タイトル■ドラマは何でも教えてくれる
書き手 ■ロビー田中

放映中のTVドラマを“ほぼすべて”見ている、
驚異のドラマ通による、ドラマに関するコラム。

“TVドラマなんかくだらない”と言う人に、
あえて反論するつもりはありません。ただ、
“すべてのTVドラマがくだらないわけでは
ない”とだけ言っておきます。これからも僕は
TVドラマを見続けていくでしょう」(田中)

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『HR』 10/9〜

フジ系 水曜11時  期待度 ★★★★★

30分で放送する新設枠。
三谷幸喜が脚本・総合演出を担当する
シチュエーションコメディーで、
舞台は定時制高校。

役者は30分ぶっ続けで演技をして、
スタジオに入れたお客の笑い声も録りながら
そのまま放送する。

要するに生ドラマに近い作り。
演技をミスしてもそのまま放送するらしい。

コントっぽくならないかどうかが心配だけど、
戸田恵子、小野武彦、白井晃、國村隼あたりが
脇を固めるので心配なさそう。

主演は香取慎吾。
酒井美紀、篠原涼子も生徒役で出る。





『HR』  第1話「轟先生の秘密の手紙」

企画:石原隆
プロデュース:関口静夫、土屋健
脚本・総合演出:三谷幸喜
映像演出:河野圭太
主題歌:「まんをじして」奥田民生
制作:フジテレビ、共同テレビ
出演:香取慎吾、今井朋彦、小野武彦、戸田恵子、國村隼、白井晃、
   篠原涼子、酒井美紀、中村獅童、他

かなり本格的なシチュエーション・コメディ。
さすがは三谷幸喜、
脚本の流れはすばらしかった。

ただ、本場アメリカのものより
かなり舞台色が強かったな。
小劇場の芝居を見ているような感じ。

もっとテンションを下げてもいいんじゃないかな。
あと、観客の笑い声の音量も、
もう少し絞った方がいいと思う。

でも全体的には非常に楽しみな作品だ。
2クールの予定なので
ちょっとホロっとくる話もやって欲しいし。

アメリカのシット・コムだと
観客が「Wow…」みたいなリアクションをするけど、
日本人がどういう反応をするか見てみたい。

ていうか、観覧希望のハガキ出すか。

             採点  7.5(10点満点平均6)



『HR』  第2話「雨の日の宇部さん」

脚本・総合演出:三谷幸喜
映像演出:河野圭太

今回は笑えなかった。
どちらかというとホロッとくる話なんだろうけど、
そんなにタメもないのでジーンと来ないし。
やっぱりかなり回によってムラは出てきそう。

あと、香取慎吾、
汗かいちゃダメだろ。

             採点  6.0(10点満点平均6)



『HR』  第3話「鷲尾君、ピザを頼む」

脚本・総合演出:三谷幸喜
映像演出:河野圭太

やっぱりこれはシットコムではないな。
小劇場のテレビ版。

一番の原因は役者が観客を意識しすぎていること。
観客まで声を届かせようと大声を出し過ぎる。

もちろん演出にも問題があるんだけど、
國村隼は比較的自然にやってるからな。

少なくともアメリカのようなシットコムを
楽しもうとは思わない方がいいだろう。

早くアタマを切り替えないと…。

             採点  6.0(10点満点平均6)



『HR』  第4話「淡島さんの再就職」

脚本・総合演出:三谷幸喜
映像演出:河野圭太

今回はかなりホロっとくる話だった。
でもやっぱりその時点での観客のリアクションはなし。
三谷幸喜がリアクションのキッカケとして
“なんだこのハートウォーミングな雰囲気は”
というセリフを用意して、
笑いに転化させていた。

これが日本的なやり方ということか。
役者が本気で泣くくらいまで
完全な感動シーンなら茶化さないと思うけど。

でもそれでいいと思う。
今回はいい出来だった。

             採点  7.0(10点満点平均6)



『HR』  第5話「神野さんの最初の授業」

脚本・総合演出:三谷幸喜
映像演出:河野圭太

今回もオチは甘かった。
まあ、あの大量の紙吹雪は
バカバカしくて面白かったけど。

これで酒井美紀も授業に加わるので
学園ドラマらしいネタも増えるのかな。

ただ、もうひとりの教師、
村井(今井朋彦)もいいキャラなので、
職員室も今まで通り有効に使って欲しい。

             採点  6.5(10点満点平均6)




『HR』  第6話「級長選挙」

脚本・総合演出:三谷幸喜
映像演出:河野圭太

役者も少し慣れてきた感じ。
アドリブっぽいセリフもあった。

各生徒のキャラクターも固まってきたので
鷲尾(中村獅童)がずっと
和久井(白井晃)に投票し続けたりする行動も
自然で面白かった。

以前のエピソードも下地になっていたりして
だんだんドラマっぽくなってきたかな。

             採点  7.0(10点満点平均6)



『HR』  第7話「ホイさんが帰ってきた!」

脚本・総合演出:三谷幸喜
映像演出:河野圭太

生瀬勝久のこういう使い方は
ちょっともったいないような気がする。
普通のキャラでも
この人はかなり面白く表現できるしね。

それにしてもこの作品は
よほど見る方がコンディションを整えないと疲れるな。

慣れてきたとはいえ
相変わらずやかましい。

             採点  6.0(10点満点平均6)



『HR』  第8話「田淵ジョー、現わる」

脚本・総合演出:三谷幸喜
映像演出:河野圭太

またオチが甘い。
前半の勘違いネタは三谷幸喜の得意技なので
十分に面白かったけど。

うーん、まあいいか。

             採点  6.0(10点満点平均6)




『HR』  第9話「八木田さんの恋」

脚本・総合演出:三谷幸喜
映像演出:河野圭太

インカムによる指示がしつこかった。
最後のオチにもつながっているから
仕方ないんだけど、
このやり取りが長くて
肝心の須磨さん(小野武彦)の指示が
サラッと流れてしまった。
だからオチが弱くなった。

連ドラとして話題がつながってきたのはいい。
せめてもう少し普通に演じてくれたらなあ。
今さら直りそうもないけど。

             採点  6.0(10点満点平均6)



『HR』  第10話「ホイさんのハムレット」

脚本・総合演出:三谷幸喜
映像演出:河野圭太

ホイさん(生瀬勝久)のキャラはやっぱり面白くない。
ただ、ドラマらしくなってきたと言えば
そう言えなくもない。

要するにこの作品は、
笑おうと思って見ない方がいいんじゃないか?

まあ、作りが安定してないことには変わりないな。

             採点  5.5(10点満点平均6)



『HR』  第11話「クリスマススペシャル」

脚本・総合演出:三谷幸喜
映像演出:河野圭太

まあ、スペシャルってことで。

             採点  5.0(10点満点平均6)



『HR』  第12話「ひとまず総集編」

脚本・総合演出:三谷幸喜
映像演出:河野圭太

総集編をやる意味はまったくない。
でも、三谷幸喜と香取慎吾のオマケのアドリブは
まあ面白かったかな。
毎回やって欲しいとは思わないけど。

             採点  5.5(10点満点平均6)



『HR』  第13話「まずはメイキング」

脚本・総合演出:三谷幸喜
映像演出:河野圭太

2クールなのでこういうものも入れつつ。
でも、大変なことをやってるんですって
自分たちで言うのもいやらしいなあ。

             採点  5.0(10点満点平均6)




『HR』  第14話「鷲尾君、捕まる」

脚本・総合演出:三谷幸喜
映像演出:河野圭太

今回はかなり面白かった。
お姉さんに化けていた鷲尾(中村獅童)が
宇部(戸田恵子)に脱がされた時に、
店長(小日向文世)が“男だったのかよ!”と
リアクションしたところがとくに。

ただ、またオチが甘かったな。
今回は中村獅童の早着替えが見せどころなのは分かるけど、
わざわざお父さんまで出す必要はなかった。
もったいなかった。

             採点  7.0(10点満点平均6)




『HR』  第15話「須磨さん一家の災難」

脚本・総合演出:三谷幸喜
映像演出:河野圭太

今回ぐらいドラマ性があった方がいい。
別に感動するほどのストーリーじゃないけど、
全体的なバランスがよくなるし。

あと、香取慎吾のテンションも下げられるしな。
後半戦はなかなか調子いいぞ。

             採点  6.5(10点満点平均6)



『HR』  第16話「徹夜の仕事」

脚本・総合演出:三谷幸喜
映像演出:河野圭太

まだイチゴがひとつ残っていたという
つまらないオチさえなければ…。
どうしたんだろうな、この作品の三谷幸喜は。

でも全体的には今までで一番ドラマ性があって、
笑えて、ハートフルで、バランスが良かった。

和久井(白井晃)が黒崎(相島一之)に
ケーキをぶつけた時の観客の反応は実に素直なもの。
ここだけは本当にアメリカのシットコムみたいだった。

             採点  7.0(10点満点平均6)




『HR』  第17話「さよなら、和久井さん」

脚本・総合演出:三谷幸喜
映像演出:河野圭太

今回は大きなミスもなくて良かった。
初回からのストーリーのつながりもあって
面白かったと思う。

ただ、これで本当に和久井さん(白井晃)を
メンバーから外してしまうんだろうか。
もったいないな。

ていうか、
ゲストも含めてメンバーの出入りが激しすぎる。
レギュラーメンバーでも十分に面白く作れるのに。

出演スケジュールや
稽古時間の負担を考えてのことなんだろうけど、
これだけ鳴り物入りで始めたんだから
固定のメンバーで最後まで作って欲しかった。

             採点  7.0(10点満点平均6)



『HR』  第18話「チェッキーさん」

脚本・総合演出:三谷幸喜
映像演出:河野圭太

こういうゲストの使い方なら効果的。
ストーリーもしっかりしていて
見ごたえのある回だった。

やっとドラマとしても楽しめるようになってきた。

             採点  7.0(10点満点平均6)




『HR』  第19話「淡島さん、大いに語る」

脚本・総合演出:三谷幸喜
映像演出:河野圭太

ホイさん(生瀬勝久)も
脇役ならそれほどジャマにならないな。

淡島さん(篠原涼子)が泊まっていた家が
次々とバレるシーンなんかはかなり面白かった。

最初からこういうトーンの作品にして欲しかった。

             採点  7.0(10点満点平均6)




『HR』  第20話「学級閉鎖」

脚本・総合演出:三谷幸喜
映像演出:河野圭太

香取慎吾がまた
前半のようなテンションが高すぎる演技をしていたけど、
今回は藤村俊二のひょうひょうとした演技との対比が絶妙で
かなり完成度は高かった。

連続ドラマとしても面白い。
でも、もうすぐ終わっちゃうんだよな。
後半、ペースをつかんできただけに残念だ。

             採点  7.0(10点満点平均6)





『HR』  第21話「八木田の母でございます」

脚本・総合演出:三谷幸喜
映像演出:河野圭太

ストーリーはオーソドックス。
でも十分に面白かった。

やっぱり岸田今日子ってうまいな。
ここのところ豪華ゲストの連発だけど、
それならそれで楽しめる。

こうなると最終回にもゲストを呼ぶのか、
呼ぶとしたらどんな大物なのか、
興味が湧いてくる。

             採点  7.0(10点満点平均6)




『HR』  第22話「恋の季節」

脚本・総合演出:三谷幸喜
映像演出:河野圭太

“幸運の蹄鉄”が巡っていく流れが三谷幸喜らしく、
全体のテンポも良くて面白かった。

でも、昼間の学生(赤岡典明)の使い方はもったいなかったな。
この学生をオチに使えば
みんなが宇部さん(戸田恵子)に気を使う
ハートウォーミングな展開とのメリハリも効いて、
最後がもっと締まったかもしれないのに。

次回、最終回のゲストは伊藤四朗。
そして三谷幸喜が来て全員トークをやるらしい。

             採点  6.5(10点満点平均6)




『HR』  第23話「校長先生、ご用心」

脚本・総合演出:三谷幸喜
映像演出:河野圭太

定時制高校1年生の話なので
もともと卒業という行事は使えないんだけど、
シメっぽくないバランスのいい最終回だった。

伊東四朗はやっぱり安心して見られたな。
まあ、一番得意な分野とも言えるわけだけど。

このドラマ全体に関して言うと、
斬新な企画だっただけに、
スタッフも最初は手探りだった感じ。
結果、前半はテンションが高すぎて
見ているこっちが疲れる回が多かった。

ただ、後半は作り手側も要領が分かってきたのか
全体のバランスが良くなってかなり楽しめた。

ドラマとしてのストーリーがあれば
それほどオチが強烈ではなくても締めることはできる。
後半はそのドラマ性が出てきたことが大きかったんだと思う。

新しいことをやってみようという
意欲は認めてもいい作品だった。

             採点  7.0(10点満点平均6)

                  脚本  ★★★☆☆
                  演出  ★★★☆☆
                  配役  ★★★★☆
                  主題歌 ★★★★☆
                  新鮮さ ★★★★☆
                  話題性 ★★★☆☆

           平均採点  6.43(10点満点平均6)





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