タイトル■ドラマは何でも教えてくれる
書き手 ■ロビー田中

放映中のTVドラマを“ほぼすべて”見ている、
驚異のドラマ通による、ドラマに関するコラム。

“TVドラマなんかくだらない”と言う人に、
あえて反論するつもりはありません。ただ、
“すべてのTVドラマがくだらないわけでは
ない”とだけ言っておきます。これからも僕は
TVドラマを見続けていくでしょう」(田中)

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第126話「桜子のアパート、ホントに火事になる」

「やまとなでしこ」で
桜子(松嶋菜々子)が住んでいたアパートが
先週の土曜日、本当に火事になってしまった。

中目黒にある古いアパートね。
「初体験」や映画「リング」のロケでも使われた
かなり有名なアパート。

お気に入りのロケ地を見に行く時はお早めに。


『おとうさん』  第10話

演出:清弘誠
脚本:遊川和彦

今までの中では、
今回のお墓での士郎(田村正和)と
珠ちゃん(森山良子)のシーンが一番良かった。
ていうか、やっと田村正和が光った。

やっぱり全体をコメディーテイストにするにしても
士郎と珠子の大人の恋愛を
きちんと描いておくべきだったんだよなあ。
そこに子供たちを絡ませる方がよかった。

って、それじゃこの4人の女優を使う意味がないか。

まあ、子供がメインでもいいけど、
肝心なセリフがちっとも良くないんだよな。

今回も恵(深田恭子)と次郎(国分太一)の関係は
うまく納めたと思うけど、
空港でのセリフは全然グッとこなかったし。

そこら中に綻びがあるぞ、今さらだけど。

             採点  6.5(10点満点平均6)


『ホーム&アウェイ』  最終話

演出:澤田鎌作
脚本:君塚良一

まず、父親(串田和美)と出会えた後も
実はいろんなトラブルに巻き込まれていて、
ドラマで描かれていたのはその一部
というアイディアがバカバカしくて面白かった。

とはいっても、ほんの30秒の映像に
時間とお金をかけていて、
最後まで丁寧に作っている印象は強かった。

そして最終回で巻き込まれたトラブル。
この事件自体は過去のエピソードに比べると
正直言って弱かったけど、
かえで(中山美穂)自身が
幸せは自分の手でつかむものだと決意する描写としては
すごく良かったと思う。

りる(酒井若菜)は今回もお笑い担当。
案の定、学(小泉孝太郎)はりるに惚れたけど、
安易にふたりがくっつかなかった展開は良かった。

ホームにいた3人が、
“ワインを100本飲んだだけ、
 でもそれでいいんだと思う”
と言ったシーンは印象的だった。

帰れる所がある、
待っていてくれる人がいる、
それだけで旅は旅として成り立つと思うし。

最後にかえでが自分の家のソファーで
うたたねをする姿。
あんなに気持ちのよさそうな寝姿を見たことがない。
視聴者にそう思わせる力がこのドラマにはあった。
これはシンプルで非常に良いラストシーンだった。

いや、本当のラストはコメディーらしいオチだった。
あのスーツケースを持っている人間が
実は目的地にたどり着けないという…。

コメディーとしての体裁を守ってこのオチをつけたのは
最後までうまくドラマを引き締めたと思う。

3ヶ月でこれだけのロードムービーを撮り、
なおかつ芯の通ったドラマに作り上げたスタッフに
心から敬意を表したい。

             採点  7.5(10点満点平均6)

                  脚本  ★★★★★
                  演出  ★★★★☆
                  配役  ★★★★☆
                  主題歌 ★★★★☆
                  音楽  ★★★★☆
                  新鮮さ ★★★☆☆
                  話題性 ★★☆☆☆

           平均採点  7.41(10点満点平均6)


『ナイトホスピタル』  最終夜

演出:唐木希浩
脚本:江頭美智留

大久保(高島礼子)親子の話にしても
東(田辺誠一)の難病のエピソードにしても
みんなまともな描き方だったけど、
ドラマ全体としてはまとまりに欠けた印象があった。

結局、麻紀(仲間由紀恵)の成長物語だった、
と思えば作品の筋としては通る。
つまりナイトホスピタルにしたのは
ちょっと趣向を変えただけのこと。

麻紀が優秀な病理医だったという設定は
前半、かなり活かされていたけど、
これも後半は意味のないものになっていた。

杉浦(野村宏伸)やアン(ユンソナ)の扱いも
中途半端といえば中途半端。

作品全体の精度が上がらなかったのは
こうした細かい部分のいい加減さが
積み重なったものだと思う。

ま、そんなドラマは珍しくないけどね(笑)

仲間由紀恵はもう十分主役を張れる、
ということが確認できただけでも収穫はあった。

             採点  6.5(10点満点平均6)

                  脚本  ★★★☆☆
                  演出  ★★☆☆☆
                  配役  ★★☆☆☆
                  主題歌 ★★☆☆☆
                  音楽  ★★☆☆☆
                  新鮮さ ★★☆☆☆
                  話題性 ★☆☆☆☆

           平均採点  6.45(10点満点平均6)


『ダブルスコア』  最終話

演出:平野眞
脚本:寺田敏雄
プロット協力:高山直也、天沢彰

このドラマのオリジナリティーの無さは
誰もが認めるところだと思うけど、
逆に王道の刑事ドラマなだけに
面白くしようと思えば
いくらでも面白くすることはできたと思う。

それなのになぜ、ここまでつまらなかったのか。
反町隆史と押尾学を主役に迎えながら
なぜ視聴率一桁が半分以上の回を占めたのか。

たぶん、誰かのせいというより、
このドラマに参加した人ほとんどが
今さらこんなドラマを作っても
たいして面白くないと思っていたのではないだろうか。
本気で自分たちが作ってるドラマが一番面白いと
思ってなかったのではないだろうか。

そうとしか思えない。
それくらいこのドラマには
いい加減さが見え隠れした。

スタッフも脇の役者も
それなりの人材が揃ってたのにね。

こんな作り方をしていると
ドラマ人気は落ちるところまで落ちるぞ。

             採点  4.5(10点満点平均6)

                  脚本  ★☆☆☆☆
                  演出  ★☆☆☆☆
                  配役  ★★☆☆☆
                  主題歌 ★★☆☆☆
                  音楽  ★☆☆☆☆
                  新鮮さ ☆☆☆☆☆
                  話題性 ★☆☆☆☆

           平均採点  5.18(10点満点平均6)


『アルジャーノンに花束を』  最終話

演出:新城毅彦
脚本:岡田惠和

このドラマが原作と最も違った点は
ハル(ユースケ)の親子関係だったわけだけど、
それがラストにもつながっていた。

テレビらしいと言えば
実にテレビらしいアレンジだった。

この作品も原作が偉大すぎて
違和感を感じた人は多かったと思う。
でも、個人的には
テレビドラマというステージの特徴を考えた上で
うまくアレンジしていたような気がする。

もちろん、いしだあゆみは
原作通りの母親を演じたとしても
抜群の演技力を発揮していたと思うけどね。

最後、坂の向こうから母親(いしだあゆみ)が
ハルを迎えに来るシーンは良かった。

ずっとハルが坂の向こうを見つめている場面は
今まで何度も出てきていたので、
こういうシーンは映像としての力が大きい。
分かっていても泣けるというパターン。
このへんもテレビの特長を活かした
いい選択だったんじゃないかな。

すべてを見終わった感想としては、
この原作はもっといろんな脚本家や演出家が
様々な切り口でドラマ化してもいいんじゃないか
という気がした。

今回のドラマではあえて排除した部分にも
考えるべきテーマはたくさんあるわけだし。

パーフェクトとはとても思えないけど、
ある意味、ドラマの王道を守った
そつのない作りだったと思う。

             採点  7.5(10点満点平均6)

                  脚本  ★★★☆☆
                  演出  ★★★☆☆
                  配役  ★★★☆☆
                  主題歌 ★★★★☆
                  音楽  ★★★☆☆
                  新鮮さ ★★☆☆☆
                  話題性 ★★★☆☆

           平均採点  6.95(10点満点平均6)





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