タイトル■ドラマは何でも教えてくれる
書き手 ■ロビー田中

放映中のTVドラマを“ほぼすべて”見ている、
驚異のドラマ通による、ドラマに関するコラム。

“TVドラマなんかくだらない”と言う人に、
あえて反論するつもりはありません。ただ、
“すべてのTVドラマがくだらないわけでは
ない”とだけ言っておきます。これからも僕は
TVドラマを見続けていくでしょう」(田中)

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第123話「“薔薇の十字架”ついに核心に踏み込む」


いよいよ今週から
10〜12月クールも徐々に最終回を迎える。

こけるのか、一発逆転するのか。
注目だ。


『天才柳沢教授の生活』 第8話

演出:西浦正記
脚本:藤本有紀

朝の45分間に凝縮された
せつなくて暖かい話。

吉田助教授(金田明夫)の迷いと、
カメ、家族写真、チーズ、祭り…、
すべてがロジカルに組合わさっていて
完成度の高い作品だった。

正直に言うと、個人的には
もうヒロミツ(佐藤隆太)の虜なので、
彼の出番が少ないと寂しい気がする。

でもドラマ全体としてはいい回だった。

             採点  7.5(10点満点平均6)


『やんパパ』  9話

演出:高橋伸之
脚本:西荻弓絵

綱渡りだなあ。

まず、里早(加藤あい)については、
ドラマ全体における存在理由は別にして
今回はうまく処理した。

優作(長瀬智也)から返事を聞く時の
加藤あいの演技がすごく良くて、
あの前後だけを見れば里早の存在も意味があったと思う。

ただ、その後すぐに持ち上がった
優作のアメリカ行きの話は、
今までの美菜子(藤谷美和子)や
アニメ会社の描き方を考えると
かなり雑な感じがした。

しかも、アメリカの会社なのに
家族同伴はダメとか強引な設定にしちゃうし。

ところが、
3人の子供が優作を連れだして遊びに行くシーンから
ラストに薫子(後藤真希)が
離れていても私たちのパパだと言うシーンにかけては
また持ち直した感じだった。

やればできるんだよなあ、このスタッフは。
ただ最初の打ち合わせが足りなかっただけなんじゃないの?

とか言ってるうちにもう最終回か。
せめて最後はきれいにまとめて欲しい。

             採点  6.0(10点満点平均6)


『サイコドクター』  FILE 8

演出:荻野哲弘
脚本:伴一彦

親子の共依存の問題と
死に向かう者・見送る者の心理を
うまく絡めて描いていた。

ただ、愛人の描き方がちょっと曖昧だった感じ。
共依存をテーマにしていたから
第三者の存在に意味があるのは分かるけど
ドラマとしてはその存在が中途半端だった。
編集で大事なシーンをカットされちゃったのかな。

             採点  6.5(10点満点平均6)


『HR』  第9話「八木田さんの恋」

脚本・総合演出:三谷幸喜
映像演出:河野圭太

インカムによる指示がしつこかった。
最後のオチにもつながっているから
仕方ないんだけど、
このやり取りが長くて
肝心の須磨さん(小野武彦)の指示が
サラッと流れてしまった。
だからオチが弱くなった。

連ドラとして話題がつながってきたのはいい。
せめてもう少し普通に演じてくれたらなあ。
今さら直りそうもないけど。

             採点  6.0(10点満点平均6)


『逮捕しちゃうぞ』  FILE 8

演出:位部将人
脚本:大石哲也

細川茂樹てこんな役ばっかり。

今回は伊東美咲の
梅酒の鼻歌シーンが見どころか(笑)
(チョーヤのCMをやってるから)

どうでもいいけど
このドラマで一番ハマってるのは
結局、長嶋一茂かも。

まあ、比較的まとまってる回だったかな。

             採点  6.0(10点満点平均6)


『薔薇の十字架』  第9幕

演出:光野道夫
脚本:浅野妙子、永田優子

まず、澄子(石田ゆり子)が暁(天海祐希)に、
あなたには子供が作れないと
桐吾(三上博史)にウソをついていることを
正直に言った展開が良かった。

ここでつまらない誤解が生じるのは面白くない。
確かめなくても
星児(田中碧海)が桐吾の子供であることは
澄子には分かっていて、
桐吾は誰の子供でろうと星児は自分の子供だと思い続ける。
これはこのドラマにおいて重要なポイントだ。

最後に桐吾がつぶやいた
“みんな大事なんだよ、おふくろも、星児も、澄子も”
というセリフは深い。

エンターテイメント性を維持しながら
男が背負うもの(十字架)、
女が背負わなければいけないもの(十字架)の違いを
実にうまく描いているドラマだ。

もちろん、世の中には
幸せに暮らしているシングルマザーもいるだろう。
よそに子供を作ってものんきに暮らしている男もいるだろう。

ただ、暁がつかみ損ねたものの象徴として
空に飛んでいってしまう風船の描写を入れるなど、
制作者側のメッセージは十分に伝わってきた。

ちなみに、今回の澄子のオモシロ発言は
“お食べ!”

そして舌打ちしまくり、
恭介(玉山鉄二)とはヤリまくり。

…で、衝撃の妊娠発覚。

この展開は深いぞ。
ただのドロドロじゃない。

最終回、
桐吾は何を背負って生きていくことを決意するのか。

             採点  8.0(10点満点平均6)


『真夜中の雨』  第九話

演出:村谷嘉則
脚本:福田靖

事務長(石黒賢)の設定年齢は38歳。
だから21年前は17歳。
無免許だったから逃げた。
…ということか?

ただ、織田裕二と石黒賢って
実年齢は1歳(学年は2つ?)しか違わないんだよね。
もしこの年齢をトリックにするなら、
もっとセリフなどで
2人の年齢差を描いておくべきだったのに。

いや、まだ分からないか。
このドラマはその気になると
異常なスピードで話を進めるからな。
さらなるどんでん返しがあっても不思議じゃない。

まあ、仮にこのまま事務長でいくとしても
広田(田中美里)にもう少し意味を持たせて欲しい。

ていうか、広田が最後のピースか?

             採点  7.0(10点満点平均6)





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