タイトル■ドラマは何でも教えてくれる
書き手 ■ロビー田中

放映中のTVドラマを“ほぼすべて”見ている、
驚異のドラマ通による、ドラマに関するコラム。

“TVドラマなんかくだらない”と言う人に、
あえて反論するつもりはありません。ただ、
“すべてのTVドラマがくだらないわけでは
ない”とだけ言っておきます。これからも僕は
TVドラマを見続けていくでしょう」(田中)

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第10話「また長いよ」

前クールはそんなに目立たなかったんだけど
今回の連ドラは初回延長ヴァージョンがやたら多い。
次のドラマと最初が重なっちゃって、
見る方は大変なんだよね。

9時からのフジテレビが10分延長したら
10時からのTBSは10分遅れで始める。
それくらいの気使いはして欲しいよ、まったく。

ま、このページは気使いナシで今回も長いけどね(笑)


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『初体験』 motion 1

プロデュース:稲田秀樹、土屋健
主題歌:「陽のあたる坂道」Do As Infinity
音楽:中西俊博
演出:木下高男
脚本:神山由美子
制作:フジテレビ、共同テレビ
出演:水野美紀、藤木直人、坂井真紀、篠原涼子、オダギリジョー、
   小泉孝太郎、畑野浩子、加藤治子、八嶋智人、他

女優は美しくなければいけない。
そして面白くなくてはいけない。
…と言ったのは誰だっけ。

いずれにしても
今、水野美紀は本当に旬の女優だと思う。

その水野美紀が共同テレビ制作の
ロマンティックコメディに出るとなると
やっぱり面白い。

共テレファンにとっては
いつもの、というか
オーソドックスな笑いの取り方ではあるけど、
それでも飽きさせないところはさすがだ。

そしておそらく、
これは初体験をめぐる
ただのドタバタにはならない。
初回から神山由美子のきめの細かい脚本が
随所に発揮されていたからだ。

鈴木あみが主演した「深く潜れ」も
深田恭子が主演した「ファイティングガール」も
ただのアイドルドラマにならなかったのは
神山由美子の力に寄るところが大きい。

これはやっぱり見ておくべき作品だな。

キャストに関しては、
篠原涼子は太ったなあ、
みたないな感想は置いといて(笑)
小泉孝太郎が思ったほど悪くなかった。

時々セリフがぎこちなくなるけど
最初からこれくらいできれば十分でしょ。

衝撃的だったのは、
同窓会のシーンで鏑木君が出てきたこと。
au(携帯電話)のCMで
浅野忠信が名前を思い出せずに
画像を友達へ送ったあの人だ。
しかもそのまま鏑木(かぶらぎ)という名前で。

いいのかなあ。
NTTドコモのスポンサー枠で
こんな遊びを入れちゃって…

来週は小泉孝太郎がビールを飲むのか?
アサヒ飲料がスポンサーだけど。

             採点  7.0(10点満点平均6)

『恋するトップレディー』 1

企画:濱星彦(関西テレビ)
プロデュース:笠置高弘(関西テレビ)、小椋久雄
主題歌:「ヒーロー」エンリケ・イグレシアス
音楽:林哲司
演出:西谷弘
脚本:小椋久雄、田辺満
制作:関西テレビ、共同テレビ
出演:中谷美紀、柳葉敏郎、吉沢悠、奥菜恵、小野武彦、高橋克実、山口紗弥加、
   長野里美、松崎しげる、高知東生、鷲尾真知子、他

これも共同テレビ制作の作品。
西谷弘の演出も安定していて、
スムーズに見ることができる。

ただ、ストーリーがあまりにもオーソドックス過ぎるな。
ちはる(中谷美紀)が家を出る際のセリフも、
「自分の家族も幸せにできなくて何が市民のための政治よ」
ではあまりにもひねりがない。

初回はコメディ要素が控えめで
ちはるが市長になる決心をするまでだったけど、
今後、コメディ要素を取り入れながらの
毎回のエピソードをどう展開させていくか…。

このドラマはその脚本にかかっている、
という感じだな。

             採点  6.5(10点満点平均6)

『プリティガール』 第1話

プロデュース:鈴木聡
主題歌:「シャンティ」島谷ひとみ
演出:吉田秋生
脚本:青柳祐美子
制作:ケイファクトリー、TBS
出演:稲森いずみ、米倉涼子、片瀬那奈、田辺誠一、宇津井健、片平なぎさ、
   吉沢悠、渡辺いっけい、羽場裕一、長谷川京子

やっぱり裏番組の
「続・平成夫婦茶碗」には勝てないだろう。
いや、想像したよりはずっと良かった。
宇津井健が効いてる。
ぐっと画面が引き締まる。

ただ、こういうファンタジーは
好き嫌いがハッキリ分かれるからな。

個人的には、
演出上はかなり遊んでも許せるんだけど、
脚本が据わってないとツラくなる。

初回にも、冒頭でいきなり
稲森いずみが田辺誠一の胸を指さして
「ココが悲鳴をあげてる…」
というセリフがあった。

初めて会った相手でも
その人の心の中が分かってしまう、
というキャラは別にかまわない。

ただ、ココが悲鳴をあげてるって言い方はなあ。
ちょっと寒くなってしまった。

でもまあ、話の骨格はしっかりしている。
(というか分かりやすいサクセスストーリー)
宇津井健とハセキョンを楽しみにしながら
もう少し長い目で見守ってみよう。

             採点  5.5(10点満点平均6)

『続・平成夫婦茶碗』 第一話

企画プロデュース:遊川和彦
チーフプロデュース:増田一穂
統括:井上健
プロデュース:大平太、村瀬健、仲野尚之
テーマ曲:「セプテンバー」アース・ウインド&ファイアー
挿入歌:「あぜ道」canna
音楽:笹路正徳、藤井理央
演出:三枝考臣
脚本:森下佳子
出演:東山紀之、優香、浅野温子、濱田岳、田島穂奈美、松崎駿司、
   齊藤佳太、齊藤昌太、朝田帆香、鈴木杏樹、石塚英彦、鈴木紗理奈、
   堀内健、矢沢心、芳賀優里亜、他

スペシャルで節(浅野温子)が死んだあと、
お店に現れたのは菅野美穂だった。
この登場の仕方は
節と満太郎(東山紀之)の出会い方と同じだったので
続編を作るなら節の後釜は菅野美穂と誰もが思っていたのだ。

ところが発表されたキャストは優香。
スケジュールの都合だったのだろうか?
とにかく新たな満太郎の相手には優香がなった。

普通ならそのまま勝手に優香で話を進めるところを
このドラマはちゃんとストーリーの中で説明をつけた。
そこにかなり好感が持てた。
できそうでできないよな、こういう作りは。

全体のトーンは前作と同じ。
つまり十分に面白い。

前作からのカラミでは矢沢心も登場。
もともと満太郎たちの隣の家に住んでいた役だ。
(平成夫婦茶碗外伝「成田家の人々」というタイトルで
深夜ドラマが作られたほど個性的な家族だった)
この辺はファンへのサービスという感じかもしれない。

で、ストーリーとしては、
最初は満太郎の再婚に反対する子供たちが
徐々に灯(優香)を認めていくというスタイル。
オーソドックスではあるけど、
灯の過去にもいろいろありそうで
簡単には子供たちも認めないという作りだろう。

ところで、スペシャルで新たに生まれた叶(朝田帆香)。
彼女はまだ赤ちゃんなので灯を認めるも何もないけど、
やたら可愛い。めちゃくちゃ可愛い。
この赤ちゃんを見るためだけでも
このドラマを鑑賞する価値はあるな。

             採点  6.5(10点満点平均6)

『ロング・ラブレター 〜漂流教室〜』 第1話

原作:「漂流教室」楳図かずお
プロデュース:山口雅俊
主題歌:「LOVELAND,ISLAND」山下達郎
演出:水田成英
脚本:大森美香
制作:フジテレビ
出演:常盤貴子、窪塚洋介、妻夫木聡、山下智久、山田孝之、水川あさみ、
   中島宏海、大杉漣、内田朝陽、大村彩子、中丸新将、石橋けい、他

やっぱり「カバチタレ」のテイストは色濃い感じ。
とくに音楽がかなり引きずってたね。
ぶっきらぼうに会話する常盤貴子と山下智久のシーンは
カバチの姉弟を思いだして微笑ましかったけど。

キャストでは
お正月のモー娘。ドラマ「時をかける少女」にも出ていた
内田朝陽が出てきた。
事前の発表では名前がまだなかったんだけど
どんな風に話にからんでくるのか、
ちょっと興味のあるところだな。

それから、関谷という役名をもらった中島宏海。
「愛という名のもとに」で
森本レオに不倫するモデル役をやった人だね。
10年たってもやっぱり普通の恋愛はできないのか。
ちょっと可哀想になってしまった。

…さてさて、そんなことより
視聴率は17.2%(関東)で、10時からの
「続・平成夫婦茶碗」(17.7%)にも負けたんだけど、
原作が原作なだけに
初回オンエア後は賛否両論の嵐。

仕方がないよな。
いくら原作はモチーフと明言されてても
好きな小説や漫画が映像化されたら
どうしても違和感の方が強く残るもんね。

まあ、テレビはいつでも
チャンネルを変えたり
スイッチを切ることができるんだから、
気に入らなかったら見ないという方向で。
そんなお手軽さがテレビのいいところだからね。

…で、
初回は連ドラの常として
登場人物のキャラクター提示
それぞれの関係性の説明が主だった。

しかし、その中にも
物語の前振りとなる部分は
かなりきちんと描かれていたと思う。

「漂流教室」のテーマのひとつに
“母と子の愛”というものがあった。
いや、一番芯になっていた部分と言ってもいい。
そこが鋭く描かれていたからこそ
感動した人も多かったはずだ。

つまり、
愛の物語としてドラマ化することについては
さほどムリはないはずなのだ。

高松翔という原作と同じ名前持つ
生徒(山田孝之)が登場し、
つまらないことでケンカをした彼女(水川あさみ)と
離ればなれになるという前振りがあった。
でも、これはおそらく
サブストーリーでしかないだろうな。

やっぱり注目は
常盤貴子と妻夫木聡の関係だ。

かつて教師だった常盤貴子は
生徒である妻夫木聡を殴り、その職を辞めた。
教師と生徒の気持ちは通じ合わなかった、
という前振りだ。

原作で言えば、ここで
“未来カー”は捨てられ
“腕時計”は車につぶされてしまったわけだ。
(原作の冒頭場面)

でも、教師の想いは生徒に伝わっていた。
そのことを漂流する前に
常盤貴子は知ることになる。
母親に“クソババア”と罵り、
息子に“もう二度と帰ってこなくていい”と言っても
2人の関係性が保たれていた原作と同じ状況だ。

(もちろん、本当は惹かれ合っていても
今はいがみ合っているという関係性は
一緒に漂流してしまった常磐と窪塚にも存在している)

…ところで話は飛ぶけど、
原作の“ゆうちゃん”は
あのあと、どうしたのだろうか?
おそらく、高松翔たちに恥じないような
すばらしい未来を作ろうと決心したのではないだろうか。

より良い未来を作るということは
教師が生徒を正しい道に導くということに象徴される。

このドラマがどういうラストを迎えるか分からない。
でも、間違いなく常盤貴子は生還すると思う。
常盤貴子(役名・三崎結花=ゆうちゃん)が生還し、
かつて教え子だった妻夫木聡との約束を守る。
それが未来を作る第一歩でもあると思うからだ。

役割は違っても、
あるいはTV用に男女の恋愛をからめても 、
核となるメッセージを伝えることができれば
原作を踏みにじることにはならないと思うんだけどなあ。

ドラマはやっぱり
常盤貴子と窪塚洋介の関係をメインに描いていくと思う。
ただ、当分はラブストーリーのドラマに出ない
と言っていた常盤貴子と窪塚洋介が
なぜこの作品の出演を引き受けたのか。

おそらくその意味は、このドラマを
最後まで冷静に見た人じゃないと分からないと思う。

             採点  8.5(10点満点平均6)






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