タイトル■ドラマは何でも教えてくれる
書き手 ■ロビー田中

放映中のTVドラマを“ほぼすべて”見ている、
驚異のドラマ通による、ドラマに関するコラム。

“TVドラマなんかくだらない”と言う人に、
あえて反論するつもりはありません。ただ、
“すべてのTVドラマがくだらないわけでは
ない”とだけ言っておきます。これからも僕は
TVドラマを見続けていくでしょう」(田中)

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第102話「スペシャルな日々」


今回は「ナース〜」の最終回と
改編期のスペシャルドラマの前半。

他にも見たドラマはあるんだけど、
何か書くのくたびれちゃった。

簡単に言うと
「よど号ハイジャック事件122時間の真実」は
思ったより良くなかった。
実録にするならもっと淡々と描いた方がよかったに。

「オカンは宇宙を支配する」はツメが甘すぎた。
アイディアは良かったのに残念。

「彼女たちの獣医学入門」の再放送を見られたのは嬉しかった。
本放送の時は地震か何かで放送時間がズレて、
ビデオにラスト10分が入っていなかったから。
やっぱりこういうキャラの酒井美紀は最強だな。
見られなかったラスト10分がすごく良かったので大満足だった。

みたいな感じ。


『ナースのお仕事4』 最終話

演出:両沢和幸
脚本:両沢和幸、金子ありさ

昔の映像の使い方は悪くなかったし、
大きなプロットもそれほど悪くなかったけど、
やっぱり脚本はひどかった。

細かく言えば、
前半の北沢(ルー大柴)や
健太郎(藤木直人)の大学時代の友人、
早苗(山本未来)に関するエピソードなんて
あそこまでしか膨らませられないのなら
まったくムダだったし。

ただ、いずみ(観月ありさ)と
翔子(松下由樹)の歴史を見てきた者からすれば、
ナースステーションで昔のことを思い出す
2人の会話では一緒に泣いたし、
ラストカットは感慨深いものがあった。

スタッフを一新して
この2人の話をやるならいいけど、
それ以外ならもうやめた方がいいな。
このトーンで続けられるとかなりツライ。

とりあえずおつかれさま、と言っておこう。

それにしてもこの最終回、
ジャイアンツの優勝で放送時間がズレ込み、
終わったのは夜中の1時半過ぎだった。

ナースに夜勤はつきものってことだな(笑)

             採点  6.0(10点満点平均6)

                  脚本  ★☆☆☆☆
                  演出  ★☆☆☆☆
                  配役  ★★☆☆☆
                  主題歌 ★☆☆☆☆
                  音楽  ★★☆☆☆
                  新鮮さ ★☆☆☆☆
                  話題性 ★★★☆☆

           平均採点  5.69(10点満点平均6)


『ロッカーのハナコさん』 第5週 北浦華子 あやうし!(第17〜20回)

演出:柴田岳志
脚本:戸田山雅司

第1週とは別物と思うくらいに笑える作品になった。
とくに徳井優と平岩紙のコンビは最高。

でもどうしてみそら(平山綾)は
プロジェクトに入らないんだろう。
あのプロジェクトは仕事ができるできないは
関係ないはずなのに。

このプロジェクトにおけるみそらの不在と
再び吹石一恵がメインになってきた点が
ややマイナス印象か。

でもラストはせつない展開になって
次回の最終週へ。

かなり期待できそう。

             採点  7.0(10点満点平均6)



『タスクフォース』

プロデュース:大川博史(Joker)
監督・脚本:行定勲
脚本:木田紀生、望月武
原作:門田泰明「タスクフォース」上・下 光文社刊
音楽:めいな Co.
制作:Joker、TBS、BS-i
出演:三上博史、山崎努、豊原功補、北村一輝、渡辺いっけい、近藤芳正、
   平田満、岡本信人、石橋蓮司、麻生祐未、竹中直人、釈由美子、他

行定勲が撮った大人向けの企業ドラマ。
豪華なキャストで骨太のドラマが
見られるかなと期待したんだけど…。

映像は良かった。
もちろん役者の演技も良かった。
ただ内容がね。

よく言えばエンターテイメント性が高かったわけだけど、
話が大きくなりすぎてリアリティに欠けた。

危機管理の重要性をテーマにするなら
もう少し心理的な部分をメインに描いて欲しかった。

正確に言うと心理的な部分が
描かれていなかったわけじゃないけど、
真っ昼間に砂浜でドンパチまで行くと、
さすがに感情移入ができない。

結局、疲れたサラリーマンが
日常を忘れるために帰り電車の中で読むような本、
という範囲を越えられなかった感じ。

本当に危機管理が重要なら日常を忘れちゃいけないのに。

それにしても
北村一輝は最初から怪しいのがバレバレだったなあ。
オレなら情報が漏れた段階で
まず最初に北村一輝を疑うのに(笑)

             採点  6.5(10点満点平均6)

                  脚本  ★★★☆☆
                  演出  ★★★☆☆
                  配役  ★★★★★
                  音楽  ★★☆☆☆
                  新鮮さ ★★☆☆☆
                  話題性 ★★☆☆☆


『TEAM』

企画:石原隆
プロデュース:関口静夫
演出:河野圭太
脚本:君塚良一
音楽:服部隆之
主題歌:「風の向くまま」canna
制作:フジテレビ、共同テレビ

出演:草なぎ剛、西村雅彦、水野美紀、黒木瞳、戸田菜穂、風間杜夫、
   篠原涼子、河原崎建三、大杉漣、春田純一、邑野未亜、勝地涼、
   武岡淳一、大久保綾乃、高橋奈弓、北河多香子、松本伸夫、
   崎本大海、上條誠、林勇、多賀名将也、他

99年10〜12月の連ドラ、
2000年、2001年のスペシャルに続き、
3本目の「TEAMスペシャル」。

前半はやや退屈だったけど、
後半、被害者の家族の心情という
今回のテーマになってからは引きつけられた。

草なぎ剛、西村雅彦、風間杜夫の
取調室のシーンは圧巻。
とくに風間杜夫の演技はすごかった。

このシリーズは常に正しい答えが見つけられない問題を
そのままストレートに描く点が特徴なんだけど、
今回も被害者家族の復讐感情について
かなり丁寧に描いていたと思う。

復讐をしてしまう家族と
復讐を思い止まる家族との差は何か。

果たして“秩序がなくなる”という理由で
復讐を思い止まれるものなのか。

復讐をした栗栖(風間杜夫)に対して
常軌を逸しているとも言い切れないのは確かだ。

今回のケースに関しては
少年たちを巻き込んだという点で
同情する余地はないんだけど、
これはこのドラマで一貫している
「大人より子供が悪くなることはない」
という主旨に沿ったものなので、
作品としての違和感はなかった。

被害者の家族でもあり
守るべき家族もできた丹波(西村雅彦)と、
自分自身も父親との確執などで
加害者になる少年の気持ちが分かる風見(草さぎ剛)。
この2人を絡めて、
難しい問題をうまくまとめていたと思う。

今回はさらに
現場の警察官が警察のトップに捜査の手を広げるという
エンターテイメント性も加味されていて、
後半はかなり面白かった。

このシリーズは定期的に続けて欲しい。

             採点  7.5(10点満点平均6)

                  脚本  ★★★★☆
                  演出  ★★★★☆
                  配役  ★★★★★
                  主題歌 ★★★★☆
                  音楽  ★★★★☆
                  新鮮さ ★★★☆☆
                  話題性 ★★★☆☆



『黒い十人の女』

企画:長部聡介
プロデュース:中山和記、梨本みゆき
監督:市川崑
オリジナルシナリオ:和田夏十、神山由美子
制作:フジテレビ、共同テレビ
出演:鈴木京香、浅野ゆう子、小林薫、小泉今日子、深田恭子、小島聖、
   松尾れい子、木村多江、一戸奈未、冨樫真、唯野未歩子、
   石倉三郎、うじきつよし、井川比佐志、他

1961年に発表された映画を
市川崑自身がリメイクした作品。

初演当時は早すぎる作品で
あまり観客は集まらなかったらしいけど、
1997年にレイトショー公開された時には
歴代2位の動員数を記録した。

ずっと断り続けていたリメイクの話を
今回、市川崑自らがメガホンを取って
テレビドラマ化するとあって
かなり話題になっていた作品だ。

この作品はとにかく
本妻と9人の愛人が共謀して
男の殺害計画を立てるというアイディアが秀逸で、
その時点で勝ちとも言える。

そこにブラックユーモアがあり、
それぞれの女たちによって微妙に違う嫉妬心、執着心があり、
男の愚かさがある。

ただ、今回のリメイクは
話を現代に移行させつつも
オリジナルをかなり踏襲していたので、
セリフまわしに古さが目立った。

完全に昔の話にするか、
思い切って現代にアレンジするか
どちらかにした方がよかったと思う。

とくに本妻の役、双葉を演じた
浅野ゆう子(映画では山本富士子)は
いつの時代の人かよくわからなかった。
(浅野ゆう子の責任ではない)
一番古い愛人、市子を演じた
鈴木京香(同・岸恵子)の存在感はさすがだったけど。

最も純粋に男を愛する
三輪子役の小泉今日子(同・宮城まり子)と、
男にあまり執着していない塩を演じた
深田恭子(同・中村玉緒)は、
もう少し作品に溶け込んで欲しかった感じ。

ていうか、この2人のトーンを活かして
現代にアレンジした方が
個人的にはよかったと思うんだけどね。

音楽の世界と同様、
映画やドラマでもリメイク物が流行るかも。

             採点  7.0(10点満点平均6)

                  脚本  ★★★☆☆
                  演出  ★★★★☆
                  配役  ★★★★☆
                  音楽  ★★★☆☆
                  新鮮さ ★★★☆☆
                  話題性 ★★★☆☆



『さくら』

プロデュース:吉川幸司
演出:清水一彦、他
作:田淵久美子
音楽:小六禮次郎
出演:高野志穂、小澤征悦、寺泉憲、太田裕美、板倉香、津島恵子、大滝秀治、
   セイン・カミュ、小林亜星、中村メイコ、新井康弘、奥村公延、佐々木すみ江、
   浅田美代子、河西健司、熊谷真美、飯泉征貴、長澤まさみ、江成正元、
   内藤武敏、江守徹、笹野高史、野口五郎、鍵本景子、見栄晴、今村恵子、
   ラモス瑠偉、鈴木砂羽、沼田曜一、ケント・デリカット、
   ディア・ベネディクト、マサボ・イザベル・ナオミ、他

ここのところ、
竹内結子、田畑智子、岡本綾、池脇千鶴など、
民放ですでに名前も顔も売れている
ヒロインが続いていたので、
ちょっと心配だった「さくら」。

終わってみるとかえってNHKの朝ドラらしい
気持ちのいい内容だった。

序盤はハワイ、東京、高山と、
頻繁に舞台が代わったのでどうなるのかと思ったけど、
全体的にはまとまりのある内容だったし。

ヒロインの高野志穂もさることながら、
何と言っても小澤征悦が良かった。
小澤征爾の息子ね。
日韓共同製作の「フレンズ」で
深田恭子に恋する同僚の役をやってた人。

彼がさくら(高野志穂)の
ケンカ相手、同僚、そして愛する人を
どっしり演じたからこそ
このドラマに芯が通ったんだと思う。

もちろん、脇も豪華で良かった。
ハワイ、東京、高山のあけぼの中学と沼田家、
それぞれに存在感のある役者を配置して効果的だった。

まあ、個人的にはあけぼの中学にいた
理科の花園先生(鍵本景子)と
養護の勅使河原選手(今村恵子)が
好きだったんだけどね(笑)

それにしても「Z」は「Zipper」だったか。
毎週、次の英単語を考えてたんだけど、
一度も当たらなかったな。
「C」は絶対「Cherry」だと思ってたのに
「Candle」だったし。

次回作は屋久島から宇宙を目指す「まんてん」。
やっぱり最後に「ん」を付けるという
朝ドラヒット作のジンクスを守ってきた。

主題歌は元ちとせだし、また見てしまいそうだ。

             採点  7.0(10点満点平均6)

                  脚本  ★★★★☆
                  演出  ★★★☆☆
                  配役  ★★★★☆
                  音楽  ★★★☆☆
                  新鮮さ ★★☆☆☆
                  話題性 ★★★☆☆






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