タイトル■ドラマは何でも教えてくれる
書き手 ■ロビー田中

放映中のTVドラマを“ほぼすべて”見ている、
驚異のドラマ通による、ドラマに関するコラム。

“TVドラマなんかくだらない”と言う人に、
あえて反論するつもりはありません。ただ、
“すべてのTVドラマがくだらないわけでは
ない”とだけ言っておきます。これからも僕は
TVドラマを見続けていくでしょう」(田中)

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『スカイハイ』 1/17〜

テレ朝系 金曜11時15分  期待度 ★★★☆☆

コミック原作のホラーミステリー。
一話完結で、毎回不遇の死を遂げた魂が
あの世で究極の選択をする。

1「死を受け入れて天国へ行き、生まれ変わる」
2「死を受け入れず、現世をさまよう」
3「現世の人間をひとり呪い殺して、地獄へ行く」

この選択を迫る怨みの門番・イズコを演じるのは釈由美子。
「あずみ」の北原龍平、
「12人の優しい日本人」の中原俊、
「リング0」の鶴田法男、
「千里眼」の麻生学、
「命」「はつ恋」の篠原哲雄など、
映画畑の監督が演出を担当する。

今期の大穴はコレだと思う。




『スカイハイ』  第一死 盗む女

企画プロデュース:河井信哉(アミューズ)
チーフプロデュース:黒田徹也
アソシエイトプロデュース:石田雄治(アミューズ)
プロデュース:横地郁英、平杢敬太(アミューズ)
演出:中原俊
脚本:田辺満
原作:高橋ツトム
音楽:森野宣彦、矢野大介
オープニング:「渦」ポルノグラフィティ
エンディング:「Mercy Me」ワイヨリカ
制作:テレビ朝日、アミューズ
出演:釈由美子、小倉久寛、宮谷恵多、他

予想していたものと少し違う。
自分が殺された場面を覚えているかどうかは
全体の描き方をずいぶん左右すると思うんだけど、
構成はいつもこうなんだろうか?

今回がたまたまそうだっただけなら
それを初回に持ってきたのは失敗じゃないかな。

全然、法子(吉野きみ佳)に
感情移入できなかったんだよな。
不遇の死を遂げた人間に感情移入して
自分だったら3つの選択肢のうちのどれを選ぶか、
というのがひとつの見どころだと思うんだけど。

イズコ(釈由美子)が死者の怨みの理由を知らないのなら、
死者が自分の怨みをイズコに訴えるという形で
視聴者にその内容を知らせる、
というスタイルにした方がいいのになあ。
まあ、しばらく様子を見てみるか。

どうでもいいけど、堺雅人って、
泣いても怒っても
笑っているようにみえるよね。

ゲストによっても出来はずいぶん違ってきそうだ。

             採点  6.0(10点満点平均6)



『スカイハイ』  第二死 つながり

演出:中原俊
脚本:高山直也

テーマとしては悪くないけど、
やっぱりドラマとしての構成に問題があると思う。
前半はとくにエピソードの描き方も単純で
見ていてかったるかった。

加賀美早紀も光ってなかったしな。
なんか非常に安いドラマになってしまった。

監督が代わったらどうなるのか。
とりあえずそこに注目してみよう。

             採点  5.5(10点満点平均6)



『スカイハイ』  第三死 HERO

演出:麻生学
脚本:田辺満

監督が代わったけど
全体のトーンはあんまり変わらなかった。

ただ、最後にイズコが言った、
“人間って不思議。
 役に立つとか立たないとか、
 生きることにどうして理由が必要なのか。
 生きているだけで素晴らしいって
 どうして思えないのか”
というまとめは良かった。

きっとこのドラマの見どころはココなんだよな。
だとしたら、なおさらそこを活かす構成が
別にあると思うんだけど。

             採点  5.5(10点満点平均6)



『スカイハイ』  第四死 逆転

演出:麻生学
脚本:小川智子

ほらね?
死んだ人間に記憶があった方が分かりやすいでしょ?

少なくとも現代において、
今回のテーマはこのドラマに最も合っているものだった。
そういう意味でも見ごたえはあったと思う。

ただ、やっぱり結論は出ないんだよね。
イジメがなくならないことに変わりはないし。

それにこの描き方だと
死んだ麻美(新山千春)が脅かしたから
あのバカ女3人も反省して
光恵(田中千絵)はあのあと平和に暮らせた、
とも取れる。

つまり、今イジメに悩んでいる人が見たら、
あ、そうか、呪い殺せなくても
現世に漂ってイジメたヤツを脅かしまくればいいのか、
と思うかもしれない。
死んでも携帯にメールは送れるみたいだしね(笑)

このテーマで描くなら
もう少しイジメに悩んでいる人にとっても
希望が持てるような内容にして欲しかったな。

あと、最後のまとめが
“人間にとって楽しい記憶とは
 たった一瞬でもこれほどの意味を持つものなのか”
だったのもどうなんだろう。
もう少し直接的なまとめの方が良かったと思うけど。

それでもまあ、今までの中では一番良かった。

             採点  6.5(10点満点平均6)




『スカイハイ』  第五死 ROOM 503

演出:鶴田法男
脚本:小川智子

また以前のパターンに戻ってしまった。

しかも、監督が3人目の鶴田法男に代わっても
やっぱり基本的な描き方は変わらなかった。

もう再生の道はないな。
お逝きなさい(笑)

             採点  5.5(10点満点平均6)




『スカイハイ』  第六死 pigeon house

演出:篠原哲雄
脚本:櫻井武晴

四話と同じ構成だったのはよかったけど、
今回は内容が酷かった。
現世に留まるパターンを
ムリに作ろうとして失敗した感じ。

お逝きなさいって言ったのに!

             採点  4.5(10点満点平均6)




『スカイハイ』  第七死 a song

演出:篠原哲雄
脚本:高山直也

締め方はそんなに悪くなかった。
でもこの手の話は青臭くて恥ずかしいな。

それはそうと、
鳥羽潤がCDデビューしてるの知らなかった。
今回、流れた曲はみんな鳥羽潤の曲だったんだね。

鈴木一真の歌はひどかった。

             採点  5.5(10点満点平均6)




『スカイハイ』  第八死 フェイス(前編)

演出:高津隆一
脚本:田辺満

3回に分けて描く最後のストーリーに突入。
さすがに豪華ゲストだなあ。

そして、監督の違いだけじゃなく、
イズコ(釈由美子)の怨みの記憶も辿ること、
イズコ自身が現世に行くことなどによって、
まったく違うテイストになった。

で、これが非常に好印象。
とくにちょっと笑えるシーンを入れたのは
メリハリができていい。

人間の親子(小倉久寛・宮谷恵多)が
話の中に入れる設定になって
見やすくなる効果も出た。

もうほとんど諦めていた作品なのに
こんな形で「再生」するとは…。
これで最終回まで楽しめそうだ。

             採点  6.5(10点満点平均6)





『スカイハイ』  第九死 フェイス(中編)

演出:北村龍平、高津隆一
脚本:高山直也

今回はもう笑えるシーンはほとんどなかったけど、
最終回前の盛り上げ方としては十分だった。

それにしても
イズコは堕胎による死だったのか…。
ハードな内容だなあ。

でもむしろ、
最初からそれくらいハードにやって欲しかった。

最後はきっちりと締めて欲しい。

             採点  6.5(10点満点平均6)





『スカイハイ』  最終死 フェイス(後編)

演出:北村龍平
脚本:田辺満

ドラマ全体のテーマも絡めた
ラストの15分はかなり良かった。

ただ、引きこもりが理由で
杏奈(山田麻衣子)が殺されたり、
首を切られたりする部分に関しては、
内容が浅すぎた。

こういう具体的なストーリーの浅さは
やっぱりこのドラマの一貫した弱点だったな。

原作をまだ読んでないので何とも言えないけど、
作品の設定が良かっただけに
ドラマのストーリーに面白みがなかったのは残念だった。

そしてこれも映画化。
「スカイハイ劇場版にお行きなさい」か。
2時間完結作品の方があってるかもな。

             採点  6.0(10点満点平均6)

                  脚本  ★★☆☆☆
                  演出  ★★☆☆☆
                  配役  ★★★☆☆
                  主題歌 ★★★★☆
                  音楽  ★★★☆☆
                  新鮮さ ★★★☆☆
                  話題性 ★★☆☆☆

           平均採点  5.80(10点満点平均6)





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