タイトル■ドラマは何でも教えてくれる
書き手 ■ロビー田中
放映中のTVドラマを“ほぼすべて”見ている、
驚異のドラマ通による、ドラマに関するコラム。
「“TVドラマなんかくだらない”と言う人に、
あえて反論するつもりはありません。ただ、
“すべてのTVドラマがくだらないわけでは
ない”とだけ言っておきます。これからも僕は
TVドラマを見続けていくでしょう」(田中)
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第128話「10〜12月期を振り返る」
一桁の視聴率が連発した今期の連ドラ。
まずは各作品の平均視聴率から。
おとうさん 16.35%
ホーム&アウェイ 13.70%
真夜中の雨 13.65%
アルジャーノンに花束を 11.06%
リモート 10.70%
ダブルスコア 10.55%
ママの遺伝子 10.47%
天才柳沢教授の生活 9.42%
ナイトホスピタル 9.32%
サイコドクター 9.06%
逮捕しちゃうぞ 9.06%
(HR 前半11話まで) 8.99%
薔薇の十字架 8.63%
やんパパ 7.01%
(イヴのすべて) 5.75%
かろうじて二桁を死守したような作品が多くて、
営業的に合格点なのは「おとうさん」くらい。
反町隆史と押尾学が共演した「ダブルスコア」、
長瀬智也と後藤真希が共演した「やんパパ」などの数字を見ると
どこかで誰かの首が飛んでるような気がしていたたまれない。ちなみに個人的な評価点の平均はこんな感じ。
天才柳沢教授の生活 7.56
ホーム&アウェイ 7.41
アルジャーノンに花束を 6.95
真夜中の雨 6.95
薔薇の十字架 6.85
リモート 6.70
ナイトホスピタル 6.45
サイコドクター 6.41
おとうさん 6.41
逮捕しちゃうぞ 5.94
やんパパ 5.50
ダブルスコア 5.18
ママの遺伝子 4.70
ハッキリ言って、
今期は「天才柳沢教授の生活」と
「ホーム&アウェイ」がズバ抜けて良くて、
そのかなり後ろに「アルジャーノンに花束を」という感じだった。「真夜中の雨」と「薔薇の十字架」は
面白い木曜10時対決だったけど、
どちらも最終回でコケた。
最終的な印象はこの平均点ほどではない。「やんパパ」「ダブルスコア」に関しては
久々に憂鬱になる作りで、
この手の作品が多くなるようなら
本気でドラマ枠を減らすことも考えた方がいいだろう。「ママの遺伝子」を本気で面白いと感じる人がいるのは知っている。
もちろん、そのことを否定するつもりもない。
ただ、こればっかりはあまりにもセンスが違いすぎるので
議論のしようがないと思っている。こういうドラマが存在するのもまた
テレビの大衆的な特性のひとつだと考えるので
作りたければ作ればいいと思う。
オレは常に最後まで見てつまらないと言い続けるけどね(笑)
で、今期の最優秀作品。
評価点の平均は2位になってしまったけど
「ホーム&アウェイ」に贈りたいと思う。もちろん「柳沢教授」もいい作品だった。
でも「ホーム&アウェイ」のオリジナルだったという点、
ロードムービーに挑戦したという点などを考慮して、
こちらを最優秀作品にしたい。主演男優賞は柳沢教授を演じた松本幸四郎。
次点は「サイコドクター」の竹野内豊かな。
最後まで見ると、この楷という精神科医の役を
竹野内豊はよく消化していたと思う。助演男優賞は「柳沢教授」でヒロミツを演じた佐藤隆太。
次点は「リモート」で伸吾役をやった玉木宏。難しいのは女性の方だな。
主演女優賞は「ホーム&アウェイ」の中山美穂でいっか。
短期間であれだけのロケは大変だったろうし。
助演女優賞は「アルジャーノン」のいしだあゆみ。
「ホーム&アウェイ」の西田尚美、酒井若菜、
「柳沢教授」の国仲涼子、松原智恵子も良かったけどね。
レビューをしていた作品以外では
やっぱり「イヴのすべて」が印象的だった。
深夜11時過ぎのオンエアで
初回の視聴率は3.9%だったのに最終回は7.6%まで上げた。どんどんカットを繋げていく作りなので
全体的なクオリティーが高いとは思えないんだけど
エンターテイメント性は高かったと思う。あとヨンミの悲しい生き様ね。
変にハッピーエンドにして欲しくないと思ってたら、
ウジンは死んで、ちゃんとヨンミも後を追った。
最終的にヨンミは記憶を失う形で助かったけど、
最近の日本の連ドラ事情を考えれば新鮮な感じすらした。ヒョンチョル先輩の声をやっていた谷原章介は
今期の隠れた助演男優賞ということで。
それからBSで放送された後、地上波でもオンエアされた
NHKの「ビタミンF」(全6回)。重松清の直木賞受賞作が原作なので
もともとの話がいいと言われたらそれまでだけど、
海外でも評価を受けている高橋陽一郎の演出は最高だった。ナチュラルなセリフの言わせ方と
固定の引きの絵を多用した映像。
その日常の切り取り方にリアリティーを増す効果があって、
決して明るい内容ではではなかったけど見ごたえがあった。今年のベスト10には間違いなく入れたい作品。
NHKなので頻繁に再放送はしないと思うけど
機会があったらぜひ見て欲しい。NHKでは単発で放送された
山田太一の「迷路の歩き方」も良かった。
現代の一面を鋭く切り取った作品って
実は民放よりNHKの方が多いんだよな。民放の方が古くさい。
NHKの方が時代感覚は新しいし、
斬新な作品も多い。まあ、民放にはいろんなしがらみがあって
守りに入ってる、というのが原因なんだけどね。今現在のドラマが見たかったら
NHKの現代劇を見た方がいいと思うよ。
民放の連ドラは過渡期に入った感じで
クオリティーの低い作品が多かったけど、
「ホーム&アウェイ」「天才柳沢教授の生活」という
2作品が見られただけでも良しとしよう。
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