タイトル■ドラマは何でも教えてくれる
書き手 ■ロビー田中

放映中のTVドラマを“ほぼすべて”見ている、
驚異のドラマ通による、ドラマに関するコラム。

“TVドラマなんかくだらない”と言う人に、
あえて反論するつもりはありません。ただ、
“すべてのTVドラマがくだらないわけでは
ない”とだけ言っておきます。これからも僕は
TVドラマを見続けていくでしょう」(田中)

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第3話「最終回って難しい」

創刊直後ぐらい毎日ガンガン書こうと思ったのに
いりなり中2日も空けてしまった。

「モー。たいへんでしたSP」を見ながら
のんきにメシ食ってる場合じゃねえぞ>オレ

では前回予告したあのドラマの話から。

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『アンティーク〜西洋骨董洋菓子店』 最終回

プロデューサー:高井一郎
原作:よしながふみ「西洋骨董洋菓子店」(WINGS COMICS)
主題歌:「youthful days」Mr.Children
演出:本広克行、羽住英一郎
脚本:岡田惠和
出演:滝沢秀明、椎名桔平、藤木直人、阿部寛、小雪、えなりかずき、眞鍋かをり、
   牟田悌三、西野妙子、辻萬長、八千草薫、他

10話までは桃子(小雪)が書いた本の内容だった。
だからテロップと桃子の本の見出しが一致していた。
……というのは、まあいい。

最終回の大部分は、
まだまとめていない桃子の取材テープをそのまま流した。
だから各々の希望や想像が入り交じって
話が食い違っていた。
……というのも、まあ分かる。

でもだったらなぜ最終回にまで
テロップをつけてしまったんだろう?
最終回以前にも
エイジ(滝沢秀明)や小野(藤木直人)を
桃子が取材するシーンがあったのに
なぜそこでビデオを回すカットを前振りとして
入れておかなかったんだろう?

なーんてことを考えてもしょうがない。
もともと遊びの部分が多い作品だったし、
つじつまを合わせようとする方がムリな話だ。

かなり新鮮だったテロップにしても、
全部のフレーズが桃子の心情と一致していたわけじゃないしね。
(音楽:Mr.Children とか)

連ドラの最終回は難しい。
視聴者にラストを想像させるように
どちらとも取れる終わり方をする場合もあるけど、
これは桃子の取材というエピソードにからめて
あえていろいろなパターンを具体的に提示した感じだ。

まあ、新鮮ではあったけど
必ずしも成功したとは言えないな。
人によっては“逃げた”と感じた人もいただろうし…。

ただ、月9でこういう実験的な手法をやった意味はあると思う。
その点は評価しておきたい。

全体的には、
引き込まれるような序盤に対して
中盤以降はやや密度の薄さを感じた。

そんな中でもデコちゃんの回は良かった。
「永遠の仔」で中谷美紀の少女時代を演じた
邑野未亜が出てきた回ね。
あれぐらいのトーンで後半も押し切れれば
たぶん、多くの視聴者は納得したと思う。

それができなかった、
いや、あえてしなかったところに
この作品の意義と問題点があるんだろうな。

でもまあ、
見ておいて損はなかった作品でしょう。
…いろんな意味で。

                  脚本  ★★★☆☆
                  演出  ★★★☆☆
                  配役  ★★★★☆
                  主題歌 ★★★☆☆
                  音楽  ★★★☆☆
                  新鮮さ ★★★★☆
                  話題性 ★★★☆☆

          全体的な採点  7.0(10点満点平均6)

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『さよなら、小津先生』 最終回

企画:石原隆
プロデューサー:関口静夫
主題歌:「おやすみなさい」aiko
演出:平野眞、河野圭太
脚本:君塚良一
出演:田村正和、ユースケ・サンタマリア、瀬戸朝香、西田尚美、京野ことみ、
   小日向文世、谷啓、水川あさみ、森山未來、忍成修吾、脇知弘、勝地涼、
   EITA、池田貴尉、一戸奈美、中山愛海、他

結果的には、まとまりのあるいい作品だった。
なぜ結果的には、なのかというと、
出だしで小津(田村正和)の転落ぶりを
時間をかけて描いたのはいいとして、
その後しばらくの展開が単調だったからだ。

生徒の描き方は紋切り型だったし、
不良にスポーツを、という展開も今さらどうかと思うし…

それが、徐々に銀行の話(あるいは小津の経験)
と学校でのエピソードがリンクするようになって
俄然、面白くなった。

世の中をダメにした象徴としての銀行と
子供に向き合っていない大人(教師)との対比。
後半、このバランスが良くなったことが、
この作品の成功の原因だったと思う。

興味深かったのは、
やっぱり『チーム』との比較だ。
(このドラマは『チーム』のスタッフで作られた)

リアルな現実を描きすぎて
ある意味、救いのなかった『チーム』に比べ
『小津〜』には救いがあった。
本当は子供を信じてるんだろうな、君塚良一も。

で、キャスティング的には
ユースケ・サンタマリアの存在が大きかった。
全編を通してコメディ部分を担当していただけに
最後の小津とのやりとりにはせつなさがよく出た。

ブラスバンドネタだけをユースケではなく
一戸奈美にまかせたわけだけど
あれはどうだったのかな。
ちょっと浮いてた感じ。
まあ、最後の「演奏しないんだ」には
笑ったけど。

議論があるとすればラストシーンか。
銀行へ戻った方が小津らしいのか、
学校へ残った方が小津らしいのか…。

もちろん、あれは臨時コーチとして
学校へ顔を出している、という解釈もできるけど。

個人的には顔は映さず、
サンダルだけで止めるのがベストだった気がする。
それが小津なのか、カトケン(ユースケ)なのかは
視聴者に想像させる範囲で。

やっぱり最終回は難しいな。

あ、それから、ずっと番組の最後に流れていた
『さよなら、小津先生』を支えたスタッフ
と題した、缶コーヒー「ワンダ」のCMは良かった。
まあ、月曜から続けてドラマを見ていると、
またミスチルかよ!
って感じではあったけれども(笑)

                  脚本  ★★★★☆
                  演出  ★★★☆☆
                  配役  ★★★★☆
                  主題歌 ★★★☆☆
                  音楽  ★★★☆☆
                  新鮮さ ★★★☆☆
                  話題性 ★★★☆☆

          全体的な採点  7.5(10点満点平均6)

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『傷だらけのラブソング』 最終回

プロデューサー:三宅喜重(関西テレビ)、東城祐司(MMJ)、伊藤達哉(MMJ)
主題歌:「STARS」中島美嘉
挿入歌:「道標」小久保淳平
演出:二宮浩行(MMJ)、今井和久(MMJ)
脚本:尾崎将也
出演:高橋克典、中島美嘉、金子賢、加藤あい、川島なお美、石原良純、
   西岡徳馬、畑野浩子、深水元基、塚本高史、他

もっと大崩れするかと思ったのに、
意外にも最後まで持ちこたえた。
綱渡りだったけどね。
そしてチープだったけどね(笑)

このドラマは
オーディションで抜擢されたという
新人の中島美嘉ありきの作品。
(事務所の力ってスゴイ! 笑)

美しい歌声を持つ不良少女という設定で、
実際に主題歌でメジャーデビューし、
最終回ではセカンドシングルも歌った。

この子、確かに声質はいい。
生で歌うとピッチがズレて気持ち悪いけど
最近はどの歌手もそうだからまあいい。

でも、いくらなんでもそれだけで引っ張れないだろう
と思っていたら、
彼女は演技もヘタなりに頑張ったのだ。
それが最後まで視聴者の興味をつなぎ止めた原因だ。

ただ、脚本はどこまでもありきたりだったな。
ドラマをヒットさせるには恋愛要素が不可欠、
とはまったく思わないけど、
この作品に関してはもう少し早い段階から
未来(中島美嘉)の恋愛感情を盛り上げた方が良かった。

それにしても、
高橋克典はいつまでたっても演技が上手くならないなあ。
来期はまた『金太郎』やるの?
このままB級テイスト専門役者になってしまうだろうか。
他人事ながら心配だ。

                  脚本  ★☆☆☆☆
                  演出  ★★☆☆☆
                  配役  ★★☆☆☆
                  主題歌 ★★★☆☆
                  音楽  ★★☆☆☆
                  新鮮さ ★☆☆☆☆
                  話題性 ★☆☆☆☆

          全体的な採点  5.5(10点満点平均6)





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