸司
プロデュース:近藤晋
演出:中川秀一
脚本:市川森一
原作:さだまさし「精霊流し」
音楽:服部隆之
主題歌:「精霊流し」さだまさし
制作:NHK、NHKエンタープライズ21、東北新社クリエイツ
出演:坂口憲二、宮崎美子、根津甚八、風吹ジュン、中村俊介、新山千春、
   滝沢沙織、佐野史郎、東海孝之助、浅利陽介、杉本友莉亜、他

このシリーズ第5弾にして初のお笑いナシ。
あ、最初の「真夜中は別の顔」もそうだっけ。
でもあれは別の意味で笑えたからなあ。

今回は主題歌が内容に合わせて
「精霊流し」に変わったこともあって
雰囲気そのものが一転した。

最初は違和感があったけど、
高度成長期に子供から大人になっていく男女の
愛と青春のドラマ、
という捉え方をすると
なかなか面白いかもしれない。

第1週は子供から大学生になるまでを
駆け足で描いたわけだけど、
中学生時代の春人、徳恵に、
浅利陽介、杉本友莉亜という
豪華なキャスティングをしていて
かなり見ごたえがあった。

杉本友莉亜は今いちばん気になる女優。
なんか色っぽいんだよなあ。

いずれにしても
今までのシリーズとは
頭を切り換えて見るよーに。

             採点  6.5(10点満点平均6)




『精霊流し〜あなたを忘れない〜』  第ニ週 出会いの時(第5〜8回)

演出:中川秀一
脚本:市川森一

せつないなあ、70年代って。

それにしても、こうしてみると
坂口憲二ってやっぱりヘタだ。

まだまだ力が安定してない証拠。

             採点  6.0(10点満点平均6)



『精霊流し〜あなたを忘れない〜』  第三週 別れの時(第9〜12回)

演出:中川秀一
脚本:市川森一

この前、矢沢永吉の
「成り上がり」がドラマ化されてたけど、
矢沢永吉は昭和24年生まれ、47年デビュー(キャロル)。
さだまさしは昭和27年生まれ、48年デビュー(グレープ)。

いろいろあっても
この時代の人の方が
いい恋をしてたんじゃないか、
って気がするね。

まあ、ドラマではあるんだけど。

             採点  6.5(10点満点平均6)



『精霊流し〜あなたを忘れない〜』  最終週 誕生の時(第13〜16回)

演出:中川秀一
脚本:市川森一

人って、
人のつながりって、
やっぱりかけがえのないものだよね。

今さらこのテーマで泣くと思わなかったなあ。
これまでのこのシリーズとは
ずいぶん違う雰囲気だったので
最初はすごく違和感を持ったけど、
トータルではすごくいい作品だった。

「精霊流し」ってやっぱり名曲。

             採点  7.5(10点満点平均6)

                  脚本  ★★★★☆
                  演出  ★★★☆☆
                  配役  ★★★☆☆
                  主題歌 ★★★★☆
                  音楽  ★★★☆☆
                  新鮮さ ★★★☆☆
                  話題性 ★☆☆☆☆

           平均採点  6.63(10点満点平均6)




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