タイトル■ドラマは何でも教えてくれる
書き手 ■ロビー田中

放映中のTVドラマを“ほぼすべて”見ている、
驚異のドラマ通による、ドラマに関するコラム。

“TVドラマなんかくだらない”と言う人に、
あえて反論するつもりはありません。ただ、
“すべてのTVドラマがくだらないわけでは
ない”とだけ言っておきます。これからも僕は
TVドラマを見続けていくでしょう」(田中)

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『白い巨塔』 10/9〜
フジ系 木曜10時  期待度 ★★★★☆

故・田宮二郎の遺作で
不朽の名作と語り継がれている作品を
25年ぶりに連ドラ化。

財前五郎は唐沢寿明。里見修二は江口洋介。
通常の3ヶ月ではなく、
2クール、半年に渡って放送される。

「ブラックジャック」「Dr.コトー」と
重ための医療ドラマが続いているので
若い視聴者層には新鮮味なく感じられるかも。

ただ、脇も豪華な陣容で固めているので
丁寧でクオリティーの高い作品になることは間違いなさそう。





『白い巨塔』  第一話

制作統括:大多亮
企画:和田行
プロデュース:高橋萬彦、川上一夫
アソシエイトプロデュース:増本淳
演出:西谷弘
脚本:井上由美子
原作:山崎豊子「白い巨塔」
音楽:加古隆
主題歌:「アメイジング・グレイス」ヘイリー
制作:フジテレビ、共同テレビ
出演:唐沢寿明、江口洋介、石坂浩二、西田敏行、黒木瞳、矢田亜希子、
   水野真紀、上川達也、沢村一樹、及川光博、片岡孝太郎、伊武雅刀、
   若村麻由美、伊藤英明、西田尚美、野川由美子、池内淳子、かたせ梨乃、
   佐々木蔵之介、高畑淳子、他

まずは無難な滑り出しというところ。
最初から飛ばす話でもないしね。

結局、初回の視聴率は22%超え。
さすがにこれだけのビックタイトルになると
普段はドラマを見ない年齢層も見ている感じだ。

「白い巨塔」を真似たドラマはいくつもあったけど、
オリジナルのすごさをぜひ半年に渡って見せて欲しい。

             採点  6.5(10点満点平均6)




『白い巨塔』  第二話

演出:西谷弘
脚本:井上由美子

うーん、1話と変わらずの印象。
豪華なキャストの割には
強力に惹きつけるものがない感じ。
高畑淳子が一番キャラ立ちしてるくらいだからな。

もっとストーリーが進まないと
個人的には楽しめない気がしてきた。

             採点  6.5(10点満点平均6)




『白い巨塔』  第三話

演出:河野圭太
脚本:井上由美子

やっと面白くなってきた。
財前(唐沢寿明)と里見(江口洋介)の
キャラの違いも出てきたし。

25年前は里見を山本学が演じていて、
研究者タイプの内科医であることが
一見して分かったんだよな。

今回は唐沢より江口の方が背が高いことや
「救命病棟24時」の印象が強くて
最初は里見のキャラがハッキリしなかった。
回数を重ねてこの違いが出てきたのは大きいな。

この作品はまだまだ先があるので
新たな登場人物がここにうまくハマってくれれば
半年間楽しめそうだ。

             採点  7.0(10点満点平均6)




『白い巨塔』  第四話

演出:河野圭太
脚本:井上由美子

幸薄い役をやらせたら
今、木村多江の右に出る者はいない(笑)
菊川役で沢村一樹も登場し、
教授選に向けて盛り上がってきた感じだ。

でも今回の見どころはやっぱり
東教授(石坂浩二)の“チッ”だろうな。

東教授夫人(高畑淳子)と共に
今回は東家の動きが見ているものをワクワクさせた。

             採点  7.0(10点満点平均6)




『白い巨塔』  第五話

演出:西谷弘
脚本:井上由美子

大河内教授、キタ──────────!(笑)
田宮二郎版「白い巨塔」の時、
個人的に一番印象深かったのが大河内教授だったんだよね。

今回は品川徹か。
前は加藤嘉だった。
かっこよかったなあ、加藤嘉の大河内教授。

財前(唐沢寿明)にとっては
まさに目の上のたんこぶ。
今後の活躍に期待しよう。

             採点  7.0(10点満点平均6)




『白い巨塔』  第六話

演出:河野圭太
脚本:井上由美子

前回と今回の林田(木村多江)のエピソードで、
より財前(唐沢寿明)と里見(江口洋介)の
ポジションがハッキリした感じ。

トライアルの使命を持つ大学病院において
必ずしも2人が善悪にハッキリ分かれるわけではないことも
それなりに描けていたと思う。

教授選考会のシーンの鵜飼(伊武雅刀)が
個人的には今回一番印象に残った。

             採点  7.0(10点満点平均6)




『白い巨塔』  第七話

演出:村上正典
脚本:井上由美子

クラブ「アラジン」での
東教授(石坂浩二)と財前(唐沢寿明)、
ケイ子(黒木瞳)宅での
杏子(若村麻由美)とケイ子、
この2つの対峙が今回の見せ場だった。

そのシチュエーションもセリフも
最高に盛り上がっただけに、
かえって役者の演技に注目してしまった。

個人的には東・財前のシーンの最後、
財前の悔しがり方は軽すぎたと思うんだけど…。

せっかく豪華なキャストを揃えてるんだから
もっと重めの演出をして欲しいなあ。

             採点  7.0(10点満点平均6)






『白い巨塔』  第八話

演出:村上正典
脚本:井上由美子

いよいよ佐々木よし江(かたせ梨乃)が登場。
昔は確か中村玉緒だったよね。

ストーリー的には教授選と重なって
この佐々木夫妻が現れたのがポイント。
竹内(佐々木蔵之介)が言った
“マズイでしょ、今は”
は結構おかしかった。

東夫人(高畑淳子)に加え、
財前夫人(若村麻由美)もいい味を出してきた。
脇役の方が魅力あるように感じてしまう、
という状況は何とかならんかなあ。

             採点  6.5(10点満点平均6)




『白い巨塔』  第九話

演出:西谷弘
脚本:井上由美子

教授選がらみの攻防はかなり面白かった。
とくに東教授(石坂浩二)の感情が
むき出しになるシーンは見ごたえがあった。

その課程で菊川(沢村一樹)を推薦した
東都大学の船尾教授(中原丈雄)が
しっかり描かれていたのは重要。
この顔はちゃんと覚えておこう。

佐々木夫妻(田山涼成・かたせ梨乃)の
話の絡め方もバランスが良かった。

里見(江口洋介)が
“教授になるかならないかは
患者だけでなく自分にも関係ない。
ただ外科医として信頼している”
と財前(唐沢寿明)に告げたのも
里見と財前の関係を示す大事なセリフだった。

             採点  7.0(10点満点平均6)




『白い巨塔』  第十話

演出:村上正典
脚本:井上由美子

年内最後、第1部終了の回。
財前(唐沢寿明)と東教授(石坂浩二)の関係、
財前と鵜飼教授(伊武雅刀)の関係、
財前と里見(江口洋介)の関係、
東教授と夫人(高畑淳子)・佐枝子(矢田亜希子)の関係、
杏子(若村麻由美)とケイ子(黒木瞳)の関係、
それぞれに見せ場があって面白かった。

とくに東教授の最後の総回診シーン、
杏子とケイ子のバーのシーンは見ごたえ十分。
“こんなやり方で教授になった彼に
 将来は無いと思ってますよ。
 しかしこれからも財前君を見守っていきましょう。
 それが育てた者の義務ですからね”
“できればお葬式まで会いたくないわね”
みんな重たいセリフだった。

新年1発目は2時間スペシャル。
原作ではダッハウ強制収容所の場面を
テレビドラマで初めてアウシュビッツを使って撮影したらしい。
もうここからは見逃せない。

             採点  7.5(10点満点平均6)




『白い巨塔』  第十一話

演出:西谷弘
脚本:井上由美子

後半に向けて勢いをつける2時間スペシャル。
演出が全体的に良くて見ごたえがあった。

わずかなシーンでも
それぞれのキャラクターが立っていたのが印象的。
佐々木庸平(田山涼成)に関する対応も
今後の証拠になるシーンを効果的に入れていた。

それにしても
アウシュビッツの映像と佐々木庸平の急変を絡めながら
アメイジング・グレイスを流すのは反則だよなあ。

アメイジング・グレイスは奴隷売買までした人間が
それでも慈悲を与えてくれる神に感謝する歌だけど、
財前(唐沢寿明)の今後を思うと…。

どちらに進んでも地獄だった線路を
財前が歩いていくシーンは象徴的だった。

             採点  8.0(10点満点平均6)




『白い巨塔』  第十二話

演出:村上正典
脚本:井上由美子

いよいよ話は医療過誤裁判へ。
病院の廊下を歩くラストの上川隆也は格好良かった。

内容的には佐々木親子(かたせ梨乃・中村俊太)が
裁判を決意するまでが主だったので、
脇役の描き方にやや淡泊な印象はあった。
まあ、全話通してのメリハリは必要だからいいんだけど。

次回はついにベッシー、
じゃなかったミッチー登場か?

             採点  7.0(10点満点平均6)





『白い巨塔』  第十三話

演出:岩田和行
脚本:井上由美子

作品全体に若さを出すために、
河野弁護士ではなく国平弁護士(及川光博)を
前面に出して来たのかな。

それにしてもクールなミッチー。
もちろん踊ったりしないし。
でも修正液は…。

ストーリー的にはかなり面白くなってきた。

             採点  7.0(10点満点平均6)




『白い巨塔』  第十四話

演出:河野圭太
脚本:井上由美子

亀山(西田尚美)が柳原(伊藤英明)にやさしい言葉をかけた後、
柳原が“やっぱり大学病院に残りたい”と叫んで
部屋を出ていくシーンは中途半端だった。

あそこはもっと柳原の迷いを
しっかり描いた方がよかったんじゃないかな。

今回は全体的に各シーンにパワーがなかった。

             採点  6.5(10点満点平均6)




『白い巨塔』  第十五話

演出:村上正典
脚本:井上由美子

教授婦人会のシーンは笑える演出だったけど、
里見(江口洋介)の迷いと決意はよく描けていた。
ラストカットの里見は格好良かったし。

水野真紀も里見を最後に引き留めるシーンは頑張った。
久しぶりに美しいと思ったな、水野真紀のこと。

いよいよ裁判も山場だ。

             採点  7.0(10点満点平均6)




『白い巨塔』  第十六話

演出:西谷弘
脚本:井上由美子

かなりあっさりと第一審が結審。
医療裁判に関わる人の
内面的な部分にスポットを当てたような回だった。

ちょっと里見(江口洋介)を良く描きすぎた感じはあるけど、
佐枝子(矢田亜希子)と行った食堂のシーンが良かったからいっか。

亀山(西田尚美)も少ないシーンでキャラが立っていた。
いよいよ話は「続・白い巨塔」へ。

             採点  7.0(10点満点平均6)




『白い巨塔』  第十七話

演出:河野圭太
脚本:井上由美子

佐枝子(矢田亜希子)の里見(江口洋介)に対する想いは
それなりに描けていたと思う。

ただ、財前(唐沢寿明)絡みの演出がドラマチックすぎて
全体的にはかえって盛り上がりに欠けた感じ。

財前と里見が話すシーンも
もう少し深みを出して欲しかったな。

終盤に向けて盛り上げることができるのかちょっと心配。

             採点  6.5(10点満点平均6)




『白い巨塔』  第十八話

演出:村上正典
脚本:井上由美子

財前(唐沢寿明)も里見(江口洋介)も
自分のことばっかり考えてるから、
若村麻由美と水野真紀が他の人と結婚しちゃったじゃんか!
と、日本中の人が言ってます。
…水野真紀はまだか。

そんなことより、話はかなり変わってきてるけど
ラストはちゃんと感動できるんだろうか?

まあ、エンターテイメント性を重視するのはかまわないので
芯だけ外さずに進んでくれればいいんだけど…。

柳原(伊藤英明)と亀山(西田尚美)の描き方はいい。
そこに絡んで来る三浦理恵子もハマってると思うし。
人物をしっかり描いてくれれば文句は言わない。

             採点  7.0(10点満点平均6)




『白い巨塔』  第十九話

演出:西谷弘
脚本:井上由美子

ちょっと不安だった東(石坂浩二)の行動も
証言後の家族のシーンで何とかリカヴァー。
東が夫人(高畑淳子)を怒鳴った後、
声をオフにして木陰で寄り添うシーンはクサいけどホッとした。

対質尋問で関口(上川隆也)に詰め寄られた財前(唐沢寿明)は、
改めてその責任を柳原(伊藤英明)に押しつける展開に。
そしてついに法廷で柳原がキレた!
ここはさすがにカタルシスがあったな。

このドラマはエンディングロールに入る直前のラストカットが
ほとんどの場合いい。
だから見終わった印象がすごくいい。
うまいな。

             採点  7.5(10点満点平均6)




『白い巨塔』  第二十話

演出:河野圭太
脚本:井上由美子

里見(江口洋介)の最後の証言は良かった。
ただ、それ以外はかなりあっさりとした描き方だった。

とくに財前(唐沢寿明)がケイ子(黒木瞳)に
母を頼むと言うシーン。
あそこはもっと盛り上げてもよかったと思うけど。

そしてこの作品で何よりも重要な
財前が信頼できる医師は、結局、
里見と東(石坂浩二)しかいなかったという点。
ここで感動できなかった。
感動できる描き方をここまでほとんどしてこなかった。
オールドファンが今回のドラマ化で最も不満に思っていた点は
やっぱりここなんじゃないだろうか。

最終回はどんな盛り上げ方をするのか。
とりあえず注目してみよう。

             採点  6.5(10点満点平均6)




『白い巨塔』  最終回

演出:西谷弘
脚本:井上由美子

平成版の財前(唐沢寿明)はそれなりに描けていたと思う。
里見(江口洋介)のキャラも一貫していたという意味では悪くなかった。
ただ、この2人の関係性をうまく描いていたかというと
かなり疑問は残った。

財前が自ら里見の病院まで行って診察を受け、
自分自身の診断の正誤を確かめるシーン。
“…無念だ”と言って泣くシーン。
ここは確かに良かった。
でも、この場面と最後の病室シーンぐらいでは
やはり深みがなかった。
もっと前から2人をきちんと描いておかないと…。

関係性で言えば、
むしろ財前とケイ子(黒木瞳)の方が
うまく描けていたかもしれない。
だからこそ、最後で妻の杏子(若村麻由美)が光ったような気がする。
杏子はもう少し時間を割いて描いて欲しかったくらい良かったな。

時間を延長していた割には駆け足だった印象が強くて、
脇役まで細かく描けてはいなかったマイナス点もある。
まあ、それはしょうがないか。

華子(三浦理恵子)に至っては完全に黙殺されたけど、
これは次回の特別編で少しは触れるのかも。

全体的には母親(池内淳子)との関係が
ほとんど描かれなかったことが一番の不満点だった。
ここは財前の人間性を深めるためにも必要なエピソードだったと思う。

薄っぺらく感じてしまった要素としては
浪速大学の教授陣もそうだった。
基本的には腐敗した大学病院を舞台にしているので、
鵜飼(伊武雅刀)だけでなく、
もう少し他の教授陣にも厚みのあるキャスティングをして欲しかった。

キャスティングに関しては、
やっぱり又一が一番のネックだったかな。
3月5日に放送された報道特番「オウム10年目の真実」の中で
西田敏行が演じた捜査官がものすごく良かっただけに、
大阪弁の役をムリに引き受けなくても…、
という気がしてならなかった。

…とは言うものの、今の時代に
これだけの内容を2クールに渡って制作した意気込みは立派だったと思う。
超有名作品だっただけに、スタッフにもキャストにも
相当なプレッシャーはあったと思うし。

そういう意味では最終回の視聴率が田宮版の31.4%を超え、
32.1%(関西は39.9%)を記録できたのは、
最高のご褒美だったかもしれない。

             採点  7.0(10点満点平均6)

                  脚本  ★★★★☆
                  演出  ★★★★☆
                  配役  ★★★★☆
                  主題歌 ★★★★☆
                  音楽  ★★★★☆
                  新鮮さ ★★☆☆☆
                  話題性 ★★★★★

           平均採点  6.95(10点満点平均6)





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