タイトル■ドラマは何でも教えてくれる
書き手 ■ロビー田中

放映中のTVドラマを“ほぼすべて”見ている、
驚異のドラマ通による、ドラマに関するコラム。

“TVドラマなんかくだらない”と言う人に、
あえて反論するつもりはありません。ただ、
“すべてのTVドラマがくだらないわけでは
ない”とだけ言っておきます。これからも僕は
TVドラマを見続けていくでしょう」(田中)

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第142話「“ピュア・ラブ”がらみで気になるニュースが…」


先日、末しょう血幹細胞移植を行ったドナーが、
移植後、白血病を発症して死亡したという記事が新聞に載った。
国内での死亡例は初めてらしい。
(海外では8人の死亡が報告されているとか)

ちなみに末しょう血幹細胞移植というのは
通常の骨髄移植に比べてドナーに対する負担が少ないので
急速に普及していた移植法。

この前まで放送されていた「ピュア・ラブ」でも、
ドナーである陽春(猪野学)への負担を気にして
2度目の移植を拒否していた木里子(小田茜)が、
この末しょう血幹細胞移植の説明を聞いて
移植に踏み切るという描写があった。
(もちろんドラマとしてはそれだけが移植を決意した理由ではないけど)

もし「ピュア・ラブ」のパート3があるとしたら
このことについて何か触れるような気がする。
禅宗のことにしても、医学的なことにしても
かなりマジメに描いているからな、このドラマは

ますますパート3が見たくなった。






『お義母さんといっしょ』  第6話

演出:高丸雅隆
脚本:金子ありさ

健介(小栗旬)はフラれたか。
この最後の展開は良かった。

ただ、やっぱり前半は
ブツ切れのシーンを繋いだだけという印象。
全体的な流れが感じられないままだった。

さとう珠緒はやっぱり本格的に参戦するんだな。
う〜ん。

             採点  5.0(10点満点平均6)



『僕の生きる道』  第六話

演出:三宅喜重
脚本:橋部敦子

ちょっとスゴイな。
これだけストレートな内容を
ここまで厚く見せるなんてたいしたもんだ。

ひとことで言うと
上質なセオリーはきちんと守り、
下品なセオリーは一切排除しているということなんだと思う。

みどり(矢田亜希子)への告知は
いやらしく引っ張ることも可能だったけど、
このドラマはそんな下品な小細工はせず
一気に展開させた。

みどりが秀雄(草なぎ剛)の部屋に来るような関係になれば
あのビデオを見てしまうという流れは予想できた。
しかし、どんな風に見たか、
見た時にどんなリアクションがあったかなどはすべて排除し、
家でアイロンをかける後ろ姿で表現した演出は秀逸だった。

そして久保(谷原章介)から
“待つよ…、一年でも”と言われた時に見せた
みどりの複雑な表情。

秀雄の口から真実を告げられている時は
はしゃいでハネムーンの話をし続け、
部屋を飛び出してから子供のように泣く姿。
このラストまでのシーンも完璧だった。

裕福な環境に育ち、
自分でも大きな悩みはなかったと自覚しているみどりが、
唯一、深く悲しんだのが大切な人(母)を失った時。
そのみどりが再び大切な人を失うという事実を
受け止めなければならなくなった辛さが
見ている側にも伝わったと思う。

麗子(森下愛子)の存在は今回も効いていた。

             採点  8.5(10点満点平均6)



『熱烈的中華飯店』  第6話

演出:木村達彦
脚本:橋本裕志

橋本裕志の脚本だったけど…。
お客をテーブルで待たせたまま
裏でゴチャゴチャやる構成はもういいよ。

それに外の人間は本物の食王だと思ってるはずだから、
いくらストーリーを分かりやすくするためとはいえ
固いフカヒレを出したり
しょっぱいハムを出したりするのはヘンだと思うし。
あとツボの使い方もね…。

このドラマ自体がしょっぱい。

             採点  5.0(10点満点平均6)



『最後の弁護人』  第5話

演出:吉野洋
脚本:秦建日子

今回は別に良子(須藤理彩)が襲われるシーンから
振り返らなくてもよかったんじゃないかな。
あまりこの手法を多投しない方がいいと思う。

あと、何度も裁判をひっくり返されてるのに
なんであの検事(松重豊)は自信満々なんだろう。
少しずつでも変化をみせて欲しい。

でも、トリックの出来は別にして
有働(阿部寛)の過去を少しずつ絡めながら描いた
今回の話もなかなか良かった。

十分に合格点のドラマだと思う。

             採点  7.0(10点満点平均6)



『刑事★イチロー』  第5話

演出:富田勝典
脚本:黒土三男

この時期、将軍様はマズイんじゃないの?(笑)

路(菊川怜)が誕生日にイチロー(加藤晴彦)と飲みに行った時、
店の入口で“奈々子ちゃん(石橋奈美)の所に戻ってあげて”
と言ったシーンは良かった。

             採点  4.5(10点満点平均6)



『HR』  第18話「チェッキーさん」

脚本・総合演出:三谷幸喜
映像演出:河野圭太

こういうゲストの使い方なら効果的。
ストーリーもしっかりしていて
見ごたえのある回だった。

やっとドラマとしても楽しめるようになってきた。

             採点  7.0(10点満点平均6)



『恋は戦い!』  Round 6

演出:田村直己
脚本:尾崎将也

使い古されたくだらない展開だなあ。
杏子(坂井真紀)とゆかり(宝生舞)に関しては
マジメに作ればそれなりに面白くなるのに。

ま、最初からマジメに作る気はないんだろうけど。

             採点  4.5(10点満点平均6)



『美女か野獣』  STORY 6

演出:若松節朗
脚本:吉田智子

大まかなストーリーは別にこれでいいけど、
このドラマは根本的に狙いが間違っている。
ていうか、次元が低すぎる。

やっぱり脚本を担当する吉田智子の責任は重いのかなあ。
ちなみに過去の吉田智子作品は、
「愛犬ロシナンテの災難」
「ビューティ7」
「整形美人」など。

ちなみに今回の小ネタは湾岸署だった。
まあ、小ネタってほどでもないけどね。

             採点  5.5(10点満点平均6)



『年下の男』  第六回

演出:佐々木章光
脚本:内舘牧子

お母さん! その行動は軽率だって!(笑)

でも、千華子(稲森いずみ)がついに
伊崎(高橋克典)と母(風吹ジュン)の関係を知って
俄然、面白さが増してきた。

亜沙美(星野真里)が千華子のブーツを睨むシーンも
最高に面白かったしなあ。

やっぱり内舘牧子って
エンターテイメントを作る才能は抜群にあるよな。
リアルであってリアルじゃない、みたいな。

今期、この作品だけが
ひとり我が道を行っている。

             採点  7.0(10点満点平均6)



『高校教師』  VOL.6 片想いのチョコ

演出:吉田健
脚本:野島伸司

手島(眞鍋かをり)は
日向女子校の卒業生だったか。

そして藤村(京本政樹)は
かつて教え子をレイプして撮ったビデオを
まだロッカーに持っていた。

予想以上に前作とのリンクがあるなあ。

湖賀(藤木直人)と雛(上戸彩)の関係については
丁寧といえば丁寧だけど、
展開が遅いといえば遅い。

2人のシーンは心地いいので
いらつきはしないけど、
藤村のパーツとの関連がまだ薄いため
全体的な重厚感を削いでいる感じはする。

ところで、橘(眞野あずさ)の心情は
今回、かなり明かされた。
現段階では予想よりもかなり薄い関わりだった。
でもまだこの先どうなるかは分からないな。

野島伸司のことだから
ジョーカーはまだ手の中にあると思う。

             採点  7.0(10点満点平均6)



『スカイハイ』  第五死 ROOM 503

演出:鶴田法男
脚本:小川智子

また以前のパターンに戻ってしまった。

しかも、監督が3人目の鶴田法男に代わっても
やっぱり基本的な描き方は変わらなかった。

もう再生の道はないな。
お逝きなさい(笑)

             採点  5.5(10点満点平均6)



『よい子の味方 〜新米保育士物語〜』  5

演出:長沼誠
脚本:梅田みか

いいんじゃないでしょうか。
安居剣一郎もピッタリなキャスティングだったし。

その他大勢の女性保育士の描き方は相変わらずだけど、
静香(松下由樹)が太陽(櫻井翔)を見る目は
前回から変わっているので
それだけでもずいぶん見やすくなった。

             採点  6.0(10点満点平均6)



『GOOD LUCK!!』  第5話

演出:土井裕泰
脚本:井上由美子

うらら(内山理名)にスポットを当てる回は
必ずあると思っていたけど無難にこなした感じ。
しかも新海(木村拓哉)と歩実(柴咲コウ)の関係を
近づけるエピソードも絡めていたし。

今回は木村拓哉の演技もそんなに浮いてなかった。
兄弟ゲンカをするシーンはむしろ自然だったくらいで。
そういう意味でも今回は見やすかった。

キャビンに聞こえるくらいの大声でクルーを怒鳴るなんて
香田(堤真一)が一番会社の恥じゃないか!
みたいなツッコミはナシ(笑)

ちなみに予告のテロップで表記された
「ダイバート(DIVERT)」というのは、
悪天候などの理由で飛行機が代替空港に着陸すること。
ダイハード(DIE HARD)ではないので念のため(笑)

             採点  7.0(10点満点平均6)



『センセイの鞄』

演出:久世光彦
脚本:筒井ともみ
原作:川上弘美「センセイの鞄」(平凡社)
音楽:都倉俊一
制作:WOWOW、KANOX
出演:小泉今日子、柄本明、モト冬樹、豊原功補、竹中直人、木内みどり、
   樹木希林、加藤治子、他

WOWOWのオリジナル・ドラマ第1弾。
谷崎潤一郎賞を受賞した川上弘美の原作を映像化したもの。

久世光彦のコミカルな演出も味つけにしつつ、
40歳を目前に控えた女性と30歳も年の離れたセンセイとの恋愛を
シンプルに温かく描いた作品だった。

こうなると映画とTVドラマの境目は無いに等しいけど、
映像作品としては素晴らしく上質だったと言える。

とくにラストカットはかなり訴えるものがあって、
さすが久世光彦という感じだった。

今後、WOWOWは
月1本のペースでオリジナルドラマを制作するようで、
第2弾の監督は堤幸彦。

スポーツ放送はすでに有料チャンネルが主流になっているけど、
ドラマの未来も最終的にはここへ行き着くような気がする。

             採点  8.5(10点満点平均6)

                  脚本  ★★★★☆
                  演出  ★★★★☆
                  配役  ★★★★★
                  音楽  ★★★☆☆
                  新鮮さ ★★★☆☆
                  話題性 ★★☆☆☆






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