タイトル■ドラマは何でも教えてくれる
書き手 ■ロビー田中

放映中のTVドラマを“ほぼすべて”見ている、
驚異のドラマ通による、ドラマに関するコラム。

“TVドラマなんかくだらない”と言う人に、
あえて反論するつもりはありません。ただ、
“すべてのTVドラマがくだらないわけでは
ない”とだけ言っておきます。これからも僕は
TVドラマを見続けていくでしょう」(田中)

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『STAND UP!!』
 7/4〜
TBS系 金曜10時  期待度 ★★★★★

堤幸彦演出のエロコメ(エロティック・コメディー)。
17歳の童貞4人組が
恋とエッチに苦悩しながら成長していく姿を描く。

4人組は、
二宮和也、山下智久、小栗旬、成宮寛貴。
まわりの女性陣は鈴木杏や釈由美子など。

堤幸彦がハメをハズしすぎなければ面白くなるはず。





『STAND UP!!』  01

企画:植田博樹
プロデュース:石丸彰彦
演出:堤幸彦
脚本:金子ありさ
音楽:audio highs
主題歌:「言葉より大切なもの」嵐
制作協力:オフィスクレッシェンド
制作:TBS、TBSエンターテイメント
出演:二宮和也、山下智久、鈴木杏、成宮寛貴、小栗旬、釈由美子、的場浩司、
   加藤貴子、松本莉緒、段田安則、片平なぎさ、清水章吾、酒井敏也、杉田かおる、
   西田尚美、おかやまはじめ、塚本高史、ベッキー、上野なつひ、邑野未亜、
   水野はるか、AKINA、芦名星、呑子、真琴、劇団ひとり、他

何だか妙に泣けたんですけど!
エッチなことばっかり考えてるのに
ホントは大事なことだと思ってる正平(二宮和也)の思いとか、
憧れの先生も現実は普通の女性だったりするところとか。
せつないなあ。

“きっと正ちゃんも、11年たってるし
 普通に成長して、適度に歪んで曲がって、
 普通の17歳になってるんだろうなあって。
 でも、正ちゃんは正ちゃんのままだった。
 そのことが分かっただけでも
 東京に来てよかった”

って千絵(鈴木杏)が言うシーンはとくに良かった。
バックで流れている音楽も。

ドラマ全体としては堤ワールドそのものなので
とくに前半は新しさもなく多少退屈だったんだけど、
後半の描き方を見ると今回もかなり期待できそうだ。

あと、主人公の高校生たちだけでなく、
親も豪華キャストできちんと立たせている点が
このドラマの最大の特徴だな。

ある意味、教育的。
こういう問題には親もちゃんと参加しろ、
ということを示しているよう。

もちろん、いすず先生(釈由美子)のTシャツとか、
「いら夏」のパロディーとか、
堤的な小ネタは満載。

でも今回は小ネタ探しよりも
甘酸っぱい青春の日々に浸ってしまいそうだ。

             採点  8.0(10点満点平均6)



『STAND UP!!』  02

演出:堤幸彦
脚本:金子ありさ

小ネタ探しをするつもりはないんだけど、
「東京約1週間」にはしばらく笑っちゃったなあ。
あと、片平なぎさが2時間サスペンスの再放送を見て
犯人を当ててたところとか。

で、その片平なぎさ、
正ちゃん(二宮和也)のお母さんが言ってたように
“若いっていうことは、
 さびしくって、情けなくて、不器用で、
 たくさん傷つくってことでもある”

そこをこのドラマは実に繊細に描いてるんだよな。

今回もまた最後の正ちゃんと千絵(鈴木杏)のシーンで
グッと来てしまったけど、
童貞4人組の関係もいい。

これ、他の演出家が撮ったら
すごく類型的な4パターンのキャラで描いてしまうに違いない。
やっぱり若者を撮らせたら堤幸彦は頭ひとつ抜けてるな。

細かいところでは
最後にケンケン(山下智久)が正ちゃんの家へ
千絵を訪ねていくシーンで、
ケンケンを画面に入れず
“たのも〜”と声だけにした演出が好きだった。

正ちゃんが妄想の中で
いすず先生(釈由美子)から“来て…”と誘われるシーンは、
“正平、いきまーす”と応えた方がよかったけどね(笑)

見終わると早く次が見たくてたまらない。
1週間が待ちきれない。
約1週間で次を放送してくれまいか。

             採点  7.5(10点満点平均6)




『STAND UP!!』  03

演出:加藤新
脚本:金子ありさ

内容は悪くなかった。
構成もいい。

ただ、今回は演出が堤ではなかったので、
序盤にスピード感が足りなかった。

「ブラックジャックによろしく」のパロディーも
やや直線的すぎて、
全体的にエッジが効いてない感じは歪めなかった。

公園で主人公たちが口喧嘩をした後、
正ちゃん(二宮和也)が千絵(鈴木杏)に
“平気?” と聞いて
振り向いた時の鈴木杏の表情は良かったな。

千絵が少しずつあか抜けていって
美しくなっていく姿は見物だ。

             採点  7.0(10点満点平均6)





『STAND UP!!』  04

演出:加藤新
脚本:金子ありさ

カッコイイなあ。
正平(二宮和也)もケンケン(山下智久)も
千絵(鈴木杏)も、そしてオヤジ(段田安則)も。

とくにオヤジが4発目を殴らなかったところが良かった。
オヤジもかつては少年だったんだよ、今は父親だけど。

西田尚美も東京のお姉さん役がハマリ役。
千絵の気持ちになるとお姉さんの存在は涙が出るほど嬉しい。

演出では前回の「ブラックジャックによろしく」に続き、
今回も「魔女の条件」などのパロディーがあった。
ちゃんと図書室で寝てたところは丁寧だったな(笑)

             採点  7.5(10点満点平均6)




『STAND UP!!』  05

演出:堤幸彦
脚本:金子ありさ

このドラマのほぼ半分を使って描いた
実に丁寧な失恋物語だった。

ただ、今回は堤演出だったけど
前半のギャグはすべりまくりだったなあ。
タイトルロールまでのつなぎ方も時間をかけ過ぎていて、
ずっとテンポに乗れなかった感じ。

次回からがいよいよ第二章というところか。
本格的に絡むであろう千絵(鈴木杏)に期待。

             採点  6.5(10点満点平均6)




『STAND UP!!』  06

演出:堤幸彦
脚本:金子ありさ

序盤はまたすべり気味。
中盤以降、シリアスモードになってからも
メッセージ的に弱い部分があって
なかなか入り込めなかった。

でも「千絵が!」というメールは良かったな。
その後の花火も青春ドラマのお約束とはいえ
美しい映像だったし。

前回まで描いた正平(二宮和也)の失恋に関して
フォローもしていた内容は評価できるものだった。

まあ、そこがメインではなかったから
“親友が4人いるからもう大丈夫”
という展開はやや不親切だったと思うけどね。

千絵(鈴木杏)が徐々にキレイになっているので、
ケンケン(山下智久)の感情、
そしてこのあとの千絵と正平のドラマに期待が高まる。

             採点  7.0(10点満点平均6)




『STAND UP!!』  07

演出:平川雄一朗
脚本:金子ありさ

大まかなストーリーはかなり見ごたえがある。
ただ、全体的なリズムはここ数回ずっと良くない。

今回は3人目の演出家ということもあったけど、
堤演出の時からリズムが悪いというのはどういうことなのか。
金子ありさの脚本の密度の問題なのか。
いいセリフも多いんだけどなあ。

千絵(鈴木杏)の髪型が貞子みたいだとは思わないけど、
すごくキレイになったとも思えなかった。
それがちょっと残念だった。

             採点  7.0(10点満点平均6)




『STAND UP!!』  08

演出:加藤新
脚本:金子ありさ

ちょっとメッセージがストレート過ぎないか?
正平(二宮和也)と千絵(鈴木杏)の
微妙な関係は面白いと思うけど、
それ以外の部分で「STAND UP!!」らしさがなかった。

いや、もともとこの作品は
マジメな純愛ドラマなんだけどな。

もう少し雰囲気で泣かせるシーンが欲しい。

             採点  6.5(10点満点平均6)




『STAND UP!!』  09

演出:平川雄一朗
脚本:金子ありさ

ついに千絵(鈴木杏)の影の部分に話が展開した。
すでに経験していることは想像できたけど、
ただ遊ばれたという単純な話じゃないんだろうな。

それにしても今回、
ケンケン(山下智久)の告白シーンがすごく良かったことが
ストーリーに説得力を持たせた。
あれがなかったら千絵が旅行へ行く展開にムリが出てしまったので。

強いて言えば、正平(二宮和也)が
友情と恋の二者択一に悩むセリフは入れすぎたかも。
もっとシンプルに千絵に対する想いが何なのか
悩むだけでもよかったかもしれない。

とにかくここからはもう目が離せない。
最終回までじっくり見せてもらおう。

あ、今回は冒頭に正平が恋の勉強をしたビデオも
じっくり見せてもらったので、
久しぶりに書き出しておこうかな。

「2200年の恋」「あっち向いて恋」「春よ、恋」
「北総里見恋犬伝」「恋に落ちたベートーベン」
「クニミツの恋」「恋なんていらねえよ夏」
「恋はペット」「恋をした恋をした恋をした」
「渡る世間も恋ばかり」「恋八先生」
「恋人達も濡れる立ち方」「恋人達の痴漢」
「恋の宅急便」「恋とエロス」「東京恋シネマ」
「恋のからまわり」「東京恋ストーリー」
「あす恋白書」「102回目の恋」

「2200年の恋」が見たいな、個人的には。

             採点  7.5(10点満点平均6)




『STAND UP!!』  10

演出:堤幸彦
脚本:金子ありさ

前半はやっぱり間延びする。
もうダメかな、堤幸彦のコメディーは。

ただ、ラストはストーリー的に盛り上がった。
“これを聞いて引かないで欲しい”というフリを
出だしにも使っておいて、
最後のナレーションで
“千絵を傷つけ苦しめた相手を、ぶっ殺す”
と言わせた展開はインパクトがあった。

過激な表現ではあるけど、
リアリティーはあったと思う。

最終回は全編通して密度の濃い内容を望む。

あ、今回も片平なぎさのアドレス帳に書いてあった名前を
書きだしておこうかな。

藍美代子、あいざき進也、相本久美子、秋ひとみ、新井康弘、
荒川務、荒木由美子、五十嵐由紀、池田善彦、井上望、今村良樹、
江藤博利、太田裕美、(大和田妙子)、岡田奈々、桂木文、
栗田ひろみ、城みちる、天馬ルミ子、豊川誕、西崎みどり、能勢慶子

分かる人だけ分かってって感じ?
ちなみに池田善彦は、
山田隆夫が抜けた後、ずうとるびに加入した人ね(笑)

             採点  7.0(10点満点平均6)




『STAND UP!!』  11

演出:堤幸彦
脚本:金子ありさ

かなりストレートで
マジメなメッセージ付きではあったけど、
最終回は「STAND UP!!」らしい締め方だった。

結局、海辺のホテルでエッチするのは親というのが
個人的には妙にツボだったな。

作品全体としてはDB4の4人と鈴木杏だけでなく、
AKINA、ベッキー、邑野未亜を
まわりにキャスティングできたのが大きかった。

とくにAKINAは最初から最後まで良かった。
こんな形で Folder5 が脚光を浴びるとは思わなかったけど…。

個性的な堤演出に視聴者が飽きてきた、
という傾向は確かにあると思う。
とくにこの作品における中盤のダレ方は問題だった。

千絵(鈴木杏)が経験した過去の重さを考えると
もう少し手前から千絵についてDB4が関わるようにすれば
この問題もかなり解消できたような気もする。
やはり遊びの部分でダレていたのは明らかなので…。

そう思うと全体の構成にこそ問題があったのかもしれない。

堤幸彦には、あまり多く作品を手掛けようとせず、
じっくりと質のいい作品を作って欲しいと願う。

             採点  7.5(10点満点平均6)

                  脚本  ★★★★☆
                  演出  ★★★★☆
                  配役  ★★★★★
                  主題歌 ★★★★☆
                  音楽  ★★★★☆
                  新鮮さ ★★☆☆☆
                  話題性 ★★☆☆☆

           平均採点  7.18(10点満点平均6)







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