タイトル■ドラマは何でも教えてくれる
書き手 ■ロビー田中

放映中のTVドラマを“ほぼすべて”見ている、
驚異のドラマ通による、ドラマに関するコラム。

“TVドラマなんかくだらない”と言う人に、
あえて反論するつもりはありません。ただ、
“すべてのTVドラマがくだらないわけでは
ない”とだけ言っておきます。これからも僕は
TVドラマを見続けていくでしょう」(田中)

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第125話「“利家とまつ”美しいままその生涯を終える」


「利家とまつ」もついに最終回。
12歳のまつを松嶋菜々子が演じたのもスゴかったけど、
60歳を過ぎてからのまつも美しいままだった。
まあ、あれが今の松嶋菜々子の限界フケメイクだろうな。

いや、でも、
当初はトレンディー系大河ドラマとか言われてたけど、
意外と面白く見てしまった。

序盤のお出かけのチューのように、
時代考証的にはやりすぎじゃないの?
という場面は確かに多かった。

でも、男・前田利家と、
女棟梁・まつの心意気は
よく表現されていたと思う。

利家が死んだ後のまつは
もう少し時間をかけて描いて欲しかった気もするけどね。

最初は違和感があった
酒井法子のおねは意外に良かった。
秀吉を演じた香川照之は
いい役者になったなあ、と見直したし。

個人的には最後の方、
なぜかつね(名取裕子)のファンになっていた。

慶次郎(及川光博)とつねは
このドラマにおけるいいアクセントだったよなあ。

まあ、久々に最後までハマって見た大河ドラマでした。


『ホーム&アウェイ』  第10話

演出:羽住英一郎
脚本:君塚良一

父親役が誰なのか注目だったけど
串田和美かあ。
いいキャスティングだなあ。

最初に父親が旅館の部屋に入って来た時、
正直言って人違いなどの展開があるのでは、
という雰囲気だった。

でも、それは本当の父親で
実に静かな対面から
言葉をほとんど交わさない(交わせない)
シーンが続く。

これは非常にリアリティーがあって
いい演出だった。

そしてずっと娘の目を見られなかった父が、
翌日海岸でやっとそれぞれの気持ちを伝え合えた時、
初めて“よく来てくれたね、かえで”
と言って娘の顔を見る。
このシーンが最高だった。

さらにかえで(中山美穂)が
父に結婚の報告をするシーンに続くわけだけど、
ここもかえでの気持ちがこもった言葉で綴られていて、
かえでの父に対する思いの変化は
ここまでの毎回の流れで少しずつ描いてあったので
視聴者にも感情移入しやすいものだった。

ただ、ただ、
海に降る雪のエピソードそのものは良かったのに、
その映像がまたしょぼいものになってしまった。
これはさすがにCG処理するしかないシーンだけど
ちょっと冷めたなあ。
第8話の楓の木と同様、残念だった。

でも全体的には
丁寧な演出、心のこもった脚本で、
上質の回だったと思う。

             採点  8.0(10点満点平均6)


『ナイトホスピタル』  第9夜

演出:唐木希浩
脚本:江頭美智留

もう普通の病院ドラマ。
ナイトホスピタルである必要も、
麻紀(仲間由紀恵)が病理医である必要もまったくなし。
でも今回もストーリーの構成は丁寧だったと思う。

母親(高島礼子)が悩んで、考えて、
息子(須賀健太)の個性を尊重して、
息子自身の気持ちを優先して、
そして7年かけて人工内耳のオペを決意する。

生まれつき音を知らない子供の心情も
そういう子供を持った母親の気持ちも
かなり丁寧に描いていたと思う。

もちろんこれはあるひとつのケースであって、
母親の選択を避難する意見があってもいいと思うけど。

最後は東(田辺誠一)の難病か。
どうやってまとめるのかな。

             採点  7.0(10点満点平均6)


『ダブルスコア』  第10話

演出:平野眞
脚本:寺田敏雄
プロット協力:高山直也、天沢彰

古くさくて単純な話。
北嶋(岡田義徳)が
仲間のデスクに向かって敬礼するとこなんか
こっぱずかしかったな。

橘(反町隆史)だけが
北嶋の誕生日や未逮捕を覚えていた
ということぐらいか。
まあ、描き方として許せたのは。

困ったドラマだなあ。

             採点  5.0(10点満点平均6)


『アルジャーノンに花束を』  第10話

演出:塚本連平
脚本:岡田惠和

やっぱりこうなると
いしだあゆみはスゴイ。

ハル(ユースケ)に
“私をなじりなさい!罵りなさい!”
と言って号泣するシーンはさすがに見ごたえがあった。

ミキ(榎本加奈子)は結局、
手術をしなくても
少しずつ頑張る象徴としてだけの存在みたいだけど、
ハルが桜井パンを訪れた場面はなかなか良かった。

それにしても
最後の1行でつづくになっちゃったぞ。
どんな最終回にするのか、楽しみだ。

             採点  7.5(10点満点平均6)


『天才柳沢教授の生活』 最終話

演出:鈴木雅之
脚本:土田英生、藤本有紀

明らかに時間が足りなかった感じ。
やっぱり全10話の予定で
プロットを書いてたんじゃないだろうか。

柳沢教授(松本幸四郎)が語る
傘のエピソードあたりは良かったけどね。

あと、
家族のつながりをきちんと描いていたことや
最後のカットでも
牧師(DonDokoDonの平畠!)が
向上心を持って勉強していたシーンなんか
このドラマらしくて良かった。

ただ、やっぱり最終回はちょっと残念だった。
もっとたっぷり時間を取って作らせてあげたかったな。

全体的なことを言えば、
コミック原作の宿命として
原作が好きだった人にとっては
不満も多い内容だったかもしれない。

姉妹の数も違うし
お母さん(松原智恵子)のキャラもだいぶ違うし。

でもこの作品はドラマとして
しっかりとしたコンセプトに乗っ取って
アレンジされていたと思う。

世津子(国仲涼子)とヒロミツ(佐藤隆太)のカップルも
原作と違うと言えば大きく違うけど、
最初から明確なイメージを持って
キャラクター設定をしていた。

そしてそれは
まっさらな気持ちで見れば
すばらしいカップルの姿だった。

主演の松本幸四郎はもちろん、
すべての役者がドラマの中の登場人物として
“柳沢教授の生活”に生きていたと思う。

いいドラマだった。

             採点  7.0(10点満点平均6)

                  脚本  ★★★★☆
                  演出  ★★★★☆
                  配役  ★★★★★
                  主題歌 ★★★★☆
                  音楽  ★★★★☆
                  新鮮さ ★★★☆☆
                  話題性 ★★☆☆☆

           平均採点  7.56(10点満点平均6)


『やんパパ』  10話

演出:星田良子
脚本:西荻弓絵

やっぱり最終回だけで無難にまとめるのはムリか。
そりゃそうだよな、
あるゆる部分がバラバラだったドラマだし。

最後はもう失笑、というか、
可哀想な感じすらした。

なんか、
いちいち問題点を挙げていくのもバカバカしいな。

スタッフもキャストも
このドラマのことは早く忘れた方がいい。

             採点  4.0(10点満点平均6)

                  脚本  ★☆☆☆☆
                  演出  ★★☆☆☆
                  配役  ★★★☆☆
                  主題歌 ★★☆☆☆
                  音楽  ★★☆☆☆
                  新鮮さ ★★☆☆☆
                  話題性 ★☆☆☆☆

           平均採点  5.50(10点満点平均6)


『サイコドクター』  FILE 9

演出:水田伸生
脚本:伴一彦

洗脳の仕組みとその解除方法。
非常に興味深いテーマではあるけど、
洗脳の手段にクスリを使っているのが残念だった。

楷(竹野内豊)が石森(いかりや長介)の指示にしたがって
少しずつ洗脳を解いていく過程を丁寧に見せるのは、
このドラマの主旨から言ってもいい

それだけに洗脳の方法自体も
精神的な陽動だけでやって欲しかったんだけど…。

ストーリーは
楷自身の洗浄脅迫も絡める形で次回に続いてしまった。

現時点では洗脳の話は
ここで解決させた方が良かった気もするけど、
最終回でうまく2つの話を絡ませることができるのか。
かなり興味深い。

             採点  6.0(10点満点平均6)


『HR』  第10話「ホイさんのハムレット」

脚本・総合演出:三谷幸喜
映像演出:河野圭太

ホイさん(生瀬勝久)のキャラはやっぱり面白くない。
ただ、ドラマらしくなってきたと言えば
そう言えなくもない。

要するにこの作品は、
笑おうと思って見ない方がいいんじゃないか?

まあ、作りが安定してないことには変わりないな。

             採点  5.5(10点満点平均6)


『逮捕しちゃうぞ』  FINAL

演出:赤羽博
脚本:大石哲也

最終回のゲストは
ジャイアンツの元木と高橋由伸だった。
微妙〜(笑)

まあ、意外と高橋由伸が
自然に演技してたから良しとしよう。

それにしても
マキちゃん、事件に巻き込まれ過ぎ。
ホームレスの人も車のナンバーまで覚えてるなんて
ただものじゃないって感じだし。

結局、このドラマ、
最初の頃は良い意味のB級テイストになってたけど
後半は粗末な脚本と演出が目立っちゃったなあ。
むしろ2時間ドラマとかでやった方がよかったのかも。

エンディングロールだけはずっと良かったのに、
最終回は今までの名場面にしてしまったのも残念だった。

             採点  5.5(10点満点平均6)

                  脚本  ★★☆☆☆
                  演出  ★★☆☆☆
                  配役  ★★☆☆☆
                  主題歌 ★★★★☆
                  音楽  ★★☆☆☆
                  新鮮さ ★★☆☆☆
                  話題性 ★★☆☆☆

           平均採点  5.94(10点満点平均6)


『薔薇の十字架』  最終幕

演出:光野道夫
脚本:浅野妙子

買い被りすぎたか。
確かにこれはこれで
辻褄が合わないわけでもない。

“今ちっとも寂しくない。
 星児がこの世にいる。
 あなたといる”
みたないセリフから判断すると。

でも、こういうのを
見たかったわけじゃないんだよなあ。
ていうか、これやるなら
ここまでのアプローチが違うだろ、って感じ。

だいたい、あのまま星児(田中碧海)が
桐吾(三上博史)と暮らすのは
現実的じゃないだろう。

ここにリアリティーを出すなら
やっぱりアプローチの仕方が違うと思うし。

このドラマ、興味を継続させる力はあった。
でも最後がこれじゃカタルシスは得られない。
残念だった。

どうせなら
澄子(石田ゆり子)が恭介(玉山鉄二)との子供を
サエ(中尾ミエ)に見せに来た時、
“お抱き!”
とか言って欲しかったなあ(笑)

             採点  5.0(10点満点平均6)

                  脚本  ★★★☆☆
                  演出  ★★★☆☆
                  配役  ★★★☆☆
                  主題歌 ★★★☆☆
                  音楽  ★☆☆☆☆
                  新鮮さ ★★☆☆☆
                  話題性 ★☆☆☆☆

           平均採点  6.85(10点満点平均6)


『真夜中の雨』  第十話

演出:松原浩
脚本:福田靖

結局、最後まで復讐がキーワードだった、
ということか。

まあ、今回はそこに重点を置いてくれたので
都倉(織田裕二)と事務長(石黒賢)の
8歳違いの設定もあんまり気にならなかった
というメリットはあったけど。

ただ、こうなると
最終回は難しいんじゃないかなあ。

そして兄弟はみんな仲良く暮らしました?
こうして病院は健全な経営に戻りました?

そんな印象が最後に残ったらシラけるばかりだし…。

じゃあ最後、広田(田中美里)が
事務長を後ろから刺すってのはどう?

うん、これだ!
やっぱり“振り返ると奴”がいないとな(笑)

             採点  7.0(10点満点平均6)


『ママの遺伝子』  最終話「涙、ナミダの合格発表」

演出:大岡進
脚本:小松江里子

桜(原田舞美)が開應に落ちたのは
この手のドラマにしては意外だったけど、
結局、最後の最後まで間違いだらけのドラマだった。

龍之介(小池城太朗)の決断を良しとするなら
普通に開應に行く博貴(村上雄太)は何なんだ。
桜は将来、龍之介の決断をどう考えるようになるのか。

バカバカしいな、こんなことを考えるのも。

まあ、最後の決断は別にして
これくらい大人が子供で
子供が大人のドラマも珍しかった。

子供はやがて大人になる。
日本の将来は暗い、ってことか(笑)

             採点  3.0(10点満点平均6)

                  脚本  ☆☆☆☆☆
                  演出  ☆☆☆☆☆
                  配役  ★★★☆☆
                  主題歌 ★★★☆☆
                  音楽  ★☆☆☆☆
                  新鮮さ ☆☆☆☆☆
                  話題性 ★☆☆☆☆

           平均採点  4.70(10点満点平均6)


『リモート』  10

演出:佐藤東弥
脚本:樹林伸

くるみ(深田恭子)は予定通り
伸吾(玉木宏)と結婚式に向かうものの、
また氷室(堂本光一)から電話があって事件に向かう
という締めは一番理想的だったと思う。
最後のくるみはいつものキャラに戻ってたし。

まあ、トリックは最後まで面白いとは思えなかったけど、
ドラマの企画としては良かったんじゃないかな。

深田恭子の個性をかなり活かしていたし、
捜査一課の雰囲気も
コメディータッチでうまくまとめていた。

もともとドラマ化を前提にコミックを作ったこともあって
スペシャルを作りますよ!
という最後の雰囲気がちょっといやらしかったけどね(笑)

             採点  6.5(10点満点平均6)

                  脚本  ★★★☆☆
                  演出  ★★★☆☆
                  配役  ★★★☆☆
                  主題歌 ★★☆☆☆
                  音楽  ★★☆☆☆
                  新鮮さ ★★☆☆☆
                  話題性 ★★☆☆☆

           平均採点  6.70(10点満点平均6)





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