タイトル■ドラマは何でも教えてくれる
書き手 ■ロビー田中
放映中のTVドラマを“ほぼすべて”見ている、
驚異のドラマ通による、ドラマに関するコラム。
「“TVドラマなんかくだらない”と言う人に、
あえて反論するつもりはありません。ただ、
“すべてのTVドラマがくだらないわけでは
ない”とだけ言っておきます。これからも僕は
TVドラマを見続けていくでしょう」(田中)
>>バックナンバー >>ドラマ別レビュー
『サトラレ』
7/4〜 テレ朝系 木曜9時 期待度 ★★☆☆☆昨年、鈴木京香と安藤政信で映画化された
あの「サトラレ」がドラマで。主演は鶴田真由とオダギリジョー。
共演は、
杉本哲太、風吹ジュン、畑野浩子、神田うの、
小池栄子、佐々木蔵之介、光石研、他オダギリジョーは「天体観測」とかけもち。
そして神田うのは「ナース〜」ではなくこちらへ。うーん、まあ、それなりの仕上がりでしょう(笑)
『サトラレ』 第1話チーフプロデューサー:黒田徹也
プロデューサー:横地郁英、遠田孝一(MMJ)
演出:高丸雅隆
脚本:尾崎将也
原作:「サトラレ」佐藤マコト(講談社『イブニング』連載中)
音楽:大島ミチル
主題歌:「逢いたい気持ち」GLAY
制作:テレビ朝日、MMJ
出演:鶴田真由、オダギリジョー、杉本哲太、神田うの、風吹ジュン、
畑野浩子、小池栄子、佐々木蔵之介、光石研、北村総一郎、
佐戸井けん太、初音映莉子、猫背椿、小林すすむ、他まず、この話は基本的な設定が
受け入れられるかどうかという問題がある。
ここでつまずいてしまう人は
いつまでたっても話に集中できないと思うので
もしかしたら早々に諦めた方がいいかもしれない。個人的には全然OKの範囲なので、
その前提で進めていきたいと思う。で、第一印象は思ったよりも良かった。
オダギリジョーが想像よりもハマってたし。ただ、どうしても気になってしまうのが
やっぱり前半の笑いを取る部分。
このテーマってムリに笑いを取る必要はないと思うんだよね。くだらない心の声が聞こえたとしても
それってかなりせつないことだと思うし。ムリにコメディー色を出したり
必要以上に感動させようとしたりしないで、
淡々と描くだけでも
この世界観を受け入れられる人にとっては
いい物語になると思うんだけどな。出だしのナレーションが
「奥様は魔女」で有名な中村正って…
そこまでコメディーにしなくてもいいのに。採点 6.5(10点満点平均6)
『サトラレ』 第2話演出:高丸雅隆
脚本:吉田玲子弱っちゃうなあ、この手の作りは。
健一(オダギリジョー)が失恋した直後のシーンは、
もしかしたら映画より良かったかもしれない。健一が法子(鶴間真由)の恋人のフリをしていることは
法子の元彼に筒抜けで、
元彼とその恋人が笑いをこらえている中、
法子が「いい人でしょ?」と元彼に言うシーンは
かなりグッときた。そのあとに、
健一が必死に法子をなぐさめようとする心の声に
法子が思わず泣いてしまうシーンも良かったし…。ただ、ただ、
前半のドタバタは典型的なMMJの安いコメディーで
橋にも棒にもかからない。
もったいないったらありゃしない。神田うののコスプレはエスカレートするばかりだし、
(健一が気がつかない方がおかしい!)
法子は健一の心の声に反応しすぎでかえってつまらないし。法子が公的な機関の職員じゃないこととか、
サトラレ対策委員会の規模が小さいこととかが、
かなり影響してるな、やっぱり。映画より連ドラの方が時間が長い分、
心の声も多くなるのは当然なんだけど、
これはプラスにもマイナスにも作用する。もう少し各回の前半部分を丁寧に作ってくれたら
いい作品になるのになあ。
…もう遅いか。採点 6.5(10点満点平均6)
『サトラレ』 第3話演出:塚本連平
脚本:尾崎将也ハムスターを受け取りたくなくて
逃げ回る法子(鶴田真由)の行動を
“とっても不自然です”
と批判する千春(神田うの)。
お前のコスプレがいちばん不自然だっつーの(笑)ただ、千春の心情が物語に食い込んできたことで
このTV版にさらに面白みが加わってきた。一言も言葉を交わしたことがないけど、
彼女もまた健一(オダギリジョー)の
ピュアな部分に気づいている。そしておそらく
愛し合えないことは十分に分かったうえで
健一を守れるのは自分しかいないと思っている。
その結果、法子に抱いてしまう嫉妬心。
この展開はかなり面白いと思う。だから河原にペンダントを
探しに行くような手紙を書いた部分は、
てっきり健一を会議へ出さないために
したことだと思ったんだけどなあ。
興味本位な目から健一を守るために。でも、まだそこまでの強い心情を
表面的に描くのは早いか。いずれにしても、千春に存在意味が出てきたことで
ドラマとしてかなり興味深くなってきたことは事実だな。ていうか、こうなったら千春って重要な役じゃん!
大丈夫か、神田うの…。採点 7.0(10点満点平均6)
『サトラレ』 第4話演出:塚本連平
脚本:吉田玲子前半のドタバタには慣れてきたけど、
毎回そんなに感動的なエピソードを
用意できるわけもないしなあ。今回みたいな話が続くと
ちょっとだらけてしまうかもしれない。本来、サトラレは天才的な才能を持っているはずなので
仕事でバタバタするシーンを入れるのも
あまり好ましくないし。まあ、次回は大きなエピソードを
用意しているみたいだから、
今回はこれでよしとしよう。採点 6.5(10点満点平均6)
『サトラレ』 第5話演出:高丸雅隆
脚本:尾崎将也サトラレに男女の肉体関係はムリと断言していたのに
突然、既婚者のサトラレが現れたり、
最後に法子(鶴田真由)が
矢沢(東幹久)のことを従姉だと嘘を言って
健一(オダギリジョー)が納得するなら、
矢沢が脳しんとうを起こした時に
法子が無視した説明がつかないなど、
もう矛盾だらけ。健一と矢沢がニアミスするあたりは
わざと話をこじらせる展開で
見ていてかなり見苦しかった。ただ、愛し合っている矢沢の妻・珠子(筒井真理子)の
“私もサトラレだったら私の気持ちも分かってもらえるのに”
というセリフは心を打つものがあったし、
全体的なストーリーは悪くなかった。まあ、このドラマはもともと
クオリティーの高さで勝負してる作品じゃないしな。
構造上の粗さは目をつぶるしかないか。採点 6.5(10点満点平均6)
『サトラレ』 第6話演出:田村直己
脚本:吉田玲子今回も雑な部分はいっぱいあったけど
最後まで見るとなかなかいい話だったかも。ラストにあったように
サトラレが心と裏腹なことをクチにするシーンはとくにいい。
あんな心の声を聞いたら
法子(鶴田真由)も腕を組みたくなるわな。それにしても
赤ちゃんが妙に畑野浩子になついてたなあ。
本当のママに抱きついてるみたいだったぞ。あと、神田うのがついに女子高生に。
そのうちハナ肇みたいに銅像になるかも(笑)採点 6.5(10点満点平均6)
『サトラレ』 第6話演出:塚本連平
脚本:尾崎将也やっぱりもっと別のアプローチで
このTV版を見たかった。千春(神田うの)の設定は非常に面白いんだけど、
神田うのではとてもきめ細かい心情なんて出せない。まあ、全体の作りが粗いから
神田うのだけが際立ってヘンに見えるわけじゃないけど、
別の局、別の制作会社で
この千春の役を別の女優がやったら、
かなり見応えがあったと思うなあ。すごく残念。
採点 6.5(10点満点平均6)
『サトラレ』 第8話演出:高丸雅隆
脚本:吉田玲子ついに母親(風吹ジュン)が倒れた。
ここからは映画版と同じ展開になると思う。
まあ、映画版はおばあちゃんだったんだけど。法子(鶴田真由)と千春(神田うの)が
対峙するシーンは面白かった。
ただ、やっぱり神田うのは今回も酷かったな。まあ、しょうがないか。
採点 6.5(10点満点平均6)
『サトラレ』 第9話演出:塚本連平
脚本:尾崎将也手術後、ダメだったと心の声が聞こえているのに
ニッコリ笑って“ありがとう”と言う母(風吹ジュン)。
ここはやっぱり泣ける。映画はこれで終わるわけだけど、
このドラマはあと1回残っている。
どういう結末をつけるのか。
楽しみでもあり不安でもある。オダギリジョーと鶴田真由のカップルも
もうすっかりお似合いに見えるので、
心温まるエンディングを望む。採点 7.0(10点満点平均6)
『サトラレ』 最終話演出:高丸雅隆
脚本:吉田玲子結局、最後は健一(オダギリジョー)が、
自分がサトラレであることを知る展開に。
表面的にはハッピーエンドだけど、
かえって軽い話にしてしまった感じだ。サトラレだと知るキッカケも、
子供がうっかり言ってしまうという
その程度なら今までだってあっただろう、
みたいなエピソード。全員で無人島に行くと言い出した時には
思わず「おいおい」とマジメに突っ込んでしまった。でもまあ、これがテレビ版サトラレなんだろうな。
最後まで学芸会をやってた神田うのなんかを見ていても、
そんなに高級なものを求めてもなあ…、
という気になってきたし。母親役の風吹ジュンだけじゃなく、
主役のオダギリジョーも鶴田真由も
それなりにオリジナリティーを出して頑張ったと思う。そう思うと残念だけど、
ま、テレ朝らしいと言えばテレ朝らしいドラマだった。採点 6.0(10点満点平均6)
脚本 ★★★☆☆
演出 ★★★☆☆
配役 ★★☆☆☆
主題歌 ★★★☆☆
音楽 ★★★☆☆
新鮮さ ★★★☆☆
話題性 ★★★☆☆平均採点 6.55(10点満点平均6)
[ロビー田中の自己紹介]
[トップへ]