タイトル■ドラマは何でも教えてくれる
書き手 ■ロビー田中

放映中のTVドラマを“ほぼすべて”見ている、
驚異のドラマ通による、ドラマに関するコラム。

“TVドラマなんかくだらない”と言う人に、
あえて反論するつもりはありません。ただ、
“すべてのTVドラマがくだらないわけでは
ない”とだけ言っておきます。これからも僕は
TVドラマを見続けていくでしょう」(田中)

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『First Love』 

4/17〜
TBS系 水曜10時  期待度 ★★★★☆

「ハンドク!!!」を作った
植田博樹プロデューサーと脚本家・大石静による
禁断のラブストーリー。

最初にひかれ合ったのは
高校教師(渡部篤郎)と生徒(深田恭子)の関係。
そして5年後に再会した時は
姉の婚約者、婚約者の妹という関係。

なんだかんだ言っても
渡部篤郎と深田恭子の共演は注目だ。
主題歌は宇多田ヒカル。





『First Love』  第1話

プロデュース:植田博樹
演出:生野慈朗
脚本:大石静
主題歌:「SAKURAドロップス」宇多田ヒカル
制作:TBS、TBSエンターテイメント
出演:渡部篤郎、深田恭子、和久井映見、池内博之、久我陽子、一戸奈未、
   小野武彦、大森暁美、内田朝陽、内藤陽子、天野浩成、近藤芳正、
   三田篤子、佐藤二朗、上原美佐、眞野裕子、芹沢名人、西山繭子、他

完成度の高い第1話だったなあ。
とくに構成と演出が見事で、
現在の状況を示しながら
5年前の出来事も丁寧に描いていた。

この第1話で説明しておかなければいけないこと、
ネタを振っておかなければいけないことは、
かなり多かった。

どういう風に
直(渡部篤郎)と夏澄(深田恭子)は出会ったか。
直はどんな先生だったのか。
直と夏澄はどの程度の関係だったのか。
なぜ別れたのか。
夏澄と朋子(和久井映見)は
どんな家庭に育ったのか。
どうして朋子と直は出会ったのか。
朋子はどんな悩みを抱えているのか…。

これらを延長なしの1時間で
丁寧に、しかもドラマチックに描いたことは
かなりの賞賛に値する。

そして、渡部篤郎と深田恭子の組み合わせは
もちろんいいんだけど、
和久井映見が最高。

どうやら朋子はあの家の実の子供ではないらしい。
つまり、夏澄とは血のつながっていない姉妹?
そのことを朋子自身は知っているのか?
カウンセリングを受けていた理由は
本当の自分を隠して“恋愛の神様”となっていることだけなのか?
ラストカットから想像すると
朋子は直と夏澄の関係も知っているのか?
知っていてわざと直と結婚をしようとしているのか?

連ドラの初回としては
十分に視聴者を引きつける要素をちりばめた
完璧に近い内容だろう。

強いてマイナスポイントを探すと
深田恭子のカツラ?(笑)
まだ高校生役もイケるけど、
あのカツラは変だよな。

でもまあ、メイクもナチュラルにして
かなり頑張ってたんではないだろうか。

とにかく和久井映見の存在が
想像以上に大きいので
今後の展開がかなり楽しみだ。

             採点  8.0(10点満点平均6)



『First Love』  第2話

演出:生野慈朗
脚本:大石静

朋子(和久井映見)は
コインロッカー・ベイビーだった!

しかもそのことを朋子自身も知っているから
かなりシビアな精神状況だよな。
そうなると今度は逆に
妹の夏澄(深田恭子)が姉の出生の秘密を
知っているのかどうか。
複雑な心理戦だなあ。

直(渡部篤郎)が使った夏澄のハンカチを切り刻んだり、
携帯電話の番号をわざと直と夏澄に知らせて
2人の反応を確かめたり、
明らかに朋子は2人の過去を知っている様子。

親にコインロッカーへ捨てられた朋子は
絶対的な愛を信じてないのか?
だからかつて自分の妹を愛した男に近づいて
それでも自分を愛してくれるか試しているのか?
そんなとてつもなく高いハードルを越えて
直と夏澄はまた愛し合えるのか?

まだ謎が多いけど、
かなり興味深いストーリーではあるな。

ただ、結末を想像するとね…。
すべてがハッピーエンドって
ちょっと難しいような気がするし。

まあ、中途半端にまるく納めるより、
とことん心理戦をやって欲しい。

おそらく、5年前に直が夏澄の前から去ったのは
他の誰か(キスを目撃した生徒)を傷つけてしまったから。
直! あの時の失敗を繰り返すな!
誰かを傷つけても手に入れるのが
First Love だ!

…なんちって(笑)

いや、作品の解釈としては
意外と鋭いところ突いてるかも、オレ(笑)

             採点  7.5(10点満点平均6)



『First Love』  第3話

演出:今井夏木
脚本:大石静

5年前に直(渡部篤郎)と夏澄(深田恭子)の
キスを目撃した生徒の話は意外とあっさり描かれてしまった。

でも実は…、というさらなる展開があるかもしれないけど、
とりあえず今回描かれたことがすべてなら、
その女生徒の思い込みで自殺未遂まで発展し、
直が学校を辞めざるを得なくなったというのが真相らしい。

直が夏澄の前から去ったのは、
むしろ真剣に夏澄を愛し始めていたから
簡単に別れ話をできなかった、というような状況。

まあ、ここが大きなポイントである必要もないからいっか。
このドラマはすでに和久井映見だけを見ていても
興味が持続する展開だし。

そして最後の直、夏澄、
朋子(和久井映見)、木葉(池内博之)が
同時に会ってしまうシーン。

もちろん朋子は、
初めて直と夏澄がかつて教師と生徒の仲であることを
知ったようなリアクションをする。

うーん、ジワジワと攻めて来るなあ。
早く朋子の本心を知りたい。
でもそこまでの過程もじっくり見たい。
…いい視聴者だなあ>オレ(笑)

ただ、相変わらず同級生が集まる
居酒屋シーンはぎこちない。

というか、渡部篤郎、和久井映見、深田恭子、
そして朋子・夏澄の両親役、小野武彦、大森暁美が目立つので
それ以外のキャストが貧相に見える。

木葉をかつての直と同じ
古文の教師にした設定はいいと思うんだけどね。
せめて池内博之には頑張ってもらいたい。
今後おそらく、直と夏澄の仲を知る時が来るはずだから。
意外と重要だぞ、この木葉の役は。

             採点  7.5(10点満点平均6)



『First Love』  第4話

演出:今井夏木
脚本:大石静

まだまだ謎は多いのに
とりあえず当面の疑問には応えてくれる。
もったいつけてない展開がいい。

まず、朋子(和久井映見)が
コインロッカーベイビーであることを
夏澄(深田恭子)も知っていた。

このことをさりげなく伝えながら
朋子、夏澄、直(渡部篤郎)、木場(池内博之)、
4人それぞれの感情が交差した
冒頭のレストランのシーンは、
なかなか興味深かった。

そして、朋子が直と夏澄の関係を知っていることを
担当編集者に小説の題材として話す構成もうまかった。
最後に“恐いでしょ”とか言ってたけど、
そりゃ恐いよ!

ただ、新たなる疑問は
朋子がくわしく知りすぎていることだ。

直と夏澄のキスシーンを目撃した生徒がいて
その彼女が自殺未遂をしていること。
夏澄の自転車の外れたチェーンを
直が修理したこと。
夏澄が百人一首を自分で解釈して
直に手紙で送っていたこと。

これらをすべて知るには
かなり昔から調べていないと分からない。
少なくとも夏澄の日記くらいは読んでる感じだ。

現段階では、この精神的な歪みは
朋子の出生からきていると考えるのが妥当。

“両親は私のこともみーちゃんと変わらずに愛してくれたの。
 でも、誰にどんなによくされても
 どっかで悪いな、みんな無理してるんだろうなって…
 すごくいい子になっちゃうの”

という、レストランでの告白も
まんざら嘘とは言えない。
これは最後の病室のシーンで
母親が朋子と夏澄に話しかけた時に
その内容の違いから
朋子がしたリアクションからも想像できる。

やはりコインロッカーへ捨てられた
朋子の心の傷は深い。
直と夏澄の“First Love”を描きながら
この朋子の心の救済も描かれるのか。

実はこのドラマ、
朋子が初めて絶対的な愛を信じる
“First Love”の話だったりして…

それはそれで面白いかも。

             採点  7.5(10点満点平均6)



『First Love』  第5話

演出:松原浩
脚本:大石静

直(渡部篤郎)と夏澄(深田恭子)の関係に
だいぶウエイトをかけてきた感じ。
これが本来の姿とも言えるわけだけど。

そして今回のトピックは
やっぱり直が朋子(和久井映見)に
婚約破棄を申し出たことだ。
ただ、そこまで至る経過に
さほど新しいニュースはなかった。

教師時代、直は夏澄のことが好きだった。
ただ、17歳の少女の将来を
自分のために束縛してはならないと思った。
それが愛だと思おうとした。
でも、本当は自分が傷つきたくないだけだった。
それで逃げた。

この内容は予想された通りで、
しかも誰かに対するセリフではなく、
直自身のナレーションで語られたので
もうここに裏はないと思う。

出生に絡んだ家族の中での自分の立場、
あるいは自分に注がれている愛情に対して、
屈折してしまっている朋子の感情の描き方も
先週と変わらない。

これでカードが全部開いている、
ってことはないよなあ。
やっぱり朋子がここまでの行動を起こした
直接的な動機、もしくはキッカケが語られないと…。

ちなみに、
個人的に今回一番印象に残ったのは、
朋子が前回、出版社の担当に話した小説のネタを、
“つまんないハッピーエンドになっちゃいそうなのよ”
という理由で出版しないようにしていたこと。

朋子の小説のネタは
まさしくこのドラマの設定と同じだったわけだけど、
この話は無難にまとめたら
絶対につまらないハッピーエンドになる。
そんなことは大石静が一番よく分かってる。
だから朋子にこのセリフを言わせたところが面白かった。

別の言い方をすれば
これでこのドラマのラストが興味深くなった。
大石静自身が、このドラマを無難に終わらせ、
つまらないハッピーエンドにしたくないと思っているから
この段階でエクスキューズを入れておいた、
とも考えられるからだ。

仮に衝撃的なラストになったとして、
「え〜っ、やっぱりドラマはハッピーエンドがいいのに〜」
とか視聴者に言われたとしても、
そんなことは十分に吟味した、
その上でこのラストを選択した、
という証明にもなるわけだしね。

もちろん、朋子はその後、
「初戀物語」というタイトルで
小説を書き始めている。

まあ、ドラマのラストがどうなるかは別にしても、
この小説ネタに絡めた一連のエピソードは
かなりテクニカルなものだった。

             採点  7.0(10点満点平均6)



『First Love』  第6話

演出:生野慈朗
脚本:大石静

朋子(和久井映見)が病室にいる両親の前で、
夏澄(深田恭子)に直(渡部篤郎)を取られたこと、
それでも夏澄との関係は今まで通りの姉妹でいたいこと、
を告白した時、
これが朋子の目的なのか?とも考えた。

つまり、血のつながっていない両親からの愛情を
これからも継続させていく方法。
より深く自分に愛情を注がせる方法。

直との仲を認めれば
夏澄からもずっと本当の姉のように
慕われるかもしれない。

でも、朋子の書く「初戀物語」はまだ続くんだよなあ。
“愛は時に命を生み、愛は時に命を奪う”と。

朋子の最終的な目的は何なのか。
…これはさすがに引っ張るよな。

この段階で分からないことだらけになると
見ている方もツライんだけど、
直は自分の気持ちに正直になることを
朋子にも、夏澄にも告げた。

ここで軸がひとつできるので、
今度は夏澄の気持ちを迷わせたりしても
作品全体としてそんなにとっちらかったりしない。

うまいな、このあたりの構成は。

さて、朋子が
“愛は時に命を奪う”
と書いた真意とは…。

             採点  7.5(10点満点平均6)



『First Love』  第7話

演出:今井夏木
脚本:大石静

恐いよー。
お姉ちゃん、笑ってるよー。

直(渡部篤郎)に部屋のカギを返したのに
まだ合い鍵を持ってるし、
夏澄(深田恭子)がどういうリアクションするか
全部読んでるし…。

朋子(和久井映見)の目的は何なの?
もしかして、夏澄が直と出会う前から
本気で直のことが好きだったの?
だから夏澄と直の出会いからつき合いまで
全部知ってたの?

朋子の直に対する想いも純愛なの?
絶対的な愛を信じていないから
その表現が歪んでいるだけなの?

分からない!
分からないことだらけになった!

でも、最後の最後に
朋子は本当の涙を流しそうな気がする。
で、その時、オレも一緒に泣きそうな気がする(T_T)

だから和久井映見のオシリが
大きくても気にならないよ!(笑)

             採点  7.5(10点満点平均6)



『First Love』  第8話

演出:松原浩
脚本:大石静

朋子(和久井映見)が動揺し始めた。
そして早くもマジ泣きした。
直(渡部篤郎)からお金を受け取らず、
レストランを飛び出した後に流した涙は、
さずがにマジだろうからな。

夏澄(深田恭子)に向けて言った
“あなたさえいなかったら私だって…
 あなたさえいなかったら、
 あなたさえいなかったら…”

そして父親(小野武彦)に向けて言った
“私なんかいない方が…
 私さえこの世にいなかったら
 お父さんとお母さんとみーちゃんと直さんで
 幸せだったでしょう?
 私だけが、私だけがジャマなのよ”

これもマジっぽかった。
今後はやっぱり、
コインロッカーベイビーだったこと、
江沢家の実の娘でないこと、
これに端を発する朋子の歪みについて、
とことん描いていくんだろうな。

そうなるとやっぱり「First Love」というタイトルは
象徴的についているような気がする。

それにしても、
病院で母親(大森暁美)が夏澄に言った
“私は朋ちゃんの母親でもあるんだから”
というのはせつない。

それがなかなか伝わってないんですよ、お母さん!

             採点  7.5(10点満点平均6)



『First Love』  第9話

演出:松原浩
脚本:大石静

ついに朋子(和久井映見)が
直(渡部篤郎)に近づいた理由を告白した。

“妹を傷つけるためよ。
 妹が傷つけば、
 嘘で塗り込められた家族が崩壊したら、
 それでいいの”

ただ、朋子は直を愛してしまっていた。
いや、それでもなお
“愛は幻想”であると思っていた。

そして、朋子は
毒の入ったワインを差し出すという
最後の賭けに出る。
飲めるはずがないと朋子が思っていたワインを
直は迷わず飲んでしまう。

…この2人のシーンは圧巻だった。

そしてもうひとつ、
そこまで描くのか、と思ってしまったのは、
朋子の両親(小野武彦、大森暁美)が、
どこかで本当の子供(深田恭子)の方を
大切にしてしまったと、
自覚しているらしい点。

これはもう容赦しない展開だ。

やっぱり「First Love」には
特別な意味が込められていたこの作品。
最後まで目が離せない。

             採点  8.0(10点満点平均6)



『First Love』  第10話

演出:生野慈朗
脚本:大石静

賛否両論の内容だったかもしれないけど、
大石静の脚本らしく、医学的なことは
かなり詳しく調べた上での描写だったと思う。

朋子(和久井映見)は5階からの投身で
直(渡部篤郎)に受け止められた後、植え込みに落ちた。
これなら生存率はかなり高いはずだ。

そして、この状況なら
受け止めた直の方が重傷というのも分かる。
肋骨を2本骨折し、肺を損傷。
脳内出血はなかったが、
“6時間後にもう一度CTを撮る”
というセリフまで医者に言わせていた。

ここでシラケる必要はないと思う。
問題は直の気持ちの変化か。

直は自殺を図ろうとした朋子と
一緒に生きていこうと決意する。

それは同情だろう、と言う人もいるに違いない。
でも、直は5年前にも自殺未遂者を出して
夏澄(深田恭子)への想いを断ち切っている。
結局、直は直なんだと思う。

自殺まで考えた朋子が
再び直にプロポーズしたのもまた、
朋子は朋子である、ということだと思うし。
(愛を求め続けているという点で)

「どうして同じようなパンチ
 何度もくらっちゃうんだ
 それでもまた戦うんだろう
 それが命の不思議
     作詞 宇多田ヒカル」

ただ、今回は2人とも
自分のやっていることを自覚している。
少女から大人になった夏澄(深田恭子)に
自分の心情を話している。

最終回前にこの内容を描いたことは
かなり意味がある。

…と思うんだけど、どうだろう。

             採点  7.5(10点満点平均6)



『First Love』  第11話

演出:生野慈朗
脚本:大石静

異様に明るい雰囲気で始まった最終回。
でも、その江沢家の食卓に集まったすべての人が
どこかムリしている雰囲気は出ていたと思う。

そして、映画の試写会で
直(渡部篤郎)、夏澄(深田恭子)、
朋子(和久井映見)の3人が出会うシーンと、
その後のレストランでの夏澄と朋子の会話。

ここが妙にリアルだった。
何の誤解もなくスムーズに流れる会話に
かえって怖さも感じた。

次が居酒屋で行われた
二岡(天野浩成)と千春(内藤陽子)の結婚式。

初回からモチーフとして使われてきた百人一首が出てきて、
これは最後までアイテムとして使われることになる。

で、問題の直と朋子の結婚式。
結果的にここですべてが明かされるわけだけど、
朋子のセリフが長すぎて、
説明っぽくなりすぎた感は拭えないと思う。

映像的にも、
和久井映見自身の緊張が
途切れてしまっているようにさえ見えた。

朋子が直と夏澄の過去を知っていたのは
やはり手紙と日記を見ていたからだった。
…みたいな謎解きはもうどうでもよくて、
問題は朋子と両親(小野武彦、大森暁美)との関係を
どこまで深く掘り下げ、それを表現できたかだ。

個人的な感想を言えば
新しいエピソードは何も出てこなかったので
特別な驚きはなかった。

ただ、やっぱり親は
兄弟・姉妹を分け隔てなく愛した、
と言うしかないのだ、ということは改めて考えさせられた。

血のつながっている本当の兄弟・姉妹でも
年齢、性別、性格、考え方が違えば
親のそれぞれの子供に対する接し方は違ってくる。

そのことに対して、
あとから本当に同じだけ愛情を注いだのか、
と問われた時に、
迷ってしまう親は多いと思う。

いや、実際、
平等に愛を注ぐことは無理なのかもしれない。

それでも親は、
分け隔てなく愛したということに
自ら自信を持たなくてはいけない。

そして直が朋子に言ったように
子供はそれを信じていいのだと思う。

普通はそのことをごく自然に信じられるか、
逆に差別されたことを客観的に受け入れるかだ。

ところが、
人間が生まれて初めて受ける愛情(First Love)、
両親からの愛情を、
暴力的に遮断されたコインロッカーベイビーの朋子は、
どちらにもうまくたどり着けない。
その葛藤は全編に渡ってよく描かれていたと思う。

結局、朋子は初めて人を愛して(First Love)
自分の歪みに気づく。
そして直との結婚を諦める。

ここは分かりにくかった、というか、
少しムリがあったかもしれない。

直があの場でどちらとも結婚しない、
という選択をしたのはベスト。
いや、当然。どちらか選んだら鬼だ。

ストーリー的にはここで2年半が経過し、
夏澄の初恋(First Love)が成就するニュアンスで終わる。
百人一首を使った直と夏澄の想いと
ラストカットは美しかった。

ちなみに2人が百人一首で交わした言葉は…、

  直 「昔、奈良の都で咲き香っていた八重桜が」
 夏澄 「今日は九重の宮中に咲き誇っています」
 夏澄 「花の心は変わらないけど、あなたの心が昔のままか私には分かりません」
  直 「故郷の花は今年も変わらぬ香りで私を迎えてくれます」
  直 「激しい想いが岩にせき止められて今は分かれていますが」
直・夏澄「滝川の水が再びひとつの流れになるように、
     あなたとの恋を貫くつもりです」

全体的な展開としては、
やっぱりこれしかなかったと思う。
ただ、最終回の描き方は他にもあったかもしれない。

じゃあ、たとえばどんな風に、
と言われても分からない。
おそらく、シチュエーション自体が
最初から難しかったんだと思う。
そこにあえてチャレンジしたスタッフには敬意を表したい。

ただひとつ言えることは、
今回、朋子という役を演じた和久井映見の前では、
先天的な魅力を持つ深田恭子も
桜の花びらのようにただ散るしかなかったということか。

             採点  7.0(10点満点平均6)

                  脚本  ★★★★☆
                  演出  ★★★☆☆
                  配役  ★★★☆☆
                  主題歌 ★★★☆☆
                  音楽  ★★★☆☆
                  新鮮さ ★★★★☆
                  話題性 ★★★☆☆

           平均採点  7.50(10点満点平均6)






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