タイトル■ドラマは何でも教えてくれる
書き手 ■ロビー田中

放映中のTVドラマを“ほぼすべて”見ている、
驚異のドラマ通による、ドラマに関するコラム。

“TVドラマなんかくだらない”と言う人に、
あえて反論するつもりはありません。ただ、
“すべてのTVドラマがくだらないわけでは
ない”とだけ言っておきます。これからも僕は
TVドラマを見続けていくでしょう」(田中)

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『アルジャーノンに花束を』 10/8〜

フジ系 火曜10時  期待度 ★★★★★

説明も不用な全世界で900万部を売り上げた
ダニエル・キイスの小説をドラマ化。
原作モノもうまく仕上げる
岡田惠和が脚本を担当するのも興味深い。

主演はユースケ・サンタリア。
手術を勧める養護教師に菅野美穂。

3年かかって映像化権を獲得したという
スタッフの意気込みに期待したい。




『アルジャーノンに花束を』  第1話

プロデュース:安藤和久、東城祐司(MMJ)、伊藤達哉(MMJ)
演出:新城毅彦
脚本:岡田惠和
原作:「アルジャーノンに花束を」ダニエル・キイス
音楽:寺嶋民哉
主題歌:「ソング・オブ・バーナデット」ジェニファー・ウォーンズ
挿入歌:「スピード」ラブハンドルズ
制作:関西テレビ、MMJ
出演:ユースケサンタマリア、菅野美穂、吉沢悠、中島知子、榎本加奈子、
   いしだあゆみ、益岡徹、石橋けい、田口浩正、山口あゆみ、井澤健、
   岡本竜汰、牛尾田恭代、野口優樹、田中景花、他

うーん、さすがのユースケも
この役はやっぱり難しいか。
菅野美穂はそれなりに雰囲気を出してたけど。

全体的には中島知子がネック。
なんで中島知子なんだろう。

まあ、この話は手術を受けてからだからな。
しばらく静観してみるか。

それにしても終わってすぐに
“アーッとその時、アーッとその時。
 アットロ〜ン、アットロ〜ン”
のCMはないだろ。
もう少し気を使ってほしい。

             採点  6.0(10点満点平均6)



『アルジャーノンに花束を』  第2話

演出:新城毅彦
脚本:岡田惠和

菅野美穂はいいなあ。
今のところ感情を抑えた演技が中心だけど、
それでも訴えてくるものがある。

今回はいしだあゆみもすごい演技だったので
かなり見ごたえがあった。

ただ、やっぱり全体的には
スムーズに転がってると思えない。
これは中島知子ひとりの責任でもないような気がするし。

評価が難しい。

             採点  6.5(10点満点平均6)



『アルジャーノンに花束を』  第3話

演出:塚本連平
脚本:岡田惠和

エリナ先生(菅野美穂)の過去に、
知的障害の弟がいた、という過去を持ってきたか。
ちょっとお涙頂戴的な雰囲気もあったけど、
エリナがハル(ユースケ・サンタマリア)に
危険かもしれない手術を勧める動機づけとしては
説得力があるエピソードだったかもな。

今後はパン工房の仲間との関係に
焦点が移りそうだけど、
その中で原作にないミキ(榎本加奈子)の存在が
どう描かれるのか。
そこに注目だ。

             採点  6.5(10点満点平均6)



『アルジャーノンに花束を』  第4話

演出:塚本連平
脚本:岡田惠和

分かりやすさ、という意味では、
先にハル(ユースケサンタマリア)が
母親(いしだあゆみ)に捨てられたことを
知った展開は悪くなかった。

まあ、母親との関係は
今後も深く描かれると思うので
そこできめ細かく描いて欲しい。

今回、中島知子はちょっとだけ頑張ったな。
テレビでは描写しにくい部分を
どう描いていくかにも今後は注目だ。

             採点  6.5(10点満点平均6)



『アルジャーノンに花束を』  第5話

演出:新城毅彦
脚本:岡田惠和

知能が高くなることで
自分のことを好きだと思っていた人たちが
本当はバカにして笑っていたことに気がつくシーンは、
個人的に原作で一番泣けたエピソード。

この急激に知能が高くなるハルを
ユースケはうまく演じていたと思う。

ただ、もう5話なので
全体的にストーリーは単純になっている感じ。
もう来週は母親との対面。
あとはエリナ(菅野美穂)との関係を描くだけで
もうエピソードは増やせないんじゃないだろうか。

少なくとも、もう登場人物は増えないと思う。
どこまで凝縮してまとめられるのか。
岡田惠和の腕の見せどころか。

             採点  7.0(10点満点平均6)



『アルジャーノンに花束を』  第6話

演出:塚本連平
脚本:岡田惠和

早っ!
もうアルジャーノンが止まっちゃったよ。
やっぱりかなり単純に脚色されてしまうんだなあ。

今回はハル(ユースケ・サンタマリア)が
エリナ(菅野美穂)に、
昔の友達を見かけた時、

“会いたくなかった。
 彼らの仲間だと思われたくなかった。
 近づきたくなかった。
 イヤだった。
 嫌悪感を持った。
 気持ち悪かった。
 不快だった”

と告白したシーンはストレートで良かった。
ただ、その後にハルがエリナに抱きつく場面は
結局、ああいう描き方しかできないのかな。
まあ、これは次回以降にまだ期待が持てるけど。

今回、原作では重要な存在だったハルの妹(山口あゆみ)が、
ハルのことを思い出すというシーンもあった。
中途半端にならないことを願う。

             採点  6.5(10点満点平均6)




『アルジャーノンに花束を』  第7話

演出:新城毅彦
脚本:岡田惠和

ここまで来るとユースケの本領発揮か。
エリナ(菅野美穂)に告白するシーン、
妹(山口あゆみ)と偶然会うシーン、
そして、学会で昔の自分を見た時の
ハル(ユースケ)自身の表情。
みんな良かった。

とくに学会のシーンは
原作と全然違うけど印象的だったし。

ただ、エリナとの触れ合いを、
あの場面でおでこにキスするという処理の仕方は
どうなんだろうか。

母(いしだあゆみ)、妹、ハルの関係を
ドラマではどう描くのか、
ここはちょっと興味深いな。

             採点  7.5(10点満点平均6)



『アルジャーノンに花束を』  第8話

演出:塚本連平
脚本:岡田惠和

ハル(ユースケ)と妹(山口あゆみ)との関係も
ハルと教授(益岡徹)たちとの関係も
まろやか〜な感じ。
でもドラマとしてはこれでいいのかも。
妹と別れるシーンは美しい映像だったし。

それにしても、
オリジナルでミキ(榎本加奈子)を作った理由は
今回のようなハルの諦めない努力を
後押しするためだけなんだろうか。

もう少し何かあって欲しい気がする。

             採点  7.5(10点満点平均6)



『アルジャーノンに花束を』  第9話

演出:新城毅彦
脚本:岡田惠和

エリナ(菅野美穂)がハル(ユースケ)に対する感情を
“分からない。
 男女とか、恋愛とか、もう分からない。
 同情とか愛情とか、もうそんなの分からない”
と正直に言ったシーンは良かった。

今回は象徴的とも言える
秋から冬へ向かう景色が美しく撮れていて
そのことがさらに内容を引き締まったものにしたと思う。

ここまでは晴彦(吉沢悠)に関する描き方に
物足りなさを感じるけど、
おそらく、最終的にエリナを救済する存在として
このキャラクターを作ったんだろうな。

ミキ(榎本加奈子)の存在理由とともに
最後まで見届けたい部分だ。

…で、全然関係ないんだけど
いしだあゆみの顔って
横から見ると本当に三角形だよね。
アニメみたい(笑)

             採点  7.5(10点満点平均6)




『アルジャーノンに花束を』  第10話

演出:塚本連平
脚本:岡田惠和

やっぱりこうなると
いしだあゆみはスゴイ。

ハル(ユースケ)に
“私をなじりなさい!罵りなさい!”
と言って号泣するシーンはさすがに見ごたえがあった。

ミキ(榎本加奈子)は結局、
手術をしなくても
少しずつ頑張る象徴としてだけの存在みたいだけど、
ハルが桜井パンを訪れた場面はなかなか良かった。

それにしても
最後の1行でつづくになっちゃったぞ。
どんな最終回にするのか、楽しみだ。

             採点  7.5(10点満点平均6)



『アルジャーノンに花束を』  最終話

演出:新城毅彦
脚本:岡田惠和

このドラマが原作と最も違った点は
ハル(ユースケ)の親子関係だったわけだけど、
それがラストにもつながっていた。

テレビらしいと言えば
実にテレビらしいアレンジだった。

この作品も原作が偉大すぎて
違和感を感じた人は多かったと思う。
でも、個人的には
テレビドラマというステージの特徴を考えた上で
うまくアレンジしていたような気がする。

もちろん、いしだあゆみは
原作通りの母親を演じたとしても
抜群の演技力を発揮していたと思うけどね。

最後、坂の向こうから母親(いしだあゆみ)が
ハルを迎えに来るシーンは良かった。

ずっとハルが坂の向こうを見つめている場面は
今まで何度も出てきていたので、
こういうシーンは映像としての力が大きい。
分かっていても泣けるというパターン。
このへんもテレビの特長を活かした
いい選択だったんじゃないかな。

すべてを見終わった感想としては、
この原作はもっといろんな脚本家や演出家が
様々な切り口でドラマ化してもいいんじゃないか
という気がした。

今回のドラマではあえて排除した部分にも
考えるべきテーマはたくさんあるわけだし。

パーフェクトとはとても思えないけど、
ある意味、ドラマの王道を守った
そつのない作りだったと思う。

             採点  7.5(10点満点平均6)

                  脚本  ★★★☆☆
                  演出  ★★★☆☆
                  配役  ★★★☆☆
                  主題歌 ★★★★☆
                  音楽  ★★★☆☆
                  新鮮さ ★★☆☆☆
                  話題性 ★★★☆☆

           平均採点  6.95(10点満点平均6)





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