タイトル■ドラマは何でも教えてくれる
書き手 ■ロビー田中
放映中のTVドラマを“ほぼすべて”見ている、
驚異のドラマ通による、ドラマに関するコラム。
「“TVドラマなんかくだらない”と言う人に、
あえて反論するつもりはありません。ただ、
“すべてのTVドラマがくだらないわけでは
ない”とだけ言っておきます。これからも僕は
TVドラマを見続けていくでしょう」(田中)
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『人にやさしく』
1/7〜 フジ系 月曜9時 期待度 ★★★☆☆香取慎吾が主演のハートフルコメディー。
SOPHIAの松岡充が連ドラ初出演ということも話題に。唯一心配なのはメイン脚本が
バラエティー班の鈴木おさむだということ。
(つんくタウンに出てる人)まあ、他のスタッフがいいから大丈夫なのかな。
少なくとも冒険的な作品にはならないと思う。
『人にやさしく』 第1話プロデューサー:澤田鎌作、栗原美和子
主題歌:「夢」ザ・ブルーハーツ
挿入歌:「人にやさしく」ザ・ブルーハーツ
音楽:武部聡志
演出:澤田鎌作
脚本:鈴木おさむ、いずみ吉紘
制作:フジテレビ
出演:香取慎吾、加藤浩次、松岡充、須賀健太、星野真里、小西真奈美
りょう、陣内孝則、ブラザー・トム、他極楽・加藤に続き、ソフィア・松岡まで
オンエア直前に入籍発表。
しかも相手は黒澤優だと。
さらには加藤と同じ、すでに相手は妊娠中だと。これが半年前だったら
「できちゃった結婚」という
月9初のドキュメンタリードラマだったのにね。加藤あいの降板だけにとどまらず
そんな外野の関心事がやたら気になるこの作品。
案の定、初回の視聴率は23%を越えてしまった(関東)この最初の視聴者を
ずっと捕まえていられるか。
2話、3話の出来が非常に興味深い。初回は脚本にもそれほど綻びがなくて
思ったほど悪くはなかった。
ただ、ストーリーそのものは
呆れるくらいにオーソドックスなので
毎回のエピソードを
どこまで煮詰めることができるかが勝負。まあ、子役だけでも引っ張れるのが
テレビの恐いところだけど、
どうせなら繰り返し見たいと
思えるような作品にしてもらいたい。そんなに期待はしてないけど…
採点 7.0(10点満点平均6)
『人にやさしく』 第2話演出:澤田鎌作
脚本:いずみ吉紘、鈴木おさむ
初回の脚本は
“鈴木おさむ、いずみ吉紘”の順番だったけど
今回は逆だった。
最初に来る方がベースを書いて
その後に2人で手直しをするのかもしれない。で、注目の第2話。
基本的なストーリーはいいとしても
30分で描ける程度の内容だった。
ムリに引っ張って1時間にした感じ。
もっと内容を詰めていかないと
見ていてだらけてしまうな。それから、
主役3人のテンションはまだ許せるにしても
星野真里までこのまま大声キャラではツライ。3人の若者が
ひょんなことから父親代わりになる、
という部分にオリジナリティーがない以上、
星野真里、小西真奈美、りょうとの関係を
面白く描かないと
次週への興味がわかないからな。あとは陣内孝則をどう活かすか…
子役だけに頼らない内容を
早い段階で見せて欲しい。採点 6.5(10点満点平均6)
『人にやさしく』 第3話演出:田島大輔
脚本:いずみ吉紘
今回みたいな作りはいい。
とりあえず状況説明は済んだから
それぞれの大人のエピソード対明(須賀健太)
という図式をこれからも見せて欲しい。拳(加藤浩次)の親父が見つかったのに
末期ガンであとわずかな命、
というのはありがちすぎて困ったけど、
拳には他にもエピソードがあることを
匂わせていたあたりの脚本は良かった。
やっぱりいずみ吉紘だけでもいいんじゃないのかな?ただ、相変わらず陣内孝則の使い方は中途半端なまま。
もう少し序盤からエピソードにからませた方が良かったのに。でもまあ、明の可愛さだけで引っ張るわけじゃない
今回みたいな内容ならOKかな。
採点 7.0(10点満点平均6)
『人にやさしく』 第4話演出:田島大輔
脚本:鈴木おさむラストの15分は良かった。
今回は鈴木おさむが脚本を担当してたけど、
これはプロット通りの展開だと思う。
むしろ、そこまでの持っていき方が
脚本家の腕の見せ所のはずなんだけど…紋切り型の展開、
ありきたりのセリフ。
これでは最後の感動も薄くなってしまう。ま、実際は明(須賀健太)がすごい演技をするので
全体としてのアラはそんなに目立たないんだけどね。陣内孝則、小西真奈美も
相変わらず活かされないまま。
小西真奈美なんて
どういうキャラなのかも描かれてないよ。
もったいないなあ。キャラって言えば、
今回、精神科医のキャラはすごかったね。
あんなに色っぽいお姉さんにする必要があったんだろうか?プロデューサーと脚本家、
2人づつ立てているのが裏目に出て、
全体の統一性が取れてないような気がする。採点 6.5(10点満点平均6)
『人にやさしく』 第5話演出:久保田哲史
脚本:いずみ吉紘
豪華なゲストを含めた大量の出演者を投じて
思いっきり賑やかだった今回。
なんと、雷波少年の企画が終わったばかりの
椿鮒子(WAHAHA本舗)や
サタ☆スマ・ツアーのおばちゃんまで登場した。内容としては、夢は叶う!と
真正面から言われてはクサイ感じもするけど、
全体の構成は今回が一番良かった気がする。児童養護施設出身者の暗い不幸話にせず
地域社会の大人が子供を支えるという
展開にしたのが正解。
めちゃくちゃ強引だったけどね(笑)その中で、なぜ前(香取慎吾)が
あんな大きな家を買ったのか、
スリーピースというサインに
こだわっているのか、などの
説明を入れていたのも良かった。ただ、この家購入の件に関しては
当初の設定とずいぶん違うけどね(笑)
(インチキ不動産屋に口説かれて
買ってしまったという設定だった)そして、今まで目立たなかった
日向(陣内孝則)にも
やっと何かあることを匂わせる描写が…今後もこのドラマを見続ける上では
かなり重要な回であったことは確かだ。香取慎吾が「スリーピース!」と叫ぶたびに
「流行ってねえよ、それ」と
極楽加藤が自虐的にツッコむところがツボだった。
採点 7.0(10点満点平均6)
『人にやさしく』 第6話演出:澤田鎌作
脚本:鈴木おさむ
全体の構成は悪くないけど
ひとつひとつのセリフは浸みてこないという
鈴木おさむの回のパターン。序盤は明(須賀健太)の可愛さに助けられ
後半は高岡早紀に助けられたという感じだった。高岡早紀もこういう役をもっとやった方がいいな。
なんかすごくきれいだった。ドラマ全体としては
この分かりやすさが身上なんだろう。
それはそれでかまわないと思う。
香取慎吾の役者としてのキャリアの中では
それほど重要な作品にはならないと思うけど。採点 6.5(10点満点平均6)
『人にやさしく』 第7話演出:田島大輔
脚本:いずみ吉紘どんな役でも引き受ける沢村一樹が登場して
今回も単純構造の父子ネタ。
でもまあ、原宿の仲間を巻き込んで
みんなで跳び箱の練習するあたりは面白かった。前々もそうだったけど、
大量のエキストラを使って
前(香取慎吾)たちの交友関係に
説得力を持たす演出はいい。親子関係には恵まれてない3人だけど
友達を大切にして社会に出ているという
作品の骨格は意外にしっかりしてると思う。ただその肉付けが
使い古された単純なエピソードで
構成されているから
何となく軽い作品になってしまっているだけで…でも、日向(陣内孝則)が捜査している事件が
前たち、もしくは明(須賀健太)に関係してくる模様。
ラストへ向けての盛り上がりに期待しよう。
採点 7.0(10点満点平均6)
『人にやさしく』 第8話演出:久保田哲史
脚本:鈴木おさむ
日向(陣内孝則)が施設のバザーで
明(須賀健太)の作ったカップを捨てた時は
どんな裏があるのかと思ったけど、
フツーだったなあ。ていうか、カップを捨てるほどのことか?
“家族だろうと何だろうと利用するだけさ!”
なんてスゴむほどのことか?
何か展開に説得力がないぞ。陣内のキャラは結局、
中途半端なままで終わりそうだな。今回は冒頭のキスシーンも
カットが変わったら2人の位置が動いていたり、
遊園地のコーヒーカップにPちゃんがいたり、
何を狙っているのか分かりづらいものばかり。
演出も脚本も今いちだった。ただ、やっぱり明は可愛い。
明が映ってる時だけはホッとできる。
でも、子供に頼らざるを得なくなった時点で
作品としての水準は落ちた感じだな。もう最後の3人と明のお別れ場面ぐらいしか
期待できるところはないかもしれない。
採点 6.0(10点満点平均6)
『人にやさしく』 第9話演出:久保田哲史
脚本:いずみ吉紘なんだ? この30年前のドラマのような展開は(笑)
「パパ〜!」「あきら〜!」
スローで2人が近づいた所にパトカーが割って入る。
そして子供の前で手錠をガシャン!
お約束を通り越してパロディーコントじゃんかぁ。もともと明(須賀健太)の父親を
捕まえること自体に緊迫感がないから
どうしようもなく白々しく見えてしまう。でも、明はやっぱり可愛い(笑)
セリフがたどたどしいところも可愛い(笑)
だから太朗(松岡充)がらみの話は良かったんだけどな。そしてなんと、小西真奈美にもジミな彼氏が…
小西真奈美がそんな扱いかよ。
つくづくもったいないドラマだな。採点 6.0(10点満点平均6)
『人にやさしく』 第10話演出:田島大輔
脚本:鈴木おさむなんで明(須賀健太)が
親と旅行に行ったことがあると言い出す前に
母親を捜す旅をしようなんて
前(香取慎吾)が提案する必要があるの?友達とのつき合い方を示すエピソードとして
洋介(真木蔵人)の話を出すのはいいけど
なんでちゃんと前振りをしておかないの?とにかくこのドラマも
「婚外恋愛」みたいにロジカルじゃない。
目先の展開しか考えていない感じ。ここのところずっと出てる
スマスマキャラも意味ないし。笑えないし。拳(加藤浩次)の
“もしかして電撃入籍とか?”
というセリフだけは笑えたけどね。こんないい加減な作りで最終回を迎えて
感動できるんだろうか?
いいのか、ムリに感動しなくても(笑)採点 5.5(10点満点平均6)
『人にやさしく』 第11話演出:澤田鎌作
原案:鈴木おさむ
脚本:いずみ吉紘分かり切ってたことだけど、
恐ろしくオーソドックスな締め方(笑)みんな自分の夢に向かって歩き出しましたとさ。
というオチはまあいいとして、
花子(小西真奈美)が今になって
やっぱり太朗(松岡充)が好きでしたっていうのはどうよ。
最後に体裁を整えただけじゃん(笑)あと、このドラマの決定的なミスは
日向(陣内孝則)の存在と、
それに絡めた明(須賀健太)の父親の問題。
これがもう少しまともな作りだったら
まだ何とかカタチになったのになあ。大量のエキストラを使ったいくつかのシーンは
前(香取慎吾)の人間性と、
友達の大切さ、仲間のありがたさを表す
具体的な描写として認めてはいるんだけどね。それにしても…
視聴率は高いのに(平均21.35%)、
作品のクオリティーは高くないという
典型的なドラマになってしまった。たまーにドラマを見る人がこういう作品を見て
ドラマってやっぱりくだらねえじゃん
とか思うんだろうなあ。
…ちょっと悲しい。
採点 5.5(10点満点平均6)
脚本 ★★☆☆☆
演出 ★★★☆☆
配役 ★★★☆☆
主題歌 ★★★★☆
音楽 ★★★★☆
新鮮さ ★☆☆☆☆
話題性 ★★★★☆平均採点 6.41(10点満点平均6)
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