タイトル■ドラマは何でも教えてくれる
書き手 ■ロビー田中

放映中のTVドラマを“ほぼすべて”見ている、
驚異のドラマ通による、ドラマに関するコラム。

“TVドラマなんかくだらない”と言う人に、
あえて反論するつもりはありません。ただ、
“すべてのTVドラマがくだらないわけでは
ない”とだけ言っておきます。これからも僕は
TVドラマを見続けていくでしょう」(田中)

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『Dr.コトー診療所』
 7/3〜
フジ系 木曜10時  期待度 ★★★★★

ヤングサンデー連載中の同名コミックをドラマ化。
青年医師が僻地医療の困難に立ち向かっていく物語。

主役は吉岡秀隆。
ヒロインの看護士は柴咲コウ。

沖縄の長期ロケも敢行中で、
スケールの大きなドラマになりそう。

メイン演出は中江功、脚本は吉田智子。
ハズれる心配なしか。





『Dr.コトー診療所』  第1話

企画:杉尾敦弘
プロデュース:土屋健
演出:中江功
脚本:吉田紀子
原作:「Dr.コトー診療所」山田貴敏
主題歌:「銀の龍の背に乗って」中島みゆき
挿入歌:「思い出だけではつらすぎる」柴咲コウ
制作:フジテレビ
出演:吉岡秀隆、柴咲コウ、小林薫、筧利夫、時任三郎、大塚寧々、
   泉谷しげる、千石規子、石田ゆり子、大森南朋、坂本長利、
   朝加真由美、山西惇、船木誠勝、塩谷瞬、富岡涼、他

予想通りの丁寧な作り。
悪く言えば予想の範囲に収まったという印象。

医療モノの初回に
困難な場所でのオペというのは
もうお約束だしな。

吉岡秀隆の髪型は置いといて(笑)、
キャラクターは初回できちんと描けていたと思う。
診療所の初日に、
待合室で星野(柴咲コウ)と話した時の表情などは
さすが吉岡秀隆という感じだった。

あと、大塚寧々がいい。
島に必ずひとりはいる
色っぽいお姉さんという雰囲気がよく出ていた。

今後はやっぱり各話のエピソード次第か。

             採点  7.0(10点満点平均6)



『Dr.コトー診療所』  第2話

演出:中江功
脚本:吉田紀子

島民、とくに漁師達の離島医に対する態度は
少し大袈裟に描きすぎる気はするけど、
全体のトーンはすでに固まった感じ。

今回は千石規子がやたら良かった。
手術後、息子(國村隼)の船が出ていくのを
病室で見送る時の表情が個人的には好きだったな。

あと、中江功の映像は昔からキレイだけど、
誠(國村隼)が乗る舟が港から出ていくところを
コトー(吉岡秀隆)が船尾方向から見ているシーンがとくに美しかった。

             採点  7.0(10点満点平均6)




『Dr.コトー診療所』  第3話

演出:中江功
脚本:吉田紀子

コトー(吉岡秀隆)自身の技術ではなく、
母子両方の命を救うため
本土の受け入れ先病院とその搬送手段を探す姿勢に
スポットを当てた話。

相変わらず映像は美しい。
ただ、もっと良くなりそうな気がするんだけどなあ。

患者以外の登場人物ももっと深く描くとか、
それでメインとなる医療の話に時間が取れないようなら
2回で1エピソードにするとか。

…贅沢?

とりあえず咲(石田ゆり子)には
もっと物語に入ってきて欲しい。

             採点  7.0(10点満点平均6)




『Dr.コトー診療所』  第4話

演出:小林和宏
脚本:吉田紀子

代議士・芦田(竜雷太)の描き方は良くないんだけど、
ゆき(木村佳乃)の絡み方、
今回の患者の息子・純一(井澤健)の葛藤、
茉莉子(大塚寧々)の子供の問題など、
患者に対する治療以外の部分でも
エピソードが多かったのが良かった。

しかも次回はこのまま芦田親子の話になる模様。
こういう作りはいいと思う。

             採点  7.0(10点満点平均6)




『Dr.コトー診療所』  第5話

演出:小林和宏
脚本:吉田紀子

最後の後ろ姿だけで
神木隆之介って分かるのはスゴイな。
もう背中で演技してるよ、あの子は(笑)

で、前回に引き続いた内容で今回も良かった。
純一(井澤健)と母親(白川和子)の話から
ゆき(木村佳乃)と芦田(竜雷太)のエピソードへつながり、
そしてずっとネタを振っていた
茉莉子(大塚寧々)と息子(神木隆之介)の問題へと移行する。

親子という縛りを付けながら
無理なく転がしていく展開は見事だ。

彩佳(柴咲コウ)のキャラも
その中で自然に描けていると思う。

やっとうまく展開してきたな。

             採点  7.0(10点満点平均6)




『Dr.コトー診療所』  第6話

演出:平井秀樹
脚本:吉田紀子

剛洋を演じている富岡涼の声も可愛いんだけど、
ちょっと子供っぽくない雰囲気を
かもし出す時があるんだよな。

神木隆之介も今回は完璧じゃなかった。
(とくに海沿いの道で剛洋と話す場面)
それでも手術後の
“来なければよかったね、ぼく”
みたいなセリフのトーンは、
さすが神木隆之介という感じだった。

反則だけどね、これで大人を泣かすのは(笑)

ストーリーそのものは、
コトー(吉岡秀隆)が山の中で
自分で足の血を出すあたりに作為的なものを感じて
のめり込み度は少なかった。

             採点  7.0(10点満点平均6)




『Dr.コトー診療所』  第7話

演出:中江功
脚本:吉田紀子

重雄(泉谷しげる)の娘に伊藤歩、
その彼氏に柏原収史と、
相変わらずキャスティングが豪華。

中江演出でまた船を後方から撮るシーンがあったりして
映像も美しかった。

欲を言えば構成をもう少し工夫して
前半から茉莉子(大塚寧々)・竜一(神木隆之介)の話を
もっと絡めて欲しかった感じ。

剛利(時任三郎)の船が出ていくラストで、
重雄親子、茉莉子親子、
そして母親がいない剛利親子がうまく絡んだので、
余計にそれが惜しい気がした。

             採点  7.0?0点満点平均6)




『Dr.コトー診療所』  第8話

演出:中江功
脚本:吉田紀子

救えない命に関するエピソードは絶対に必要だったけど、
あきおじ(今福將雄)の名演技もあって
実に感動的な回になった。

医者が本来あるべき姿はどんなものなのか、
理想の医者とは何か、
その答えはひとつではないと思う。

だからこそ東京の大病院で働いている
咲(石田ゆり子)を登場させながら描いたこの回は
意味があったと思う。

ただ、このドラマにおける石田ゆり子は
久々に魅力的に感じられていたので
もう少し深く絡んで欲しい気もした。

木村佳乃の時のように2回に分けて登場させ、
後半にこのエピソードを持ってくるとか。

最初は現役の医師という設定だから
そんな長期滞在はムリかな、と思ったけど、
今回のエピソードだけでもかなり島にいたよね。

ドラマ全体を考えると
石田ゆり子の使い方がちょっともったいなかった。

             採点  7.5(10点満点平均6)




『Dr.コトー診療所』  第9話

演出:小林和宏
脚本:吉田紀子

前半はありきたりな演出で引き込まれなかったけど、
後半はグッと締まった。
やっぱりレギュラー出演者の演技力が高いのは
大きな戦力だよな。

ただ、個人的には
もっと何でもないエピソードの積み重ねで
離島の医療を描いてくれた方が好みなんだけど。

             採点  7.0(10点満点平均6)





『Dr.コトー診療所』  第10話

演出:平井秀樹
脚本:吉田紀子

ついに視聴率は21%超え。
事実、丁寧に作られたいいドラマだと思う。

ただ、個人的には今ひとつもの足りないんだよな。
分かりやす過ぎるっていうか、
新鮮味が足りないっていうか…。

刑事モノ、学園モノ、弁護士モノなんかと同様、
医療モノも作品が多いだけに、
見方が厳しくなってしまうな。

             採点  7.0(10点満点平均6)




『Dr.コトー診療所』  最終話

演出:中江功
脚本:吉田紀子

めでたし、めでたしのハッピーエンド。
良かったんじゃないでしょうか。

ただね、このスタッフでこのキャスト、
出来て当たり前の範疇だったと思う。全体的に。

つまり、予想以上の面白さに出会った感動は
ほとんどなかった。

制作者側に、
これだけでの予算を使って作るなら失敗できないという
守りの姿勢があったのかもしれない。

丁寧に作られたいいドラマではあったけど、
個人的には忘れられないドラマ、には成り得なかった。

             採点  7.0(10点満点平均6)

                  脚本  ★★★☆☆
                  演出  ★★★★☆
                  配役  ★★★★★
                  主題歌 ★★★★☆
                  音楽  ★★★★☆
                  新鮮さ ★☆☆☆☆
                  話題性 ★★★☆☆

           平均採点  7.05(10点満点平均6)






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