タイトル■ドラマは何でも教えてくれる
書き手 ■ロビー田中

放映中のTVドラマを“ほぼすべて”見ている、
驚異のドラマ通による、ドラマに関するコラム。

“TVドラマなんかくだらない”と言う人に、
あえて反論するつもりはありません。ただ、
“すべてのTVドラマがくだらないわけでは
ない”とだけ言っておきます。これからも僕は
TVドラマを見続けていくでしょう」(田中)

>>バックナンバー >>ドラマ別レビュー


『乱歩R』 1/12〜
日本テレビ系 月曜10時  期待度 ★★★☆☆

江戸川乱歩の名作を現代に置き換え、
一話完結で描く。

主人公は明智小五郎の孫(藤井隆)。
初代・明智小五郎の助手だった小林少年は72歳になり、
小林老人(大滝秀治)となって登場する。

毎回、豪華なゲストが出演する予定で、
第1回は武田鉄矢、乙葉などを招いて
「人間椅子」を放送する。

企画は悪くないと思う。
あとは脚本の完成度をどこまで高められるか…。




『乱歩R』  第1話「人間椅子」

企画:武野一起、岡本昭彦
企画協力:尾中美紀子(オフィス100%)、長川千佳子
プロダクションプロデューサー:西前俊典
チーフプロデューサー:武野一起、田中寿一
プロデューサー:前西和成、伊藤公樹(吉本興業)
監督:福本義人
脚本:丸山智子、長川千佳子
原作:江戸川乱歩
音楽:仲西匡、吉川慶
主題歌:「願い」Fayray
制作:ムービージャパン、よみうりテレビ
制作協力:吉本興業
出演:藤井隆、筧利夫、本上まなみ、岸部一徳、大滝秀治、石丸謙二郎、他

原作はあくまでもモチーフということで…。
ドラマとしては全体のバランスが取れていて
そんなに悪くなかったと思う。

3代目明智小五郎(藤井隆)に魅力がない、
と言ったらそれまでだけど、
たぶんストーリーそのものをメインにしているせいだと思う。
今後は明智が本当に活躍する回も出てくるかもしれないし…。

小林老人の大滝秀治だけでなく、
岸部一徳、本上まなみも程良い絡み方で、
明智探偵事務所の雰囲気が
メインの話をジャマしていない点も良かった。

ただ、この第1話に関しては
佐藤(武田鉄矢)の一番弟子、
河野(田口浩正)の描き方がちょっと中途半端だったかな。
ていうか、あれだけなら田口浩正を使わない方がよかったのに…。

あと、現代風にアレンジしても
エロティックな雰囲気はもう少し残して欲しいなあ。
土9じゃなくて月10なんだし。

ゲストによって仕上がりにムラが出るかもしれないけど、
まあ、企画としては悪くない。
菅野美穂がゲストの第2話「吸血鬼」も期待してみよう。

             採点  6.0(10点満点平均6)




『乱歩R』  第2話「吸血鬼」

監督:五木田亮一
脚本:林誠人

前回より明智(藤井隆)の存在感はあった。
でも全体の仕上がりはB級テイストが増した感じ。
脚本家も演出家も前回とは違ったからかな。

ゲストだけでなく、
脚本や演出によってもムラが出そう。

演出家は2人だけみたいなんで、
もう少し見てみないと何とも言えないか。

             採点  5.5(10点満点平均6)




『乱歩R』  第3話「暗黒星」

監督:五木田亮一
脚本:長川千佳子

これはこれでいいのかな。
セットにお金をかけてない(かけられない)感じが
かえって懐かしさをかもし出してきた。

最後の仲間由紀恵は美しかったし、
こういうゲストの使い方ならドラマとしてアリだと思うし。

次はいよいよ「黒蜥蜴」。

             採点  6.0(10点満点平均6)





『乱歩R』  第4話「黒蜥蜴」

監督:福本義人
脚本:長川千佳子

今回は全体のバランスが良かった。
松坂慶子は三島由紀夫脚本の舞台でも
緑川夫人(黒蜥蜴)を演じたことがあるはずだけど、
様々な変化に見ごたえがあった。
嶋田久作との組み合わせも良かったし。

でも、クレル(エバノフ廉)と石垣佑麿って
同じグループに入らないと思うんだけどなあ。
まあ、それはいっか。

小林少年(大滝秀治)の
“じいちゃんって言うな!”が
だんだんツボに入ってきた。

             採点  6.0(10点満点平均6)




『乱歩R』  第5話「白髪鬼」

監督:五木田亮一
脚本:岡本貴也、長川千佳子

うーん、全体的に浅かったかな。
時子(井川遥)の気持ちも、
ルリ子(遠山景織子)が最後に
敏清(柳葉敏郎)を刺すまでの流れも、
表面的な部分でしか描けてなかった。
柳葉敏郎は良かったけどね。

それはそうと、
なんでエンディングロールでその回の名場面とかを入れるんだろう。
毎回エンディングの映像が凝っていていいのになあ。
それも残念だ。

             採点  5.5(10点満点平均6)




『乱歩R』  第6話「陰獣」

監督:福本義人
脚本:長川千佳子、丸山智子

高橋恵子の登場でエロティックな感じが出たのは良かった。
もっと演出に重みを出した方がいいけどね。
寒川(金子昇)が死ぬ場面とか。

ユキ(本上まなみ)と明智(藤井隆)が
少しずつ近づいている感じも、
ドラマ全体としては描けていて良かったと思う。

全然関係ないけど、ユキは帆音ユキっていうんだよな。
綾部探偵事務所(「傷だらけの天使」の)の受付が
ホーン・ユキだったこと、
知ってる若い人も少ないんだろうなあ。

             採点  6.0(10点満点平均6)



『乱歩R』  第7話「地獄の道化師」

監督:池添博
脚本:長谷川朝二、長川千佳子

もう当然のごとく犯人は死亡。
おかげて佐藤仁美は、
日曜(砂の器)・月曜、2日続けて死ぬことになった。
不憫だなあ。

内容は恐ろしく浅くて見どころなし。
ユキ(本上まなみ)が事務所を飛び出したのに大して活躍もなし。
ゲストだけは豪華なのにな。
来週は葉月里緒菜、改め、葉月里緒奈だし。

こうなったらドラマの終盤は雷道所長(岸部一徳)に期待しよう。
コイツが二十面相くさい。

             採点  5.0(10点満点平均6)




『乱歩R』  第8話「化人幻戯」

監督:五木田亮一
脚本:横田理恵、長川千佳子

1時間だとストーリーをなぞるだけで
人物描写に深み出ない。
なこと今さら言ってもしょうがないけど。

ていうか、
本上まなみって葉月里緒奈にちょっと似てない?
ツルっとしてるところが。
…似てないか。

ラスト2回は「怪人二十面相」。
前後編でやるらしいので最後に期待しよう。

             採点  5.5(10点満点平均6)




『乱歩R』  第9話「怪人二十面相 前編」

監督:池添博
脚本:丸山智子、長川千佳子

最終エピソードだけあって豪華なゲスト。
藤谷美和子、麿赤兒、大倉孝二、藤崎奈々子、梅垣義明、
網浜直子、木村祐一、あびる優、山口あゆみ。
最終回は藤井隆へのプレゼント、南野陽子も加わる。

やっぱり最初から2話で1エピソードにするべきだったような…。
まあ、今回もそんなに脚本が練られてるわけじゃないけど、
それなりに見ごたえはあるしな。

さて、二十面相はいったい誰か。
オープニングムービーでも顔の横に仮面が映る、
本命、雷道(岸部一徳)か?
緑川夫人(松坂慶子)が再登場するのか?
それとも…。

とりあえず最終回への関心が膨らむ内容ではあった。

             採点  6.0(10点満点平均6)




『乱歩R』  第10話「怪人二十面相 後編」

監督:五木田亮一
脚本:長川千佳子、丸山智子

なるほど。
二十面相というのは心の闇のことだったのね。
まあ、もし実体としての二十面相だったら
二十面相の息子とか孫じゃないと辻褄が合わないし、
だいたい殺人を犯している時点で二十面相じゃないしね。

このラスト2話で描きたかったことは分かった。
でも、こんな仕上がりでいいのか?

結局、人物の描き方は
最初から最後までお粗末だったような気がする。

誰がどんな事件を起こそうが
誰がどんな解決の仕方をしようが、
そこに関わる人物を丁寧に描いていないと
安っぽく見えるだけなんだよな。

企画は面白かっただけに、
クオリティーが低かったのは残念だった。

             採点  5.0(10点満点平均6)

                  脚本  ★★☆☆☆
                  演出  ★★★☆☆
                  配役  ★★★☆☆
                  主題歌 ★★★★☆
                  音楽  ★★★☆☆
                  新鮮さ ★★☆☆☆
                  話題性 ★★☆☆☆

           平均採点  5.65(10点満点平均6)






[ロビー田中の自己紹介]

[トップへ]