タイトル■ドラマは何でも教えてくれる
書き手 ■ロビー田中

放映中のTVドラマを“ほぼすべて”見ている、
驚異のドラマ通による、ドラマに関するコラム。

“TVドラマなんかくだらない”と言う人に、
あえて反論するつもりはありません。ただ、
“すべてのTVドラマがくだらないわけでは
ない”とだけ言っておきます。これからも僕は
TVドラマを見続けていくでしょう」(田中)

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『ランチの女王』 

7/1〜
 フジ系 月曜9時  期待度 ★★☆☆☆

美男子ばかりの兄弟が切り盛りする洋食店に
ひとりの美女が現れ…、みたいな話。

美女というのは、竹内結子。
美男子兄弟というのは、
堤真一、江口洋介、妻夫木聡、山下智久。

これに山下の親友役で山田孝之、
店に出入りする八百屋の娘役で伊東美咲が登場する。

当初、脚本は
「きらきらひかる」「タブロイド」などの
井上由美子が担当するはずだったが、
ここへ来てすべての場所から名前が消えてしまった。
おそらく、何かの理由で降板した模様。

役者は豪華だけどかなり心配だ。



『ランチの女王』 第1話

プロデュース:山口雅俊、現王園佳正
演出:水田成英
脚本:二木結希
脚本協力:大森美香、橋口俊貴
主題歌:「ジョイ・トゥ・ザ・ワールド」スリー・ドッグ・ナイト
劇中歌:「森花処女林」井上陽水
制作:フジテレビ
出演:竹内結子、江口洋介、堤真一、妻夫木聡、山下智久、山田孝之、
   伊東美咲、若林豪、田窪一世、EITA、森田敦子、鈴木えみ、
   鷹城佳世、高木麻依子、大杉漣、他

脚本家が代わって心配したけど、
思ったよりは面白かった。
ただ、時間延長はせずに
もっとシャープにまとめた方がよかった感じ。

個人的にグルメものには興味ないんだけど、
それでもランチの映像はかなり美味しそうに見えた。
ディナーじゃなくてランチってところがいい。
とくに洋食ってところが。

ポイントはやっぱり竹内結子だろうな。
月9の主役としては地味だと思うけど、
この第1話は何とか魅力的に見えた。

もちろん、ストーリー上、謎の部分は多いので
なつみ(竹内結子)の行動そのものは
突拍子もないんだけど。

妻夫木聡は初期の頃によくやっていた
ちょっと気の弱い感じの役で好印象。
なつみをめぐる兄弟の恋愛バトルが軸になりそうだけど、
純三郎(妻夫木聡)は最終的に
トマト(伊東美咲)とくっつきそうだな。

プロデューサーの山口雅俊は
「ロング・ラブレター」も作った人なので、
キャスト的にはこの妻夫木聡と
山下智久、山田孝之が連投になる。
ちなみにこのあと、
我猛さん(鈴木えみ)も登場予定だ。

健一郎(堤真一)がなつみの名前を勝手につけるシーンでは
“トメ子? ハツ子?”
と明らかに「ロング・ラブレター」を小ネタにしていたりして。

大杉漣のちょい役は
「カバチタレ!」(これも山口Pの作品)の時みたいに
たびたび出てくるのだろうし、
小ネタ探しも忙しくなりそうだ。

それぞれの登場人物の背景が
うまく描かれていくようなら
意外と面白く見られるかも。

             採点  7.0(10点満点平均6)



『ランチの女王』 第2話

演出:川村泰祐
脚本:武田樹里
脚本協力:工藤浩美、橋口俊貴

やっぱりかなり面白いかも。
脚本家は依然として混迷を極めていて
今回は脚本協力から
大森美香の名前も消えてしまった。

でも、結局のところ
これは山口Pのドラマだからな。

この第2話、
なつみ(竹内結子)の過去はまだ明かされないまま、
奥手の純三郎(妻夫木聡)が
なつみに突っ走ってしまう展開になった。

これは光四郎(山下智之)の軽い気持ちとの対比ができて
なかなか面白いんじゃないだろうか。
あとは勇二郎(江口洋介)がどう絡んでくるか。

今回は我猛さん(鈴木えみ)も登場したけど
彼女はフツーの女子高生役だった。
しかも大勢で登場。
今後はもう少し光四郎と絡んでくれないと困るな。

難点を言えば父親(若林豪)のキャラクターか。
無口な職人気質でもかまわないけど、
もっちょっと何とかして欲しい。
このあたりは脚本家が代わったことが
大きく影響してるかもしれない。

いずれにしても雰囲気はかなりいいので
これからも期待できそうだ。

             採点  7.0(10点満点平均6)



『ランチの女王』 第3話

演出:唐木希浩
脚本:武田樹里、大森美香

惜しいなあ。
兄弟のキャラがハッキリしてきて
すごく面白くなってきたのに、
各エピソードの前振りが弱いというか、
構成が今ひとつで感動が薄い。
やっぱり最初からひとりの脚本家に書いてもらいたかった。

でも十分に次が見たいと思わせる内容なので
良しとしよう。

なつみ(竹内結子)の背景はまだ謎が多いけど、
竹内結子自体はかなり魅力的。
このままマドンナ役をやり遂げて欲しい。

細かいことだけど、
今回、なつみがちょっとだけ肉体労働をするシーンで、
そういう現場でも
ランチを楽しみにしてる人達がいる
という描写を入れたのは良かったな。

メインテーマではなくても、
美味しいランチが食べられれば
少しぐらいツライことも乗り越えていける、
というのはこのドラマの背骨なので
今後もしっかりと押さえていって欲しい。

あと、エンディングの映像が
毎回少しずつ違ってていい。
主にメイキング的なものが挟まれるんだけど、
主題歌と合っていて楽しめる。

さて次回、勇二郎(江口洋介)たちは
健一郎(堤真一)を捕まえられるのか?

まあ、戻ってくるのは早すぎるよな。
もう少しなつみが健一郎の婚約者で居続けないと…。

この基本設定が
ただの兄弟の恋愛バトルではなくて面白い。

             採点  7.0(10点満点平均6)



『ランチの女王』 第4話

演出:水田成英
脚本:大森美香
脚本協力:武田樹里

竹内結子の水着はやっぱりNGなのか。
まあ、伊東美咲と一緒じゃ誰だってイヤだよな。

最後の海のシーンは別に海である必要もなかったけど、
全体的にはかなりまとまってきた感じだ。
今回は細かいギャグも当たりが多かったし。

前回から継続していた
父(モロ諸岡)と娘(井上結菜)が
店に来るエピソードは、
大きな展開がなかったとはいえ
このドラマにおいてはいいエッセンスだった。

こういうボディーブローをきちんと入れておくのは大事。
なつみ(竹内結子)の過去がもっと明らかになるにつれ、
その効果は発揮されてくるはずだ。

前回の終わりから今回の頭にかけて
なつみが健一郎(堤真一)の名前を間違える部分は面白かった。
健一郎の本当の婚約者でないことを
なつみが純三郎(妻夫木聡)に明かしたのは早過ぎる気もしたけど
兄弟のバランスを考えるとむしろいい展開だったかもしれない。

それにしても、
秀美(梅宮万紗子)はかなり深く
物語に入ってくる役なんだな。

そうなるとますます序盤の描き方は
雑だったような気がするけど、
今さら言っても遅いか。

なつみ・純三郎ラインの可能性もアリ、
という方向で楽しませてもらおう。

このドラマの竹内結子は本当にいいよ。

             採点  7.5(10点満点平均6)



『ランチの女王』 第5話

演出:川村泰祐
脚本:大森美香
脚本協力:武田樹里

兄弟4人の店に対する想い、
ランチに対する想いを描きながら、
なつみ(竹内結子)の過去が少し垣間見られた今回。
序盤の混乱を収拾しようとするかのように
ストーリーが進んだ。

こうなったら全体としてはヘンでも
勇二郎(江口洋介)のやりたかったこととか
勇二郎と秀美(梅宮万紗子)との関係なんかは、
もうスパッと切っちゃっていいんじゃないかな。

健一郎(堤真一)については今後も描かざるを得ないんだから
これ以上、勇二郎の謎の部分を膨らませる必要はないと思う。

ていうか、お店の中に
なつみ、勇二郎、純三郎(妻夫木聡)、
光四郎(山下智久)がいるだけで面白いよ、このドラマは。

で、なつみの過去の話。
福田和子ばりの逃走シーンをみせた時は
過去に何か事件でも起こしたのかと思ったけど、
“アイツさ、またなんかやった?”
“なつみが逃げることないじゃん”
“もうアイツに振り回されたくない”
などの電話の会話から
なつみ自身の問題でないことは確かだ。

問題は、アイツとは誰なのか、ということ。
男か、家族か。

ちなみに2階から飛び降りて逃走するシーンは
山口Pが過去に作った
『アフリカの夜』のセルフパロディーなので念のため。
もちろん、その時に逃走した室井滋は
福田和子がモデルだったんだけど。

むしろこの一連のシーンの小ネタとしては
なつみが電話をしていた場所に
積み上げられていた段ボールが
「サンマルコハム」のものだったってことだね。
『スタアの恋』は山口Pの作品じゃないけど、
美術さんが遊んだのかな。

あと、しつこいようだけど
このドラマの竹内結子は本当にいい。
冒頭で勇二郎を見送るカット見た?
最高じゃん(笑)

             採点  7.5(10点満点平均6)


『ランチの女王』 第6話

演出:唐木希浩
脚本:大森美香
脚本協力:工藤浩美

やっと父親(若林豪)のキャラが立ってきたと思ったら
いきなり死んでしまった。

死なせないパターンもあったと思うけど、
あの父親がいたら息子たちはいつまでも
一人前の料理人になれないからなあ。
まあ、この展開は良しとしよう。

で、その父親の死に対する息子たちのリアクションは
それなりに感動的だったんだけど、
クチをつけたスプーンで何度も鍋から
デミグラスソースをすくうシーンはさすがに気になった。

それ以外の部分は
脚本が大森美香になってずっと安定してる。
今回は父親が死んだあとの
光四郎(山下智久)の描き方なんてすごく丁寧だったし。

次回はいよいよなつみ(竹内結子)の過去が
明らかになっていく感じ。

このまま大森美香が書けば安心だな。

             採点  7.5(10点満点平均6)



『ランチの女王』 第7話

演出:水田成英
脚本:大森美香

修史のキャスティングが
森田剛っていうのはどうなんだろうな。
まあ、この評価は次回を見てからにしよう。

なつみ(竹内結子)は結局、
暴走族の頭、修史(森田剛)のオンナだった。
ただ、かなり複雑な関係だったことは明らか。

いよいよなつみの過去が物語の中心になってきて
さらに面白くなっていきそうだな。

過去といえば、
ミノル(山田孝之)もかなりの大物だった(笑)
こうなるとミノルと光四郎(山下智久)の関係にも
興味が湧いてくる。

毎回出てくるランチに思い入れのある
ゲストのエピソードに関しては、
今回が一番良かった。

ハンバーグか…。
昔、神保町の三省堂の一階に洋食キッチンがあって
そこのハンバーグが美味しかったんだよなあ。
あのハンバーグをいま食べたらオレも泣くかも。

今期のグルメモノは
みんな食べ物を本当に美味しそうに撮ってる。

食いたいぞ、ハンバーグ!

             採点  7.5(10点満点平均6)



『ランチの女王』 第8話

演出:川村泰祐
脚本:大森美香

ついになつみ(竹内結子)の過去が
ほぼ明らかになった。

ミノル(山田孝之)が修史(森田剛)のことを
“身内っていうか”
警察の人間がなつみに対して
“あなたは彼と同じ…”
と言っていたけど、
ただの恋人というよりも、
同じ施設で育ったみたいな過去があるのかもしれない。

いずれにしても
「マカロニ」に迷惑がかけられないなつみは
店を出ていくことに。

“美味し過ぎた。
 美味し過ぎて、みんなやさしくて、あったか過ぎた。
 私にはちょっと幸せ過ぎた”
と言って泣きながら歩くラストシーンは良かったな。

もうストーリーとしては分かり切っているけど
最後まで大森美香のきめ細かい脚本で締めて欲しい。

             採点  7.5(10点満点平均6)




『ランチの女王』 第9話

演出:白川士
脚本:大森美香

あら、修史(森田剛)の問題は
意外とあっさり解決しちゃった。

前回のラストで
なつみ(竹内結子)が「マカロニ」に対する想いを
涙ながらに語ったシーンは重かったし、
その後も「マカロニ」に迷惑をかけられないから出てきた
というなつみの意志はハッキリしていたので、
修史の“いつかお前の店に食べに行く”というセリフは筋が通っている。

ただ、もう少し修史となつみの関係や修史の心の変化を
時間をかけて描くべきだったと思う。
なつみの過去に関してはかなり前振りが長かったしね。
これで解決だとちょっと拍子抜けの感じだ。

でも、各シーンごとのセリフや演出は相変わらず丁寧なので
何となく許せてしまうんだよね。

コンビニの防犯ビデオに映った
なつみの跳び蹴りはとくに最高だった(笑)

で、やっぱりこのドラマは
誰がなつみと結ばれるかが焦点になる様子。
ここまでの流れでは
断然、純三郎(妻夫木聡)が有利のような気もするけど…。

誰と結婚するかはハッキリ描かないまま
なつみはずっと「マカロニ」にいる、
という展開が一番好みなんだけどなあ。

             採点  7.0(10点満点平均6)



『ランチの女王』 第10話

演出:水田成英
脚本:大森美香

序盤で丁寧に描いていなかった
勇二郎(江口洋介)と秀美(梅宮万紗子)の問題は
今回で終了。

今さら混乱していた序盤を悔やんでもしょうがないので
勇二郎がなつみ(竹内結子)に向かう
障害がなくなったという事実だけを受け入れよう。

ラストではついに
勇二郎がなつみを好きだと純三郎(妻夫木聡)に告白。
そして健一郎(堤真一)も東京へ。
いよいよ恋愛モードオンリーかと思いきや…。
なつみの父親が現れる展開になった。

警察がなつみの父親を知っていたということは
父親も過去に犯罪を犯していたのか?

店にランチを食べに来ていた男性(上田耕一)が
父親であることは間違いないと思うけど、
テロップの名前は麦田ではなく柏木だった。
もしかして“あんちゃん”か?(笑)

いずれにしても
コメディーとシリアスのバランスを保つためにも
この展開は悪くないと思う。

あとは最後まで“ランチ”にこだわって欲しい。
そういう意味で今回はちょっともの足りない部分もあったかな。

             採点  7.0(10点満点平均6)



『ランチの女王』 第11話

演出:川村泰祐
脚本:大森美香

あれ?
お墓まであったということは、
本当になつみ(竹内結子)の父親は死んでるの?
柏木(上田耕一)は本当に父親の友達なの?

いや、ストーリーとしては全然それでかまわないし、
今回、なつみと勇二郎(江口洋介)の
お墓参りデートの中で語られた
なつみのオムライスに関する想い出、
その後の2人のキスシーン、
みんな良かった。

ただ前回、警察の人間が
“なに? 麦田なつみの父親が?”
って電話に向かって確かに言ってるんだよね。

どこからか連絡が入ったというシチュエーションだったけど、
死んだのはだいぶ前だからその連絡というのもヘンだし、
てっきり店に現れた、という意味だと思ったんだけど。

まあいいか。
今回はそんなことも気にならないくらいいい出来だった。

なつみのオムライスに関する想い出も
3〜4話で描かれた親子のエピソードに絡んでいて、
意外な事実ではなかったけど丁寧に語られたし、
なつみを巡る恋愛バトルも
センスのいいラブコメディーに仕上がっていた。

ミノル(山田孝之)のトマト(伊東美咲)に対する恋心も
“好きです! …先週くらいからずっと”
“…短いね”
のシーンに代表されるように、
いいアクセントになっていたし。

最終回は90分スペシャル。
どういう結末を選択するのか分からないけど、
このトーンのまま締めれば
十分に楽しめるような気がする。

             採点  7.5(10点満点平均6)



『ランチの女王』 最終話

演出:水田成英
脚本:大森美香

なつみ(竹内結子)がハッキリと相手を選ばないまま
キッチンマカロニで“ランチの女王”になったのは
いいハッピーエンドだったと思う。

ただ、90分はやっぱり長いな。
今までテンポが良かったら
通常の60分でスッキリまとめて欲しかった。

このドラマ、
序盤は脚本家の問題で混乱したけど、
大森美香になってからの安定感はさすがだった。

主要キャストのキャラクターも立っていて
誰が欠けても成立しなかったような気がする。

もちろん最大の功労者は主役の竹内結子。
当初、一番不安だった竹内結子が
最終的には一番魅力を発揮した格好だ。

最終回でまた出てきた大杉蓮。
そして最後の客は「カバチタレ」でも
露出狂のちょい役で出てきた中丸新将。
このあたりでは相変わらず山口Pが遊んでいた。

最初から大森美香が書いていれば…、
という残念な気持ちもあるけど、
全体的には心地いい雰囲気のドラマだった。

             採点  7.5(10点満点平均6)

                  脚本  ★★★★☆
                  演出  ★★★★☆
                  配役  ★★★★☆
                  主題歌 ★★★★☆
                  音楽  ★★★☆☆
                  新鮮さ ★★★☆☆
                  話題性 ★★★☆☆

           平均採点  7.29(10点満点平均6)





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