タイトル■ドラマは何でも教えてくれる
書き手 ■ロビー田中

放映中のTVドラマを“ほぼすべて”見ている、
驚異のドラマ通による、ドラマに関するコラム。

“TVドラマなんかくだらない”と言う人に、
あえて反論するつもりはありません。ただ、
“すべてのTVドラマがくだらないわけでは
ない”とだけ言っておきます。これからも僕は
TVドラマを見続けていくでしょう」(田中)

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『ショムニ FINAL』 

7/3〜
 フジ系 水曜9時  期待度 ★★★☆☆

人気シリーズの続編。
ファイナルと銘打っている以上、
やはり最終作となる模様。

もう安定した魅力があるので
中身は安心して楽しめると思う。

ポイントは伊藤俊人の穴をどう埋めるか。
代役は置かないことになったので、
別のキャラクターが出てくるかもしれない。



『ショムニ FINAL』 第1話

プロデュース:船津浩一、宮本理江子、中村百合子
演出:鈴木雅之
脚本:橋本裕志
原作:「ショムニ」安田弘之(講談社モーニングKC)
音楽:大島ミチル
主題歌:「太陽は沈まない」THE ALFEE
オープニング曲:「ISM」Wish
制作:フジテレビ、共同テレビ
出演:江角マキコ、京野ことみ、戸田恵子、櫻井淳子、高橋由美子、宝生舞、
   森本レオ、戸田菜穂、石黒賢、沢村一樹、升殻、高橋克実、相島一之、
   正名僕蔵、星野有香、北川弘美、滝沢沙織、市川勇、櫻庭博道、他

結局、ストーリーの中で
野々村課長(伊藤俊人)がいなくなったことは
語られなかった。

ただ、一番最後に
「5月24日に永眠された伊藤俊人さんの
 ご冥福をお祈り致します。」
というテロップが全社員の映像をバックに。

やっぱり、中身で一言でも触れてしまうと
どうしても悲しい気持ちになってしまうからやめたんだろうな。

あくまでもショムニの明るいテイストを守ろうとした感じ。
でもそれでいいと思う。
残ったメンバーで最後までいい作品を作って欲しい。

で、配役としては
以前、海外事業部にいた岡野(正名僕蔵)が
人事部へ異動になったという設定だった。

正名僕蔵は宮藤官九郎がいる劇団「大人計画」の役者さん。
最初はやりにくいかもしれないけど
独自の個性で寺崎部長(高橋克実)の補佐をお願いしたい。

さて、登場人物の紹介を省けるという
シリーズ物の利点を遺憾なく発揮して
初回としてはまずまずの滑り出しだったのではないだろうか。

今回は満帆商事の合併吸収と
塚原(京野ことみ)の初体験話がメイン。

その中で、相変わらずショムニメンバーの行動の発端は
完全に私利私欲に走っていて気持ちいい。
だから人間関係がベタベタしていない。
仮に世の中に放り出されても
みんなひとりで生きていける強さを持っている。

塚原だけはまだ他のメンバーの域には達していないんだけど、
今回のエピソードで少しは近づけたかもしれないな。

新社長が就任する次回以降、
またショムニの活躍が楽しみになった。

今週の千夏(江角マキコ)の名言。
“迷惑のひとつもかけないで
 どうやって人とつき合うんだよ”

             採点  7.5(10点満点平均6)



『ショムニ FINAL』 第2話

演出:鈴木雅之
脚本:橋本裕志

新社長(升毅?意外とあっさり落ちちゃったな。
まあ、このネタで引っ張られるのもイヤだから
個人的には歓迎だったけど。

で、今回は井上課長(森本レオ)にスポットが当たった。
今まであんまりなかったんだよな、
ここまで課長のキャラを掘り下げる話って。

とくにラストでショムニのメンバーと飲みに行くシーンなんて
一度もなかったんじゃないかな。
でも、課長だけはもっとショムニを愛してる様子が
出てもいいと思っていたので、
これも個人的にはOKだった。
ま、必要以上にベタベタして欲しくはないけどね。

これで次回から通常のパターンに戻れそう。
佳奈さん(櫻井淳子)の活躍を望む(笑)

             採点  7.0(10点満点平均6)



『ショムニ FINAL』 第3話

演出:村上正典
脚本:十川誠志

徳永(戸田恵子)が、お水の世界に詳しいの、
と言ったところのアップには
目に星を入れて欲しかった(笑)

まあ、そんな細かいところはどうでもいいんだけど、
今回はせっかく森口瑤子をゲストに迎えたのに
脚本があんまり良くなかった。

人事部が目立ちすぎたし、
最後のオチもキレがない。

神谷(沢村一樹)と杉田(戸田菜穂)で
かろうじてショムニのテイストを守ってた感じだな。

やっぱりショムニの脚本は
橋本裕志が書いた時が一番面白い。

今週の千夏(江角マキコ)の名言。
“人からどう思われてるか
 気にしてるような
 ちっぽけなプライドは
 捨てた方がいいね”

             採点  6.5(10点満点平均6)



『ショムニ FINAL』 第4話

演出:平野眞
脚本:成田良美

今回は平野眞の演出が光ったな。
ストーリーとしては単純だけど、
飽きさせない作りだった。

脚本の成田良美はアニメ畑の人だよね。
でもこの水準で書けるなら
ドラマもどんどん書いて欲しい。

宝生舞も梅のキャラクターを活かして
いい芝居をしていた。

一話完結モノはこうやって作るんだよ、
というような、
水準の高い回だった。

             採点  7.5(10点満点平均6)



『ショムニ FINAL』 第5話

演出:平野眞
脚本:橋本裕志

野々村(伊藤俊人)の後任、
岡野(正名僕蔵)がメインだった今回。

伊藤俊人が死去したのは
このファイナルのクランクイン直前だったから
その後に書かれた脚本が
この第5話になったということだと思う。

今までの岡野のキャラクターは
野々村の役割をただ割り振っただけだったので、
第5話で描かれた岡野は
多少、違う人物になってしまった。

でも全体としては
なかなかいい回だったんじゃないだろうか。

千夏(江角マキコ)は珍しく最後まで格好悪い役だったけど、
自分でかましたハッタリに追いつこうと影で努力している姿は
なんとも千夏らしかったし。

寺崎部長(高橋克実)が岡野をかばおうとした理由は
“1年間一緒に働いてきた上司だから”だったけど、
あそこで“前任者に頼まれたから”とか言われたら
号泣するところだったな。

平野演出のこの2回で
だいぶリズムを取り戻してきたぞ。

             採点  7.0(10点満点平均6)



『ショムニ FINAL』 第6話

演出:村上正典
脚本:橋本裕志

今回も一話完結らしいまとまりのある話だった。
また千夏(江角マキコ)がオチに使われたけど、
このシリーズは身近な話題に焦点を当てているせいか、
千夏も決してスーパーウーマンには描かれていない。
これはこのシリーズの特徴で決して悪い選択ではないだろう。

ただ、今回で言えば、
リエ(高橋由美子)の病院のシーンなど
演出で効果的に笑いを取っているにも関わらず、
千夏が君島波子(宮地雅子)に説教する部分が
それほど感動的に描けていない。

どんなにバカをやっても
最後に千夏はいいこと言うなあ、
というのは「ショムニ」の一番のキモなので
ここは頑張って欲しい。

橋本裕志も金子ありさも実力のある脚本家なので
ムラのない仕上がりを望む。

             採点  7.0(10点満点平均6)



『ショムニ FINAL』 第7話

演出:土方政人
脚本:十川誠志

今回は演出でかなり遊んだ感じ。
でも、文字をかぶせる仕上げは
ちょっとやり過ぎだったかもな。

以前のシリーズでも
杉田(戸田菜穂)がメインの回はあったけど、
このパターンでは千夏(江角マキコ)と杉田が
実は認め合ってる部分が何気なく描かれる所がいい。

ただ、今回も第3話と同じでオチが甘かった。
樋口(加勢大周)が詐欺だったというのも
あんまり面白くない展開だし。

佳奈さん(櫻井淳子)がやっぱり新社長も落としたことや、
お似合いになってきたリエ(高橋由美子)と
神谷(沢村一樹)のカップルに今後は期待してみよう。

             採点  6.5(10点満点平均6)



『ショムニ FINAL』 第8話

演出:平野眞
脚本:成田良美

平野眞が演出を担当するとすぐ分かる。
やっぱり面白いな。

でも今回はストーリーに捻りがなかった感じ。
まあ、徳永(戸田恵子)が会社を辞めるわけないし、
いがみ合って離婚っていうのもショムニっぽくないから
このパターンしかないんだけれども。

次回は神谷(沢村一樹)がメインか。
かなり楽しみだ。

             採点  6.5(10点満点平均6)




『ショムニ FINAL』 第9話

演出:村上正典
脚本:橋本裕志

思いっきり遊んだ回だったけど、
これはこれでいいんじゃないだろうか。

ショムニが今まで築いてきたフォーマットがあるから
メンバーのキャラをかなりくずした話にしても
それなりに楽しめる。

ボス、チェリー、タロット、人妻、愛人、バージン
というニックネームもバカバカしくて面白かった。

ただ逆に、シリーズファイナルの決断もまた正しいと思う。

             採点  7.0(10点満点平均6)



『ショムニ FINAL』 第10話

演出:徳市敏之
脚本:福島三郎

ショムニーズ、ヒショカーズに対抗して
営業二課の若手女性社員「営業娘。(略してエームス)」が登場。

若さをウリにした合コン営業で
課の成績を上げていくものの、
最後は当然、千夏(江角マキコ)たちに
仕事をするとはどういうことか、
大人の女になるとはどういうことかを、
ガツンと思い知らされる。

“女の価値は男の数。
 確かに間違っちゃいないけど、
 残念ながらオコチャマには
 意味が分かってなかったみたいね。

 いくら数をこなしても
 その男たちに愛されてないと意味がない。
 アンタに愛がないと愛されるわけがない。

 アンタたち軽いんだよ。
 まあ、もうちょっと大人になることだね”

この千夏の決めゼリフは
かなり気持ちよかった。

男関係と仕事がリンクした
ショムニらしい一話だった。

             採点  7.0(10点満点平均6)



『ショムニ FINAL』 第11話

演出:村上正典
脚本:成田良美

右京(石黒賢)がメインの話。
プライドの高い右京が
仕事でミスをするというエピソードに沿って、
ミスした時の対処法、仲間との信頼関係などを描いた。

仕事がらみのネタだったので
ショムニらしさは出ていたかな。
20年前のゲームのハードとソフトを
1万円出して買う人間は絶対にいないと思うけど(笑)

そして今回も最後のオチは甘かった。

最後が締まればずいぶん印象が違ったんだろうになあ。
もう作ってる方が飽きてきてるんじゃない?

             採点  6.5(10点満点平均6)



『ショムニ FINAL』 最終話

演出:土方政人
脚本:橋本裕志

最後に社員全員が集まるシーンは
ちょっとクサイ感じもしたけど、
ショムニのメンバーが
解散になっても何とも思ってなかったり、
最後の最後まで20人21脚をやりたいという
個人的な楽しみのために頑張ってる姿勢が良かった。

会社で働いていても
自分たちが楽しまなくちゃダメ、
という基本姿勢が貫かれていたのは立派だと思う。

主要メンバーが足並みを揃えて
カメラに向かって歩き出す
ラストカットも象徴的で良かったし。

でも、水戸黄門的偉大なるマンネリズムを
守ってきた「ショムニ」も、
やっぱりここが潮時かもしれない。

「ナースのお仕事」のような醜態を晒す前に
きちんとファイナルにするべきだと思う。

最高のチームだったショムニーズ、
そして戸田菜穂、
海外事業部のメンバーには
心からお疲れさまと言いたい。

             採点  7.0(10点満点平均6)

                  脚本  ★★☆☆☆
                  演出  ★★★☆☆
                  配役  ★★★★☆
                  主題歌 ★★☆☆☆
                  音楽  ★★★☆☆
                  新鮮さ ★★☆☆☆
                  話題性 ★★★☆☆

           平均採点  6.92(10点満点平均6)



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