タイトル■ドラマは何でも教えてくれる
書き手 ■ロビー田中
放映中のTVドラマを“ほぼすべて”見ている、
驚異のドラマ通による、ドラマに関するコラム。
「“TVドラマなんかくだらない”と言う人に、
あえて反論するつもりはありません。ただ、
“すべてのTVドラマがくだらないわけでは
ない”とだけ言っておきます。これからも僕は
TVドラマを見続けていくでしょう」(田中)
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『共犯者』 10/15〜
日テレ系 水曜10時 期待度 ★☆☆☆☆浅野温子と三上博史が「世界で一番君が好き!」以来、
13年ぶりに共演するラブサスペンス。殺人を犯し時効まで3ヶ月と迫ったOLの前に
秘密を守る代償として同棲を強要する男が現れる。内容の問題ではなく、
見ている側が浅野温子の芝居に耐えられるかどうかが問題。
『共犯者』 第1話チーフプロデュース:梅原幹
プロデュース:伊藤響、北島和久、大塚秦之
演出:大谷太郎
脚本:秦建日子
音楽:吉川慶、AUDIO HIGHS
オープニングテーマ:「HIGH CRIME」川口大輔
エンディングテーマ:「琥珀の月」Skoop On Somebody
制作:日本テレビ
制作協力:三城
出演:浅野温子、三上博史、池内博之、奥菜恵、佐野史郎、石橋蓮司、
吹越満、中山忍、有坂来瞳、小野真弓、松尾れい子、はしのえみ、
加賀美早紀、佐藤二朗、さとう珠緒、乙葉、川端竜太、宇梶剛士、
栗田よう子、松重豊、黒部進、他サスペンスの作りとしては
「あなたの隣に誰かいる」よりずっと本格的で
初回からかなり引き込まれた。男(三上博史)がどういう経路で
冬川(浅野温子)に辿り着いたのか、
どこから情報を得ているのか、というあたりを
まわりに怪しい人物を出しつつ興味を持たせ、
いきなり新たな殺人を起こさせたのは
展開として抜群に面白かった。…ただ、やっぱり浅野温子がなあ。
大きな声を出した時のあの大袈裟な演技は何とかならんか。そこさえ気をつけてくれれば
かなり楽しめそうだ。採点 7.0(10点満点平均6)
『共犯者』 第2話演出:大谷太郎
脚本:秦建日子ドラマの作りとしては相当面白い。
誰と誰がつながっているのか、
別の意味の共犯者は他にもいそう。演出も凝っていて
映像的にも見ごたえがある。
サスペンスとしての怖さも十分出ているし。まあ、一番怖いのは
半分だけ開けた浅野温子の目だけどね(笑)採点 7.0(10点満点平均6)
『共犯者』 第3話
演出:大谷太郎
脚本:秦建日子面白いなあ。
しかも次回への惹きも抜群だしな。防犯ビデオに映っているのは誰か?
舞(奥菜恵)がデータベースで確認したのは何か?
中尾常務(佐野史郎)に
冬川(浅野温子)の行動を報告してるのは誰か?
早く先が見たいぞ!さて、ここまで殺されているのは、
中山忍、乙葉、さとう珠緒…。豪華なのか豪華じゃないのかよく分からないけど(笑)、
次は加賀美早紀か?
ラインナップからいくと、はしのえみも危なそう。
ていうか、みんな殺されそう。それも愛か?
採点 7.5(10点満点平均6)
『共犯者』 第4話演出:大谷太郎
脚本:秦建日子謎はますます深まってきた。
防犯ビデオに映っていたのは
冬川(浅野温子)にそっくりな女だった。時計を持っていたマサト(三上博史)が仕組んだことと
素直に考えていいのか?確かにマサトが塔山紗江(中山忍)の
関係者であるらしいシーンが出てきたので、
壮大な復習という可能性も出てきた。
しかし、こんなに早く出てきたエピソードが
真実であるとは考えにくいし…。希(加賀美早紀)が殺されなかったことも
ストーリー全体を考えると非常に興味深い。
冬川側の共犯者になれる可能性も出てきたからだ。ラストで殺されかかった小林(吹越満)でさえ、
まだ共犯者として生き残る道もある。
となると、密かに殺され度が高かった
コンビニ店員(佐藤二朗)だって分からない。そしてもうひとつ忘れてはいけないのは、
三上博史の名前がウエヤマサトだったこと。
これは塔山紗江(トウヤマサエ)のアナグラムになっている。単にマサトが
紗江の関係者であることを冬川に示すための偽名なのか。
それとも…。
まさか…。「共犯者」というタイトルの意味は
予想以上に深いかもしれない。採点 8.0(10点満点平均6)
『共犯者』 第5話演出:大谷太郎
脚本:秦建日子やっぱりイヤな予感は当たってしまったよう。
小林(吹越満)が感じた本当の恐怖。
冬川(浅野温子)とマサト(三上博史)に共通するツメを噛む癖。
マサトと中尾常務(佐野史郎)の対峙。
そして、ウエイトレスには見えていないマサトの姿。これがサスペンスにおいてアリなのかどうかという問題は残るけど、
時効間近の人間の圧倒的な孤独を描いた物語としては
アリなのかもしれない。少なくともこのドラマの仕組みが分かった今でも
作品のクオリティーが下がっているとは思えないし…。これで興味は塔山紗江(中山忍)殺人事件の真相に移った。
冬川の真の共犯者はやはり中尾常務なのか?中尾常務に内通していた恭子(松尾れい子)、
冬川の孤独を知っている希(加賀美早紀)、
小田広海(乙葉)殺人事件の真相を暴こうとする大村(はしのえみ)、
彼女たちの運命は?次回への惹きは依然として強烈だ。
採点 7.5(10点満点平均6)
『共犯者』 第6話演出:大谷太郎
脚本:秦建日子塔山紗江(中山忍)殺人事件の共犯者、
中尾常務(佐野史郎)が殺された。この最後のシーンは
非常によく考えられた演出だったと思う。
ウエヤマサト(三上博史)の真相に
気がついた人とそうでない人では
大きく見方が変わると思うけど…。今回は証拠のビデオが見つからない課程が
各登場人物の心理を
様々な面から見せることにつながっていて、
かなり面白かった。あと、希(加賀美早紀)のキャラもいい。
彼女が唯一、冬川(浅野温子)に殺されたいと願っていて、
冬川はその彼女を殺していない。
どこかで“使える”と思っているからなのか?何かここまでくると
冬川に逃げ切って欲しい気さえしてきたけど、
それじゃ本当の意味で冬川は救われないもんな。上質な人間ドラマとして締めくくって欲しい。
採点 7.5(10点満点平均6)
『共犯者』 第7話演出:大谷太郎
脚本:秦建日子高杉(池内博之)も沢井(松尾れい子)も
マサト(三上博史)を知っていること、
警察が冬川(浅野温子)の部屋を張っていても
マサトが外にいることなど、
今回はかなりハッキリと
作品の仕組みを提示する描写があった。ガンガン攻めに転じたブラック冬川は
相当迫力があったな。脇では希(加賀美早紀)だけでなく、
小林(吹越満)の動向もかなり興味深い。
拘置所にいる限り殺されないんだけど、
大村(はしのえみ)があっと言う間に狙われてはビビるよな。芯となる構成には賛否両論あるだえろうけど、
肉付けのストーリーが丁寧であることが
この作品を上質なものにしている。採点 7.5(10点満点平均6)
『共犯者』 第8話演出:大谷太郎
脚本:秦建日子塔山紗江(中山忍)には昔、恋人がいた。
その人物はあの海で死んだということになっているけど、
遺体は見つかっていない。
これは警察が言っていることなのでおそらく本当だろう。でも、そこから導き出される壮大な復習というストーリーは
やっぱりフェイクだろうな。“僕の言ってる誤解はそういう意味じゃない。
君は僕を殺せない”新たに分かったことは、
15年前、冬川(浅野温子)と中尾(佐野史郎)が
横領のたぐいの金銭トラブルを起こしていること。そして中尾と小林(吹越満)の間には
15年前から接点があったらしいこと。塔山紗江殺害の真相は
この金銭トラブルに関係があると考えるのが妥当だろうな。
冬川からすべてが漏れることを恐れた中尾が
冬川を見張ろうとしても不思議ではないし。“本当のこと、言った方がいいの?
それとも何も知らずにいるのが
美咲さんの幸せなの?”この希(加賀美早紀)のセリフは泣けた。
…と、このドラマの構成に関する考えを
変える気持ちはない(笑)採点 7.5(10点満点平均6)
『共犯者』 第9話演出:大谷太郎
脚本:秦建日子冬川(浅野温子)とマサト(三上博史)が
同じ部分にケガを追っていたことで、
もうこの作品の仕組みは確定的になった。エレベーターの前でマサトに会った小林(吹越満)が
“(警察は)あなたが私を殺すと思ってますよ”
と言ったのもその証明。ちなみに第1話、
初めて小林とマサトが会ったシーンもエレベーター前で、
その時、小林にはマサトの姿も見えていなかったし
声も聞こえていなかった。
冬川の方が前に出ていたから。もちろん、希(加賀美早紀)の
“私にもそういう人がいた”
という言葉もその事実を裏付けるもの。映像の時間軸がズレているだけで、
あとは本当にうまく演出されているなあ。ラストはやっぱり第1話のオープニングシーンに戻るのか。
よく考えたら海で死んだ塔山紗江(中山忍)の恋人のエピソードは
このシーンを意識したフェイクだったんだよな。うーん、最終回まで見たらまた1話から見直したい。
ていうか、これ再放送やビデオにすごい人気が集まりそう。
とにかく今は最終回をどう描くか楽しみだ。採点 8.0(10点満点平均6)
『共犯者』 最終話演出:大谷太郎
脚本:秦建日子このドラマの生命線だったとも言える
時間軸をずらしたシーンから始まった最終回。木場(石橋蓮司)と希(加賀美早紀)が
冬川(浅野温子)のお骨を海に撒いていたけど、
第1話のオープニングシーンは
海に漂う死んだマサト(三上博史)の映像だった。このドラマは最近の連ドラでは異例の
大谷太郎ひとりが10話すべてを演出した作品だったけど、
最初から最後まで演出に筋が通っていたというのが
全体のクオリティーを上げた大きな要因と言えるだろう。サスペンスというスタイルを取っていたドラマにおいて
冬川=マサトという構図が是か非かという問題は確かにあると思う。
ちなみに個人的には普通だったら明らかに非と答える。ただ、そのことを認識させる描写がかなり序盤からあったこと、
マサトを生み出す心理にかなり納得ができたこと、
そして何よりドラマとしてのエンターテイメント性は
十分に確保していたことなどから、
この作品に限っては是だったと感じている。もちろん、どの段階でこの構図に気がついたかによって
この作品に対する評価は変わるだろう。
最終回まで気がつかなかった人は裏切られた気持ちになるだろうし、
安易なオチでごまかされたとも感じるに違いない。
でもこれは1話からそれを前提にかなり細かく演出されているので
機会があったら最初から見直してみるとまた考えが変わるかもしれない。冬川=マサトであることは分かっていたけど、
最終回はいくらなんでも説明不足、と感じた人もいただろう。
……それは確かに少し感じた(笑)ちなみに、病院で木場とマサトがすれ違ったシーンに関しては
秦建日子が自分のHPでミスだったことを認めている。
ミスじゃ説明のしようがないか。でも、社長(黒部進)の心理や
中尾常務(佐野史郎)の関わりについては
もう少し説明があってもよかったのになあ。あと30分、いや15分でもいいから延長していれば
もっとスッキリとできたかもしれないのに…。いずれにしても、ドラマを見るスタンスによって
大きく評価が割れる作品であったことは間違いない。個人的には、時効間際の殺人者の心理を描いたドラマとして、
そしてその心理の基本的な構造は誰にでも共通するのでは?
という部分を描いたドラマとして、
かなりよく出来た作品だったと評価したい。採点 7.5(10点満点平均6)
脚本 ★★★★☆
演出 ★★★★★
配役 ★★★★★
主題歌 ★★★☆☆
音楽 ★★★★☆
新鮮さ ★★★☆☆
話題性 ★★☆☆☆平均採点 7.50(10点満点平均6)