タイトル■ドラマは何でも教えてくれる
書き手 ■ロビー田中

放映中のTVドラマを“ほぼすべて”見ている、
驚異のドラマ通による、ドラマに関するコラム。

“TVドラマなんかくだらない”と言う人に、
あえて反論するつもりはありません。ただ、
“すべてのTVドラマがくだらないわけでは
ない”とだけ言っておきます。これからも僕は
TVドラマを見続けていくでしょう」(田中)

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『14ヶ月・妻が子供に還っていく』
 7/7〜
日テレ系 月曜10時  期待度 ★★★★☆

インターネット小説で話題になった
市川たくじの「Separation」が原作。

妻が子供へと若返ってしまうという設定を軸にした
夫婦愛を描くラブストーリー。

主演は高岡早紀で、
35歳から25歳まで若返っていく妻を演じる。

「ぼくの魔法使い」とアプローチは似ているけど、
こちらはかなりシリアスに描かれるはず。
せつない愛の物語が好きな人は必見。





『14ヶ月・妻が子供に還っていく』  第1話

プロデュース:竹網裕博、山本和夫(ドラマデザイン社)、梶野祐司(ホリプロ)
演出:山本和夫
脚本:瀧川晃代
原作:市川たくじ「Separation〜きみが還る場所」
音楽:窪田ミナ
主題歌:「幸せの表現」GABALL〜feat.Joanne
企画協力:ドラマデザイン社
制作協力:ホリプロ
制作:よみうりテレビ

出演:高岡早紀、中村俊介、戸田恵子、石黒賢、酒井若菜、岡みつ子、羽場裕一、
   伊藤沙莉、鈴木ヒロミツ、乃木涼介、松尾政寿、勝野洋輔、他

やっぱりかなり見ごたえがある。
ドラマとして成功要因は、
何と言ってもナツキを演じた伊藤沙莉の演技。

この子、エイベックス・アーティストアカデミーの
ジュニアヴォーカル・ダンス・コース出身で
演技はまったく初めてみたい。
すごい子を見つけて来たなあ。

もちろん、ラストカットの若返った高岡早紀もキレイだった。
メイクや映像の技術はあるにしても、
このやり方ならおかしくない若返りを表現できそう。

とりあえず初回で
ある程度、話を進めなくてはならなかったので、
裕子(高岡早紀)が不法投棄のレポートをするあたりから
流産してしまうまでの描き方は
駆け足でちょっと雑だった。

そこがもったいなかったのは事実だけど、
全体としては今後に期待できる初回だった。

             採点  7.0(10点満点平均6)




『14ヶ月・妻が子供に還っていく』  第2話

演出:岡本浩一
脚本:瀧川晃代、渡辺千穂

2本目のクスリを飲んでいないのに
再び若返りが始まった裕子(高岡早紀)。
ここは直球のファンタジーだった。

個人的には自ら2本目のクスリを飲んだ
ナツキ=千夏(伊藤沙莉)の心情が哀しかったな。

伊藤沙莉は最優秀新人賞、決定!

             採点  6.5(10点満点平均6)




『14ヶ月・妻が子供に還っていく』  第3話

演出:白根敬造
脚本:渡辺千穂
脚本協力:沢田石野枝

裕子(高岡早紀)自身も
若返りが止まらないであろうことを
自覚する展開に。

年老いていくことに不安を抱えていた女性が、
今や愛する人と一緒に年を取っていくという
ささやかな願いも叶えられない状態になった。

今回、悟(中村俊介)が裕子に
指輪を渡すシーンがあったけど、
エンディングロールで裕子の指から
指輪が抜けてしまうカットは哀しいな。

今回も伊藤沙莉の大人っぷりは良かった。

             採点  6.5(10点満点平均6)




『14ヶ月・妻が子供に還っていく』  第4話

演出:岡本浩一
脚本:渡辺千穂
脚本協力:清水友佳子、沢田石野枝

裕子が急激に若返り、
4話で早くもキャストが高岡早紀から蒼井優に変更。
ちょっと早すぎるのでは、という気もしたけど、
内容的にはかなり良かった。

序盤は女性向けというイメージがあったかもしれないけど
ここからは男性にも見て欲しい。

やっぱりキスできないか…。
できない、かな。

             採点  6.5(10点満点平均6)




『14ヶ月・妻が子供に還っていく』  第5話

演出:白川士
脚本:渡辺千穂
脚本協力:清水友佳子

裕子(蒼井優)と悟(中村俊介)の
ラブストーリーではあるんだけど、
神田(石黒賢)、なつき(伊藤沙莉)、
そして堀川(酒井若菜)の心情の絡み方がいい。

とくに今回は神田が
裕子に今のままでいて欲しいと願ってしまう所が良かった。
良かったっていうか、深かった。

蒼井優は蒼井優でいいんだけど、
ちょっと高岡早紀との違和感はあるな、やっぱり。

             採点  6.5(10点満点平均6)




『14ヶ月・妻が子供に還っていく』  第6話

演出:岡本浩一
脚本:渡辺千穂

ついにラストで裕子が9歳に。
キャストは蒼井優から菅野莉央に代わった。
丸美屋の「のりたま」や
ミツカン「味ポン」のCMに出てる子ね。
ある意味、豪華リレー。

今回は美弥(酒井若菜)がバイクを避けて転ぶシーンなど、
ちょっとワザとらしい演出も多かったんだけど、
悟(中村俊介)が料理人であることが
ストーリーにうまく絡んでいて、
全体的には悪くなかった。

伊藤沙莉も大人っぷり全開。
次回以降、菅野莉央との絡みもあるのか?
かなり見物だ。

             採点  6.5(10点満点平均6)




『14ヶ月・妻が子供に還っていく』  第7話

演出:白川士
脚本:渡辺千穂
脚本協力:沢田石野枝

何か映像的にはマニア向けになってきましたが…(笑)

菅野莉央も美弥(酒井若菜)に対する嫉妬とか、
悟(中村俊介)に子供扱いされてしまう悲しみを
うまく演じていたと思う。

前半、神田(石黒賢)の直接的過ぎる行動が
やや引っかかってしまったけど、
ラストでは神田自身が若返りのクスリを飲むという展開に。

なつき(伊藤沙莉)の気持ちを考えるとツライな。

             採点  6.5(10点満点平均6)




『14ヶ月・妻が子供に還っていく』  第8話

演出:岡本浩一
脚本:渡辺千穂
脚本協力:沢田石野枝

そうきたか。
神田(石黒賢)は身体ではなく、記憶が若返ると。

ということは、神田となつき(伊藤沙莉)の関係も
変わる可能性が出てきたということ。
よかった、なつきの気持ちが救われそうで。

それにしても岩崎ひろみって
子役と絡むとすごくいい表情するな。
やっぱり子役の気持ちが分かるのか。

ストーリーとしては
美弥(酒井若菜)が裕子(菅野莉央)たちの秘密を知る展開に。

美弥は最後に救いを持たせるための存在なんだろうけど、
そこに時間を割きすぎて
神田となつきのエピソードが減るのはどうなんだろう。

次回はさらに裕子の母親が登場。
必要なキャラだけど終盤に来て登場人物が増えすぎかも。

             採点  6.5(10点満点平均6)




『14ヶ月・妻が子供に還っていく』  第9話

演出:白川士
脚本:渡辺千穂
脚本協力:清水友佳子

美弥(酒井若菜)は信じなかった。
そりゃそうか。

逆に母親(大谷直子)が裕子(菅野莉央)の言葉を信じて
悟(中村俊介)の元へ行かせたシーンは良かった。

神田(石黒賢)はやりすぎ。
オーナー(丘みつ子)の描き方も工夫がなくて
このあたりはドラマとしてマイナスだった。

いよいよ次回が最終回。
もう1回、若返るのか?

             採点  6.0(10点満点平均6)







『14ヶ月・妻が子供に還っていく』  最終話

演出:山本和夫
脚本:渡辺千穂、瀧川晃代
脚本協力:沢田石野枝、清水友佳子

うーん、最後は安っぽくなっちゃったなあ。
なつき(伊藤沙莉)も中途半端なまま
放ったらかしにされちゃったし。

結局、6話くらいまでか、
素直にストーリーに入り込めたのは。

この原作をそのままTVドラマとして映像化するのは
やはりムリがあった。
だから設定を大きく変えて登場人物も増やし、
若返り薬というアイテムを使ったこと自体は
間違っているとは言えなかった。

ただ、ドラマチックにしようと、
高校生の裕子を知っている神田(石黒賢)を暴走させたのは
明らかにマイナスに作用したと思う。

なつきがなぜクスリを飲んだのかもきちんと描いて、
神田となつきの関係をサイドストーリーにすれば、
十分に連ドラとしての体裁は取れたと思うけど…。

まあ、ひとことで言ってしまえば、
スタッフの力不足ってことなんだろうな、このドラマも。
伊藤沙莉、菅野莉央という子役が素晴らしかっただけに
彼女たちを最後まで活かしてあげられなかったのは可哀想だった。

ていうか、これを言っちゃあ元も子もないけど、
やっぱりこの物語は活字専用だったんだろうな(笑)

原作は若返り薬も出てこない
シンプルなラブストーリーなので、
まだ読んでなかったら真っさらな気持ちで読んでみてちょ。

             採点  5.0(10点満点平均6)

                  脚本  ★★☆☆☆
                  演出  ★★☆☆☆
                  配役  ★★★★☆
                  主題歌 ★★☆☆☆
                  音楽  ★★☆☆☆
                  新鮮さ ★★☆☆☆
                  話題性 ★★☆☆☆

           平均採点  6.35(10点満点平均6)






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