タイトル■ドラマは何でも教えてくれる
書き手 ■ロビー田中

放映中のTVドラマを“ほぼすべて”見ている、
驚異のドラマ通による、ドラマに関するコラム。

“TVドラマなんかくだらない”と言う人に、
あえて反論するつもりはありません。ただ、
“すべてのTVドラマがくだらないわけでは
ない”とだけ言っておきます。これからも僕は
TVドラマを見続けていくでしょう」(田中)

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第138話「“まんてん”照英と別れて藤井隆と結婚!?」

先週、NHKの朝ドラ「まんてん」で、
主人公の満天(宮地真緒)が英治(照英)と別れて
陽平(藤井隆)に結婚を申し込むという大事件があった。

英治との別れから陽平へのプロポーズ(?)が
あまりにも早かったという疑問は
まだ今後を見ないと分からないのでいいとして、
満天と英治の別れはドラマとして意味があるものだった。

このドラマでは、
再三、宇宙へ行く者の資質についての表現があった。
旅立つ直前になって怖じ気つかないか、
というのもひとつの資質だった。

現段階ではひとりの宇宙飛行士を育てるために
国家規模のプロジェクトが必要であり、
なおかつ、宇宙へ行くには
安全性についてもまだ不安な部分が多いからだ。

それを端的に表すために、
「宇宙で死ねるか」というセリフがあった。
「たとえ事故に合って家族が悲しんだとしても、
 それでも宇宙を目指せるか」というセリフもあった。

つまり、満天の宇宙に対する覚悟を示すために
英治との別れのエピソードは必要だったのだ。

…そして、
先週の「まんてん」の放送が終わった後、
コロンビア号が空中爆破し、
7人の宇宙飛行士が死亡した。

衝撃的だった。

でも彼らも、
たとえ自分が宇宙で死んで家族が悲しんだとしても、
それでも宇宙を目指したかったんだと思う。

それだけの訓練をして、
そこまでの覚悟をして、
スペースシャトルに乗り込んだんだと思う。

だから彼らには悔いはない…。
ムリしてでもそう思わないとやりきれない。


『お義母さんといっしょ』  第4話

演出:高丸雅隆
脚本:金子ありさ

うーん、やっぱりダメかも。
肉付けが全然良くない。

テーマを消化しきれてないというか、
伝えるべき内容がボケたままというか。
金子ありさのわりにはセリフも良くないんだよな。

もう楽しみはエンディングの子犬だけか?
横断歩道を渡ってる所が一番可愛いね(笑)

             採点  5.5(10点満点平均6)


『僕の生きる道』  第四話

演出:佐藤祐市
脚本:橋部敦子

取っ掛かりの妊娠騒動から性教育、
という流れは少し単純な気がしたけど、
その後の秀雄(草なぎ剛)の姿勢、
それを見守るみどり(矢田亜希子)の描き方は
実に丁寧で見ごたえがあった。

この作品を見ていると
いかに他のドラマのBGMがうるさいか分かるな。
沈黙の中で役者が作る間は、
セリフ以上に訴えて来るものがある。

今回は演出的にも優れたシーンが多くて、
星護と佐藤祐市の真剣勝負も見どころのひとつに加わった。

             採点  7.5(10点満点平均6)


『熱烈的中華飯店』  第4話

演出:成田岳
脚本:橋本裕志

今回は脚本が橋本裕志か。
演出も3番手が登場したし。

相変わらずテンポは遅いけど、
作りとしては悪くなかった。
少なくとも脚本は橋本裕志の方がいいな。

ただ、このまま毎回
ひとりひとりにスポットが当たっていくという
お決まりパターンは避けられそうにない。
最初からプロットに練りが足らないんだろうな。

             採点  5.5(10点満点平均6)


『最後の弁護人』  第3話

演出:岩本仁志
脚本:秦建日子

この手のトリックは視聴者側がその仕組みに
途中で気がついてしまうという欠点はあるものの、
仕上がりはそれをカバーできるものだった。

神崎(浅野ゆう子)からの依頼電話、
被告人との最初の面談あたりは、
パターン化されたシーンをうまく使いつつ、
全体的には冒頭で結末を示し、
それに向けて経過を説明するという、
今までとは別のパターンを使ってきた。

前半は須藤理彩も頑張って笑いもうまく取れていたし、
最後は酒井美紀の演技でグッと盛り上げた。
“捨てられたくなかった”という動機も、
ホスト(末広宏司)を途中から登場させることで
効果的にせつなさへとつなげていたし。

岩本仁志はフジテレビ時代に
「白線流し」も撮っているので、
17歳の頃の酒井美紀を知っている演出家。

脚本家、演出家、役者が見事にかみ合った
入魂の一話だったと思う。

             採点  7.5(10点満点平均6)


『HR』  第16話「徹夜の仕事」

脚本・総合演出:三谷幸喜
映像演出:河野圭太

まだイチゴがひとつ残っていたという
つまらないオチさえなければ…。
どうしたんだろうな、この作品の三谷幸喜は。

でも全体的には今までで一番ドラマ性があって、
笑えて、ハートフルで、バランスが良かった。

和久井(白井晃)が黒崎(相島一之)に
ケーキをぶつけた時の観客の反応は実に素直なもの。
ここだけは本当にアメリカのシットコムみたいだった。

             採点  7.0(10点満点平均6)





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