タイトル■ドラマは何でも教えてくれる
書き手 ■ロビー田中
放映中のTVドラマを“ほぼすべて”見ている、
驚異のドラマ通による、ドラマに関するコラム。
「“TVドラマなんかくだらない”と言う人に、
あえて反論するつもりはありません。ただ、
“すべてのTVドラマがくだらないわけでは
ない”とだけ言っておきます。これからも僕は
TVドラマを見続けていくでしょう」(田中)
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『幸福の王子』 7/2〜
日テレ系 水曜10時 期待度 ★★☆☆☆
三角関係の悲恋を
回想の形で描く物語。菅野美穂、本木雅弘、渡部篤郎と
キャスティングは面白そう。結末を最初に見せて
そこへ至るまでの様子を描くドラマなので、
各シーンの精度が勝負になりそう。ワクワクする感じはないけど、見ておくか?
『幸福の王子』 第一章チーフプロデュース:梅原幹
プロデュース:大平太、太田雅晴(5年D組)
演出:猪股隆一
脚本:遊川和彦
音楽プロデュース:仲西匡
音楽:山川恵津子
主題歌:「Drawing」Mr.Children
制作協力:5年D組
制作:日本テレビ
出演:本木雅弘、渡部篤郎、菅野美穂、坂下千里子、綾瀬はるか、
井森美幸、平泉成、松原智恵子、他単純に冒頭で結末を見せる構成ではなく、
この初回全体を使って(しかも一週間さかのぼる方法で)
結末を示すやり方は効果的だった。今後は病室での良介(渡部篤郎)と繭(綾瀬はるか)が
ストーリーテラーの役割を担う感じ。
予想以上に綾瀬はるかは大きな役だったな。
どこかで周平(本木雅弘)と接点もあるみたいだし…。初回にインパクトがあっただけに、
結末が分かっている過去のエピソードで
どこまで盛り上げられるかが見どころ。坂下千里子に若干の不安はあるけど、
本木、渡部、菅野の演技に期待してみよう。それにしても、
綾瀬はるかの母親役に井森美幸っていうのが
すごくハマってたなあ。確かに親子的な似方をしてたんだよな、
綾瀬はるかは嬉しくないだろうけど(笑)採点 7.0(10点満点平均6)
『幸福の王子』 第二章演出:猪股隆一
脚本:遊川和彦あまり重たくならないように、
途中で何度か時間軸の現在である
繭(綾瀬はるか)のシーンを入れるのはいい。
“何で携帯電話使わないの”はいらなかったけど。あとは周平(本木雅弘)が転落していくエピソードだろうな。
今回は当時大学生だった良介(渡部篤郎)の策略ということで
多少子供じみた出来事による不幸でも許せたけど、
毎回こんなお約束のエピソードでは苦しい。まあ、“ひとごろし”と書かれたノートや、
則子(坂下千里子)も今は裕福な暮らしをしてないことなど、
複雑なエピソードを用意してある感じはする。
じっくりと見てみよう。採点 6.5(10点満点平均6)
『幸福の王子』 第三章演出:池田健司
脚本:遊川和彦周平(本木雅弘)との別れに
良介(渡部篤郎)の策略が関与していたことを
海(菅野美穂)が早めに知った展開は、
見ていてストレスが溜まらなくて良かった。それにしても良介は悪魔だな。
海をレイプしてたよ。現在の良介はすべてを後悔し、
まともに働いているようだけど、
今後、その変化がうまく描けないと
お前が過去を冷静に振り返るなよ!
ということになってしまうので、
ここはしっかり描いて欲しい。あと、繭(綾瀬はるか)が周平に見覚えがあることは
初回で軽く触れられていたけど、
やはり繭の母親(井森美幸)にも
周平との接点はありそう。ストーリーを完全に作ってから収録するタイプの作品なので
このあたりの前振りは丁寧だ。採点 6.5(10点満点平均6)
『幸福の王子』 第四章演出:池田健司
脚本:遊川和彦とりあえず周平(本木雅弘)のヤケドの原因が
良介(渡部篤郎)の放火じゃなくてよかった(笑)そして今回ついに繭(綾瀬はるか)の母親(井森美幸)が
周平と小学校で同級生だったことが明かされる。…小学校!?
まさかそれだけが接点じゃないよね?
なんか心配になってきたなあ。あと今回は、
やたら説明っぽいセリフが多かったのも気になった。もともと良介が繭に過去を語る形で進むので
説明っぽくなるのは仕方ないんだけど、
時間軸の過去のセリフまで説明っぽくなると
ストーリーとの距離を感じてしまう。過去に流行ったものや時事的な出来事を
ムリヤリ入れるのもストーリーにのめり込めない要因。もう少しスムーズに周平、良介、海(菅野美穂)の過去に
浸りたい感じはするな。採点 6.0(10点満点平均6)
『幸福の王子』 第五章演出:長沼誠
脚本:遊川和彦今回は携帯電話と家なき子か…。
それはまあいいとして、
セリフが多くなったらやっぱり坂下千里子はダメだったなあ。
コントっぽかった。あと、回想が始まる時に必ず
“最初から話してよ!”って入れるのはクドイな。その回の見どころを予告するような意味があるんだろうけど、
何度もやるとしつこい気がする。でも、次回に期待させる終わり方ではあった。
赤ちゃんも可愛かったし。採点 6.5(10点満点平均6)
『幸福の王子』 第六章演出:猪股隆一
脚本:遊川和彦面白くなってきたぞ。
良介(渡部篤郎)も徐々に変わってきてる感じだし。あと、やっぱり繭(綾瀬はるか)と母親(井森美幸)も
周平(本木雅弘)ともっと深い関係がありそう。
普通に考えれば周平の子供の頃のノートに
「ひとごろし」と書いたのは井森美幸だと思うけど。ただ、周平が繭の父親ってことはないはず。
年齢設定的に周平はもう大学生になっているので、
もしそうなら少なくとも良介は知ってないとおかしいし。幸せな家族を築きたいと思っていた周平が
海(菅野美穂)と朝まで一緒に過ごしてしまった心の動きは
もう少し丁寧に描いて欲しかった気もする。採点 7.0(10点満点平均6)
『幸福の王子』 第七章演出:猪股隆一
脚本:遊川和彦井森美幸との関係は引っ張るなあ。
やっぱり繭(綾瀬はるか)は
周平(本木雅弘)の子供なのかなあ。“アンタに会ったのは偶然じゃない。運命だったの”
と井森美幸が繭に言った時の
良介(渡部篤郎)のリアクションを見ると、
それも否定できなくなってきた。今回、則子(坂下千里子)が大きな行動に出たけど、
則子が周平を愛しているという描写がしばらくなかったので、
ここはちょっと唐突な感じがした。最初からなかったのか、
坂下千里子の演技力を見て
出番が少なくなっていたのか、
非常に興味があるところだ。ストーリー的には則子の行動も
違和感なかったけどね。物語としてはここまで破綻なく進んでいると思う。
ただ、最終回まで見終わった時、
どういう印象が残るのか。
それが問題だ。採点 7.0(10点満点平均6)
『幸福の王子』 第八章演出:池田健司
脚本:遊川和彦あら、また最初に戻っちゃった感じ。
運命に翻弄される話は別にかまわないんだけど、
明らかに他人の策略が絡むと面白くないんだよなあ。則子(坂下千里子)の新しい男の登場も唐突。
やっぱり則子がらみのエピソードは
かなり端折ってるのかもしれない。井森美幸の話はまた次回に持ち越しで、
そうこうしているうちに繭(綾瀬はるか)が急変してしまう。
あれはきっと井森美幸の金切り声で具合が悪くなったんだろうな(笑)採点 6.5(10点満点平均6)
『幸福の王子』 第九章演出:長沼誠
脚本:遊川和彦いくらヤケになって生きていたからって
周平(本木雅弘)の乱暴な振る舞いとか、
拳銃の運び屋までやる姿にはムリがあるよなあ。あと、海(菅野美穂)の両親のキャラもよく分からない。
何年にも渡って描かれている物語だけど、
性格に統一感がない感じ。まあ、あれだけ拳銃で撃ち抜かれたのに
普通に目を覚ました周平には一番驚いたけどね。採点 6.0(10点満点平均6)
『幸福の王子』 第十章演出:猪股隆一
脚本:遊川和彦菅野美穂スペシャルか。
でも怒鳴ったあと我に返る表情なんか、
さすが菅野美穂って感じだったな。話が分散しなかったこともあって
今回はかなり見やすかった。
そのかわり繭(綾瀬はるか)親子と
周平(本木雅弘)たちの接点は最終回に持ち越し。このエピソード次第だろうな、
最終回がどこまで盛り上がるかは。採点 7.0(10点満点平均6)
『幸福の王子』 最終章演出:猪股隆一
脚本:遊川和彦何だかなあ。
最初から組み立てられていたはずのプロットも
こうして最後まで見るとかなり穴が多かった感じ。まず、最後まで引っ張った桃子(井森美幸)との関係が
あれだけってのがシラけた。
繭(綾瀬はるか)が周平(本木雅弘)と海(菅野美穂)の
キューピットだったというのはアリだとしても、
だったら繭の“どこかで会ったことがある気がする”
という前振りにはムリがあるし。そもそも周平が本当に「幸福の王子」なのかどうかすら
振り返ってみると疑問に思えてしまう。海の願いを聞き入れて周平自身が海を殺していたわけだけど、
周平は繭親子を救うために
ヤミ金の連中も大勢撃ち殺してるしな。
もう少し別の描き方があった気もするけど…。ていうか、そもそも良介(渡部篤郎)がいなければ
周平と海は幸せに暮らせたわけだしな。
繭にすべてを話すことで良介が懺悔するという
この物語の根本的な設定も、
良介の罪と周平・海の関係が近すぎたために
受け入れにくいものだった。つーかさ、あの臓器移植はダメじゃん。
いくらタイトルが「幸福の王子」だからって
ダメダメじゃん。いずれにしても
見終わったあとにかなりイヤな気分になるドラマだった。採点 5.0(10点満点平均6)
脚本 ★★☆☆☆
演出 ★★★☆☆
配役 ★★★☆☆
主題歌 ★★★☆☆
音楽 ★★☆☆☆
新鮮さ ★★☆☆☆
話題性 ★★☆☆☆平均採点 6.45(10点満点平均6)