タイトル■ドラマは何でも教えてくれる
書き手 ■ロビー田中

放映中のTVドラマを“ほぼすべて”見ている、
驚異のドラマ通による、ドラマに関するコラム。

“TVドラマなんかくだらない”と言う人に、
あえて反論するつもりはありません。ただ、
“すべてのTVドラマがくだらないわけでは
ない”とだけ言っておきます。これからも僕は
TVドラマを見続けていくでしょう」(田中)

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『3年B組金八先生』 

プロデュース:柳井満
主題歌:「まっすぐの唄」海援隊
音楽:城之内ミサ
演出:福沢克雄
原作・脚本:小山内美江子
制作:TBSエンタテイメント
出演:武田鉄矢、佐野泰臣、星野真里、岡あゆみ、上戸彩、斎藤祥太、
   茅島成美、森田順平、金田明夫、山崎銀之丞、小西美帆、高畑淳子、
   木場勝己、鈴木正幸、柴俊夫、吉行和子、リリィ、他





『3年B組金八先生』 第12話

途中からだと感想が書きにくいなあ。
とりあえず今回だけのことを書くと
もう少し構成を変えた方が良かった感じ。

あの坊主エピソードは
三船美佳が主演した映画「友情-FRIENDSHIP」を
もとにしてると思うけど、
(大もとはアメリカの実話)
その構成がね…。

何か、健次郎(風間俊介)がみんなを
煽ったようにも受け取れるし…。
いきなり病室の場面で良かったんじゃないかな。

あと、火事のシーンも
もう少しスッキリみせた方が効果的だったかも。
迫力はあったけど
あそこまでやると現実離れして見えてしまう。

やっぱり金八シリーズは
武田鉄矢が語ってナンボだな。

             採点  5.5(10点満点平均6)




『3年B組金八先生』 第13回

演出:三城真一
原作・脚本:小山内美江子

問題が山積みの今シリーズ。
リストラで父親が自殺を図る
という生徒まで出てきてしまった。

最初はテーマが盛りだくさん過ぎるのでは、と思ったけど、
金八のセリフにあった
“どんな状況の中にあっても、自分の頭で考え、自分で行動し、
活路を見出す子供たちを育てる。そんな時代になったんだよ”
ということを表したのかったのかもしれない。
だから意識的に多くの問題を取り入れたのかも…。

そんないろいろな問題が並行して描かれた今回。
かなり見応えがあった。

まずは前回の火事でとりあえずの収束をみた
今井儀(斎藤祥太)の問題。
やっと「キッズ・ウォー」の斎藤祥太を起用した意味が出た。
序盤はかなりもの足りなかったからね。
あの立志の誓いの演説は良かった。

信太宏文(辻本祐樹)の問題も
長引きそうだけど気になる。
今回は義理の妹を怒ろうとして
思い止まるところがせつなかった。

そして今シリーズの最大の目玉ともいえる
鶴本直(上戸彩)の性同一性障害の問題。
ついに大きく動き出してきたという感じ。

現状の解説役でもある精神科医を演じるのは利重剛。
金八シリーズの脚本家、小山内美江子の実の息子だ。
こういう親子共演もいいな。

上戸彩はこの難しい役をよく演じてると思う。
男になりすましてハセケン(加藤成亮)に送っている
メールを読む時の声がいい。
実際に声が低くなってしまったと、
「はなまるカフェ」で言っていたっけ。

受験という金八では恒例の行事を進めながら
多くの問題をどう扱っていくか…
これからは目が離せない。

              採点  7.0(10点満点平均6)




『3年B組金八先生』 第14回

演出:加藤新
原作・脚本:小山内美江子


直(上戸彩)の問題は
やっぱりかなり時間をかけて描いている。
時間をかけることにも意味があるからな。
もちろん、幸作(佐野泰臣)の問題も。

どの問題をどういうタイミングで
どう解決(?)していくか。
全体の構成が難しいところだ。

しかも、受験の話を無視はできない。
時間がなくなって
最後は2時間SPの連発だったりして…

             採点  6.5(10点満点平均6)




『3年B組金八先生』 第15回

演出:福澤克雄
原作・脚本:小山内美江子

美由紀(高松いく)の問題は
意外とあっさり解決してしまったけど、
新たな話題も出てきたらまあいっか。

受験にからめて
主任(杉田光)と陽子(中分舞)の関係、
カッシー(佐々木和徳)と奈津美(谷口響子)の関係
に変化が出たけど、これは現3Bの
キャラが立つ意味ではいいんじゃないかな。
ここまで旧3Bが少し活躍しすぎてたから。

直(上戸彩)へのカウンセリングを
毎週少しずつ入れていくのはいい展開。
このことで視聴者も
性同一性障害に関する理解を深めることができる。

とはいっても今回は
直が美紀(森田このみ)を
かばったシーンが秀逸だった。
上戸彩も完全にキャラを自分のものにしたな。

最終的に3B全員がどう直を受け入れるか、
今から楽しみだ。

             採点  6.5(10点満点平均6)




『3年B組金八先生』 第16回

演出:三城真一
原作・脚本:小山内美江子

毎シリーズあることだけど
受験の合否に関する話は
それなりにせつないものがあるな。
最後の金八の語りはそういう意味でも
グッとくるものがあった。

ところで、
繭子(佐藤めぐみ)にいよいよスポットが…。
そういえば政則(東新良和)に関するエピソードは
直(上戸彩)の話と同じくらい
今シリーズでは重い問題だもんね。

政則と、政則の姉の面影を持つ繭子との
関係を近づけておいて
終盤で一気に盛り上げていく展開か。

ちなみに、この繭子役をやってる佐藤めぐみは
カロリーメイトのCM、模擬試験編で
チビノリダーが「Beautiful 美しい」って思う子ね。
すでにアイドルの軌道に乗っている子だから
ブレイクは間違いなし(!?)
ちはる(岡あゆみ)と共に応援していこう(笑)

受験シーズンが終わった後の展開に
今から期待している今日この頃。

             採点  6.5(10点満点平均)




『3年B組金八先生』 第17回

演出:加藤新
原作・脚本:小山内美江子

ここへきて出会い系サイトの問題を取り上げるのは
さすがに詰め込み過ぎでは…、と思ったけど、
かなり説得力のあるまとめ方だったと思う。

やっぱり金八がマジで説教すると凄みがあるな。
しかも、武田鉄矢が年齢を重ねるごとに
その説得力は格段に増している。
今は武田鉄矢自身が脚本に手を加えて
自分の言葉にしているところもあるらしいし。

後半は信太(辻本祐樹)の問題。
すべてがクリアになったわけじゃないけど、
とりあえず解決の糸口を見せた格好だ。

こういったいろいろな問題に
直(上戸彩)の気持ちの揺れをからめる展開もいい。

そして、来週からいよいよ
今クールのクライマックスが始まる。
タイトルは「直と政則1」だ(正確にはローマ数字の1)

このシリーズは直と政則(東新良和)が
転校してくるところから始まった。
ふたつの問題を別々にではなく
同時に盛り上げていく展開らしい。

内容が重たくなるのは必至。
でもすごく期待できる。
演出は福澤克雄だ。

            採点  7.0(10点満点平均6)




『3年B組金八先生』 第18回

演出:福澤克雄
原作・脚本:小山内美江子

もう「金八」の範囲を越えてる感じ。
パート5はまだイジメや不登校の問題を
家庭環境とからめていたけど、
今回の政則(東新良和)の問題は
集団レイプ、殺人、その興味本位なマスコミ報道など
教室を飛び出した内容が多いからね。

もちろん、そういうことも
中学生のうちから考えなくてはいけない時代に
なってしまったんだろうけど…。

ただ、実際、中学生がこれを見た場合、
どう考えるのかは非常に興味深い。

金八は政則に
“生きてあいつを許すな”と諭したけど、
姉は集団レイプされて死に、
教師である父親は事件に関わる教え子を刺し殺した。
それでもマスコミは姉を不純女子高生と報道し、
犯人は週刊誌に嘘を話してのうのうと暮らしている。
そんな中学生を見て、
復讐もひとつの手段、と考えてしまうのではないか。

そう思わないようなまとめ方をするんだろうね、やっぱり。
アメリカが国をあげて復讐をしている
ニュース映像を見たばかりの中学生に対して…。

直(上戸彩)の問題も一緒に描いていることが
その方法論のひとつなのか。

今回の金八シリーズ。
登り始めた山は想像以上に険しい。

             採点  8.0(10点満点平均6)




『3年B組金八先生』 第19回

演出:福澤克雄
原作・脚本:小山内美江子

連ドラというのは1週間のブランクがあるから
その間に冷静になれるというメリットもある。
とくに今回の金八のような重たいテーマの場合には。

第18話を見終わった時点では
これをどう片づけるつもりなのかと思ったけど、
この第19話は実に金八らしいまとめ方だった。
(まだすべてが解決したわけではないけど)

金八らしいということは
きれいごと過ぎるということでもあるんだけど、
それでもこれだけ説得力を持たせるということは
今まで継続してきたこの金八シリーズの力なんだろうな。

金八シリーズに関しては
世代によって、パート2最高傑作論と
パート5最高傑作論に分かれると思う。
でも個人的には、すでに
パート5は越えているような気がする。

まあ、パート5はかなりパート2を
意識した作りになっていたからね。
その点でこのパート6は
新しい時代への挑戦というか、
覚悟が感じられる。

それにしても直(上戸彩)の涙は美し過ぎ。
そこがまたドラマということを見ている側に意識させて
ホッとできる部分でもあるんだけど…

             採点  8.0(10点満点平均6)




『3年B組金八先生』 第20回

演出:加藤新
原作・脚本:小山内美江子

とりあえず政則(東新良和)の問題は収束。
ディベートのシーンはやっぱり金八なので
生徒の発言はセリフを読んでいる感じだったけど、
結論への持っていき方はあれが一番正しいんじゃないかな。

最後に武田鉄矢がきちんとまとめていたから
それなりに締まったシーンになったし…

で、残るは直(上戸彩)。
こちらの性同一性障害の問題は、
社会的な認識が低いこともあって
わざと時間をかけているところがいい。

そして来週は単独で「鶴本直1」だ。
その次が2時間スペシャルなので
ここで「鶴本直2」をやるはず。
パート6、最大のクライマックスか。

見逃すわけにはいかない。

             採点  7.0(10点満点平均6)




『3年B組金八先生』 第22回

演出:三城真一
原作・脚本:小山内美江子

見逃すわけにいかない、
と思っていた第21回「鶴本直1」を
見逃してしまった!

何年ぶりかのビデオ撮り失敗。
一番いいところだったのに(泣)

…仕方がない。
ビデオ化されたら見よう。

とりあえず今回でほとんどの問題が解決。
最後まで抵抗していたミッチー(川嶋義一)も
金八の父親代わりの抱擁でいい子になった。

そして最後は
ずっと対立していた校長(木場勝巳)の問題と
それに付随する金八の移動問題。

こういう教育者側の様々な考えまで盛り込むあたりが
今回の「金八」のスゴイところだね。

いや、スゴイっていうのは
教育現場は問題山積みなんだよ!
という示し方が。

小山内美江子は普段から
教育現場を取材してるらしいけど、
取材すればするほど取り上げたい問題が
出てきちゃうのかもしれないね。
次のシリーズは
今回よりさらに問題山積みだったりして…

ところで今回、
一番泣けたのは北先生(金田明夫)が
金八の家を訪れたシーン。

教育問題とは直接関係ないけど
先生って仕事も大変だな、と
感情移入できるシーンだった。

さて、次回は最終回。
恒例の涙、涙の卒業式になるのか?

             採点  7.0(10点満点平均6)


『3年B組金八先生』 最終回

演出:福澤克雄
原作・脚本:小山内美江子

波乱の卒業式と、
校長(木場勝巳)なりの
ゆとり教育に対する懸念については
かなり見応えがあった。

とくに直(上戸彩)の卒業証書授与と答辞、
それから会議室のシーンは良かったなあ。
北先生(金田明夫)のささやかな反抗もあったし…

ただ、終盤はややダレ気味。
毎回、金八から生徒ひとりひとりへの贈る言葉は
武田鉄矢から、半年間、生徒役として頑張った
若い役者たちへの言葉に近いからね。
よほどのことがない限り、見ている方は冷める。

しかもソーラン節までオマケについてたからなあ。
まあ、そのあたりは大目に見るしかないか。

…で、
最終回まで見終わった感想は、
数多くの問題を
それなりにうまくまとめていたと思う。

もちろん、理想論であり、
(これが理想ではないと思う人も当然いるはずだけど)
現実はそれほどうまくいかないとは思う。
でも「金八」はこれでいいと思う。

ただ、意外にも校長の問題は深かった。
だったらもっと前半から
校長の考えを細かく描いて欲しかった、
と思う反面、
これが次シリーズへの布石なのかな
という気もした。

どうせなら次は、
22年に渡る金八の教えは本当に正しかったのか?
という検証までやって欲しい。
全否定して全肯定?
それをやったらすごいなあ、このシリーズも。

あと気になったのは卒業生の出し方。
ちょっとゲスト出演くらいならいいけど、
今回のパート5卒業生のような扱いは
いくら人気シリーズだったとはいえ
しつこい感じがした。

とくにこの最終回の
教室にまで乗り込んで現3Bに指示をするというのは
いくらなんでもやりすぎだと思う。

芝居慣れしていない素人っぽい子を
ほとんどの生徒役にあてるという
このシリーズのスタンスは、
基本的に好きではないんだけど、
ドラマ史においてこの作品は
やっぱり無視できないものだ。

どういう方向へ進んでいくかは分からないけど
次シリーズを期待して待とう。

             採点  7.0(10点満点平均6)

                  脚本  ★★★★☆
                  演出  ★★★☆☆
                  配役  ★★★☆☆
                  主題歌 ★★☆☆☆
                  音楽  ★★☆☆☆
                  新鮮さ ★★★☆☆
                  話題性 ★★★☆☆





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