タイトル■ドラマは何でも教えてくれる
書き手 ■ロビー田中

放映中のTVドラマを“ほぼすべて”見ている、
驚異のドラマ通による、ドラマに関するコラム。

“TVドラマなんかくだらない”と言う人に、
あえて反論するつもりはありません。ただ、
“すべてのTVドラマがくだらないわけでは
ない”とだけ言っておきます。これからも僕は
TVドラマを見続けていくでしょう」(田中)

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第4話「結婚式はどこも大荒れ」


最終回を見終わったあとに
一回だけで書く、というは
やっぱり細かい部分まで言い切れないよなあ。

ストーリーまでなかなか書けないから
見てない人には意味が分からないだろうし…。

次クールからは一話ずつ書いていく予定だけど
そうなると最終回の総評スタイルも変わっていくんだろうか?

まあ、本格的なスタートは来年からということで。
もうしばらくこのままのスタイルでおつき合いください。

では今回は、
翌週の放送がやたら待ち遠しかった2本。

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『水曜日の情事』 最終回

プロデューサー:永山耕三、喜多麗子、平賀公泰
主題歌:「Candy Rain」久保田利伸
挿入歌:「MERMAID」小原明子
演出:永田耕三、西浦正記
脚本:野沢尚
出演:本木雅弘、天海祐希、石田ひかり、原田泰造、伊東美咲、北村一輝、
   谷原章介、金子さやか、木村多江、田村亮、他


野沢尚に何度も裏切られてきた身としては
とりあえずうれしい。

今回の作品は
ヘンな意味でのどんでん返しがなかった。
テンションが高いままラストシーンを迎えられた。
それだけでも満足。

やっぱりこの人、恋愛を書かせた方がうまいなあ。
『この愛に生きて』も
前半部分の方がはるかに面白かったし…

ちなみに、
最後に耕作(原田泰造)が書いたという
恋愛小説のストーリー。
あれは野沢尚の『恋人よ』だね。

ということは、耕作=野沢尚ということか。
その耕作について、
恋愛小説はムリみたい、
というセリフを野沢尚自身が書いているのが可笑しい。

で、ドラマの中身なんだけど、
ああいう展開にするなら
もっとあい(天海祐希)と操(石田ひかり)の
結びつきを丁寧に描いてもらいたかった。

2人の過去が序盤は曖昧で、
あとから過去に男を取り合ったことがあった、
でも親友であることは確かだった、
と説明されても、
どの程度の結びつきなのかは分かりづらい。

そこが伝わっていれば
あの大荒れの結婚式も素直に受け取れただろうし
溝口(田村亮)が言った
“時間は恋愛を弱めてしまう。
 でも、時間は友情を強めるんだ”
というセリフにも説得力があっただろうに…。

でもまあ、十分に楽しめた。
セリフ、構成、演出、そして
連ドラとしての各話の盛り上げ方。
どれもプロの仕事だったと思う。

キャストに関しては
天海祐希、石田ひかりの起用が見事に当たった。

天海祐希は一皮むけた感じ。
前作の『ファイティングガール』で演じた
さえない事務員役も良かったけど、
今回のあい役も彼女の代表作になるに違いない。

とくに詠一郎(本木雅弘)と離婚をして、
お互いに別の方向へ歩いていくシーン。
去っていく詠一郎を振り返った表情は見事だったな。

彼女のコラムによると
あのシーンを撮影していたロケでは
直前に偶然同級生から話しかけられて
集中しにくかったらしいけど、
そんなことを感じさせないいい表情だった。

それから石田ひかり。
たぶん、このドラマが始まった当初は
なんで石田ひかりなの?
といろんな所で言われていたと思う。

でも、それを黙らせるだけの演技だった。
立派だった。そして恐かった(笑)

もちろん、本木雅弘も良かった。
彼でなくては、
あの緊迫感の中にあるコミカルな雰囲気は
出なかったと思う。

原田泰造も立派な役者ぶり。
途中で一年が経過した後、
ちょっと仕事に自信がついて
偉そうになった雰囲気も出てたしね。

伊東美咲は…
やっぱりまだセリフをしゃべるとヘタだな。
でも綺麗だから許す(笑)

あ、そうそう、
ラストの電話がかかってくるシーンは
シナリオ上ではなかったみたい。

でも、ドラマとしては
あれはあった方が良かったような気がするな。
作品の世界観を表すものとしてね。

とにかく、
ここに描かれた恋愛観・人生観を
素直に受け入れられるかどうかは別にして(笑)
クオリティーの高い作品であることは
間違いなかった。

                  脚本  ★★★★☆
                  演出  ★★★★☆
                  配役  ★★★★☆
                  主題歌 ★★★☆☆
                  音楽  ★★★☆☆
                  新鮮さ ★★★☆☆
                  話題性 ★★★☆☆

          全体的な採点  8.0(10点満点平均6)

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『スタアの恋』 最終回

企画:石原隆
プロデュース:岩田祐二、牧野正
主題歌:「Stop! In the Name of Love」globe
演出:鈴木雅之、村上正典
脚本:中園ミホ
出演:藤原紀香、草なぎ剛、勝村政信、筧利夫、古田新太、長谷川京子、
   戸田恵子、宇梶剛士、安西ひろこ、森本レオ、岸田健作、
   唐木恵子、北川弘美、石田香奈、他


結婚しないパターンもアリ、
と個人的には思ってたけど、
やっぱり素直にハッピーエンドか(笑)

もちろん、全然不満はない。
当然といえば当然の展開。

ただ、アイテムとしての“椅子”に
さほど意味がなかったのが残念だった。

もちろん、2人の出会いの場面で
ヒカル子(藤原紀香)が最初に座った椅子であり、
その後も何度か同じように座っているけど、
あれだけ頻繁に映していたからねえ…

とくに金田中監督(森本レオ)の映画が
「運命の椅子」というタイトルだったから、
もっと違う意味があることを期待してしまった。

ま、それはいっか。

この作品は、
企画、プロデュース、脚本が
『やまとなでしこ』のスタッフなので
わざと意識していたことは周知の事実。

登場人物の名前も
桜子=ヒカル子
欧介=草介
若葉=つぼみ
粕屋=次屋(両方とも筧利夫)
と関連づけていた。

そこに現れた東十条先生!
じゃなくて、市川隆太郎先生(東幹久)

そこまでは別にいいんだけど、
いきなりヒカル子と
結婚までいく展開にムリがあったなあ。

おかげでこちらも結婚式は大荒れ。
みんな、教会を何だと思ってんだ!
なんつって(笑)

とにかく、結婚式までは話を進めないか、
あるいはもっと早い段階から東幹久を出せば
この違和感も消えていただろうな。

そして問題はやっぱり最終回の構成。
ジャニーズお得意の友情出演はまあいいとして、
40年後から振り返るパターンが
果たしてベストだったのか。

もともとおとぎ話的な内容だから
いつまでも幸せに暮らしましたとさ、
という描写は何かしらあってもいい。

ただ、あの決して見事とは言えない
特殊メイクを見ると、
そんな必要はなかったのでは…
と思ってしまう。

何か文句ばっかり書いているようだけど
もちろん、全体的にはいい作品だった。

もっともドラマらしいドラマ、
とでも言ったらいいのか、
現実には起きないかもしれないけど
見ていて幸せな気分になれるドラマだった。

共同テレビ制作の特徴でもある
脇役にもきちんとスポットが当たっていた点も
見ていて気持ちがよかった。

『やまとなでしこ』の時も
オレは若葉ちゃんの方がいい!
という人がけっこういたけど、
今回もつぼみちゃんの方がいい派は
かなりいただろうな。

あと、女性だったら
草介(草なぎ剛)より
三枝(宇梶剛士)のそばにいてあげたい派
とか。

ちなみにオレは
社長(戸田恵子)に
飲みに連れて行ってもらいたい派(笑)

今まで演技をすると
輝きを無くしていた藤原紀香が
初めてイキイキとして見えた作品。

彼女にとっても
これは代表作になると思う。

                  脚本  ★★★☆☆
                  演出  ★★★★☆
                  配役  ★★★★★
                  主題歌 ★★★☆☆
                  音楽  ★★★★☆
                  新鮮さ ★★☆☆☆
                  話題性 ★★★☆☆

          全体的な採点  7.5(10点満点平均6)






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