タイトル■ドラマは何でも教えてくれる
書き手 ■ロビー田中

放映中のTVドラマを“ほぼすべて”見ている、
驚異のドラマ通による、ドラマに関するコラム。

“TVドラマなんかくだらない”と言う人に、
あえて反論するつもりはありません。ただ、
“すべてのTVドラマがくだらないわけでは
ない”とだけ言っておきます。これからも僕は
TVドラマを見続けていくでしょう」(田中)

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『アットホーム・ダッド』  4/13〜
フジ系 火曜10時  期待度 ★★☆☆☆

阿部寛と宮迫博之が共演する
専業主夫をテーマにしたホームドラマ。

阿部寛の妻役が
「光とともに…」とダブルブッキングの篠原涼子。
宮迫博之の妻役がオセロの中島知子。

主要キャストはすごく興味深いんだけどスタッフが心配。
MMJの制作だし。

役者でうまく笑いを取ってくれれば
今期の大穴になる可能性もアリか。




『アットホーム・ダッド』  第1話 男子厨房に入る

プロデュース:安藤和久、東城祐司(MMJ)、伊達達哉(MMJ)
演出:塚本連平(MMJ)
脚本:尾崎将也
音楽:仲西匡
主題歌:「朝焼けの旅路」Jackson vibe
挿入歌:「愛しても愛し足りない」Fayray
制作:関西テレビ、MMJ
出演:阿部寛、宮迫博之、篠原涼子、中島知子、永井大、滝沢沙織、中村繁之、
   川島なお美、安藤咲良、吉川史樹、國武大志、他

テーマは悪くないんだけど、
主夫なんて、と思っている山村(阿部寛)の描き方が画一的で古くさい。
こういう反対側の立場を極端に描かないと収まりが悪い、
と思ってしまうスタッフには、
むしろ自信のなさを感じてしまうんだよな。

性格的にはどうしょうもない男が仕事を失い、
新しい生き方を見つけていく、
というパターンは「ワンダフルライフ」と同じ。

どちらも確立されたひな形に沿って作られているわけだけど、
こちらの方がB級テイストが強いため分が悪いか。
川島なお美のキャラなんてやれやれだもんな。

ただ、滝沢詩織が始めてドラマで光っている印象は受けた。
と言っても彼女がストーリーに大きく関わることはないかもしれないけど。

山村が主夫としての仕事を覚えていく次回以降を
もう少し見守ってみよう。

             採点  5.5(10点満点平均6)




『アットホーム・ダッド』  第2話 主夫は一日にして成らず

演出:塚本連平
脚本:尾崎将也

理恵(安藤咲良)が
“パパがひとりで全部作ったんだもん”
と言ったシーンはちょっと泣けた。

前半に和之(阿部寛)がひとりがバタバタする展開も、
さすが阿部寛、きちんとコメディーになっていた。

「光とともに…」とダブルブッキングの篠原涼子は
さすがに出番が少なくなったけど、
自然なキャラ作りで最後を締めていたし。

でも、やっぱり岩崎(川島なお美)絡みのパーツはツライ。
主婦同士が集まるシーンはあってもいいけど、
あのテイストはないよな。

まあ、しょうがないか。
最初からそういう作りなんだし。

             採点  6.0(10点満点平均6)




『アットホーム・ダッド』  第3話 主夫の心 妻知らず

演出:二宮浩行
脚本:旺季志ずか

こういう作りのドラマって
冒頭は毎回リセットされて同じことの繰り返し、
というパターンが多いんだよなあ。

今回のラストはかなりお互いの気持ちが分かった作りだったので、
次回の出だしはうまく繋げて欲しい。

それにしても宮迫博之と中島知子の役をなぜ関西弁にしなかったんだろう。
関西出身の設定でも差し支えなかったと思うけど…。
この2人の会話がもっと転がれば面白さは倍増するのにな。

あと、内容と関係ないけど、
理絵を演じている安藤咲良の目元が
小さい頃のルーガちゃん(小出由華)に似てる!
…と、まわりの誰に言っても同意を得られないのが悲しい。

             採点  6.0(10点満点平均6)




『アットホーム・ダッド』  第4話 老いては主夫に従え

演出:二宮浩行
脚本:尾崎将也

こちらも「ワンダフルライフ」と同じくかなり安定してきた。
今回もツボを押さえた作りで良かったと思う。

美紀(篠原涼子)の母親(藤田弓子)のキャラは紋切り型だったけど、
一般的な主夫の存在は認めるものの娘の夫がそうなるのはイヤ、
という部分が描けていたので登場させる意味はあったと思う。
最後はきちんと和之(阿部寛)の人間性を認めていたし。

ところで、安藤咲良も可愛いけど、
優介(宮迫博之)の息子・亮太を演じてる吉川史樹も可愛いな。
標準語の中島知子はやっぱりかなり浮いてるので、
亮太をもっと有効に使って欲しい。

             採点  6.5(10点満点平均6)




『アットホーム・ダッド』  第5話 産みの母より育ての主夫

演出:三宅喜重
脚本:旺季志ずか

居酒屋での和之(阿部寛)のセリフは
これまでの流れからすると逆行した感じだったけど、
それ以外は良かった。

主夫をテーマにした場合、
今回のネタが一番男女両方に共感されるかもしれない。
中島知子のセリフが自然だったら
もっと言うこと無かったんだけど。

和之と理絵(安藤咲良)が
2人でパソコンをいじっているシーンは微笑ましかった。

             採点  6.5(10点満点平均6)




『アットホーム・ダッド』  第6話 苦しいときの主夫頼み

演出:塚本連平
脚本:尾崎将也

相変わらず細かい部分は粗いけど内容は悪くなかった。
劇中劇の中で登場人物の心理を言わせるというのは定番中の定番。
でもそこに冴子(滝沢沙織)と健児(永井大)の関係も
バランス良く挿入できたことで変化は出た。

亮太(吉川史樹)の頑張りを描く部分で
もう片方のガラスの靴を突然出すという展開は
さすがに強引すぎたと思うけど。

ラストの“続編を期待させるだろ?”というセリフは面白かった。

             採点  6.5(10点満点平均6)




『アットホーム・ダッド』  第7話 出る主夫は打たれる

演出:三宅喜重
脚本:尾崎将也

どちらが家事をしても
お父さんとお母さんの仲が良ければ嬉しい、
という子供の視点を入れたのは良かった。

ただ、今回の話そのものに関しては
連ドラの作り方としてどうかと思う。
和之(阿部寛)が迷いながら主夫の仕事をするのはいいけど、
もう少し感情の時系列を気にして作ってもらわないと…。

視聴率は取れてる作品だけど、
こういうところはずっと雑だ。

             採点  6.0(10点満点平均6)




『アットホーム・ダッド』  第8話 主夫老い易く 学成り難し

演出:二宮浩行
脚本:尾崎将也

同じことの繰り返しで、
ただそこにお受験を絡めただけ。

岩崎(川島なお美)もこういう環境であることは
初めから分かっていたんだから、
もう少し工夫してキャラを作っておけばよかったのに…。

まあ、最初からそういうドラマだから
今さらガッカリはしないけど。

このスタッフが作るなら
やっぱり2時間ドラマの方がよかったな。

             採点  5.5(10点満点平均6)




『アットホーム・ダッド』  第9話 金の切れ間が主夫の切れ目

演出:塚本連平
脚本:尾崎将也、旺季志ずか

コテコテなのにちょっと泣いちまった。
和之(阿部寛)が手作りパーティーの準備をしているところを
理恵(安藤咲良)と一緒に見ていたはずなのに、
亮太(吉川史樹)だけは分かってないところが
また可愛かったな。

プライドがジャマして
和之が美紀(篠原涼子)からお金を受け取れない、
という部分だけでなくて、
感謝して受け取ったお金を
無駄遣いしない方向まで描いたのが
ドラマの一話としては良かった。

ブレーカーが落ちるシーンも
繰り返し使ったことできちんと笑いにつながっていた。

             採点  6.5(10点満点平均6)




『アットホーム・ダッド』  第10話 主夫に暇なし

演出:三宅喜重
脚本:尾崎将也

主人公が成長して元の職場から声がかかるという
ストーリー展開としては「ワンダフルライフ」と同じ。
ただ、こちらの方が子供をうまく絡めていたので内容に深みが出た。

しかも、理絵(安藤咲良)が忘れ物を届けようとするシーンで
和之(阿部寛)にも美紀(篠原涼子)にも
余計なセリフを言わせなかったところが良かった。

あそこでヘンに感動させようと畳み込んだりせず、
和之と美紀の眼差しだけで表現したのは正解だった。

個人的には理絵がひとりで出ていくところを見ていたにもかかわらず、
ついていくわけでもなく、
ただ黙って見ていた亮太(吉川史樹)がツボ。

ダメダメだけどお前が愛おしい。

             採点  6.5(10点満点平均6)




『アットホーム・ダッド』  第11話 良薬主夫に苦し

演出:塚本連平
脚本:尾崎将也

和之(阿部寛)の成長っぷりが
いい感じで描かれていた。
子役が占める割合も
これくらいあると見ていて面白いし。

病気で寝込むシーンって結構難しいと思うけど、
安藤咲良はうまく演じてたな。

それにしても亮太(吉川史樹)のキャラって
よく作り出したと思う。
ていうか、よく採用したと思う。

太い注射されちゃうぞー、と脅されて
ただよけるだけだよ。
もう遊んであげないよ、と言われて
ただ鉄棒にぶら下がってるだけだよ。
隣で同い年の子がモンブランミルフィーユ頼んでるのに
ノーリアクションだよ。

あんな人間になりたいとすら思えてきた。

             採点  6.5(10点満点平均6)




『アットホーム・ダッド』  最終話 立つ主夫、後を濁す

演出:塚本連平
脚本:尾崎将也

このドラマは締め方が難しかったと思うけど、
いろんな考え方をストーリーとセリフに盛り込んで
うまくまとめたと思う。

ただ、高視聴率のためスペシャルが早くも決定。
すでに収録もされているようで、
スペシャルの最後をどうするのかという興味は
秋まで持ち越される形になった。

この作品、連ドラの作り方、各話の繋げ方としては、
よくあるパターンとはいえ、
決して褒められたものではなかったと思う。

でも、阿部寛のキャラを活かした和之の主夫ぶり、
その和之と美紀(篠原涼子)との関係を、
かなり興味をそそる形で描けたので
結果的に人気が高まることにつながったんだと思う。

もちろん、一般的には単純に見やすい、
という作りだったし。

そして隠れた功労者は、
理恵を演じた安藤咲良と亮太を演じた吉川史樹で間違いないだろう。
あのナチュラルな演技は、
美山加恋の出現とはまた別の意味の驚きがあった。

今回も、
“このままどこかへ行って結婚しようか”
“それは…”
“冗談。ムリに決まってるでしょ”
“(´ヘ`;) ”
とか良かったな。

冴子(滝沢沙織)と健児(永井大)のカップルも
サブキャラの割にはうまく描いてたと思うけど、
ある意味、冴子と健児の関係は、
理恵と亮太の関係でもあるんだろうな。

そう思うと、和之と優介(宮迫博之)のキャラをまず作り、
そこに若い世代の健児というキャラを作り、
この健児を意識して亮太のキャラを考え出したような気がする。
だとしたらこれは大成功だったと思う。

岩崎(川島なお美)の使い方など、
安っぽい部分も多々あって、
個人的には決して満足できる出来ではなかったんだけど、
今期を代表する作品になったことは確かだった。

             採点  7.5(10点満点平均6)

                  脚本  ★★★☆☆
                  演出  ★★★☆☆
                  配役  ★★★★☆
                  主題歌 ★★★★☆
                  音楽  ★★★★☆
                  新鮮さ ★★★☆☆
                  話題性 ★★★☆☆

           平均採点  6.29(10点満点平均6)





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