タイトル■ドラマは何でも教えてくれる
書き手 ■ロビー田中
放映中のTVドラマを“ほぼすべて”見ている、
驚異のドラマ通による、ドラマに関するコラム。
「“TVドラマなんかくだらない”と言う人に、
あえて反論するつもりはありません。ただ、
“すべてのTVドラマがくだらないわけでは
ない”とだけ言っておきます。これからも僕は
TVドラマを見続けていくでしょう」(田中)
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『末っ子長男姉三人』 10/12〜
TBS系 日曜9時 期待度 ★★★☆☆深津絵里と岡田准一が
5歳違いの夫婦役を演じるホームコメディー。息子を溺愛する母に岸恵子、
三人の姉に加来千香子、原田知世、小雪。
キャストは申し分なさそう。あとは脚本でどこまで盛り上げられるか。
脚本は「Dr.コトー」の吉田紀子が書く。
『末っ子長男姉三人』 第1話プロデュース:八木康夫、濱田明子
演出:清弘誠
脚本:吉田紀子
主題歌:「愛が呼ぶほうへ」ポルノグラフィティ
制作:TBSエンターテイメント、TBS
出演:深津絵里、岡田准一、岸恵子、賀来千香子、原田知世、小雪、
冨士眞奈美、鈴木砂羽、伊藤淳史、勝地涼、他日曜劇場らしいドラマ。
この初回も視聴率は高かったんだけど
最後までほとんど落ちないんじゃないかな。結局、こういうタイプのドラマを求めている人は
世の中にかなり多いと思うし。姑・小姑との同居というメインのエピソードと
春子(深津絵里)がトシをごまかしていたエピソードを、
どこまで絡ませていくかが当面の興味。あまりあっさりと姑・小姑にバレてしまうと
このエピソード自体に意味がなくなってしまうので、
うまく引っ張って笑いのネタにして欲しい。最後まで見たらこの初回が一番面白かった
ということにならないことを望む。採点 7.0(10点満点平均6)
『末っ子長男姉三人』 第2話演出:清弘誠
脚本:吉田紀子うーん、結局こういうノリになってしまうのか。
春子(深津絵里)の年齢についても
いきなり3姉妹にバレてしまったし…。まあ、より大衆的なホームドラマになったとも言えるわけで
制作者側からすれば狙い通りなんだろうな。個人的には深津絵里のコメディエンヌとしての才能と
意外にいい味を出してる賀来千香子に期待しよう。採点 6.5(10点満点平均6)
『末っ子長男姉三人』 第3話演出:金子文紀
脚本:吉田紀子深津絵里は際立って面白い。
あとはストーリーも演出も
恐ろしくオーソドックスなので
とくに見どころはナシ。全然関係ないけど、
これが終わった直後に流れる
「ウルルン」の番組紹介スポットで
清水圭の寒いギャグを聞かなくてよくなったのは
ものすごく精神衛生上いいよな。
TBSの英断だ。採点 6.0(10点満点平均6)
『末っ子長男姉三人』 第4話演出:金子文紀
脚本:吉田紀子後半は相当良かった。
ていうか、これだろう、
本当にやりたいのは。ここを活かすために
前半はきちんと笑いを取らないといけない。
でもそれがうまくいかない。
そういうことなんだろうな。幸子(小雪)が母(岸惠子)からお金をもらった時に言った
“すいません”(ありがとう、ではなくて)
最後に春子(深津絵里)が一郎(岡田准一)に言った
“独り占めしたいから”
これはいいセリフだった。採点 6.5(10点満点平均6)
『末っ子長男姉三人』 第5話演出:清弘誠
脚本:吉田紀子ホロっとさせるシーンもあったけど
短っ!センスのいい笑いが取れないということだけじゃなく、
コメディーとシリアスのバランスも悪いんだよな。前回ぐらいのバランスを保てればいいんだけど。
採点 6.0(10点満点平均6)
『末っ子長男姉三人』 第6話演出:金子文紀
脚本:吉田紀子前半はめずらしくテンポがあって面白かった。
でも中盤から失速。ハッキリ言えば小雪と原田知世だけで
このスタイルのコメディーをやるのはムリだろう。
2人がメインのシーンが長くてダレてしまった。笑いを取る部分には必ず
深津絵里か加来千香子を絡めないとダメ。採点 6.0(10点満点平均6)
『末っ子長男姉三人』 第7話演出:高成麻畝子
脚本:吉田紀子泥棒ネコじゃなくて泥棒ヘビだろ!
…なんちって。
それにしても坂本真綾、すごい役だったな。一郎(岡田准一)にスポットが当たって、
やっと春子(深津絵里)・一郎夫婦に
姑、小姑が絡むというバランスになった。
このバランスも今まで足りなかった部分なんだよ。そういう意味では見やすい回だったけど、
最後の公開録音のシーンで締められなかったのは残念。
てっきりお母さん(岸惠子)が
相談者として出てくると思ったのに…。まあ、まだ3回あるからこんなもんか。
採点 6.5(10点満点平均6)
『末っ子長男姉三人』 第8話演出:清弘誠
脚本:吉田紀子やっと面白くなった。
ていうか、ちゃんとエピソードが重なって
やっとドラマらしくなった。でも、原田知世のコメディセンスの無さは相変わらず。
山田(伊藤淳史)が柏倉家に来たシーンは
もっと原田知世が笑わせないとダメだろ。今回の幸子(小雪)のシーンは悪くなかったけど、
あの子役はもうちょっと何とかならんか。
一番フケて見えるってどういうこと?採点 6.5(10点満点平均6)
『末っ子長男姉三人』 第9話演出:金子文紀
脚本:吉田紀子ホームドラマだからと言ってしまえばそれまでだけど、
自分の番組に自分がリスナーのふりして出るってどうなんだ?いや、番組を盛り上げるために
そういう“演出”をすることはよくあるけど、
この場合は違うだろ。あと、結果はまだ分からないにしても、
あそこまで話が進んだ仕事を放り出して
辞表を書くってのもなあ。今回に限って言えば、
仕事をしている視聴者から反感を買いそうな描写が多かった。序盤の節子(加来千香子)夫婦の口げんかを
春子(深津絵里)と一郎(岡田准一)が
代わってするところは良かった。採点 6.0(10点満点平均6)
『末っ子長男姉三人』 最終話演出:清弘誠
脚本:吉田紀子この手のドラマの最終回はこんなもんでしょう。
最後にまたみんなでワイワイ暮らしたり、
和子(原田知世)と山田(伊藤淳史)が
安易にくっついたりしないだけでもよかった。とくに見どころはなかったけど、
娘たちを見送っている時の
お母さん(岸惠子)の後ろ姿は良かった。
あそこだけだな。振り返ってみると、
やっぱり初回が一番面白かった。でもおそらく制作者が作りたかったのは
2話以降だと思うので、
そういう意味ではありふれた作品だったと言える。豪華な出演者というのが
最大のウリだったかもしれないけど、
コメディの部分でかなり足を引っ張られたので
そう考えると原田知世と小雪は
ミスキャストだったかもしれない。
まあ、汚点になるほど重要な作品でもないけどね(笑)日曜の夜はこういうタイプのドラマが見たい、
という人が多いのは分かる。
でも、そのクオリティーがこの程度では
ドラマの復権は遠いような気がする。採点 6.0(10点満点平均6)
脚本 ★★☆☆☆
演出 ★★☆☆☆
配役 ★★★☆☆
主題歌 ★★★★★
音楽 ★★★☆☆
新鮮さ ★☆☆☆☆
話題性 ★★☆☆☆平均採点 6.30(10点満点平均6)