タイトル■ドラマは何でも教えてくれる
書き手 ■ロビー田中

放映中のTVドラマを“ほぼすべて”見ている、
驚異のドラマ通による、ドラマに関するコラム。

“TVドラマなんかくだらない”と言う人に、
あえて反論するつもりはありません。ただ、
“すべてのTVドラマがくだらないわけでは
ない”とだけ言っておきます。これからも僕は
TVドラマを見続けていくでしょう」(田中)

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第14話「やっと全部出そろった」

18日と19日に木更津とナースマンが始まって
やっと今クールの連ドラが全部出そろった。

野球で放送時間が変わる夏よりも
冬の方が質が高い場合が多いんだけど
今期もかなり面白い作品が多い。
ていうか、バラエティーに富んでる感じ。

再放送のドラマとか見てる場合じゃないな。

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『木更津キャッアイ』 第1回

プロデュース:磯山昌
主題歌:「a day in our life」嵐
音楽プロデュース:志田博英
音楽:中西匡
演出:金子文紀
脚本:宮藤官九郎
制作:TBS、TBSエンターテイメント
出演:岡田准一、桜井翔、岡田義徳、佐藤隆太、塚本高史、薬師丸ひろ子、
   阿部サダヲ、森下愛子、酒井若菜、古田新太、山口智充、小日向文世、他

このドラマと同じ
宮藤官九郎が脚本を書いた「IWGP」で
一番印象の残っているのは第5話(ゴリラの回)。
性同一性障害で女から男になった
ショウ(青木堅治)に関するエピソードだ。

ショウが思いを寄せる女性がストーカーに狙われ、
マコト(長瀬智也)たちがその事件解決に乗り出す。
ところがかえって相手を逆上させ、
その女性は危険な目に…。

助けに行くのが間に合わないマコトは
慌てているショウに電話で
「お前も男なら好きな女を守れ!」
みたいなことを言う。

確かに最初はマコトも
久しぶりにあった友達が女から男へ変わっていたので
ちょっとビックリはした。
でもその後はすぐにもう男として見ていたりする。

こういう描写が好きだった。
世間一般的にはまだまだ素直に受け入れられない状況でも
若者はそれほど気にしたりしない(少なくとも都会では)。
そういう若者のリアルな(?)感覚を自然に表現できる魅力が
クドカンの脚本にはあるのだ。

で、この作品。
ぶっさん(岡田准一)の告白に対する友達のリアクションに、
やはりそういうリアリティーを感じてしまった。

もちろん、今回の場合はマイノリティーに関する告白じゃない。
死が近づいているという深刻な問題であり、
誰の身にも突然降りかかる可能性がある問題だ。

でも、友達はいきなりその事実を受け止められない。
だからちょっと冗談で返してみる。
すぐにマジだったらシャレにならないと思い直す。
だんだんと相手の顔を見られなくなる。
とりあえず席を立ってみたりする。
中には黙って泣き出しちゃうヤツもいる。

いいシーンだよなあ。
まあ、こういうテイストに好き嫌いはあるんだろうけど、
個人的には支持したいな。

ドラマ全体としても、
「ケイゾク」「IWGP」「ハンドク!!!」と、
堤幸彦と一緒に演出を手がけた
金子文紀がメイン演出を担当しているので、
雰囲気に統一感がある。

今回はさらに、
野球をモチーフにした表と裏という構成も取り入れて
新鮮さも感じられる作りだ。

もちろん、小ネタも満載で
取り調べを受けることを覚悟した美礼(薬師丸ひろ子)が
電気スタンド持参でカツ丼を食べにいったシーンは好きだった。
あと、うっちー(岡田義徳)のコスプレも。

こういう遊びも入れながら
若者の群像劇を最後まで貫いて欲しい。

野球のシーンも
今回のような映像ならダサくならなくていいんじゃないかな。
2アウトからのスクイズはまずありえないので
本当はサイン間違いとかいう問題じゃないんだけど…。

今のところ心配なのは
やっぱりバンビ(桜井翔)か。
初回はセリフが少なかったせいもあって
まだキャラがつかめていなかった感じだ。

ここがしっくりすれば
かなりの名作になる予感はあるんだけどね。

             採点  8.0(10点満点平均6)


『トリック2』 第2話(episode 1)

演出:堤幸彦
脚本:蒔田光治

み、み、み、美幸ちゃんがもう死んじゃった!
そして、上田が活躍してる!

全体のテイストは変わってないけど、
謎解きの度合いが少し深くなってるから
上田にも科学的なことは解説させてるのかな。

今週は白木みのると
なぞはとべてすけた
がツボだった。

あと、犯人はこの中にいる!で、
犬もアップになるところ。

             採点  7.0(10点満点平均6)


『ナースマン』 no.1

チーフプロデュース:増田一穂
プロデュース:河野英裕、加藤正俊、小泉守
主題歌:「花唄」TOKIO
挿入歌:「Endless Harmony」唐沢美帆
音楽:椎名KAY太
原案:「ナースマン」小林光恵
演出:岩本仁志
脚本:寺田敏雄
制作協力:C.A.L 制作:日本テレビ
出演:松岡昌宏、安倍なつみ、小林聡美、上原多香子、山本圭壱、岸田今日子、
   國村隼、伊藤雅人、小泉孝太郎、椎名法子、山川恵里佳、板谷由夏、
   松嶋尚美、高田聖子、高杉端穂、岡田めぐみ、他

…そこまでやるのか。
ちょっとスゴイな。

このドラマのメイン演出・岩本仁志は、
元フジテレビのディレクター。
昨年の3月に局内の移動で制作から外れることになり、
そこを日テレが引き抜いたという経緯があった。

岩本仁志といえば、
初期の「白線流し」で有名だけど
「ナースのお仕事」も演出した人だ。
その彼が病院コメディーを撮るということで
まさかとは思ったんだけど…

土9枠は基本的に
ジャニーズと吉本興業が交互に主役を出しているので
(前クールの「ダンジキ〜」はむしろ例外)
今回の松岡主演もだいぶ前に決まっていたと思う。

でも、松岡は「ナース〜2」で
観月ありさの相手役を務めた人。
「ナース〜3」に出ていた
上原多香子や高田聖子もここに登場している。

完全にフジのヒット作を
そのまま看護士ヴァージョンにして
日テレで放送するという感じですな。

まあ、面白ければいっか。
そのへん寛容だからね、オレは。

で、この作品、
松岡の演技は相変わらずだけど
「ナース〜」の初期の頃の特徴は
良くも悪くも残している。

いい部分は、まず脇役の看護婦がいい味を出している点。
山川恵里佳と松嶋尚美が予想外にいい。
演技をしているというより、素に近いんだけど、
かえってセリフのテンポが良くて面白い。

毎回最後にホロっと感動させる作り方もこれから続きそう。
コメディーとシリアスのバランスは
「ナース〜」も初期の方が良かったのだ。

悪い点はコメディーのドタバタがわざとらしい点。
とくに病院という舞台のせいもあって
ムリに主人公のドジな部分を強調しようとすると
むしろ笑えなかったりする。
これも「ナース〜」の初期にはよく見られた点だ。

他に気になったのは、
全然上達してない上原多香子のセリフと
年を取りすぎてる感じがする岸田今日子ぐらいかな。

「ナース〜」の婦長が吉行和子だったから
岸田今日子になったんだろうけど、
どちらかといえば富士真奈美の方がよかった。
(この3人が仲がいいのは有名)

いずれにしても、
見るのもつらい日テレドラマのパターンではない。

今期の連ドラはバラエティーに富んでいて
予想外に平均点は高そうだな。

             採点  6.5(10点満点平均6)


『サラリーマン金太郎3』 Fight 3

演出:倉貫健二郎
脚本:中園健司

ここまでに関して言えば、ストーリーそのものは
今までのシリーズの中で一番面白いかもしれない。

女優の数は少ないけど、
今回ぐらい森口瑤子が活躍してくれると
見どころもかなり増えてくるしな。

ただ、寺田農にはもう少し頑張って欲しかった。
後半に崩れて、寺田農でもっと引っ張ればよかった…
みたいなことにならなければいいんだけど。

             採点  7.0(10点満点平均6)





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