タイトル■ドラマは何でも教えてくれる
書き手 ■ロビー田中

放映中のTVドラマを“ほぼすべて”見ている、
驚異のドラマ通による、ドラマに関するコラム。

“TVドラマなんかくだらない”と言う人に、
あえて反論するつもりはありません。ただ、
“すべてのTVドラマがくだらないわけでは
ない”とだけ言っておきます。これからも僕は
TVドラマを見続けていくでしょう」(田中)

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『天体観測』 

7/2〜
 フジ系 火曜10時  期待度 ★★★★☆

3年ぶりに再会した大学の同級生男女7人の
恋と友情を描く青春ドラマ。

同級生というシチュエーションといい、
男女7人という人数といい、
もう王道中の王道。

ただ、この7人のメンバーが、
伊藤英明、小雪、坂口憲二、田畑智子、
小西真奈美、オダギリジョー、長谷川京子、
というのがミソ。

こうしてみると
ドラマ界の勢力図も
徐々に新陳代謝が行われているのだなあ、
と感慨深いものがある。

とりあえずチェックは必要かと。



『天体観測』 第1話

プロデュース:笠置高広、森谷雄、渡辺真沙子
主題歌:「WILL」中島美嘉
演出:西谷弘
脚本;秦建日子
脚本協力:渡辺千穂
制作:関西テレビ、共同テレビ
出演:伊藤英明、坂口憲二、小雪、小西真奈美、オダギリジョー、田畑智子、
   山崎樹範、長谷川京子、大谷直子、松重豊、上原美佐、安居剣一郎、
   奥村公延、浅野和之、山田明郷、田中哲司、岡田めぐみ、青木和代、
   星野晶子、加藤明日美、浅見れいな、小池徹平、神保悟志、
   金子久美、福山亜弥、他

いくら王道って言っても、
ここまで「愛という名のもとに」と
設定が同じだとツライなあ。

長谷川京子は7人の中には入ってなくて
山崎樹範が同級生メンバーだった。
(八嶋智人がいる劇団カムカムミニキーナの人)
まあ、この山崎樹範がチョロ(中野英雄)なんだろうな。

伊藤英明はグループのリーダー的存在で出世頭。
当然、健吾(唐沢寿明)役だ。

定職についてなくて、
卒業から3年後に外国から帰ってきたという、
時男(江口洋介)とまったく同じ設定なのが坂口憲二。

この2人が大学時代、賭けをして奪い合ったマドンナで
教師(今回は採用試験浪人で予備校教師)という
仕事まで貴子(鈴木保奈美)と同じなのが小雪だ。

小西真奈美は尚美(中島宏海)役かな。
有里(小西真奈美)は会社の上司と不倫してるようだったけど、
尚美も森本レオと不倫していたし。

1話で結婚した田畑智子は則子(洞口依子)か。
地味で家庭的な雰囲気があるところは似てる。
ただ、聡美(田畑智子)は義母が寝たきりみたいで
かなり複雑な状況みたい。

あ、そういえば「愛と〜」では
則子と純(石橋保)が結婚したんだけど、
純は最後に福祉ボランティアに目覚めるんだよね。
それでこっちの聡美が介護士の役なのか。

ということは、オダギリジョーが純の役。
でもタケシ(オダギリジョー)と純は
今のところあんまり接点がない感じ。

タケシは出会い系サイトを運営してたけど、
「愛と〜」では時男がダイヤルQ2を
立ち上げて稼いでたんだよね。

ちなみにそのダイヤルQ2で
バイトしてたのが深津絵里。
当時19歳だった。

あとみんなが集まるお店ね。
入口の雰囲気なんかもほとんど同じだった。
今度はボート部じゃなくて天体観測サークルだったので
店名は「ジュピター」になってたけど。

まあ、そんなこんなで
かなり確信犯的な焼き直しをしてるので
ストーリーに引き込まれるってことはなかった。

とりあえず来週以降は
長谷川京子がルビー・モレノになっていく様子を楽しもう。
みたいな感じで。

             採点  6.0(10点満点平均6)





『天体観測』 第2話

演出:西谷弘
脚本;秦建日子
脚本協力:渡辺千穂

開き直って見たせいか
初回よりは素直に楽しめた。

今回は有里(小西真奈美)がメインだったけど
恭一(伊藤英明)や聡美(田畑智子)の内面も
かなり描けてたし。

長谷川京子はどうやら精神的な病を持ってる役のよう。
となると、健太(山崎樹範)が
騙されて自殺するような展開はないかな。

メンバーに既婚者を入れたのは面白いけど
あの状況だと、恭一よりもむしろ聡美が
外出する方が難しそう。

みんなで会うシーンに
ムリに聡美を入れなくてもいいんじゃないだろうか。
あんまり頻繁に外出するようだと
聡美の状況に同情できなくなる。

このあたりは注意して欲しいな。

             採点  6.5(10点満点平均6)



『天体観測』 第3話

演出:都築淳一
脚本;秦建日子
脚本協力:渡辺千穂

もったいつけずに
どんどん先へ行く展開はいい。
ただ、すべてにおいて既視感がある、
というのがツライんだな、このドラマは。

でも今回は
5人が友也(坂口憲二)の引越祝いに
集まったあたりから最後にかけてのセリフは良かった。

“前に進んでいるのか
 後ろに下がっているのか
 私たちはすぐに分からなくなる。

 何が正しくて
 何が間違っているのか
 私たちはすぐに忘れてしまう。

 それでも私たちは今日もオールを握りしめる。
 遠い遠い明日にではなく、
 今日、どこかへたどり着くために。

 虚ろな未来のユートピアではなく、
 確かな今をつかむために”

…という最後のナレーションも。

遠い夢に向かってとにかく走れ、
みたいな発想は現実的じゃないからな、今の時代。

全体の流れとしては
恭一(伊藤英明)と
七重(長谷川京子)の関係がポイントか。

そのまま七重が恭一に走るとか。
で、健太(山崎樹範)が傷心するとか。
で、健太はひとり、みんなで天体観測したあの小屋へ行くとか。

とにかく誰か死ななくちゃ、
みたいな見方はよくないな(笑)

             採点  6.5(10点満点平均6)



『天体観測』 第4話

演出:都築淳一
脚本;秦建日子、渡辺千穂

今回はオダギリジョーが最高だった。
有里(小西真奈美)に
借金返済が終わったことを報告した時の表情も、
ドアごしに友也(坂口憲二)と言い合いをした場面も、
そしてもちろん、駐車場のシーンも。

「サトラレ」とダブルブッキングなのに
よく頑張ってるなあ。

全体的な内容は青春モノ独特の
熱過ぎるシーンが満載だったけど、
なかなかいい出来だった。
印象的なセリフもいくつかあったし。

ただ、やっぱり聡美(田畑智子)は外出しすぎ。
仕事と家庭を両立させる、とか言っても、
昼も夜も友達と一緒じゃなあ。

聡美の生活は
もっとディテールにこだわって描いて欲しい。

あと、最後の出演者テロップで、
ゲストの小木茂光の名前が
小林茂光になっていた。
ディテールにこだわって欲しい(笑)

             採点  7.0(10点満点平均6)




『天体観測』 第5話

演出:西谷弘
脚本:秦建日子
脚本協力:渡辺千穂

長谷川京子が本格的に絡んできて
やっと転がってきた。

8人それぞれが抱え込む問題を
バランスよく描くようになった点も良かったし、
いちいち全員集合しないところも良かった。

予備校の生徒、アリス(上原美佐)は、
今までも美冬(小雪)や友也(坂口憲二)に
つっかかっていたけど、
今回、きちんとスポトが当たった。

ちなみに「愛という名のもとに」で
貴子(鈴木保奈美)に反発し、
そして影響を受けたのは、
「ひとつ屋根の下」に出る前の
山本耕史(足が不自由な文也役)。

鈴木保奈美と山本耕史は最後にマラソンをしたんだけど、
美冬とアリスが水泳やったらかなり笑えるな(笑)

聡美(田畑智子)は今回、
比較的まじめに働いていた感じ。
ただ、あの夫(田中哲司)との関係は
やっぱり理解に苦しむな。

ていうか、このドラマの最初が
2人の結婚式シーンから始まったからそう思うんだよね。
結婚後、何年か経っての状況ならまあ受け入れられるんだけど、
新婚でこんな状況ばかりだと、
なんで結婚したんだよ、という根本的な疑問が湧いてしまう。

聡美に関係するエピソードが
今のところ足をひっぱってる感じかも。

             採点  7.0(10点満点平均6)



『天体観測』 第6話

演出:都築淳一
脚本:秦建日子、渡辺千穂

聡美(田畑智子)が
納涼会でみんなに送られるシーンは、
分かってても泣けたな。

ただ、前回に比べると
七重(長谷川京子)に関するエピソードに
ウエイトがかかりすぎて
全体的にはアッサリとした印象だった。

いや、すべての問題を毎回均等に描くのも効果的ではないので、
恭一(伊藤英明)が病室で七重に言った
“もう出会ってしまった”等のセリフが曖昧だったり、
恭一と七重の仲を疑った健太(山崎樹範)のリアクションが
単調だったりするところが良くなかったのかな。

とにかく、この七重に関する大きな問題に
思ったより緊張感を見出せなかった。

まあ、このドラマは既視感満載なので
それが「天体観測」と言われればそれまでだけど…。

次回はかなり物語が動きそうな感じ。
ここが正念場かな。

             採点  6.5(10点満点平均6)




『天体観測』 第7話

演出:西谷弘
脚本:秦建日子
脚本協力:川嶋澄乃、渡辺千穂

恭一(伊藤英明)をメインで描きつつ
全体にバランスが取れたいい回だった。

とくに恭一が料亭の前で
涙をこらえながら電話をするシーンは秀逸。
ただ、その直後の美冬(小雪)と
友也(坂口憲二)のシーンは今イチだったな。
友也の部屋に来てからのシーンは良かったけど。

そして、実際には死なないと思うけど
自殺を考えたのは聡美(田畑智子)だった。

でもこれは夫(田中哲司)の行動がメチャクチャなので
感情移入しにくい。
次回、聡美の問題をどう描くかがポイントだ。

七重(長谷川京子)は今回のエピソードで
完全に仲間に入る雰囲気。
今度は七重が誰かを救えるのか?

             採点  7.5(10点満点平均6)




『天体観測』 第8話

演出:田澤直樹
脚本:秦建日子
脚本協力:渡辺千穂

うーん、やっぱりそうなるのか。
恭一(伊藤英明)の父親との問題。
そして有里(小西真奈美)の妊娠。
「愛のいう名のもとに」通りだ。

前回の恭一が良かったから
もう少し役者を前に出す作りを期待してたんだけどな。

友也(坂口憲二)は秋本奈緒美に認められて
最終回は再び外国へ行く、のか?

             採点  6.5(10点満点平均6)



『天体観測』 第9話

演出:都築淳一
脚本:秦建日子
脚本協力:渡辺千穂

重たい内容ではあるのに何となく深みがなかった。
やっぱり原因は脚本かなあ。

恭一(伊藤英明)の父親との問題と、
有里(小西真奈美)の妊娠問題を絡めた
試みは悪くなかったけど、
逆にひとつひとつが浅くなってしまった感じ。

役者はそれぞれ頑張ってるんだよな。
ちょっと惜しい。

             採点  6.5(10点満点平均6)



『天体観測』 第10話

演出:西谷弘
脚本:秦建日子、渡辺千穂

友也(坂口憲二)が酒に酔いながら
恭一(伊藤英明)と冬美(小雪)に
フリーダイビングの事実を告白するシーンから
ラストまでの展開は面白かった。

だからまあ許せるんだけど
前半は本当にありきたりでつまらなかったなあ。

今さらこのドラマの既視感に
文句言ってもしょうがないけど、
もう少しプロットの段階で何とかならなかったのか。

タケシ(オダギリジョー)と有里(小西真奈美)の
カップルの問題が一番面白くなってきたので
次回はそこに期待してみよう。

             採点  6.5(10点満点平均6)



『天体観測』 第11話

演出:都築淳一
脚本:秦建日子
脚本協力:渡辺千穂

本当にひとり死なせちゃったよ。
ここまでやるとかえって潔いなあ(笑)

結局、ストーリーは何の意外性もないまま
最終回を迎えるわけだけど、
最後まで役者の演技には注目していこう。
今回もオダギリジョーや小西真奈美の演技は良かったしね。

このドラマから学ばなければいけないこと:
 ・病院内は静かに!
 ・患者が急変したらすぐにナースコールを!

             採点  6.5(10点満点平均6)



『天体観測』 最終話

演出:西谷弘
脚本:秦建日子、渡辺千穂

お約束の展開なので
何も言うことはないんだけど、
普通に見ると
天文台を焼く理由に感情移入しにくかった。

友也(坂口憲二)がひとりで旅立つ経過も
ほとんどカットされて唐突だったし。

七重(長谷川京子)も
あそこまでメンバーに入ってくるには
エピソードが少なすぎてムリがあったな。

結局、このドラマは、
普遍的なテーマを
とくに新しい切り口を作らず、
かなり確信犯的に描いた作品だった。

それはそれでかまわないけど、
だったらもっと印象的なセリフが必要だった。
決めゼリフのほとんどが浮いて聞こえてしまったのは
かなり致命的だったと思う。

それでも7話の伊藤英明、
後半の小西真奈美、オダギリジョーは
いい演技を見せた。

どうせシンプルなストーリーにするなら
もっと役者を活かすような作りも
可能だったような気がして
それが残念だった。

このドラマは見る世代によって
ずいぶん印象が違っていたと思う。

本来、こういう普遍的なテーマを扱った作品は
どの世代が見ても共感できなくては意味がないんだけど、
そうならなかったのが一番の問題だったかもしれない。

やっぱり表面的なスタイルまで
ありきたりにしてしまったのが
一番の失敗だったかな。

ラストの有里(小西真奈美)のカットは美しかった。

             採点  6.5(10点満点平均6)

                  脚本  ★★☆☆☆
                  演出  ★★★☆☆
                  配役  ★★★★☆
                  主題歌 ★★★☆☆
                  音楽  ★★★☆☆
                  新鮮さ ★☆☆☆☆
                  話題性 ★★★☆☆

           平均採点  6.63(10点満点平均6)



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