タイトル■ドラマは何でも教えてくれる
書き手 ■ロビー田中

放映中のTVドラマを“ほぼすべて”見ている、
驚異のドラマ通による、ドラマに関するコラム。

“TVドラマなんかくだらない”と言う人に、
あえて反論するつもりはありません。ただ、
“すべてのTVドラマがくだらないわけでは
ない”とだけ言っておきます。これからも僕は
TVドラマを見続けていくでしょう」(田中)

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第13話「また再放送にハマる」

「笑う犬の発見」で水野美紀がコントをやってた。
やっぱり素質はあるな(笑)

ただ逆に、もっとボケにメリハリをつけろよ!
なんてワンランク上の注文までしたくなっちゃったりして…

大変だな、女優も。

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『ロング・ラブレター 〜漂流教室〜』 第2話

演出:水田成英
脚本:大森美香

ドラマでも実際に漂流させた以上、
どうしても避けられない問題が…。
それは人間の動揺や混乱、
パニックになった時の感情表現だ。

これがどうにも日本人は苦手らしい。
必ずバタバタとした大袈裟な演技になって、
声の出し方も画一的になる。

ひとりの場合はまだいい。
演技のうまい人はそれなりにやれる。
ただ、集団でパニックになった時は
どうしてもセリフの掛け合いになるので
よほど緻密な演出プランと
役者同士のコンビネーションがなければ
リアリティのあるシーンは構築できない。

しかも今回は学校が舞台だ。
経験の浅い若い俳優が大半を占める。
ここがこのドラマの最大の弱点かもしれないな。

メッセージ性が強い作品になることは明らかだけど、
そのメッセージが素直に受け入れられるよう
危険性のある演出は避けた方がいい。

個人的には
もっと原作から離れてもいいと思うんだけどね。
どうなんだろう。

             採点  6.5(10点満点平均6)

『続・平成夫婦茶碗』 第二話

演出:三枝考臣
脚本:森下佳子

今回は運(濱田岳)とのからみが中心だったけど、
徐々に理解し合っていく加減がいい。

ただ、最後に子供たちが全員、
寝ずに待っていたのは出来過ぎかな。
というか、話をちょっと省略してしまった感じ。

でもまあ、いっか。
王道、王道(笑)

節(浅野温子)は子供を産んだことで死に、
灯(優香)は自分が生まれたことで母親が死んだ。
この関連性を設定したのは
今後のストーリーに説得力を持たす大きな要因になりそう。

あと、節の幽霊が
前作とのつながりを明確にするだけじゃなく、
その存在自体にせつなさを出している脚本はうまい。

前作よりも内容がグレードアップしてるな。

             採点  7.0(10点満点平均6)


『プリティガール』 第2話

演出:日名子雅彦
脚本:青柳祐美子

今回の寒かったセリフは、
米倉涼子が思い続けている田辺誠一に会いに行って
柱の影でつぶやいた
“ダメよ泣いちゃ、見えなくなっちゃう”

…でも全体的には少ない方だったか。

稲森いずみとファンタジーテイストの内容は
そんなにズレてないと思う。
ただ、演出がどうしてもちゃちになる点が
見ていてツライ。
まあこれは、撮影全体の技術にも関係すると思うけど。

今回うれしかったのは
栗田よう子、及森玲子のゲスト出演。
ケイファクトリーの制作なので
「ぽっかぽか」のキャストが
羽場裕一と共に揃った感じだ。

こんなことで喜んでいるようじゃ
ダメなんだけどな、このドラマも。

             採点  5.5(10点満点平均6)

『3年B組金八先生』 第13回

演出:三城真一
原作・脚本:小山内美江子

問題が山積みの今シリーズ。
リストラで父親が自殺を図る
という生徒まで出てきてしまった。

最初はテーマが盛りだくさん過ぎるのでは、と思ったけど、
金八のセリフにあった
“どんな状況の中にあっても、自分の頭で考え、自分で行動し、
活路を見出す子供たちを育てる。そんな時代になったんだよ”
ということを表したのかったのかもしれない。
だから意識的に多くの問題を取り入れたのかも…。

そんないろいろな問題が並行して描かれた今回。
かなり見応えがあった。

まずは前回の火事でとりあえずの収束をみた
今井儀(斎藤祥太)の問題。
やっと「キッズ・ウォー」の斎藤祥太を起用した意味が出た。
序盤はかなりもの足りなかったからね。
あの立志の誓いの演説は良かった。

信太宏文(辻本祐樹)の問題も
長引きそうだけど気になる。
今回は義理の妹を怒ろうとして
思い止まるところがせつなかった。

そして今シリーズの最大の目玉ともいえる
鶴本直(上戸彩)の性同一性障害の問題。
ついに大きく動き出してきたという感じ。

現状の解説役でもある精神科医を演じるのは利重剛。
金八シリーズの脚本家、小山内美江子の実の息子だ。
こういう親子共演もいいな。

上戸彩はこの難しい役をよく演じてると思う。
男になりすましてハセケン(加藤成亮)に送っている
メールを読む時の声がいい。
実際に声が低くなってしまったと、
「はなまるカフェ」で言っていたっけ。

受験という金八では恒例の行事を進めながら
多くの問題をどう扱っていくか…
これからは目が離せない。

             採点  7.0(10点満点平均6)

『SWEET SEASON』 Vol.1〜5(再放送)

プロデュース:貴島誠一郎
演出:福沢克雄、片山修、三城真一
脚本:青柳祐美子
出演:松嶋菜々子、椎名桔平、とよた真帆、蟹江敬三、市毛良枝、
   野際陽子、袴田吉彦、矢田亜希子、他

平日の午前中にTBSで再放送されている作品。
第1話をうっかり見てしまって、
途中でやめられなくなってしまった。

なぜ今この作品を再放送しているのかというと、
脚本の青柳祐美子が「プリティガール」を
演出の福沢克雄が「3年B組金八先生」をやっているから。
再放送をどんな作品にするかは、
その時にやっている新作連ドラの
キャスト、スタッフにからめることが多いのだ。

で、この作品。
不倫を扱ったドラマなんだけど、
家族のあり方にまで深く切り込んだ
かなりクオリティーの高い秀作だった。

とくに注目なのは福沢克雄の演出。
レギュラー放送された時も
初回の演出を見てかなり衝撃を受けた記憶がある。

金八ブームが再燃したのも
この福澤克雄が演出に加わったことが大きい。
今回のシリーズなどはとくに
昔の金八とは明らかに違う映像を見ることができる。
彼の名前はちょっと覚えておいた方がいいかもね。

そして脚本の青柳祐美子。
彼女の書く作品にはハッキリ言って駄作も多いんだけど
「SWEET SEASON」のような作品を見せられると
どうにも無視することはできない。

だから「プリティガール」も
どこかですごいセリフが出てくるんじゃないかと思って
注意深く見ちゃうんだよね。

あと、この「SWEET SEASON」で
初めて松嶋菜々子と矢田亜希子が共演したわけだけど
この2人の姉妹っぷりがやたらリアルでいい。

5話を過ぎると
ストーリーがかなり重たくなってくるので
2人の気軽な会話も少なくなっているけど、
序盤の2人はじつに魅力的だったのだ。

この作品はビデオ化もされているので
未見の方はぜひどうぞ。

『婚外恋愛』 #2

演出:久野昌宏
脚本:浅野妙子

前回で説明不足だった部分も補足されて
それなりに説得力は出てきたんじゃないだろうか。
少なくとも、この先どうなるんだろう、
という興味はつなげていると思う。

ただ、みつる(永作博美)の元カレ、
亮馬(原田龍二)のキャラが
いつもの原田龍二ってところは気に入らなかったな。
別のキャラにするか、別のキャストを見たかった。

でもまあ、見続ける価値はあるでしょう。
個人的には、早い段階からテーマを明確に表した
印象的なセリフをどんどん出して欲しい感じ。
ストーリーのみで興味を引っ張るような作りになると
どうしてもキワモノになってしまうから。

うまく仕上がれば
いい作品になる可能性は秘めてると思うけどね。

             採点  6.5(10点満点平均6)

『恋ノチカラ』 第2話

演出:若松節朗
脚本:相沢友子

前回よりはだいぶ良かった。
せめて今回くらい笑えるシーンがあると
全体のメリハリがハッキリするな。

貫井(堤真一)のキャラも
今回でかなり分かってきたので
ドラマ全体の方向性も明確になった。
初回で消化不良だった部分は
これでずいぶん解消されたのではないだろうか。

気になるのはやっぱり
三十路を過ぎたら仕事にも恋にも
アセるのは当然という描写が多いこと。

もちろん、そういう前提で
このドラマは作られているわけだけど、
出てくる女性すべてがそう思っているところに
やや時代遅れの印象を持ってしまう。

いや、時代遅れというのとは違うな。
確かにそういうアセリは現代の30代も抱くのだろうけど
悩みの方向性がもっと分散してるような気がする。
ま、オレは女じゃないから
本当のところは分からないんだけど…

キャストでは、
今回も矢田亜希子がいい役もらってるな。
貫井と2人で外で会っている時と
籐子(深津絵里)と家でいる時の違いなんか
本人もうまく演じてると思う。

早く主役を張って欲しいと思う反面、
こういうポジションでこそ活きる女優かな、
という気もする。

矢田亜希子も本格的にからんできた
次回以降の恋物語に期待だな。

             採点  7.0(10点満点平均6)





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