タイトル■ドラマは何でも教えてくれる
書き手 ■ロビー田中
放映中のTVドラマを“ほぼすべて”見ている、
驚異のドラマ通による、ドラマに関するコラム。
「“TVドラマなんかくだらない”と言う人に、
あえて反論するつもりはありません。ただ、
“すべてのTVドラマがくだらないわけでは
ない”とだけ言っておきます。これからも僕は
TVドラマを見続けていくでしょう」(田中)
>>バックナンバー >>ドラマ別レビュー
『最後の弁護人』 1/15〜
日テレ系 水曜10時 期待度 ★★☆☆☆正義感の強い国選弁護人の活躍を一話完結で描く。
主役は13年ぶりの連ドラ主演となる阿部寛。
共演は須藤理彩、今井翼、浅野ゆう子など。個人的に須藤理彩は「ダブルスコア」での
イメージダウンを回復する正念場だと思う。
阿部寛が出ると画面が安定するので、
ドラマ全体としては意外と見やすいかもしれない。メイン演出は昔フジテレビにいた岩本仁志。
脚本は「編集王」「天体観測」などの秦建日子。
↑
ちなみにこの人は「はたたけひこ」っていう男の人ね。
『最後の弁護人』 第1話チーフプロデュース:井上健
プロデュース:井上響、大塚泰之
演出:岩本仁志
脚本:秦建日子
音楽:龍島邦明
主題歌:「Baby don't cry」hiro
エンディング:「嘘のない歌」MILKRUN
制作:日本テレビ
制作協力:三城
出演:阿部寛、須藤理彩、浅野ゆう子、今井翼、金田明夫、松重豊、
梅宮万紗子、加藤厚生、白国秀樹、他やっぱり阿部寛はたいしたもんだ。
とくにオリジナリティーもないし、
事件のトリックもありふれたドラマだけど、
作品全体をリードしてる感じ。須藤理彩はもう少し見てみないと分からないな。
ふてくされたような表情を演じてる時は
本当に下品な印象しかない。次回以降、今井翼も加わって
本格的な話になっていくと思うので、
そこからが勝負だろう。コミカルな部分はこれからも大事に描いて欲しい。
採点 6.5(10点満点平均6)
『最後の弁護人』 第2話演出:岩本仁志
脚本:秦建日子エッジが効いた良い話だなあ。
最後に子供が迎えに来た母親に向かって
“なんだよ”
ってツッぱったところは泣けた。岩本仁志も日テレに来てから
やっと本領を発揮した感じだ。惜しいのは須藤理彩に
コメディセンスがあまりないこと。
前半で阿部寛ともっと笑いが取れたら
かなり見ごたえのある作品になるのに。採点 7.5(10点満点平均6)
『最後の弁護人』 第3話演出:岩本仁志
脚本:秦建日子この手のトリックは視聴者側がその仕組みに
途中で気がついてしまうという欠点はあるものの、
仕上がりはそれをカバーできるものだった。神崎(浅野ゆう子)からの依頼電話、
被告人との最初の面談あたりは、
パターン化されたシーンをうまく使いつつ、
全体的には冒頭で結末を示し、
それに向けて経過を説明するという、
今までとは別のパターンを使ってきた。前半は須藤理彩も頑張って笑いもうまく取れていたし、
最後は酒井美紀の演技でグッと盛り上げた。
“捨てられたくなかった”という動機も、
ホスト(末広宏司)を途中から登場させることで
効果的にせつなさへとつなげていたし。岩本仁志はフジテレビ時代に
「白線流し」も撮っているので、
17歳の頃の酒井美紀を知っている演出家。脚本家、演出家、役者が見事にかみ合った
入魂の一話だったと思う。採点 7.5(10点満点平均6)
『最後の弁護人』 第4話演出:佐久間紀佳
脚本:秦建日子また結論を先に持ってくる構成だったけど
今回もクオリティーは高かった。謎解きだけに頼ってないところがいい。
最後のスーツのエピソードも
全体を引き締める上で効果的だったし。ただ、あんまり検察と警察のマヌケさを
強調しない方がいいな。
そこだけ気をつけて欲しい。採点 7.5(10点満点平均6)
『最後の弁護人』 第5話演出:吉野洋
脚本:秦建日子今回は別に良子(須藤理彩)が襲われるシーンから
振り返らなくてもよかったんじゃないかな。
あまりこの手法を多投しない方がいいと思う。あと、何度も裁判をひっくり返されてるのに
なんであの検事(松重豊)は自信満々なんだろう。
少しずつでも変化をみせて欲しい。でも、トリックの出来は別にして
有働(阿部寛)の過去を少しずつ絡めながら描いた
今回の話もなかなか良かった。十分に合格点のドラマだと思う。
採点 7.0(10点満点平均6)
『最後の弁護人』 第6話演出:岩本仁志
脚本:秦建日子有働(阿部寛)の過去と常にリンクした作りはいい。
ただ、どんどん2時間サスペンスっぽくなっていくな。
裁判所で証人がナイフを胸に刺されて死ぬなんて…。邑野未亜と加賀美早紀のツーショットはかなり豪華なので
もう少しじっくり見せて欲しかったという気もした。それにしても須藤理彩、
ロバ顔に続いてムーミン体型か。
散々な言われ方だな(笑)採点 6.5(10点満点平均6)
『最後の弁護人』 第7話演出:岩本仁志
脚本:秦建日子前回の解決編。
結局、トリックをこねただけの
ありきたりのストーリーだった。このドラマに求めているのは
こういうことじゃないのに…。採点 6.0(10点満点平均6)
『最後の弁護人』 第8話演出:佐久間紀佳
脚本:秦建日子トリックと事件関係者の心情のバランスが良くて
このドラマ本来の出来だった。
ただ、これはもっと前半にやるべき内容だろう。少しずつ有働(阿部寛)の過去を明かしながら
最終回へ向かっていたのに、
ここへきてまったく独立した話はおかしかった。須藤理彩のボケが全然リズムに乗ってないあたりも含めて
完全に前半のトーンだったな。前に収録してあったものを
回数調整のために蔵出ししてきた感じ。ホントにそうだったりして…。
採点 7.0(10点満点平均6)
『最後の弁護人』 第9話演出:梅沢利之
脚本:秦建日子どんな凶悪な犯人でも、
どんなに憎むべき犯人でも、
弁護士は犯人を弁護するのが仕事。そこを描くために今回の被告を
強盗殺人の刑事裁判相当で送検された
未成年(森山未來)にしたのはいい選択だった。ただ、結局は被害者のOL(純名りさ)に
殺意があったという展開。弁護士の仕事については
有働(阿部寛)の過去と絡めて最終回に持ち越されるとしても
今回は未成年の凶悪事件についてもう少し突っこんで欲しかった。次回を見てみないと何とも言えないけど、
この時点で今回のストーリーは選択を誤っているような気がする。採点 6.5(10点満点平均6)
『最後の弁護人』 最終話演出:岩本仁志
脚本:秦建日子前回の未成年の事件は結局そのまま。
ただ、このドラマのメインテーマとも言える
弁護士の仕事についてはかなり深く描いていたと思う。“法律のテクニックを駆使して
犯罪者の刑を少しでも軽くしようと努力する。
それが世の中にとっていいこととは思えない”という疑問に対して、
有働(阿部寛)の妻のかつての言葉、“あなたが人を裁いてはいけない。
あなたが神様になろうとしてはいけない。
人を裁くことが許されるもの、それは事実。
美しくても、あるいは醜くても、
実際に行われた事実、ただそれだけだ”を有働が心に留めているという展開で描いていた。
このドラマ全体として、
やっぱり事件のトリックそのものや
警察の捜査、検察の追求などに関してはムリがあったと思う。それでも、主役となる弁護士の苦悩と正義を描きつつ、
そこにまつわる人間ドラマまで描いた点は
十分に評価できる作品だったと思う。
この最終回も有働と死んだ妻の愛の物語になっていたし。これはスペシャルを作りそうなドラマだな。
でもこれなら見たいと思う。採点 7.0(10点満点平均6)
脚本 ★★★★☆
演出 ★★★★☆
配役 ★★★☆☆
主題歌 ★★★☆☆
音楽 ★★★☆☆
新鮮さ ★★☆☆☆
話題性 ★★☆☆☆平均採点 6.90(10点満点平均6)
[ロビー田中の自己紹介]
[トップへ]