タイトル■ドラマは何でも教えてくれる
書き手 ■ロビー田中

放映中のTVドラマを“ほぼすべて”見ている、
驚異のドラマ通による、ドラマに関するコラム。

“TVドラマなんかくだらない”と言う人に、
あえて反論するつもりはありません。ただ、
“すべてのTVドラマがくだらないわけでは
ない”とだけ言っておきます。これからも僕は
TVドラマを見続けていくでしょう」(田中)

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『私立探偵、濱マイク』 

7/1〜 日テレ系 月曜10時  期待度 ★★★★★

永瀬正敏が主演する人気映画シリーズのドラマ化。
心配なのはここのところ惨敗続きの
日テレ系月曜10時という放送枠だけで、
中身は一番期待できそう。

永瀬正敏は10年ぶりの連ドラ出演。
すべてフィルムを使って撮影され、
1話完結形式で12人の監督が撮る。

今のところ発表されている監督は
・青山真治(映画「EUREKA」他)
・石井聰互(映画「逆噴射家族」「五条霊戦記」他)
・岩松了(映画「東京日和」他)
・緒方明(映画「独立少年合唱団」他)
・須永秀明(Dragon Ash、スガシカオなどのビデオクリップ監督)
・竹内スグル(L'Arc〜en〜Cielなどのビデオクリップや、ユニクロ等のCM演出)
・萩生田宏治(映画「楽園」他)
・前田良輔(サントリーBOSSシリーズのCM、他)
・行定勲(映画「GO」他)

出演は他に、
中島美嘉、市川実和子、松岡俊介、村上淳、
酒井若菜、川村亜紀、阿部サダヲ、井川遥、
松田美由紀、小泉今日子など。

永瀬正敏の交友関係を通じて
UAや窪塚洋介などもちょい役で出るらしい。

ちらっと映る大物を探すのも面白いかも。



『私立探偵、濱マイク』  1話 31→1の寓話

製作:藤門浩之、益田康久、畠中基博(PUG POINT)
エグゼクティブプロデュース:堀口良則
プロデュース:仙頭武則(サンダーボルト)、古賀俊輔(S1-T3)
       岡野彰(Rocket Punch)、追分史郎
監督:緒方明
原作:林海象
脚本:青木研次
音楽:めいなCo.
主題歌:「くちばしにチェリー」EGO WRAPPIN
制作:よみうりテレビ、PUG POINT・JAPAN
制作協力:サンダーボルト、パラダイス・カフェ
出演:永瀬正敏、中島美嘉、市川実和子、松岡俊介、村上淳、
   阿部サダヲ、井川遥、酒井若菜、川村亜紀、松田美由紀、
   小泉今日子、山本政志、中村達也、他
ゲスト:菅野美穂、香川照之、泉谷しげる、富田靖子、樋口可南子、他

やっぱり期待通りの出来だった。
文句なく面白い。
ただ、TVドラマというカテゴリーを考えると
「反則」という気がしないでもない(笑)

注目の視聴率は13.5%(関東)。
ずっとひと桁が続いていた枠なので
大健闘じゃないだろうか。

かなり視聴者を選ぶ作品でもあるので、
今後、数字が急上昇することはないと思う。
それでもやる意味はあるだろうな。

こういう作品を若手のテレビマンが見て、
ドラマだってこういうことやっていいんだ、
と思ってくれればそれでいい。

オレ、ジイさんみたいなこと言ってる?(笑)

いやいや、
オレたちが「傷だらけの天使」を見て
ワクワクしたような感覚を、
今の若い人も持ってくれたらいいな、と思って。

この1話に関して言うと、
全体的な雰囲気だけじゃなくて
内容的、ストーリー的にも楽しめたのでかなり満足。

監督が毎回代わるので、
(しかもかなり個性的な人たち)
いくらプロデューサーがいても
かなりニュアンスは代わると思う。
今後はむしろ、その違いを味わいたい。

キャストに関してはみんな良かった。
小泉今日子の使い方も、
あれくらいがオシャレだと思うし。
(パチンコ景品所の情報屋として手と口までが映った)

えーと、それから
この初回の放送日の昼間に、
テレビ東京で「探偵マイク・ハマー」を放送していたのが
個人的には一番のツボだった(笑)

             採点  8.0(10点満点平均6)



『私立探偵、濱マイク』  第2話 歌姫

脚本・監督:前田良輔
ゲスト:UA、伊武雅刀、財津一郎、木村充輝、
    秋山道男、木村卓史、山本竜二、他

小ネタが満載でシュールな内容。
監督のやりたいことは分かるけど、
これはもうTVドラマではないね。

でも逆に、
普段、TVドラマを作ってる人間たちが
どうやって自己満足と商業主義に折り合いをつけて
頑張ってるかが分かって面白いかも。

ちなみにオレは、
一週間に15本以上もドラマがあるんだから
1本くらいこういうドラマはあってもいいと思う。
だから支持派(笑)

本当はUAと村上淳の絡みを見たかったけどね。

以前、行定勲にインタビューした時に
日本映画が衰退した理由を
「監督が芸術家になりすぎたから」と言っていたけど、
この第2話を見て、
行定勲が「濱マイク」をどう撮るか楽しみになってきた。

             採点  6.5(10点満点平均6)




『私立探偵、濱マイク』  第3話 どこまでも遠くへ

監督:萩生田宏治
脚本:川崎慎三、井土紀州
ゲスト:武田真治、岡あゆみ、ピエール瀧、LA-PPISCH、
    岸田今日子、小野愛、安藤盟、他

全体のトーンも話のテーマも
ノスタルジックな雰囲気だった。

マイク(永瀬正敏)が
娼婦役で登場した綾部さん(岸田今日子)に
認められるシーンなんか、
制作者サイドの「傷だらけの天使」に対する
強烈なリスペクトが感じられたし。

そしてラストカットは
岸田今日子の“おかえり”か。

もうここだけで泣けてくるんだけどね。
僕らが“どこまでも遠くへ”行っても、
必ず綾部さんはそこにいて、
“おかえり”と言ってくれそうな気がして。

ある意味、古き良きTVドラマに対する
オマージュのような作品でした。

…とまあ、個人的に今回の主役は
「金八先生」のちはる(岡あゆみ)ではなくて
「傷だらけの天使」の綾部さんだと思うので
全然OKなんだけど、
なんであそこに岸田今日子?
という世代の人にとっては、
少し脚本の練り方が足りないと感じられる作品に
なっていたかもしれない。

確かに今回はレギュラー陣の
キャラクターが掘り下げられた分、
メインストーリーとなる
岡あゆみと武田真治のエピソードが
浅くなってしまった感じはするしね。

でも、自分探しという普遍的なテーマに関しては
かなり分かりやすく描けていたんじゃないかな。

あ、そうそう、
1回目は手と口、2回目は横顔が映った小泉今日子は
3回目にしてついに目も映った。
最後にはしゃべるんだろうな、たぶん。

次回はいよいよ行定勲の監督作品。
期待してみよう。

             採点  7.5(10点満点平均6)




『私立探偵、濱マイク』  第4話 サクラサクヒ

監督:行定勲
脚本:行定勲、益子昌一
ゲスト:ジェニー・チャン、岸部一徳、南果歩、石橋蓮司、宮内玲奈、
    マギー、六角慎司、石倉力、森下能幸、堀部圭克、鈴木翔吾、他

テーマも良かったし、
叙情的な映像も良かったし、
ジェニー・チャンも可愛かった。
でも、基本的には
ワンアイディアの作品だったような…。

少なくとも脚本はもっと
練った方がよかったんじゃないだろうか。
編集のせいか
各シーンで余韻を残す間もなかったし。

あと、最後のユーミンもね。
コテコテ過ぎるでしょ、あの選曲は。

完全な一話完結のマイナス面も出て、
丈治(村上淳)のキャラなんかは
唐突過ぎて受け入れ難いものがあった。

うーん、悪くなかったんだけどね。
「濱、マイク」という枠で
こんなのも作ってみました、という感じだった。
いや、それでいいんだけどさ(笑)

             採点  7.0(10点満点平均6)



『私立探偵、濱マイク』  第5話 花

監督:須永秀明
脚本:宮城善彦
ゲスト:窪塚洋介、南原清隆、浜村淳、hitomi、ナンバーガール、
    松尾伴内、南部虎弾、鳥肌実、佐藤葉月、他

監督の個性を活かすという
『濱、マイク』の主旨を考えれば、
楽しめる回だったんじゃないだろうか。

映像のコラージュという雰囲気もあって
印象的なシーンもたくさんあった。

ただ、ドラマと映像は違う。
今回の作品に優れたドラマツルギーがあったかと問われれば
首を傾げるしかない。

だからあくまでも『濱、マイク』という企画においてこの採点。
                 ↓

             採点  7.5(10点満点平均6)



『私立探偵、濱マイク』  第6話 名前のない森

監督・脚本:青山真治
ゲスト:鈴木京香、大塚寧々、原田芳雄、江角英明、菊池百合子、
    佐藤誓、津田寛治、山中聡、樋口真嗣、他

今回も濱マイクである必要はまったくないけど、
それも含めた企画ということで。

個人的には好きな作品だった。

どんなに“個”でありたくても
やっぱり我々はどこかで
“名前のない森”に同化したいと
思っているのかもしれない。

ちなみにこの作品には71分の映画版もあって、
今年の2月にベルリン映画祭で上映された。

詳しくは「青山真治新作撮影日誌」で。
http://boid.pobox.ne.jp/journal/2001hama/hama1.htm

             採点  7.5(10点満点平均6)



『私立探偵、濱マイク』  第7話 私生活

監督・脚本:岩松了
ゲスト:小林薫、石橋けい、田中哲司、神津はづき、
    鈴木砂羽、片桐はいり、國村隼、他

さとぶー(田畑智子)のダンナ(田中哲司)が良かった(笑)

そして「太陽の季節」では女子大生役の石橋けいが
田中哲司の奥さん役に。

その奥さんとマイク(永瀬正敏)のプールのシーンとか、
緑の芝生と小泉今日子の赤い服をコントラストさせたシーンとか、
映像は今回もきれいだった。

小泉今日子もフケたけど、
神津はづきもすごくフケたな。

いずれにしても悲しいお話。

             採点  7.0(10点満点平均6)



『私立探偵、濱マイク』  第8話 時よとまれ、君は美しい

監督:ISHII SOGO(石井聰互)
脚本:薩川昭夫
ゲスト:渡瀬美遊、EITA、永澤俊矢、夏生ゆうな、柳ユーレイ、他

今回はかなり分かりやすい内容だったし、
渡瀬美遊もキレイだったし、
良かったんじゃないでしょうか。

ただ、ネットゲームとかカルト集団とか公安警察とか、
こういう設定も、もう新鮮味はないね。
まあ、パロってる部分もあるんだろうけど。

ラストは本当にせつなくて美しかった。

             採点  7.0(10点満点平均6)



『私立探偵、濱マイク』  第9話 ミスターニッポン〜21世紀の男〜

監督・脚本:中島哲也
ゲスト:勝村政信、松方弘樹、派谷恵美、麻生祐未、光浦靖子、杉本彩、
    林家ペー、林家パー子、キューティー鈴木、荒川良々、JAi WEST、他

今回の監督、中島哲也は、
豊川悦司と山崎努の「サッポロ黒ラベル」のCMを撮った人。
ドラマでは昨年の「世にも奇妙な物語・秋の特別編」で
「ママ新発売!」を撮った人だ。
(麻生祐未、ともさかりえ、クドカンなんかが出てたやつ)

濱マイクというテリトリーの中で勝負していて、
個人的にはこのシリーズで一番面白かった。

70年代のテイストを残しつつ、
スタイリッシュな映像で、
それでいてメッセージもしっかりあった。

ゲストの使い方も
TV的な豪華さだったし。

とくに林家ペー・パー子の格好良さは抜群。
キューティー鈴木もせつない内容で効果的に使っていた。

ちなみにピザ屋のにいちゃんは
「いらなつ」の礼慈ね。

ラスト3回の監督は、
竹内スグル、アレックス・コックス、利重剛と発表されている。
最終回が利重剛というのはかなり楽しみだな。

             採点  8.0(10点満点平均6)




『私立探偵、濱マイク』  第10話 1分間700円

監督・撮影:竹内スグル
脚本:やまだないと
ゲスト:浅野忠信、柄本明、松村邦洋、モロ諸岡、北村有起哉、他

ゲストが浅野忠信だったので
音声はヘッドフォンで聴いた(笑)

今回は比較的
バランスが良かったんじゃないだろうか。
脚本も良かったし。

ジャジーなピアノは
やっぱり「傷だらけの天使」を彷彿とさせた。

傷だらけだと
確かに触られるだけで痛いな。

             採点  7.5(10点満点平均6)



『私立探偵、濱マイク』  第11話 女と男、男と女。

監督・脚本:Alex Cox
ゲスト:田口トモロウ、石橋蓮司、杉本哲太、塚本晋也、
    金山一彦、片桐はいり、田中要次、他

マイク(永瀬正敏)を取り巻く「家族」の話は
ほとんどホームドラマだった。
ま、個人的には嫌いじゃないけど、
もう少し新しい切り口があってもよかったのに。

銃撃戦のシーンは
アレはアレで面白かった。
ただ、編集による間が
とにかくテレビ的じゃなかったのが致命的。

内容は今までの中で
一番分かりやすかったかもしれない。
でも、こういう分かりやすさを「濱マイク」でやると
思いっきり浮くよな。

リサ(小泉今日子)の正体についてのフリがあったから
最終回はそこに期待して見ようか。

             採点  6.5(10点満点平均6)



『私立探偵、濱マイク』  最終話 BITTERS END

監督:利重剛
脚本:利重剛、萩生田宏治
ゲスト:SION、濱田マリ、塩見三省、尾藤イサオ、川越美和、桐谷健太、
    清田正浩、矢作公一、鶴山欣也、宇和川士朗、他

映画的なテイストと
TVドラマとしての大衆性、
そして「濱マイク」という設定を
一番バランス良く使えた最終回だったと思う。

ゲストのSIONはもちろん、
中島美嘉も良かったし。

結局、業界内でも注目されていた
この贅沢な作りのドラマは、
初回は13.5%だった視聴率も、
後半は4〜5%に低迷した。

ひとことで言ってしまえば、
前半を担当した監督陣が
TVドラマというカテゴリーを
有効に使えなかったことが原因だと思う。

芸術的な作品を普段作っている人が
大衆的な作品を作ろうとする時、
一般的にはレベルを下げるという
認識があるかもしれないけど、
このドラマを見て改めて感じたのは、
大衆的なものは
芸術作品の上にも下にもあるということだ。

このドラマに参加した監督陣が
意識的に自分の領域を踏み出さなかったのなら
別にかまわないけど、
視聴者にここまで上がってこい、
という気持ちがあったとしたら
それは監督自身の怠慢に他ならない。

もっと自分からTVドラマの可能性を探れば
質を落とさずに大衆が支持する作品も作れたのに。

とりあえず、
企画としての「濱マイク」には
拍手を送りたいと思う。

             採点  7.5(10点満点平均6)

                  脚本  ★★★☆☆
                  演出  ★★★★☆
                  配役  ★★★★☆
                  主題歌 ★★★★☆
                  音楽  ★★★☆☆
                  新鮮さ ★★★★★
                  話題性 ★★★☆☆

           平均採点  7.29(10点満点平均6)







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